更新日:2021/07/14
自動車保険は「個人から法人」「法人から個人」に切り替えできる?
通常の自動車保険の名義変更とは異なり、「個人から法人」あるいは「法人から個人」に名義変更するには特定の条件を満たしている必要があります。この記事では、自動車保険の名義を切り替えるための条件や、手続きの際に必要となる書類について説明します。
内容をまとめると
- 法人から個人へ切り替える際は、ノンフリート契約でかつ法人を解散したのち同事業を個人事業主として引き継ぐことが条件
- 個人から法人へ切り替える際は、新設の法人で事業内容は個人事業からの引き継ぎ、そして法人設立時点で自動車保険に加入していることが条件
- 法人登記から1年以内でなければ、法人名義に変更できないことも
- いずれの名義変更も、必要書類は各保険会社に問い合わせるほうが良い
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法人向け自動車保険の記事では法人自動車保険の基礎知識をわかりやすく解説していますので、是非ご覧ください!
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 自動車保険の個人と法人、切り替えはできる?
- 自動車保険の用語を簡単に理解しておこう!
- 1.自動車保険の名義を法人から個人に切り替える条件を解説
- 条件①ノンフリート契約であること
- 条件②代表が法人を解散し個人事業主として事業を継承すること
- 【注意】「記名被保険者」の変更は条件がある
- 2.自動車保険の名義を個人から法人に切り替えるための条件
- 条件①新規に設立された法人であること
- 条件②今まで個人事業主として同じ事業を行っていること
- 条件③法人設立時点で自動車保険に加入していること
- 個人から法人に名義変更する際に知っておくべきポイント
- 個人から法人に名義を切り替えるメリットとデメリット
- 個人から法人に名義を切り替えるメリット
- 【注意】個人から法人に名義を切り替えるデメリット
- 自動車保険の名義の切り替えの際に必要な書類
- ①自動車保険を法人から個人に名義変更する際の必要書類
- ②自動車保険を個人から法人に名義変更する際の必要書類
- 【参考】法人名義への変更時の質問事例:等級はどうなる?
- コラム:名義変更とともに自動車保険も見直そう
- 自動車保険の個人と法人の切り替えについてのまとめ
目次
自動車保険の個人と法人、切り替えはできる?
早速ですが、自動車保険(任意保険)に加入している方にクイズです。
自動車保険は「個人から法人」あるいは「法人から個人」に切り替えられるか、正解をご存知でしょうか?
結論から言いましょう、切り替えはできます!
しかし実際の名義変更方法や手続きにおける必要書類など、やや面倒そうなイメージがあるのも事実。
そこで今回の記事では、自動車保険を切り替える方法について
- 用語解説!自動車保険をもっと身近に感じよう
- 自動車保険を「法人から個人」に名義変更したい!その条件は?
- 自動車保険を「個人から法人」に名義変更したい!その条件は?
- 「個人から法人」に名義変更すると、こんなことが起きる!
- 自動車保険の名義変更時の必要書類を一挙ご紹介!
- 【参考】法人名義にすると、等級はどうなるの?
自動車保険の用語を簡単に理解しておこう!
まず自動車保険に契約する際に登場する
- 契約者
- 記名被保険者
- 車両所有者
これらの用語について、簡単に説明しておきます。
表にしてみましたので、ご覧ください。
自動車保険における意味 | |
---|---|
契約者 | 保険料を支払う人。 |
記名被保険者 | 保険に契約している自動車を運転している人。 |
車両所有者 | 保険で保障の対象である自動車の所有者として、自動車検査証や軽自動車届出済証に記載されている人。 |
以上が自動車保険において、契約に関わる人物です。
これらはすべて同じ人であることもありますし、反対に全員バラバラなこともあります。
この3つの立場の関係性や役割を正しく知っておくことが大切です。
1.自動車保険の名義を法人から個人に切り替える条件を解説
この記事の最初でも結論付けたように、自動車保険(任意保険)を「法人から個人に」切り替えることは可能です。
ただし本来、法人と個人は別人格。
したがって両者間には一切の関係性がないと見なされています。
自動車保険も例外ではありません。
名義変更の手続きを行ったとしても、法人契約の等級をそのまま個人契約へ引き継ぐことは不可能となっているのです。
切り替えることは可能と言ったのに、矛盾していますよね。
実は条件として
- ノンフリート契約である
- 代表が法人を解散して、個人事業主として事業継承をする
条件①ノンフリート契約であること
自動車保険を法人から個人に名義変更できる条件。
まず1つ目は、元々の契約がノンフリート契約であることです。
簡単に説明していきます。
ノンフリート契約って?
前提として、法人の所有・使用する車が9台以下であることが求められます。
この9台以下の車に対して1台ずつ等級が設定され、保険料が決まる契約形態です。
等級は事故歴と照らし合わせて、支払う保険料の割増引が適用される制度を言います。
つまり無事故が続くとその車の等級は上がり、保険料はその分安くなっていくという仕組みです。
名義変更の方法
法人から個人に名義を変更する場合は
- 被保険者である法人が解散
- 個人事業主として、法人時と同じ事業を継承する
などの条件を満たせば、等級継承もできます。
これは次の項目でも解説する内容です。
フリート契約の場合は?
法人が所有・使用車の数が10台以上の場合は、フリート契約となります。
この契約形態には等級自体が存在しません。
そのため、1契約単位の保険料となるのです。
このタイプの法人契約を個人契約にしたい場合は、新たに自動車保険を契約し直す必要があります。
条件②代表が法人を解散し個人事業主として事業を継承すること
法人から個人に名義変更できる条件の2つ目は、法人を解散して個人事業主として事業を引き継ぎすることです。
こちらも簡単に説明していきます。
名義変更の方法
法人から個人事業主となる方の自動車保険の切り替え方法としては、
- 自動車保険の記名被保険者として登録している法人を解散する
- 代表取締役が個人事業主として、同じ事業を引き継ぐ
- 記名被保険者を法人から2.の個人事業主に変更する(これにより等級継承が可能)
- 加入している保険会社に必要書類を提出する
これらの手順を踏むこととなります。
用語解説でも説明しましたが、「自動車保険に契約されている自動車を運転している人」、つまりは主な補償対象者となるのが記名被保険者です。
また4.で提出する必要書類は商品により異なるため、各保険会社への問い合わせによる確認がおすすめです。
事業を引き継ぎしない場合は?
法人の解散後、個人事業主として事業を継承しないということもあるでしょう。
この場合は、新たに自動車保険を契約し直さなければなりません。
【注意】「記名被保険者」の変更は条件がある
記名被保険者の変更条件
自動車保険においては、記名被保険者に登録された方の情報から保険料や補償の範囲が決定される仕組みとなっています。
そのため保険会社への告知・通知が、記名被保険者を変更する際の条件です。
告知事項には
- 記名被保険者の生年月日や在住の都道府県
- 免許証の色
- 契約する自動車の車種や使用目的
- 契約自動車の改造の有無
仮に告知内容と事実が異なると発覚した場合、
- 補償金の給付が受けられない
- 保険の契約自体が解除される
そのため契約者変更のみであれば、特に問題はありません。
2.自動車保険の名義を個人から法人に切り替えるための条件
ここまでの内容とは反対に、自動車保険(任意保険)の名義を「個人から法人に」切り替えたい方もおられますよね。
個人事業主として始めた事業が軌道に乗り、法人化することを考えている方などが主に該当するのではないでしょうか。
法人から個人に切り替えることが可能なように、個人から法人に名義変更することも当然できます。
その際もやはり条件があり、その具体的な内容は
- 新しく設立された法人である
- 個人事業主として同じ事業を行った
- 法人を設立した段階で自動車保険に加入している
条件①新規に設立された法人であること
自動車保険を個人から法人に切り替える条件1つ目。
それは新規に設立された法人であることです。
法人設立日はばれる?
まず、個人から法人に名義変更を行う際の必要書類に登記簿謄本は含まれていません。
これはつまりどういうことかと言うと、法人の設立日は保険会社に明かす必要がないということです。
ではどうして新設の法人でなければならないのでしょう。
新規に設立された法人が条件である理由
法人契約に切り替える場合は、個人事業主が法人成りすることを前提としています。
そのため、法人を設立したらそのタイミングで自動車保険も法人名義へと変更することが一般的です。
もし設立から複数年が経過していることが発覚すると、保険会社によっては等級継承ができず新規契約となる可能性があります。
わからないことがあれば
各保険会社に対し、問い合わせ・確認を行うようにしましょう。
条件②今まで個人事業主として同じ事業を行っていること
個人から法人に切り替える条件2つ目は、法人成りする以前から個人事業主として同じ事業を行っていたことです。
これはほとんどの方が問題なくクリアできる条件だと思いますが、その理由を説明していきます。
仮に法人化に伴い、今までのものから事業内容を変更したとしましょう。
すると当然ですが
- 契約する自動車の使用目的
- 契約する自動車の年間走行距離
条件③法人設立時点で自動車保険に加入していること
自動車保険の個人契約を法人名義に切り替えるときの条件、3つ目は法人成りした時点で自動車保険に加入していることです。
個人事業主時代に自動車保険に未加入だったという方であれば、当たり前のことですが、名義変更を行おうにも変更前となる契約の履歴が存在しません。
事業を法人化するという際に初めて自動車保険への加入を決めた場合は、「自動車保険を法人名義で加入する」という内容で新規申し込みをしてください。
この手続きに必要書類は
- 自動車検査証
- 法人印
個人から法人に名義変更する際に知っておくべきポイント
個人から法人契約に自動車保険を切り替える際には、
- 記名被保険者が変わらない場合の引き継ぎ
- 等級継承に関すること
- 法人登記からの経過が一定の間でしか、名義変更を受け付けてもらえない保険会社もある
- 個人名義時:個人事業主の名前を記名被保険者として登録した
- 法人名義変更時:前述の個人事業主が代表取締役として、引き続き記名被保険者に登録されている
個人から法人に名義を切り替えるメリットとデメリット
名義変更の手続きや条件について解説してきました。
ところで、自動車保険を個人から法人に切り替えると何が具体的に変わるのでしょうか?
それがわからないと、切り替える必要性も見えませんよね。
この項目では、個人から法人への切り替えにおけるメリットとデメリットをそれぞれ解説していきます。
以下の内容をチェックして、あらかじめどんなことが起こるのかを知っておきましょう。
個人から法人に名義を切り替えるメリット
まず挙げられるメリットとしては
- 法人契約に特約を付与できる
- 保険料を損金処理することが可能
- 休車費用特約
- 法人他運転特約
内容 | |
---|---|
休車費用特約 | 契約者が事故などに遭い、その修理で使用できない期間の損害(休車損害)に対して、一定額の補償を受け取ることができる。 |
法人他運転特約 | 従業員が業務の一環として取引先などの自動車を運転した際の事故に対して、対人賠償保険・対物賠償保険など一部の補償を適用することができる。 |
【注意】個人から法人に名義を切り替えるデメリット
法人名義には
- 契約車を運転する人が広範囲にわたる
- 人身傷害補償保険の補償範囲が選択できない
- そもそもファミリーバイク特約が存在しない
- ロードサービスの対象外となる可能性もある
主に上記のようなデメリットが存在します。
- 本人
- 本人とその家族
このため、「個人で契約していた頃と比較すると、そちらのほうが保険料が安い」なんてことも運転人数によっては起こりかねません。
人身傷害補償保険の適用が限定的
- 身体に障害が残った
- 怪我をした
- 死亡した
法人保険では、この適用範囲は「搭乗中のみ補償」の一択。
個人での契約と比較すると、選択肢の有無に違いがあるようです。
自動車保険の名義の切り替えの際に必要な書類
自動車保険の名義変更には、先ほども少し触れたように手続きで書類提出が求められます。
「いざ手続きを行おうとしても書類不備でできなかった」このような事態は絶対に避けておきたいですよね。
細かな書類内容は各保険会社ごとに異なるのですが
- 自動車保険を法人から個人にする場合
- 自動車保険を個人から法人にする場合
①自動車保険を法人から個人に名義変更する際の必要書類
まずは自動車保険を「法人から個人に」名義変更する際の必要書類についてご紹介していきます。
必要書類のタイプは、
- 法人が解散したことが証明できる書類
- 各保険会社が定めた書類
▼法人が解散したことを証明する書類
「法人の解散」とは、それまで行っていた業務のすべて中止し、会社の法人格を消滅させる手続きのことを指します。
この法人が解散した事実を証明することが可能な書類としては
- 登記事項証明書(会社登記簿謄本)
が代表的なものです。
登記事項証明書には、法人の現在の状況・内容が記載されています。
法人が清算結了や合併に伴って解散すると、登記簿自体が閉鎖されるのです。
この証明書は、
- 不動産屋
- お住まい近くの法務局
で取得することができます。
なお個人に名義変更する場合は、
- 法人の代表取締役が個人事業主となる
- 法人時と同じ事業を継承する
以上が条件です。
これらを証明する書類、例えば
- 税務関連
- 開業届出証
- 資格証明書
なども用意しておくと、よりスムーズに手続きが進むでしょう。
▼各保険会社で定められている書類
上記以外の自動車保険の名義変更時に提出を求められる書類は、保険会社により異なります。
詳細は契約している保険会社にご自身で確認を取ってください。
その方法を説明してきます。
書類請求から手続きの流れは、
- 保険会社に連絡、名義変更の意思を伝える
- 保険会社から変更届出書が送付される
- 2.に必要事項を漏れなく記入する
- 新たに名義人となる人の本人確認書類を添付して返送する
以上です。
なお4.で本人確認書類として認められるものは
- 運転免許証(両面をコピーしたもの)
- 健康保険証(両面をコピーしたもの)
- 年金手帳のコピー
- 住民票(過去3か月以内に発行されたもの)
- 自動車検査証
- 運転免許証
- 保険証券
②自動車保険を個人から法人に名義変更する際の必要書類
続いては、自動車保険を「個人から法人に」名義変更する際の必要書類についてご紹介していきます。
- 法人が新しく設立されたものであること
- 個人で行っていたものと法人の事業内容が同じであること
- 個人事業で使用していた車と同じ車を使用していること
- 法人設立届
- 印鑑証明書(個人・法人どちらも)
- 労働保険名称・所在地変更届
- 社会保険適用事業所所在地・名称変更(訂正)届
- 登記事項証明書
- 株主総会議事録(自身で作成)
- 自動車検査証(法人名義に変更したもの)
- 車庫証明書(法人名義で取得)
- 譲渡証明書(自身で作成)
- 自動車税・自動車所得税申告書
- 手数料納付書
- 保険証券
- 申請書
【参考】法人名義への変更時の質問事例:等級はどうなる?
やはり法人名義に変更する上で1番心配なのは、等級に関することではないでしょうか?
実際に寄せられた質問にもあるのが、
- 個人事業主から法人成りした
- 使用していた自動車も法人名義に変更する予定
こういった状態にある方からの、「自動車保険の等級はどうなるの?」というもの。
等級の違いは支払う保険料に対しても影響を及ぼすものですし、少しでも安いままで切り替えられるほうがもちろん嬉しいですよね。
結論から申しますと、「記名被保険者が同様であれば等級継承が可能」というのがこの質問の答えになります。
どうしてこのような答えとなるのか、それはこの記事内でもすでに解説したことです。
記事の最後に、もう一度復習の意味を込めてチェックしていきましょう。
そもそも等級は事故の有無などから保険金が必要となる確率を算出し、保険料の割引率を決定するものです。
そのため、記名被保険者本人の
- 年齢
- 免許証の色
- 個人事業のときは自動車を個人で所有していたが、法人化に伴って法人が所有することになった
- 運転者が従業員全員など、法人化により多数に増加した
コラム:名義変更とともに自動車保険も見直そう
自動車保険の名義変更をする際、ついでに自動車保険も見直しませんか?
自動車保険を見直すことで、3万円近く安くなるかもしれません。
以下のようなことがありませんか?
- 会社の団体割引でで加入している
- 知り合いのつてで入っている
- 車を買うときにディーラーに言われるがままに加入した
自動車保険の個人と法人の切り替えについてのまとめ
自動車保険の個人と法人間の名義変更について、その可否や注意点などを解説してきましたがいかがだったでしょうか。
今回の記事のポイントは、
- 法人から個人へ切り替える際は、ノンフリート契約でかつ法人を解散したのち同事業を個人事業主として引き継ぐことが条件
- 記名被保険者の変更には告知が義務付けられている
- 個人から法人へ切り替える際は、新設の法人で事業内容は個人事業からの引き継ぎ、そして法人設立時点で自動車保険に加入していることが条件
- 法人登記から1年以内でなければ、法人名義に変更できないことも
- いずれの名義変更も、必要書類は各保険会社に問い合わせるほうが良い