職業ごとに上乗せできる年金制度とは?各上乗せ年金の仕組みを紹介!

老後の対策として、少しでも貰える年金を増やしたい方のために、公的年金に加えて自分で上乗せできる年金制度は多く存在します。職業ごとに加入できる年金が異なるので、自分が上乗せできる年金制度を知っておきましょう。各年金制度の仕組みやメリット・注意点を紹介します。

職業別で上乗せできる年金制度はなにがある?

公的年金制度について「年金保険料は払っているけど、将来十分な年金がもらえるの?」「老後の生活費は年金だけで大丈夫?」といった疑問をお持ちの方も多いはず。


実は、このような不安を解消する方法として、公的年金に上乗せできる年金があり、上手に活用されている方もいるのです。


「そんな方法があるのなら、ぜひ活用して将来の年金を増やしたい!」と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか?


そこで、この記事では

  • 自営業者ができる公的年金上乗せの方法
  • 会社員ができる公的年金上乗せの方法
  • 公務員ができる公的年金上乗せの方法
  • 主婦ができる公的年金上乗せの方法
といった内容について詳しく解説していきます。

この記事を最後まで読んでいただくと、ご自身の働いている形態別の年金上乗せの方法や、その特徴・注意点などについてご理解いただけるはずです。

ぜひ最後までお付き合いください。

自営業者の年金上乗せ:付加年金

この記事に興味を持たれた方の中には、どの組織にも属さず、いわゆる「自営業者」として仕事をされている方もいらっしゃると思います。


自営業者の場合、老後に受け取れる年金については、公的年金の基礎部分である「国民年金」のみとなっています。


その金額は、一年間におよそ78万円(40年間保険料を支払った時の満額)であり、この金額だけで生活していくのは簡単ではありません。


そのような自営業者のための公的年金の上乗せの方法の一つとして、「付加年金」というものがあります。


ここからは、この付加年金について、その仕組みやメリット、注意点などについて詳しくご紹介していきます。

付加年金の仕組み:保険料は毎月400円

自営業者の場合、公的年金の基礎部分である「国民年金」しか受け取ることができないため、その金額に上乗せする方法の一つとして「付加年金」というものが準備されています。


この付加年金は国民年金の保険料に追加で付加保険料を上乗せして納めることで、将来受け取ることのできる年金額を増やすことができるという仕組みになっています。


加入できるのは、「国民年金第1号被保険者」と「任意加入被保険者」となっており、会社員や公務員である第2号被保険者は加入できません。


また、専業主婦などの第3号被保険者も加入することができないようになっています。


国民年金に上乗せできる付加年金ですが、その保険料は一律で月400円となっています。


ところが、受け取れる年金額は保険料を払い込んだ月数×200円となっています。


これだけを見ると、かけた保険料の半分しか受け取れず、損をする制度のように感じられますがそうではありません。


例えば、付加年金を5年間掛けた場合の受け取りについてシミュレーションしてみたいと思います。


5年間で払い込んだ付加年金の保険料総額は次のようになります。


付加年金保険料合計=400円×5年間(60月)=2万4千円


受け取る付加年金額は


受け取る付加年金年額=200円×5年間(60月)=1万2千円


となり、1年間だけで見ると確かにマイナスです。


しかし、公的年金というのは、一生涯受け取れる終身年金ということになりますので、毎年1万2千円が付加年金として上乗せされます。


つまり、2年目の受給額の1万2千円と1年目の受給額である1万2千円を併せると、2万4千円となり、払い込んだ保険料と同額が受け取れたことになります。


その次の年以降も、毎年1万2千円がうけとれることになりますので、年金の受け取り開始3年目以降は実質的にプラスになるということになります。

付加年金のメリットと注意点

付加年金のメリットは、前項でもご紹介した通り、受け取り開始後2年間を超えて受け取ることができれば、支払った保険料以上の年金を受け取れるという点です。


つまり、長く生きれば生きるほど、お得感が増していく制度であるということになります。


ただし、この付加年金の制度についてはいくつかの注意点があります。


そのひとつ目が加入資格で、加入できるのは自営業者である第1号被保険者や無職・学生などの任意加入被保険者に限られています。


つまり、サラリーマンや公務員といった、第2号被保険者や、専業主婦のような第3号被保険者は加入することができないのです。


二つ目の注意点は、老齢基礎年金の受給権がないと付加年金も支給されないという点です。


これは、付加年金の意味合いとして、あくまで老齢基礎年金の上乗せの制度であることによります。

付加年金が向いている人とは

付加年金については、掛け金に上限が設けられているものの、払い込んだ掛け金が2年間で元が取れるというメリットがあります。


しかし、サラリーマンや公務員、専業主婦等は加入できない制度となっています。


そういった意味からしても、自営業者や無職ではあるが、国民年金をきちんと納付している人に向いて制度といえます。


自営業者等、付加年金の加入資格がある人で老齢基礎年金だけでは老後の生活が不安という場合は加入を検討してみて損のない制度であるといえます。

自営業者の年金上乗せ:国民年金基金

自営業者の場合、老後に受け取れる年金は、基礎部分の国民年金のみであり、金額的に不安と考えている方が多いのも事実です。


そのための上乗せ年金としての制度が、前項で解説した「付加年金」ですが、この制度以外にも自営業者の年金上乗せのための制度があります。


それが、「国民年金基金」という制度で、国民年金基金連合会という団体が運営している制度になります。


この制度については、国が関与した制度であるため、税の控除等いくつかのメリットがあります。


しかし、同時にいくつかのデメリットや注意点も存在していますので、制度の特徴に合わせて、解説していきたいと思います。

国民年金基金の仕組み:上限金額は月額68,000円

まずはじめに、国民年金基金の基本的な仕組みについて解説していきます。


国民年金基金は、国民年金基金連合会という団体が運営する、自営業者向けの年金上乗せのための制度になります。


そのため、加入できるのは自営業者などの国民年金における第1号被保険者と学生・無職などの任意加入被保険者(65歳以上の人は除きます)となっています。


掛け金の上限は月額68,000円となっており、受け取りに関しては、一生涯受け取る「終身年金」か、あらかじめ受給期間を定めた「確定年金」を選択することができます。 

国民年金基金のメリットと注意点

国民年金基金のメリットの1つめは、掛け金の上限額が高いことにあり、付加年金の掛け金が月額400円であるのに対し、国民年金基金では上限月額が68,000円となっています。


当然、掛け金が高ければ、老後に受け取れる年金額も高くなるということになり、


国民年金基金のメリットの2つめは、その掛け金全額が、社会保険料控除という形で、所得控除されるという点です。


つまり、老後の年金を積み立てながら、その金額が全額所得控除されるということになるのです。


ここまでの内容を見ていくと、国民年金基金は大変素晴らしい制度のようにも見えますが、注意点がないわけではありません。 


付加年金では、その説明にもあったように、3年目以降は払い込んだ掛け金以上の金額を受け取れるのですが、国民年金基金はそうではありません。


 国民年金基金の場合、受け取れる年金額は月額最大8,000円であり、払い込んだ金額を超えるにはそれなりの年数が必要ということになります。

国民年金基金が向いている人とは

我が国においては、きちんと年金保険料を納めていさえすれば、老後の生活資金の基礎となる国民年金を受け取ることができます。


会社員や公務員はこれに、厚生年金が上乗せされたものを受け取れるのですが、自営業者の場合はその上乗せ部分を自分で用意しなければなりません。


ですので、国民年金基金は国民年金の基礎部分だけでは老後の生活に不安があると考えている自営業者やフリーランスの方に向いた制度であるといえます。


また、国民年金基金の掛け金は、全額が経費として節税効果もあるため、より自営業者見向いている制度といえます。


付け加えると、この制度は、国民基金連合会という組織に掛け金をあづければ、あとの運用はこの組織に任せることになります。


そのため、「お金は拠出するけれども、運用は誰かに任せたい」という方にも向いた制度とも言えます。

参考:国民年金基金と個人型確定拠出年金を組み合わせる方法も

国民年金基金は、毎月自分で設定した掛け金を支払うことによって、老後一定の上乗せ年金を自分で作ることのできる制度となっています。


しかし、前項でも紹介した通り、掛け金の運用に関与することはできません。


もし、ある程度拠出できるお金に余裕があり、自分でも運用をしてみたいということであれば、個人型確定拠出年金を組み合わせるという方法もあります。


この個人型確定拠出年金は、拠出した掛け金を株式や債券・保険商品など、あらかじめ準備された商品から自分で選んで運用することができる仕組みとなっています。


また、公的な制度であり、積立時や受取時の節税ができるというメリットもあります。

会社員の年金上乗せ:企業年金

会社員の場合、国民年金に加え、厚生年金という上乗せの年金が準備されています。


場合によっては、その起業が独自に企業年金という厚生年金に更に上乗せとなる制度を準備してくれている場合もあります。


この場合、年金原資は制度を持つ各企業が拠出し、その運用や管理・給付などは、その母体企業が設立した厚生年金基金や、企業年金基金によって行われています。

3種類の企業年金について

会社が従業員のために、厚生年金にさらに上乗せする制度である「企業年金」ですが、この制度には大きく分けて3種類があり、そのいずれかを企業側が採用することになります。


その3つとは、「厚生年金基金」「確定給付型企業年金」「確定拠出型企業年金」になります。


ここからは、それぞれの特徴について解説していきたいと思います。


【厚生年金基金】


この制度は、企業が厚生労働大臣の認可を受けて法人を設立し、国の年金給付のうちの老齢年金の運用等を代行する制度です。


元々は、年金原資の一部を運用することにより、厚生年金基金独自の上乗せを実現していましたが、昨今の運用環境の悪化により解散する基金も多くなっています。


また、2014年4月以降は、新規設立ができなくなっています。


【確定給付企業年金】


確定給付企業年金は、老齢年金の給付額が確定しており、その金額に向けて資産を積み上げていく年金で、「基金型」と「規約型」の2つに大別されます。


基金型は300人以上の加入者が見込まれる場合に、企業が厚生労働大臣の許可を受けて企業年金基金を設立するものです。


規約型は労使間で合意した年金規約を策定したうえで、厚生大臣の承認を受けて設立されるものとなっています。


【確定拠出型企業年金】


確定拠出型企業年金とは、企業が掛け金を拠出し、従業員がその拠出金を元に運用する商品を選択し、将来に向け運用していく年金になっています。


そのため、将来の年金額は確定されておらず、その運用成績によって変動する点に注意が必要となります。

企業年金を受けれる条件について

企業側が、従業員のために準備してくれる企業年金ですが、その企業に属しているすべての従業員が受け取れるわけではなく、そこには受け取るための条件が設けられています。


第一の条件は、その企業に勤めている年数条件で、老齢年金として受け取る場合、その企業年金に10~15年加入していることが必要となります。


また、支給開始に関しては、60歳あるいは公的年金の支給開始年齢に到達することも必要条件となります。


それでは、その企業を中途退職した場合はどうなるのでしょうか?


中途退職の場合は、一般的に3年以上の加入期間がある場合には脱退一時金が支給されることになっています。


また、本人が希望する場合、この脱退一時金を企業年金連合会へ移管し、老齢年金として受け取ることも可能になっています。

公務員の年金上乗せ:年金払い退職給付

「公務員になれば、老後の年金は安泰」と言われていた時期もあり、これは「職域加算」という、他の年金にはない追加部分があったためです。


しかし、2015年の年金制度改革で、公務員のための「共済年金」がサラリーマンの「厚生年金」と一元化され、この優遇制度は廃止されました。


この職域加算は廃止されましたが、新たな公務員の年金上乗せの制度として、「年金払い退職給付」という制度がスタートしています。


この制度は、自分のための年金原資を自分で拠出した保険料で積み立てる方式であり、一種の確定拠出年金ともいえる制度となっています。

3号被保険者(配偶者)の年金上乗せ:個人型確定拠出年金

ここまでは、自営業者や学生・無職の方などの第1号被保険者と、給与所得者としての第2号被保険者の年金上乗せの制度について解説してきました。



第2号被保険者の配偶者である3号被保険者については、基礎年金である国民年金は、配偶者である第2号被保険者の年金保険料に合わせて納付されています。


逆に言えば、それ以上の上乗せをしたい場合は、自分自身で準備をしなくてはなりません。


その方法の一つが「個人型確定拠出年金」と呼ばれるものになります。


ここからは、主婦が確定拠出年金に加入するメリットや、注意点等について、わかりやすくご紹介していきます。

主婦が加入するメリットを3つ紹介

2017年以前は、第3号被保険者である主婦が個人型確定拠出年金に加入することができませんでしたが、2017年以降は、主婦や公務員も加入することができるようになりました。


この確定拠出年金という制度は、自分自身が掛け金を拠出し、運用商品をえらび、長期運用したうえで、60歳以降そこに積み上がった資産を受け取るという制度です。


この制度に主婦が加入するに当たっては、「3つのメリット」があるといわれており、その3つのメリットについて解説していきます。


【メリット1:長期運用ができる】


確定拠出年金は拠出した掛け金を60歳までの長期にわたり運用していく制度となります。


そのため、ある程度長期間にわたって(加入する年齢にもよりますが)資産形成を行うことができるため、毎月無理のない範囲の掛け金設定をすることが可能となります。


【メリット2:税制優遇が受けられる】


確定拠出年金は、国がバックアップする制度であるため、税制面の優遇が受けられることも大きなメリットとなります。


まず第一に、掛け金の運用によって生じる利益には税金がかかりません(通常であれば、約20%の税金がかかります)。


次に、受取時にも優遇があり、一括で受け取る場合は「退職所得控除」が、分割して年金として受け取る場合は「公的年金控除」が適応され、税負担が軽くなります。


【メリット3:資産形成のための知識が深まる】

確定拠出年金の場合、さまざまな金融商品の中から自分に合った商品を選び、長期的に運用していくことになります。


そのため、今まで触れることのなかった資産運用についての情報をを収集したり、経済に興味を持ったりといった、資産形成のための知識が深まります。

運用の注意点とは?

確定拠出年金は、自分で拠出した掛け金を自分に合った商品で運用でき、運用中や受け取り時の税制優遇が受けられるというメリットの多い制度といえます。


しかし、掛け金の運用を自分でしなければならないというところに大きな注意点があります。


つまり、選んだ運用商品の運用がうまくいかず、受取時点では元本割れを起こすリスクもはらんでいるのです。


また、運用がプラスマイナス0であった場合、その運用商品の管理手数料等によって、元本割れを起こすリスクもあります。


そのため、あくまで「自己責任」であることを理解したうえで、無理のない範囲の掛け金で、運用していく姿勢も大切であるといえます。

個人年金保険について解説

老後の年金の上乗せという意味では、一般の保険会社から発売されている「個人年金保険」に加入するという方法もあります。


この商品は、一括や毎月・毎年といった具合に保険料を保険会社に支払い、設定していた受け取り年齢が到来したら、年金として支払いを受ける仕組みの商品です。


受け取りについては、期間が定められた有期年金受け取りか、一生涯の終身年金受け取り、あるいは受取時に選択できる商品もあります。


保険ですので、その加入時には健康状態等についての審査があり、健康状態が不良であった場合などには、加入できなかったり、特別保険料が上乗せされる場合があります。


この特別保険料が設定された場合、その金額は積立に反映されない場合がほとんどですので、注意が必要です。

まとめ:職業別の年金上乗せ部分を上手に使いましょう

ここまで「職業別の年金上乗せ部分の活用」について解説してきましたが、いかがでしたか?

この記事のポイントは、
  • 自営業者ができる年金上乗せの方法には、付加年金や国民年金基金がある
  • 会社員ができる年金上乗せの方法には、企業年金がある
  • 公務員ができる年金上乗せの方法には、年金払い退職給付がある
  • 主婦ができる年金上乗せの方法には、個人型確定拠出年金がある
でした。

老後の生活費の基盤となる「年金制度」については、暗い情報ばかりが目につきがちです。

しかし、その職業を含めそれぞれの人にあわせた形での、年金上乗せ制度も準備されています。

自分の置かれた状況に合わせて、それらの制度を上手に活用し、明るい老後生活に向け年金を少しでも増やしていきたいものですね。

ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。

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