中小企業の退職金の相場はいくら?ベストな退職金の準備方法を解説

退職金制度の導入でどれぐらいのお金が出るのか、最適な準備方法とは何か、中小企業の経営者にとって関心の大きい問題かと思います。退職金制度のための資金の準備方法には、さまざまな方法があります。中小企業の退職金の相場と準備方法をまとめましたので、参考にしてください。

内容をまとめると

  • 中小企業の約70%が退職金制度を取り入れており、退職一時金が多数 
  • 職一時金の割り出し方は中小企業ごとに違う
  • 退職金の払い渡し金額は学歴やその企業で働いた年数で変わるが100〜1,100万円の間
  • 退職金制度のお金を用意する方法は「社内準備」と「中退共」の2つが多数
  • 法人向け生命保険で退職金制度のためのお金を用意する方法もある
  • 些細なことでも企業リスクや法人保険、補助金などについて質問があるならマネーキャリアで無料オンライン相談!

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

中小企業の退職金の相場はいくら?


退職金制度を取り入れ、福利厚生を充実させて長く働いてもらいたいと考えている経営者の方も多いのではないでしょうか。


しかし、中小企業が退職金制度を導入するには多額の資金を用意する必要があります。


用意するに当たって、他社がどれぐらいの退職金を支払っているのか気になりますよね?


本記事では、中小企業の退職金制度について

  • 中小企業は退職金をいくら払っているのか?
  • 退職金の割り出し方法とは?
  • 中小企業が退職金を用意には?
  • 中小企業におすすめな準備方法
を解説します。

ぜひ、最後までご覧ください。

中小企業の退職金の相場

退職金制度を採用するに当たって、他の中小企業がどのような制度を採用しているのか気になりますよね。


東京都産業労働局の「令和2年版退職金制度」によると、集計した企業数1407社のうち927社が退職金制度を採用。


927社の退職金は以下の通りです。

退職一時金のみ666社
退職一時金と退職年金の併用216社
退職年金のみ45社

約70%の中小企業が退職一時金を取り入れています


反対に退職年金は927社中45社と全体の約5%。


退職一時金を採用する企業が多数とわかりますね。


その企業で働いた年数や学歴ごとの退職金は次の表の通りとなります。

◯勤続10年

学歴自己都合退職会社都合退職
大学卒145万6000円187万9000円
高専・短大卒127万7000円161万5000円
高校卒122万3000円159万2000円

◯勤続15年

学歴自己都合退職会社都合退職
大学卒271万9000円331万8000円
高専・短大卒233万5000円278万5000円
高校卒221万1000円274万6000円

◯勤続20年

学歴自己都合退職会社都合退職
大学卒353万4000円425万円
短大・高専卒297万5000円358万6000円
高校卒278万8000円333万2000円

◯勤続25年

学歴自己都合退職会社都合退職
大学卒524万3000円598万円
短大・高専卒438万円503万8000円
高校卒407万3000円471万9000円

◯勤続30年

学歴自己都合退職会社都合退職
大学卒705万9000円785万6000円
短大・高専卒591万1000円665万円
高校卒543万3000円622万7000円

◯定年まで勤続

学歴会社都合退職
大学卒1118万9000円
短大・高専卒1026万円
高校卒1031万4000円

その企業で働いた期間が長いほど、退職金が高くなっていますね。


また、自己都合よりも会社都合の退職の方が高い傾向にあると見て取れます。


学歴は働いた年数に関わらず、大卒が一番高いです。


対して、短大・高専卒と高校卒は中途採用の場合は短大・高専卒が、定年まで働いた場合は高卒の方が高額です。


全体的に、退職金に大きな差はないと言ってもいいですね。

退職一時金の主な計算方法

退職一時金とは、従業員が退職したとき、退職者へ一度にまとめてお金が払い渡される退職金制度です。


退職者が死亡するまで定期的に支払いが発生する企業年金と比べて負担が小さく、金額が予測しやすいことから多くの中小企業が導入。


退職一時金の計算方法は大まかに分けて4種類あり、中小企業はそれぞれ以下の表の方法を取り入れています。

算出方法採用企業数
退職金算定基礎額×支給率380社
退職金算定基礎額×支給率+一定額35社
勤続年数に応じた一定額199社
ポイント制(退職金ポイント×ポイント単価)119社

退職金算定基礎額とは、退職金額を割り出すときの基本となるものです。


退職金算定基礎額には、決まったルールがありません。


そのため、基礎額の中身はそれぞれの企業によって異なります。


主に5種類に分けられ、東京都産業労働局の「令和2年版退職金制度」によるとそれぞれ以下の表のようなやり方を取り入れています。

退職金基礎額の算出方法導入企業数
退職時の基本給172社
退職時の基本給×一定率120社
退職時の基本給+手当10社
(退職時の基本給+手当)×一定率30社
別テーブル方式56社

退職したときの基本給のみを計算に用いる企業が多数でした。


ほとんどの方法で、基本給を計算に用いていることがわかりますね。

中小企業の場合どのように退職金を準備する?


退職金制度を維持するには、たくさんのお金が必要です。


決して少なくない金額を、他の中小企業がどのように用意しているのでしょうか。


東京都産業労働局の「退職金事情令和2年版」によると

  • 社内準備:60.3%
  • 中退共:46.6%
で、ほとんどの企業が社内で用意するか、中退共で積み立てているようです。

社内準備は「内部留保」によって退職金を用意するやり方で、銀行や証券会社で積み立てをします。

簡単に言うと、自分たちで貯金するやり方ですね。

メリットは、会社の経営が厳しくなったときに資金として使えることですが、自由に使えるため、退職金の資金源として計画的に準備するのが難しいというデメリットがあります。

中退共は、毎月の掛け金と期間を決めて計画的に積み立てられる仕組みです。

従業員ごとに掛け金を決められ、支払った金額はすべて損金として計上が可能。

全額が非課税になり、確実に退職金を用意できるのがメリットです。

ただし、中退共の掛け金は働く人の賛同がないと変更が難しいことから、経営状態が苦しいときに融通が効きにくいため、注意が必要となります。

おすすめの中小企業の退職一時金の準備方法①生命保険

退職一時金は、上記で紹介した以外にも法人保険で用意できます


退職金制度を用意する際に活用できる法人保険は

  • 法人向け養老保険
  • 長期平準定期保険
の2種類です。

どのような保険なのか、ひとつずつ見てみましょう。

1.養老保険

法人向け養老保険とは、保障と貯蓄が一体化した生命保険です。


保険を受ける従業員が死亡した場合は保険金が支払われ、無事に満期を迎えると満期保険金が支払われます。


保険料の半分が損金計上でき、やり方次第では残り半分も福利厚生費として計上されるため、課税金額を抑えることも可能です。


また、経営が苦しい場合は保険を解約すると解約返戻金がもらえるため、融通も効きます。

2.長期平準定期保険

長期平準定期保険とは、加入期間が長期で、支払う保険料が変化しない生命保険です。


保険期間は95歳や100歳が満期となっており、解約返戻率は保険期間満了の少し前に最大となって、以降は急激に下がります。


そのため、退職金支払い時期と解約返戻率が高くなる時期を合わせることで、退職金の貯金として活用できます。


また、保険料を損金へ計上できるので、節税も可能です。

おすすめの中小企業の退職一時金の準備方法①中退共

先ほど、中小企業の46.6%が中退共で退職金制度のためのお金を用意しているとお話ししました。


中退共とは、中小企業で働く人のために用意された退職金制度です。


掛け金はすべて企業が受け持ち、従業員が仕事をやめた際には退職金が払い渡されます。


また、掛け金はすべてが損金となるため税金が課されません。


さらに掛け金の一部は国が補助してくれます。


加入条件は業種ごとに異なり、従業員数か資本・出資金どれかが以下の表の範囲内であれば加入が可能です。

業種従業員数出資・資本金
一般業種(製造など)300人以下3億円以下
卸売業100人以下1億円以下
サービス業100人以下5000万円以下
小売業50人以下5000万円以下

ただし、条件を満たしていても家族経営の企業他の退職金制度に加入している場合は、加入できないこともあるので注意してくださいね。

まとめ


中小企業の退職金制度について取り上げましたが、いかがでしたか?


今回のポイントは

  • 中小企業の約70%が退職金制度を取り入れており、退職一時金が多数
  • 退職一時金の割り出し方は中小企業ごとに違う
  • 退職金の払い渡し金額は学歴やその企業で働いた年数で変わるが100〜1,100万円の間。
  • 退職金制度のお金を用意する方法は「社内準備」と「中退共」の2つが多数
  • 法人向け生命保険で退職金制度のためのお金を用意する方法もある
でした。

中退共や社内準備、法人向け生命保険など退職金を用意する方法はさまざまです。

それぞれの方法のメリット・デメリットを比べて、自社に合った手段を選び退職金制度を取り入れましょう

退職金を用意する方法にお悩みの方はマネーキャリアへご相談ください。マネーキャリアでは法人の方も無料で保険相談が可能なため、この機会に利用してみてはいかがでしょうか。

ほけんROOMでは他にも法人保険に関する記事を多数掲載していますので、興味のある方はぜひ参考にして下さい。

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