更新日:2023/07/20
船舶のリースの基礎知識と仕組みをわかりやすく解説!
船舶のリースは聞いたことがあるけれど、実際の内容や船舶リースの仕組みはどうなっているのかわからないといった方は多いのではないでしょうか。この記事では船舶のリースの基礎知識と船舶リースを利用方法をわかりやすく解説していきます。
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 船舶のリースの活用方法をわかりやすく解説
- 船舶のリースの仕組み
- 船舶リースを活用するメリット
- ①税効果が大きい
- ②キャッシュフローの計画が立てやすい
- 船舶リースのリスク・デメリット
- ①リースに関わる企業の倒産リスク
- ②残価価格より安い値段でしか売却できないリスク
- ③為替リスク
- ④船舶が壊れるリスク
- ⑤損害賠償などの追加出資が発生するリスク
- ⑥税制改正により税効果が得られなくなるリスク
- ⑦キャッシュフローが悪化するリスク
- コンテナリースを利用するのを検討するべき人
- コンテナや航空機のリースと比較
- 法人向けの生命保険も必ず検討するべき!
- 船舶リースと法人保険を比較
- 船舶リースと法人保険を組み合わせて活用する方法
- 資金面も含めてリスクマネジメントのプロと相談することが重要!
- まとめ
目次
船舶のリースの活用方法をわかりやすく解説
オペレーティングリースの仕組みを利用した船舶のリースは、およそ50年以上も前から知られている投資法の一つですが、法人にとってはこの船舶リースは税効果を受けられるともいわれています。
この記事では、
- 船舶のリースを活用できる仕組み
- メリット
- リスクやデメリット
- コンテナリースを検討するべき人
- その他のリースと比較
- 法人向けの生命保険も検討するべき
船舶のリースの仕組み
まず始めに船舶のリースの仕組みとはどういったものなのかを解説していきましょう。
船舶リースは投資法の一つでありますが、内容や仕組みを理解しておくことがとても大事です。船舶リースは下記のそれぞれの会社が関わって成り立っています。
- 出資者
- 匿名会社(ファンド)
- リース会社
- 海運会社
- 金融機関
船舶リースの仕組みは、上記の匿名会社が出資者から船舶の購入のため資金を集め、足りない分は金融機関から借入を行って大型のタンカーなどの大きな船を購入します。そしてその大型タンカーを海運会社にリースをして毎月リース料を受取ることとなりますが、それは出資額に合わせて出資者にも利益を分配します。このとき、海運会社と匿名会社で7年のリース契約とそのリースが終了時には海運会社が購入することが前提となっています。
船舶に出資した匿名会社は船舶を固定資産として計上することができますが、高額な船舶を購入しましたから、その年度や次年度の減価償却費は大きな額が見込めます。そのため、その年のリース料よりも減価償却費の方が金額が大きくなり、購入した年度や次年度は赤字状態となります。
一方出資者は出資した金額は有価証券などの金融商品として計上することとなりますが、初年度や次年度の年度末は匿名会社の損失を分配金に応じて出資者側も損失を計上することとなります。
すなわち匿名会社の損失を出資者の損益計算書に計上できるため、自ずと利益が減少するため課税金額が減額出来るというわけです。
船舶リースを活用するメリット
会社としては船舶リースを活用するメリットがあるかどうかということになりますが、いくらメリットが大きいといえども、すべての法人が活用できる対策ではありません。
- 税効果が大きい
- キャッシュフローの計画が立てやすい
①税効果が大きい
船舶リースをするうえで、大きなメリットは税効果が大きいということですが、ではこのメリットを最大限に活かすことのできる法人は、どのような条件があるのでしょうか。
- 今年度に限り利益が大幅に出ることが予想され、経常利益が3,000万円以上は確実に出る
- 現在の余裕資金として預金が1億円以上は手元にある
- 事業承継を行ううえで自社株対策が必要である
②キャッシュフローの計画が立てやすい
船舶リースのリスク・デメリット
では船舶リースのデメリットとなるリスクについてですが、これらのリスクがどうしても自社の範囲では対処できないという方にとっては、十分検討しなければならないでしょう。
- リースに関わる企業の倒産リスク
- 残価価格より安い値段でしか売却できないリスク
- 為替リスク
- 船舶が壊れるリスク
- 損害賠償などの追加出資が発生するリスク
- 税制改正により税効果が得られなくリスク
- キャッシュフローが悪化するリスク
①リースに関わる企業の倒産リスク
デメリットの1つ目はリースに関わる企業の倒産リスクですが、これは先に述べた船舶リースに携わるすべての業者がもしも倒産してしまうこともあるということです。
- リース会社が倒産・・・引継ぐ会社が見つかるまでどうなるかわからない
- 匿名会社が倒産・・・・引継ぎの会社が見つからなければ出資金もどうなるかわからない
- 海運会社が倒産・・・・リース料が受取れなくなり分配金もなく中古の船舶だけ残ってしまう
②残価価格より安い値段でしか売却できないリスク
③為替リスク
デメリットの3つ目は、株のように為替リスクがあるということですが、船舶は海外で購入して海外でリースされるということが主流となっているからです。
結局リースが終了してたとえ当初通りに海運会社が船舶を買取ることとなっても、リース終了時の円の価値が開始時よりも円高になっていれば、円で受け取る際には損となってしまうでしょう。
ドルの為替相場はここ20年ほどの平均をみてみると1ドル=106.7円となっていますので、この額をみるともしも今年リースが終了するのであれば、船舶リースを契約した年には少なくとも1ドル=106円以下でなければ、損をしてしまうでしょう。
④船舶が壊れるリスク
デメリットの4つ目は船舶が壊れるリスクがあるということです。壊れ方にもよりますが、もしも水没して使い物にならなくなった場合、リース会社はこの船舶に保険を掛けているため、早期回収ということになるでしょう。
そのため収益を得るということでは問題はありませんが、投資期間が予定より早くなってしまい、当初7年に設定されていた計画が3年で戻ってくることとなります。
7年後まで利益を繰り延べするために出資していたのに、予定より早く回収できてしまったためその年は税金がかかってくることとなってしまいます。
ちゃんと戻ってくるのならリスクとならないのではと思いますが、結局予定より早く税金がかかってしまうリスクと考えておきましょう。
⑤損害賠償などの追加出資が発生するリスク
デメリットの5つ目は損害賠償などの追加出資が発生リスクですが、もしもリース中の船舶が事故をした場合、④でもしも船舶が壊れてしまっても保険がかかっているということは述べましたが、では第三者を巻き込んだ事故だったとしてこの第三者にケガを負わせてしまったときはどうなるでしょう。
当然所有者である組合が損害賠償を負うことになりますが、賠償金額が大きければ保険会社だけでは足りないということで、組合から出資者に追加出資を求められる場合もあり得ます。
第三者を巻き込んでしまいその賠償まで考えると、追加出資のリスクも十分考えられるのではないでしょうか。
⑥税制改正により税効果が得られなくなるリスク
デメリットの6つ目は税制改正により税効果が得られなくリスクです。現在船舶リースを行ううえで匿名会社が減価償却を計上する経理処理は認められていますが、今後生命保険のようにいつ改正されるかもしれません。
どこの部分に法改正のメスが入るかもわかりませんから、匿名会社を存続できるのか、また減価償却を認めてもらえるか、時代の移り変わりとともにいつ改正になってもおかしくありません。
結局税金対策をしているところには目を付けられる可能性は大いにあるということですから、今後も続いていくかどうか、そしてこの税効果が守られるかどうかも保証されていることではないということです。
⑦キャッシュフローが悪化するリスク
デメリットの7つ目はキャッシュフローが悪化するリスクです。この船舶リースではキャッシュフローの計画が立てやすいということが大きなメリットでしたが、もしも何か月後に多額の資金が必要となり、解約したいと思っても中途解約はできませんし、クーリングオフもできません。
当然出資側の資金不足が原因で倒産してしまう可能性もあるかもしれないのです。ただし、救済措置ではありませんが株の売却のように、出資枠を売却する会社も過去にはあるようで、このように切羽詰まった場合には足元を見られ出資金の50~80%で取引されているといった事例もあります。
そうならないためにも余裕資金で安心して投資ができるということが条件となるでしょう。
コンテナリースを利用するのを検討するべき人
船舶リースのほかコンテナリースも課税金額を減額できる方法の一つで、船舶リースと同様具体的に以下のような条件が揃っていれば検討するべき人と考えてよいでしょう。
- 経常利益が3,000万円以上
- 1億円以上の余裕資金がある
- 自社株対策で株価を下げたい
さらに、コンテナリースは投資金額が低いため船舶と比べると出資金も低く、投資もしやすくなりますが、船舶と同様コンテナリースを活用してもそれが好条件でなければ大きなリスクをかかえてしまう羽目になってしまいます。
そのため、以下の好条件を確認してから検討することで、リスクを少しでも回避できるのではないでしょうか。
- リース期間が7年以下
- 貸出先が大会社
- 換算為替レートが1ドル=110円以下
- リース期間満了後に海運会社等が購入することが前提
- 1年目の損金は出資金の80%以上
コンテナや航空機のリースと比較
船舶リースは先に述べたコンテナリースや航空機のリースと比較した場合、どのような違いがあるのでしょうか。船舶もコンテナも航空機も基本的な仕組みは同じですが、何を重視するかにもよりますので、契約内容を比較してみましょう。
船舶リース | コンテナリース | 航空機リース | |
---|---|---|---|
出資最低限価格 | 約3,000万円~5,000万円 | 約1,000万円~3,000万円 | 約3,000万円~5,000万円 |
リース期間 | 6年~10年 | 5年~7年 | 7年~10年 |
中古市場での 価値 | 価格の変動が激しい | 下落幅は小さい | コロナの影響で不安定 |
特徴的なリスク | 最新技術に左右される | 希少価値は低い | 最新技術に左右される |
売却時の条件 | 海運会社の買取が必須 | 海運会社でも中古市場 でも買取が可能 | 航空会社の買取が必須だが 中古市場でも可能性あり |
結局こうして比較してみると、船舶リースは売却時の条件のリスクが高くなり、リースしていた海運会社が絶対に買取る保証がなければ安全な対策とは言えなくなってしまうでしょう。
法人向けの生命保険も必ず検討するべき!
以上のことから税金対策を検討するなら、法人向けの生命保険もぜひ検討してみるべきではないでしょうか。
生命保険はこれまでも中小企業などには税金対策として多くの企業が利用していたはずですが、ここでは船舶リースと生命保険を組み合わせた活用方法をみてみましょう。
- 船舶リースと法人保険を比較
- 船舶リースと法人保険を組み合わせて対策
- リスクマネジメントのプロとの相談は重要
船舶リースと法人保険を比較
まず船舶リースと法人保険の内容を比較してみると、どちらも一長一短ととらえることができ、こうして比較してみると、両方を組合すことができればさらに課税金額を減額できるのではと考えられるでしょう。
船舶リース | 法人保険 | |
---|---|---|
損金算入 | 減価償却として損金算入可能 | 商品によって変わる |
中途解約 | 基本的にはできない | いつでも解約可能 |
支払 | 原則1回限り | 毎年支払う |
為替リスク | あり | 商品によってはあり |
保証 | 公的な救済機関なし | 生命保険保護機構が90%保証 |
船舶リースと法人保険を組み合わせて活用する方法
ではどのようにして、船舶リースと法人保険を組み合わせれば良いのでしょうか。この2つを組み合わせるためには、船舶リースと法人保険のいいとこどりつまり両社のメリットを考えてみれば良いでしょう。
- 毎年安定して利益を得る
- 会社経営に必要なキャッシュは守る
- 出口戦略で退職金準備
- 保険の解約時や受取時期に船舶リースの契約をする
資金面も含めてリスクマネジメントのプロと相談することが重要!
船舶リースやコンテナリースなどの出資の詳細内容がわかれば、資金面も含めてリスクマネジメントのプロと相談することがとても重要となります。
具体的な内容がわかったところで、いまの会社の状態ならどんな投資をするのが良いのか、またデメリットを埋められる法人保険はあるのかなど、資金や財務戦略など少しの不安でも答えてくれるでしょう。
いくら良い人の紹介だからといってすぐに出資してしまい、後で後悔することにならないためにもぜひリスクマネジメントのプロに相談して、リスクの確認や対処法など、また再度の資金の確認をすることをおすすめします。
マネーキャリアではこのような法人のリスクマネジメントに活用できる法人保険の相談や、資金の相談まで気軽にプロに相談できますので、ぜひ活用することをおすすめします。
まとめ
船舶リースの基礎知識や仕組みなどを解説してきましたが、突発的な利益に備えるためにはあらゆる対策を検討してみるのも一つの策ではないでしょうか。
- 船舶のリースで対策ができる
- 船舶のリースを活用するメリット
- 船舶リースのリスク
- コンテナリースを活用するのを検討するべき人
- コンテナや航空機のリースも比較
- 法人向けの生命保険も必ず検討するべき
船舶リースそしてコンテナリースや航空機リースなどもみてきましたが、2020年コロナの影響で今まで安定的と言われていた航空機の相場は不安定に様変わりしてしまいました。
先のことは誰にもわかりませんから、まず自社では何に重視して資産を増やしていきたいのか、専門家の力を借りながら上手く活用して会社を育てていけるように選択していきましょう。
船舶リースに関する疑問点はマネーキャリアに相談可能です。マネーキャリアでは法人の方も無料で保険相談が可能なため、この機会に利用してみてはいかがでしょうか。
ほけんROOMには法人保険に関する記事が数多くあるのでぜひご覧ください。
- 手元の余裕資金が1億円以上ある
- 今年度に限り大きな利益が出ることとなり経常利益が3,000万円以上ある
- 相続税対策や事業承継による自社株対策が必要と考えている人
船舶リースなどのリースを活用した方法は歴史のある投資方法とはいえ、リスクをきちんと理解して船舶リースの仕組みを把握しておくことが大切です。