レバレッジドリースとは?仕訳方法や活用方法を解説

レバレッジドリースは高額な税金対策として効果があると言われていますが、どのような仕組みなのでしょうか?税効果があるメリットの一方、デメリットとなることも多くあります。レバレッジドリースを利用する前にはしっかりと勉強しておくことが必要です。




▼この記事を読むべき人

  • 事業継承を考えている方
  • 多額の利益が発生して税金対策に悩んでいる方
  • レバレッジドリースを基礎知識から活用方法まで全て知りたい方
自社株対策や事業計画や資金繰りも含めた財務戦略について考えたいと思ったら、まずはマネーキャリアで無料相談しましょう

内容をまとめると

  1. 高額なリース商品を購入し、それをリースすることで利益を得る方法
  2. 減価償却が課税金額の減額につながっている
  3. 多額の益金が発生した人、自社株対策を検討している人におすすめ
  4. 倒産リスク、為替リスク、財務の悪化リスクがあることに気をつける
  5. 会計処理が必要なのは、出資時、損失分配時、利益分配時、リース終了時
  6. 法人税に悩んでいる方は法人保険の検討もおすすめ
  7. マネーキャリアなら今ならスマホひとつで簡単に無料相談が可能!この機会に悩みを解決しましょう!
監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

レバレッジドリースをわかりやすく解説


レバレッジドリース
税金対策ができる、という話を聞いたことがあるでしょうか?税金対策、特に多額の利益が出た年に利用することが効果的な活用方法と言えますが、いまいち仕組みが分からない方も多いと思います。


また、大きな税効果が得られる一方、どのようなデメリットがあるのかを理解しておかないと、思わぬ損失につながってしまう事も考えられます。


ここでは、

  • レバレッジドリースについて
  • レバレッジドリースの仕組み
  • 活用すべき人の特徴
  • リスクやデメリット
  • それぞれの会計処理

をご紹介します。


メリットデメリットなどの基本的な事から会計処理についても解説していますので、ぜひ最後までお読みください。

レバレッジドリースとは?

レバレッジドリースは購入した商品を他社に貸し出すことで利益を出す方法です。どの様な商品も取り扱っているという訳ではなく、扱うものは「超高額」と決まっているのです。


高額な商品を購入するため、銀行などから融資を受けるため自己資本よりも大きな投資を行うことから「レバレッジ」という言葉が付けられています。


投資方法として

があります。


どちらでも良いという訳ではなく、定率法で行うオペレーティングリースが一般的です。


利用するリース資産は、

  • 航空機
  • コンテナ
  • ヘリコプター
  • 船舶

などに限定されています。一つの会社では扱いきれないような高額なものが対象です。

レバレッジドリースの仕組み

レバレッジドリースで使われるリース商品は高額である特徴があります。そのため、1つの会社で全てのお金を支払って商品を購入するわけではありません。


商品が高額な事もあり、出資者を募るのです。また、融資を受ける際に必要になるため、匿名組合というファンドを必ず作ることになります。


同じ理由で出資をしたい、出資者を募集します。さらに融資を受けて高額な資金を準備するのです。高額な資金を準備するのは、高額なリース商品を購入するためです。


このリース商品を購入する費用などが投資にかかる費用として課税金額の減額につながっていくのです。


リース取引が終了した後には、その商品は売却することになります。このときに高額な益金が出ます。

レバレッジドリースの手順

レバレッジドリースの流れをご紹介すると以下のようになります。

  1. 匿名組合を作る
  2. 出資者を集め、それぞれお金を出し合う
  3. 銀行などから融資を受ける
  4. リース商品を購入する
  5. 商品をリースし、利益を得る
  6. 最終的にリース商品を売り、利益を分配する

まず重要なのが匿名組合、ファンドを作ることです。レバレッジドリースを行う際には巨額の費用が必要となるため必ず必要になる作業です。


その後出資者を集めますが、出資者は基本税金対策を行いたい会社の方たちです。同じ目的を持った仲間になります。


航空機など高額な商品を購入しなくてはならないため、銀行などからも融資を受けて資金を集めます。


購入後は商品をリースし、リースが終わったら売却します。この売却時に多額の利益が出るため、注意が必要です。

レバレッジドリースが活用できる仕組み

他の会社に商品をリースすることと税効果が結びつかない方も多いと思います。なぜ税効果が得られるのでしょうか?


ポイントは「減価償却」です。


リース商品は匿名組合の所有となります。「減価償却資産」として扱われるため、減価償却費・特別損失として処理されます。この分の損失が会社の利益から引かれることになるのです。


さらに詳しく知る前に、まずは「減価償却」についてくわしく勉強しておきましょう。

【前提知識】減価償却とは?

レバレッジドリースと減価償却には深いつながりがあります。減価償却について理解しておかないと、正しくレバレッジドリースを活用することができないのです。


減価償却は固定資産の購入金額を何年かに分けて費用計上することです。期間はその固定資産の耐用年数や使用可能期間に応じます。


固定資産の中でも減価償却の対象となるものが減価償却資産です。年数が経つごとに価値が下がってしまう資産のことで、レバレッジドリースでは航空機やコンテナなどある程度限定されていることはご紹介しました。


これらのリース商品は利用するごとに商品としての価値が下がっていきますよね。その価値が下がってしまった分を匿名組合ではまとめて損失として計上します。


購入時にまとめて損失として計上するわけではなく、何年かに分けて費用として計上できる仕組みです。


減価償却費の計算方法としては、

  • 定額法
  • 定率法

などがあります。


定額法は名前の通り支払う金額は変わらず一定になる方法です。


定率法初年度の負担する費用が多く、徐々に減少していく方法です。


レバレッジドリースでは定率法を使用することで、早期に多額の費用が償却できることになるのです。

活用できる仕組み

匿名組合で出る減価償却費は損失として扱われます。出資しているそれぞれの会社に損失が分配されることになります。


それぞれの会社で「特別損失」として損金算入することになります。損金算入するということはその分利益が減ってしまいますよね。


利益が減ると法人税として課税される金額も減ることから、法人税の減額につながるのです。


定率法を利用することで初年度の減価償却費は大きくなります。さらに減価償却期間が短いと、初年度の負担はより大きくなります。そのため、減価償却期間を短く設定することでより大きな税効果を得られます。


ただし、リース終了後には売却金として多額の利益が出るため、法人税を「先延ばし」にしている状態であることを忘れてはいけません。このタイミングでどのような対応を取るのか、出口戦略を考えておく必要があるのです。

レバレッジドリースの活用をするべき法人


レバレッジドリースは多額の税効果の期待できる方法と言えます。しかし、利用できるのは法人だけで、個人事業主の方は利用できません。


さらに金額が大きいことなどから、毎年この方法を活用することにも向いていないと言えます。


では、どのような法人で活用できるのでしょうか?

  • 多額の益金が発生した
  • 自社株対策を検討している

などに限定されていしまいます。

①多額の益金が発生した方

多額の利益が発生した法人は、ぜひ利用を検討してください。


利益が増えるのはいいことですが、利益が増えるとその分法人税が課税される金額が増えてしまいます。ある程度の金額ならば、対策は難しくないかもしれません。


しかし、あまりに大きな利益が出ている場合、それに見合う金額を損金として処理することは難しくなってしまします。


そのため、初年度に多額の損金算入が可能となるレバレッジドリースがおすすめとなるのです。


ただしこの場合はあくまで「先延ばし」にすぎません。リース終了時には売却した金額が利益として資産計上されるため、どのようにして処理を行うのかを考えておく必要があります。

②自社株対策を検討している方

事業継承などを行うために自社株対策を検討している方にもおすすめの方法です。


減価償却を利用することで、会社の資産が減ることになります。そうすると会社の株価を一時的に下げることができるのです。


株価の下がったタイミングで株式転移などを行うことで、贈与税や相続税を抑えることができるのです。


リース終了時の売却金額は、事業継承を行う際の社長の退職金として利用すれば、益金が退職金と相殺されるため、さらに税効果が高くなるのです。


事業継承の際に利用することで、出口対策も準備することが可能です。

事業継承の際の自社株対策は法人保険でもできるので気になる方は以下の記事をご覧ください。

レバレッジドリースとあわせて法人保険の検討も必要

レバレッジドリースの出資額は最低でも1,000万円から3,000万円とかなり高額になっています。


大きな会社やかなりの益金が発生した際には利用することができますが、そこまで大きな会社ではない、といった際には利用を躊躇してしまいますよね。


しかし、法人の場合税金対策はしっかりと行いたいですよね。そこで注目したいのが法人保険を利用した財務戦略です。


法人保険を利用することで課税金額を減額することができるのですが、どのような種類を選んだらいいのか、わからないことは多いと思います。


もし法人保険を検討するのならば、法人保険に詳しいプロに相談することがおすすめです。


マネーキャリアでは法人保険のプロに無料で保険相談が可能です。抱え込まずにまずは保険相談をご利用ください。

レバレッジドリースのリスク・デメリット


多額の税金対策として活用できるメリットがある一方、デメリットとなるリスクもあることはお分かりでしょうか?

  • 倒産リスク
  • 為替リスク
  • 財務の悪化リスク

です。


金額が大きい分、その損失も大きなものとなってしまいます。


メリットがある反面それと比例するようにリスクもあるため、事前にしっかりと理解しておかないと損をしてしまう可能性も高くなってしまいます。それぞれのリスクについて解説していきます。

①倒産リスク

デメリットのひとつが、リース先の倒産リスクです。このような事態が起こってしまうと、リース取引の契約が続かなくなってしまい、最終的な売却までたどり着くことができません。


航空会社などは大企業のため、倒産の可能性は低いと言えますが、0%という訳ではありません。


特にコロナの影響で航空会社が倒産に追い込まれてしまったことは記憶に新しいのではないでしょうか?この際には多くのリース取引に影響が及びました。


このように、大企業にも倒産のリスクはあるのです。そのため、契約時にはリース会社の倒産リスクまでしっかりと考慮しておかなくてはいけないのです。

②為替リスク

レバレッジドリースは日本国内の企業だけを相手にしているわけではなく、世界各国の航空会社などを相手にします。そのため、ドル建ての商品が多くなってしまうのです。


円建て商品では無い場合に付きまとうリスクが為替リスクです。


購入時の為替レートと売却時の為替レートによっては、売却額が思った以上に少額になってしまう可能性もあるのです。円換算した際に元本割れを起こしてしまうのです。


逆のパターンもあり、売却時に思った以上に高額になってしまう事も考えられます。利益が出るのだから良い事なのでは、課税金額も増えるため、多額の利益が出てしまうのはあまり好ましくありません。


円建て商品が少ないため、このようなリスクがあることを覚えておきましょう。

③財務の悪化リスク

レバレッジドリースを利用していることで、財務の悪化リスクを招く可能性があります。


基本的に途中解約などはできないため、期間中に経営状況が悪くなってしまったとしても「解約してお金を回収する」ということができないのです。取引に利用しているお金から回すことができないため、さらに悪化してしまう可能性があるのです。


最初の投資としてリース商品を購入してしまっています。


すでに購入して費用を使ってしまっているため、途中解約はできない仕組みになっています。また、リース料金もそれほど高く設定されているわけではないため、期間中の利益はさほどありません。


最終的な売却時の利益が最も大きな利益となるため、途中で経営状況が悪くなってもレバレッジドリースをどうにかして換金したいと考えても無理なのです。

レバレッジドリースの会計処理


会計処理が必要になるタイミングは

  • 出資時
  • 損失分配時
  • 利益分配時
  • リース終了時

です。機会が少ないため、どのような処理をするのか不安になってしまうかもしれませんが、そこまで複雑な処理ではありません。


初めてレバレッジドリースを利用する際には、処理方法が分からず焦ってしまうかもしれません。事前に確認しておくことで、会計処理で悩む心配がなくなります。

匿名組合に出資したときの会計処理

まず行う処理が、出資した時です。


1億円の出資をした場合の会計処理は以下のようになります。

借方貸方
勘定科目出資金現金預金
金額1億円1億円
この会計処理では銀行などから融資を受けていることにはなりません。

通常では銀行などから融資を受けます。その場合には上記の会計処理の前に以下の処理が必要になります。

借方貸方
勘定科目現金預金長期借入金
金額1億円1億円
基本的にはこの2つの処理を行うことになります。

出資した際には様々な手数料や交通費などがかかることも考えられます。これらは「付随費用」として出資金とまとめて処理を行います。

損失分配金通知時の会計処理

次に処理が必要なタイミングとして、損失分配時が挙げられます。


レバレッジドリースでは定期的に損失分配が行われるため、通知が来た時には会計処理が必要になります。


通知には主に2種類あり、勘定科目が変わってくるため注意が必要です。

  • 直接法
  • 間接法

それぞれの方法で都のような処理を行う必要があるのか、見ていきたいと思います。


▼直接法

借方貸方
勘定科目匿名組合投資損失出資金
金額3,000万円3,000万円
▼間接法
借方貸方
勘定科目匿名組合投資損失匿名組合未払金
金額3,000万円3,000万円
匿名組合投資損失は特別損失と同じ扱いです。この金額分が税金対策として利用できる金額になります。

利益分配金通知時の会計処理

損失として処理する期間が終わると、その後はリース取引の利益が分配されることになります。


こちらも2つの通知方法があり、それぞれ利益が1,000万円出たとすると、処理は以下のように行います。


▼直接法

借方貸方
勘定科目出資金匿名組合投資利益
金額1,000万円1,000万円

▼間接法

借方貸方
勘定科目匿名組合未収入金匿名組合投資利益
金額1,000万円1,000万円
このように利益が出た場合には益金として処理を行います。

名称が変わるだけで金額などに差がないため、間接法などの種類があるのが不思議かもしれませんが、間接法の場合元の固定資産額が残るように表示するため、大きな違いが出るのはリース取引終了時になります。

リース取引終了時の会計処理

レバレッジドリースでは最終的にリース商品を売却することになるため、このときに多額の利益が出ることになります。1億円を出資し、リース取引で最終的に300万円のプラスとなった際の会計処理をご紹介します。

  • 出資金累計:7,000万円
  • 最終利益分配金:3,300万円

とします。

▼直接法

借方貸方
勘定科目現金預金出資金/匿名組合投資利益
金額1億300万円7,000万円/3,300万円
▼間接法
借方貸方
勘定科目現金預金/匿名組合未払金出資金/匿名組合投資利益
金額1億300万円/3,000万円1億円/3,300万円
金額が違うようにも見えますが、どちらの方法を使っても最終的な損益に違いはありません

まとめ


いかがでしたでしょうか?ここではレバレッジドリースについてご紹介しました。


この記事では、

  • 高額なリース商品を購入し、それをリースすることで利益を得る方法
  • 減価償却が課税金額の減額につながっている
  • 多額の益金が発生した人、自社株対策を検討している人におすすめ
  • 倒産リスク、為替リスク、財務の悪化リスクがあることに気をつける
  • 会計処理が必要なのは、出資時、損失分配時、利益分配時、リース終了時

についてご紹介しました。


活用方法としては限定的ですが、レバレッジドリースを利用することで多額の税金対策を行うことが可能です。しかし、様々なリスクがあるため、利用する前にはしっかりと勉強しておく必要があります。


レバレッジドリース検討とあわせて法人保険の利用も検討してみてはいかがでしょうか?マネーキャリアでは法人保険の専門家に相談が可能です。


ほけんROOMでは他にも法人保険に関する記事を多数掲載しています。興味のある方はぜひ参考にしてください。

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