更新日:2022/05/07
自営業者に必要な老後資金対策とは?年金だけでは悲惨な老後かも
自営業者は老後資金のためにいくら必要でしょうか?会社員と比べ年金が少なく、退職金がない自営業者は会社員よりも多い資金を貯めないと、悲惨な老後が待っているかもしれません。この記事では必要な資金額、必要な資産を貯めるための方法を解説していきます。
内容をまとめると
- 自営業者は年金が少なく退職金が無いので、老後資金対策はしっかり行う必要がある
- iDeCoや小規模企業共済など、自営業者に有利な老後資金対策もあるので活用する
- 元気な間は働き続け、引退後の余生を短くすることが最高の老後資金対策
- 自営業者は自分で手厚い保障を備えると、悲惨な老後は避けられる
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自営業者はいくら老後資金が必要?データからわかる目安額
現代では老後を年金だけで過ごすのが難しいので、老後資金を準備する必要があります。
総務省統計局の2019年「家計調査年報(家計収支編)」によると、世帯主が65歳以上の夫婦世帯における毎月の支出は、食費、住居費、光熱費など生活を維持するために必要な支出(消費支出)が23万9,947円。それに税・社会保険料など非消費支出を加えて27万929円です。
対して、収入は公的年金など21万6,910円に、その他の収入を加えて23万7,659円となっています。
この調査は毎年行われていて、ここ10年間は赤字額が3万円~6万円台で推移しています。世帯収入が公的年金だけの場合、毎月の不足額を約5万円と考えると、老後生活が30年間続いた場合1,800万円が必要な計算になるのです。
しかし、このような老後資金の資産は、厚生年金受給者の金額を元に公表されていることが多いので、国民年金を受給する自営業者が老後資金にいくら必要なのか分からない人が多いと思います。
自営業者が受給する国民年金の受給額は、満額を受給している人で夫婦二人合わせて月額13万150円です。
先ほどの支出、27万929円との差額は毎月14万779円になります。毎月14万円の不足額が老後生活30年間かかると、5,040万円必要な計算になります。
同じ条件で比較した場合、自営業者は会社員に比べ、多くの老後資金が必要になるのです。
自営業者が老後資金に備えるときの注意点|会社員との違いとは?
自営業者が老後資金を備える時、注意しなければいけない点が3つあります。
- 公的年金の一階部分である国民年金しか受け取れない
- 退職金を受け取れない
- 自営業者は会社員より公的保障が薄い
自営業者は定年がなく、長く働き続けられるという前提で制度が作られているので、社会保障が手薄な傾向があります。会社員と比べどのような部分が手薄なのか、しっかり把握しましょう。
注意点①:公的年金の一階部分である国民年金しか受け取れない
日本の公的年金制度は二階建ての制度になっています。
一階部分は基礎年金である国民年金、二階部分は上乗せである厚生年金です。せっかくの二階建ての年金制度ですが、自営業者は国民年金しか加入していないため、一階部分の国民年金しか受け取ることができません。
この国民年金は受給額が一律で決まっていて、令和3年度は満額受給者で月額6万5,075円です。日々の生活を送るには心もとない金額ですよね。しかし、実際に自営業者の年金額はこの金額になるので、会社員よりも慎重に老後資金の準備を考える必要があるのです。
注意点②:退職金を受け取れない
会社員は退職時に退職金を受け取ることができます。総務省統計局の「平成30年就労条件総合調査」によると、大学・大学院卒で定年退職した人の退職金の平均額は1,983万円です。大企業に勤める大学卒の平均退職金額は約2,500万円にもなります。
これだけの大きな金額を受け取れたら、老後資金のために準備する金額を減らすことができますね。しかも、退職金は退職所得控除や二分の一課税など、税制でもとても優遇されているので、受け取った退職金の多くを手元に残すことができます。
しかし、そんな退職金も自営業者にはありません。自営業者が退職所得控除などの税制優遇を使う手段はありますが、その退職金も自分で準備する必要があるのです。
そのため、自営業者は会社員以上に老後の備えにしっかり取り組み、早い時期から少しずつ準備していくことが大切です。
注意点③:自営業者は会社員より公的保障が薄い
年金が少なく、退職金もない自営業者ですが、現役時代も会社員以上に備えが必要です。
現役時代に大けがや大きな病気をして働けなくなってしまった場合、自営業者が受け取れる障害年金は障害基礎年金のみになります。障害基礎年金は障害等級1〜2級の人を対象としているため、3級以下の人は受給できません。また、ケガや病気の療養のために仕事を休んだ時に受けられる、傷病手当金も自営業者にはありません。
自営業者が老後になる前に万が一のことがあって働けなくなると、収入が途絶えてしまう可能性があります。自営業者は就業不能保険など、生命保険に加入して万が一の事態に備えることをおすすめします。
自営業で働けなくなってしまった時の保障が不安な方には、マネーキャリアの無料FP相談をおすすめします。働けなくなってしまった時どれくらいの保障が受けられて、自分でどれくらいの額を備えなければいけないかを考えるのは難しいですよね。
保険のプロであるFPに相談すれば、リスクを分析して必要な保障額を算出してくれて、ピッタリな商品を提案してくれます。少しでも不安がある方はぜひ相談してみましょう。
自営業者向け|必要な老後資金に備えるための対策5選
年金受給額が少なく、退職金もない自営業者の老後資金準備はとても大変です。ここでは自営業者が必要な老後資金を準備するための対策を5つ紹介します。
- iDeCo
- 国民年金基金
- 付加年金
- 小規模企業共済
- 長く働く
掛金の支払い時に所得控除が受けられたり、年金や一時金を受け取る時にメリットがある制度があります。それぞれの制度を知って、うまく組み合わせて老後資金準備に活用していきましょう。
老後対策①:iDeCo
iDeCoは自分で掛金を拠出し、自分で選んだ運用方法で運用する任意加入の私的年金制度です。掛金を拠出し、60歳以降に掛金とその運用益の合計額を受け取ることができます。
最大の特徴は3つの税制優遇メリットがあることです。
- 拠出した掛金は全額所得控除され、所得税・住民税を軽減できる
- 運用中、掛金とその運用益を非課税で再投資できる
- 受給時に所得控除を受けることができる
しかし、税制優遇でメリットが大きいiDeCoですが、デメリットもあります。
- 運用状況によって、資産が増減する
- 原則60歳まで運用中の資産を引き出せない
- 各種手数料がかかる
iDeCoは金融商品を利用して掛金を運用していく制度なので、運用状況によっては資産が減ってしまうこともあるので、注意が必要です。運用には各種手数料がかかるので、商品を選ぶ際はしっかり確認して選びましょう。
また、運用している資産は原則60歳まで引き出すことができません。掛金は変更できるので、拠出が厳しくなってきたら掛金を減らせますが、資産を引き出すことはできないので注意しましょう。
iDeCoの掛金には上限が設けられていますが、自営業者は会社員よりも上限額が高く、月額6.8万円までの掛金拠出が可能です。会社員よりもメリットを多く享受できるiDeCoは、自営業者には特におすすめの老後対策になります。
老後対策②:国民年金基金
国民年金基金は、国民年金にしか加入していない自営業者のための公的な年金制度です。国民年金基金は基本的に終身年金で、iDeCoと違い運用指示をすることはできません。
国民年金基金に加入するメリットはこちらの3つです。
- 掛金が全額社会保険料控除の対象で、所得税と住民税を軽減できる
- 年金の受け取りが一生涯続く
- 万が一の時、家族に一時金を支給
また、年金受け取り前に万が一死亡してしまった場合は、加入時年齢、死亡時年齢および死亡時までの掛金支払期間に応じて、一時金が遺族に支給されます。
決まった金額を一生涯受け取れる国民年金基金ですが、デメリットもあります。
- 一度加入すると、途中で任意で脱退することができない
- 金額が決まっているのでインフレに対応できない
国民年金基金は一度加入すると、途中で脱退できない制度となっています。掛金の支払いが厳しくなってきた時は口数を減らすことで対応していく形になります。
決まった金額を一生涯受け取れることがメリットの国民年金基金ですが、金額が決まっているため物価上昇によるインフレに対応できないというデメリットがあります。近年、どんどん物価が上昇しています。このまま物価が上昇し続けると、今と10年後、20年後では同じ額面でも購入できるものが減るので、お金の価値が減少してしまいます。
運用をするのは不安かもしれませんが、インフレに対応するためには運用する商品も検討する必要があるでしょう。
老後対策③:付加年金
国民年金制度には付加年金という制度があります。
付加年金に加入するメリットはこちらです。
- 受け取る年金額を増やすことができる
- 2年で納付した保険料の元が取れる
- 付加年金の保険料は全額が所得控除の対象になる
付加年金の保険料は月額400円です。受給額は200円×納付月数の金額が年金額に加算されます。20歳から60歳の40年間付加年金を加入した場合は、年額9万6,000円が年金額に加算され、2年で元が取れるというお得な制度です。
また、付加年金の保険料は全額が所得控除の対象で節税効果もあるので、さらにお得感があります。
付加年金のデメリットはこちらです。
- 老齢基礎年金の受給開始前に亡くなると全く支給されない
- 老齢基礎年金受給開始後2年以内に亡くなると損する
付加年金は老齢基礎年金の上乗せ制度なので、老齢基礎年金を受給する前に亡くなると全く支給されません。また、繰り上げ受給や全額支給停止されているなど、年金額が減額されたり支給停止されている間は付加年金分も同じように受給額が減額されたり、支給が停止されます。
老後対策④;小規模企業共済
小規模企業共済は、自営業者が廃業や退職時のために積み立てができる制度です。退職金が無い自営業者が退職金代わりに加入している制度です。
小規模企業共済のメリットはこちらです。
- 掛金が全額所得控除なので所得税・住民税を軽減できる
- 受け取り時は退職所得控除が受けられ、税負担が軽減できる
- 無理のない積立額を設定できる
- 契約者貸付制度を利用すれば資金調達の手段になる
小規模企業共済は掛金を全額所得控除でき、所得税・住民税を軽減することができます。受け取り時は退職所得控除や二分の一課税のメリットを受けることができるので、税負担を軽くできます。
掛金月額は1,000円から7万円までの範囲内で500円単位で選択することができるので、お金がない時期は小さい額から始め、余裕が出来たら月額を増やすなど、無理なく続けられます。積み立てた掛金は、資金繰りが厳しい時には契約者貸付制度で資金を借りることもできるので、リスク対策にもなります。
小規模企業共済のデメリットはこちらです。
- 元本割れのリスクがある
- 受け取り時には課税される
小規模企業共済は任意解約の場合には元本割れのリスクがあります。共済金の金額は受け取り理由によって変わります。任意解約の場合は元本割れになることが多いですが、事業の廃業や老齢給付などでは払い込んだ金額以上を共済金として受け取ることができます。
メリットで受け取り時の税負担が軽くなると解説しましたが、あくまで軽くなるだけなので、課税対象であると認識しておきましょう。しかし退職所得として受け取るので、仕事をしていた年数次第では大きな金額が非課税になります。退職所得はほかの所得より税負担が軽いので、心配しすぎる必要はありません。
老後対策⑤:長く働く
年金が少なく退職金も無いので、会社員と比べると老後準備は不利な自営業者ですが、有利な点もあります。その一つが「長く働ける」ということです。
自営業者には定年がなく、元気な間は今まで通りに働いて稼ぐことができます。会社員が「定年後、再雇用を選ぶと安い賃金で昔の部下の下で働かなければいけない」「転職をすれば新しい職場になじまなければいけない」と悩んでいるのを思うと、今までの仕事を継続して稼ぐことができるのは有利と言えます。
人生100年時代の昨今、最高の老後資金対策は「元気な間は働き続け、引退後の余生を短くすること」でしょう。
しかし、老後も働き続けるという意欲は大切ですが、必ずしも健康でいられるとは限りません。体を壊して働けなくなるリスクも十分あるため、老後働き続けるつもりでも、老後資金の準備はしっかりとしましょう。
まとめ:年金の少ない自営業者は十分な老後資金対策で悲惨な老後を避けよう
この記事では自営業者の老後資金について解説しました。
ポイントはこちらです。
- 自営業者は年金が少なく退職金が無いので、老後資金対策はしっかり行う必要がある
- iDeCoや小規模企業共済など、自営業者に有利な老後資金対策もあるので活用する
- 元気な間は働き続け、引退後の余生を短くすることが最高の老後資金対策
- 万が一の時に備えて、自営業者は自分で手厚い保障を備える
自営業者は老後の資金準備も万が一の時の保障も自分で準備しなければいけません。会社員よりもしっかり情報収集を行い、資金を準備していきましょう。
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老後の資金準備は早くから始めることが大切です。年金制度や税制優遇制度は変更されることも多いので、しっかりアンテナを張っておきましょう。
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