ファイナンスリースとは?仕訳方法やメリットをわかりやすく解説

ファイナンスリースとは物をお金で借りるという仕組みですが、実際には分割で購入していることと同等です。ファイナンスリースには購入やオペレーティングリースとは違ったメリットを持っています。この記事ではファイナンスリースの概要から仕訳方法まで詳しく紹介してきます。



▼この記事を読むべき人
  • 業務上必要な機材や商品の取得を検討している方
  • ファイナンスリースとオペレーティングリースの違いを知りたい方
  • ファイナンスリースをすでに検討しており詳細が知りたい方
  • ファイナンスリースの仕組みなど基礎知識を知りたい方
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内容をまとめると

  • ファインナンスリースとは分割購入のようなもの
  • 中途解約ができず購入原価以上をリース料として支払うことが条件
  • 所有権移転ファイナンスリースと所有権移転外ファイナンスリース
  • 貸手のメリット:購入代金が一括で入る・販売先の幅が広がる 
  • リース会社のメリット:借手からの利息で利益を出せる
  • 借手のメリット:一括購入が難しいものを分割にて購入できる・融資枠を圧迫しない 
  • ファイナンシャルリースの仕訳処理は移転と移転外のどちらも同じだが、減価償却の方法が違う

ファイナンスリースをわかりやすく解説

物品や機械などが業務上必要になった場合、どのような方法で取得すれば会社にとって一番よいのか悩ましいところではないでしょうか。


購入かリースか、それぞれメリットとデメリットが存在します。


今回は取得方法の1つである「ファイナンスリース」について

  • ファイナンスリースの概要
  • 所有権移転ファイナンスリースと所有権移転外ファイナンスリース
  • ファイナンスリースの利点
  • ファイナンスリースの仕訳処理は?
を中心に解説していきます。

こちらの記事を読むことで、ファイナンスリースの概要やメリット、またオペレーティングリースとの違いなどが明確になるはずです。

自社には購入が向いているのか、リースが向いているのかの参考にもなるでしょう。

ぜひ最後までご覧ください。

ほけんROOMでは、法人保険に関する記事が数多くありますので興味のある方は合わせてご覧ください。 

ファイナンスリースとは?

ファイナンスリースとは業務上必要な機械や物などをリース会社から借りるという契約です。


契約上は借りていることになっていますが実際はローンを組んで購入するようなものです。


業務のためにリースした印刷機やオペレーション機器などは、リース期間が終わってもそのまま使用していることがありますよね、それはリースと言ってもローンを組んだり分割払いをしているのと変わらないからなのです。


ちなみにファイナンスリースには

  • 所有権移転ファイナンスリース
  • 所有権移転外ファイナンスリース
2種類があります。

現在2種類とされていますが違いはほとんどなくなっています。

しかし、根本的な違いを理解しておかないと混乱を招くことにもなりますので2種類の差異についても解説していきます。

ファイナンスリースの仕組み


機器を購入する際一括で購入することが財政状況と照らし合わせると難しい、そんな会社のためにファイナンスリースの仕組みは存在します。


ファイナンスリースの流れは以下のようになっています。


【販売会社Aから500万の機械を子会社Cが取得したい場合】

  1. 販売会社Aからリース会社Bが500万の機械を一括購入
  2. リース会社Bが子会社Cに貸し出す
  3. 子会社Cはリース料(分割)をリース会社Bに払う
このようにリース会社を通すことで、販売会社Aが直接ローンを組むという手間を省けるだけではなく、資金の回収に悩む必要がありません。

子会社Cとしても購入するためのローンを金融機関で組む必要がなく取得しやすい状況になるのです。

利点については下記でもう一度触れますが、各会社にとってもメリットがある仕組みなのです。

ファイナンスリースの条件と特徴

ノンキャンセラブル」と「フルペイアウト」の2つがファイナンスリースの条件と特徴です。


契約の際に最も需要な条件ですのでしっかり覚えておきましょう。


ノンキャンセラブル


ファイナンスリースは一度契約すると解約はできません


リース会社は販売会社から一括で購入しているのですから、契約自体を解除したとしてもリース料金の支払いがなくなるわけではありません。


回数や金額が大体決まっている中での支払いではありますが、会社のキャッシュを一定期間圧迫することになります。会社の財務内容と照らしあわせて、ファイナンスリースを活用すべきか慎重に検討しましょう。



フルペイアウト


リースした機器や物品の全額分プラス諸費用(利息など)を払うことになるフルペイアウトもファイナンスリースの条件です。


借り手側が最終的に購入することなり、貸した物の所有権がなくなる場合もあるためリース会社は購入分とプラスで利息を取らなければ経営ができません。そのため最終的には一括購入した時よりも総支払額は多くなります。

オペレーティングリースとの違い

中途解約総支払額
ファイナンスリース不可
現物価格以上
オペレーティングリース
現物価格以下

特に覚えておくべき違いは2点は中途解約できるのかどうかと総支払額が現物購入価格以上か未満かということです。


ファイナンスリースの対象物にはほとんど制限がありませんが、オペレーティングリースは対象物が限定されます。


オペレーティングリースはファイナンスリースと違い、借り手会社からの利息ととリース後の現物売却等で利益を出します。そのためリース対象物は主にリース期間終了後一定の価格で売却できる工場機器や運搬車などとなっています。

所有権移転ファイナンスリースと所有権移転外ファイナンスリースの判断基準


所有権移転と所有権移転外のファイナンスリースの区別をつけるために基準がどのように設けられているかを解説します。

どちらもローンを組んだり分割購入するのとほとんど異なることはありませんが、経理処理手続きや所有権が変わるかどうかなどで違いがあります。

①所有権移転ファイナンスリース

リース品の所有権が借り手に移動する趣旨が契約に定められているものを所有権移転ファイナンスリースと呼びます。


該当条件は

  • リース品を借りている最中か借入期間が終わった後に借り手にリース品を有する権利が移る
  • リース品を借りている最中か借入期間が終わった後にリース品が無料同然の価格になる
  • リース品が借り手のみに特別に発注し、明らかに借り手しか使用しないと分かる場合
の3点です。

つまり借り手がほぼ購入しているといっても過言ではない場合に所有権移転リースと判断されるのです。

会計処理は例外を除き通常会計に準じて行います。(下記のファインナンスリースの仕訳方法参考)

②所有権移転外ファイナンスリース

貸出期間が終わっても所有権が借り手にうつらない場合所有権移転外ファイナンスリースとよばれます。


期間が終わったあかつきにはリース品をリース会社に返すものですが、長期間使用されたものなどは返ってきたとしてもほとんど価値が0の場合もあります。 


そのため借り手がそのまま保有しているケースがあるのです。 


所有権はうつらないものの、返さないため実質分割で購入したのとほとんど差異はありません。 


ただし、リース期間終了後も価値が残るようなものは期間が終わってから再リース料を払い契約を再度行う場合もあります。 


実際の扱いは同じでも所有権が移るか移らないかで多少の違いがあるのです。

ファイナンスリースのメリット

ファイナンスリースの利点を販売者とリース会社、借り手の立場から紹介します。


【販売会社】


リース会社が機器や物品を一括で購入してくれるため大きな利益になります。一度に資金が入ってくるため資金の回収に頭を悩ませなくて済みます。


また直接は取引のしにくい小さな会社やともリース会社を通して関係ができるため、販売チャンスが広がることも魅力の1つです。


【リース会社】


借り手からのリース料と利息を取って利益を出すことができます。購入原価だけでなく税金や保険料、管理料も含めたとことで安定的な収益につなげることができます。


【借り手】


販売会社か一括で購入できないものをリース会社を通すことで取得できます。


また固定費を一括計上せずに、リース料を払うことでキャッシュの大幅な圧縮を防ぐことができます


ファイナンスリースで取得すると銀行の融資枠を圧迫することがないので、他の件で融資を検討している場合の邪魔になりません。不測の事態に融資枠を空けることで会社の安定につながります。

ファイナンスリースの仕訳方法(経理処理)


ファイナンスリースを活用した時の仕訳方法(経理処理)について解説します。


ここでは例として

  • リースによる取得物の価格:1000万
  • 利息:総額100万を毎年10万
と数字を切りよくして使用します。

会計処理の仕方は移転のケースも移転外のケースも取引内容の類別に違いはありませんが、目を向けるべきは使用する減価償却が異なるという点です。

①所有権移転ファイナンスリースの場合

物品や機器を借入をして購入した際の仕訳と基本的には変わりません


【リース開始時】

借方貸方
リース資産 1000万リース債務 1000万

リース期間が始まった場合取得物がリース資産として借方に計上されます。同時に貸方には返済すべき債務を計上します。


【リース料支払時】

借方貸方
支払利息 10万
リース債務 100万
預金・現金 110万

リース債務100万が借方に上がると同時に発生利息分10万も借方に計上されます。支払利息とリース債務支払いのため預金または現金が減少しますので預金・現金の110万は貸方に記入します。


毎月同じ金額を返済するため支払いの元金と利息が変わります。ここでは数字を単純にしていますが通常では手間がかかるためネックに感じるかもしれません。


【資産の減価償却】


所有権移転リースには減価償却費が生じます。経済的耐用年数を用いて計算しますが、リース品が何かによって経済的耐用年数は変わるためご確認ください。


定額法と定率法が用いられる減価償却ですが、定率法の方が早いうちに必要経費として多く計上ができるので一般的に好都合なのは定率法と言われています。


具体的な算出方法としては減価償却とは?計算方法や減価償却費の仕訳を理解すると国税庁の減価償却のあらまし参考にしてください。

②所有権移転外ファイナンスリースの場合

仕訳の方法は所有権移転ファイナンスリースと変わりません。 


リース会社に民法上の所有権はありますが借り手は資金を借りて購入した扱いになります。よって①と同じ形に仕訳をされるのです。


相違点は減価償却方法です。


分割購入とほぼ同じで所有権が最終的に借り手に移る場合は通常の減価償却法を採用しますが、仕訳額を割り出すため「リース期間定額法」を用いるのが所有権移転外のリースです。 


契約上、期間終了後に借用品は返還するとなっていますので残存価格が0になるように算出を行ってください。 


リース期間中は同じ額を計上します。通常とは違い一度に償却費を計上できませんが、期間中の償却費が一定のため会社を経営するにあたって見通しがつきやすのが特徴です。


 計算方法は

 {(リース会社が物品や機器を購入した代金ー残価保証額※)÷借入期間月数}×事業年度における借入期間の月数 

で求めます。


詳しくは国税庁のリース資産の償却等をご引照ください。


※残高保障額:リース契約の際定める借入期間が終わった後の処分価格の目安。この価格に満たない場合は不足分を借り手が保障する。

所有権移転外ファイナンスリースで中小企業の場合例外がある

経営規模が大きくない中小企業はリース資産の減価償却ではなく賃貸借として計上できます。 

  • リース契約のトータルが一契約あたり300万以下かつ会社にとっての重要性が高くない場合
  • リース期間が1年以内
の2つが条件です。

契約時に仕訳帖に記載することはありません。

賃貸料の支払いの際に(ここでは毎月5万を支払う)
借方貸方
リース料 5万現金・預金 5万
と記載します。

賃貸借として処理できるのであれば、資産の計算をしなくて済みますしリース料の支払時に費用として計上すれば良いだけなので手間を省くことができます

所有権移転のケースではできないため中小企業にとっては良い面です。

そのため中小企業は所有権移転外を利用するケースが多くあります。リースの使用を考えているのであれば検討すべき方法でしょう。

まとめ

ファイナンスリースについて解説をしてきましたがいかがでしたでしょうか。


今回のポイントは

  • ファインナンスリースとはほぼ分割購入違いはない。中途解約ができず購入原価以上をリース料として支払うことが条件
  • 所有権移転ファイナンスリース:リース期間終了後に所有権が借り手に移る
  • 所有権移転外ファイナンスリース:リース期間終了後にも所有権は貸し手
  • メリット(貸し手):購入代金が一括で入る・販売先の幅が広がる
  • メリット(リース会社):借り手からの利息で利益を出せる
  • メリット(借り手):一括購入が難しいものを分割にて購入できる・融資枠を圧迫しない
  • ファイナンシャルリースの仕訳処理は移転と移転外のどちらも同じだが、減価償却の方法が違う
でした。

ファイナンシャルリースは会社の経営状況に合わせて活用すれば、キャッシュフローの圧迫を抑えながら経営効率をあげることができます

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