国の借金はどうやって返すの?国の借金が増えるとどうなる?

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国の借金が3月末の時点で1114兆5400億円で4年連続で過去最大となりましたが、果たしてその国の借金はどうやって返すのでしょうか。日本の借金を減らす方法として増刷がありますが、インフレに繋がってしまいます。国の借金をどう返すかについて、国民の税金で返済する方法に触れて解説します。

国の借金はどうやって返すの?国の借金が増えるとどうなる?


国の借金が1000兆円を超えていると聞くと、その額の大きさに、国の将来を不安に思う方も多いかもしれません。

この膨大な金額をどのように返済するのか?有効な手立てはあるのか?これ以上借金が増えるとどうなってしまうのか?
ますます不安は増大するばかりかもしれません。

また有効だと思われる方策にも、意外な落とし穴があったりもするのです。

そこで今回、この記事では「国の借金の返済方法」について

  • 借金を返す必要性について
  • 返済のための増刷をしない理由
  • 国民の税金で返済する方法
以上のことを中心に解説していきます。

この記事を読んでいただければ、国の借金にについての、基本的な理解を得ることに役立てていただけることと思います。

ぜひ最後までご覧ください。

国の借金の返済は不要?国の借金を返す必要性

過去最大となった、国の借金。

実はこれまで、国債が返済されたことはありません。


返済するどころか、今後も年々増え続けていくと言われています。

しかし大切なのは借金をを返済することというよりも、着実な経済の成長を図ることだと言えるのです。


というのも、借金が増えること自体が問題なのではなく、大切なのは国の収入と借金とのバランスだからです。


財務の安定性を示すのがGDP(名目国内総生産)に対する債務残高の比率です。


政府が目標と掲げている、「プライマリーバランスの黒字化」が債務残高の増加を抑えることにつながり、さらにGDPが拡大すれば、前出の債務残高/GDPの比率が縮小し、改善につながるからです。


国債の返済というよりも、プライマリーバランスの黒字化GDPの拡大という着実な経済の成長を図ることの方が大切だと言えます。


日本の借金がどのくらい多いのか気になる方がいると思います。ほけんROOMでは国の借金をランキングにして比較していますので、是非そちらの記事を参考までにご覧ください。

国の借金がこのまま増えるとどうなる?

前出のように、経済の成長が実現できれば国の借金が増えること自体は問題ではないということでした。

本当に、このまま増え続けることには何も危惧することはないのでしょうか?


実は「経済危機につながる恐れがある」という考えもあるのです。


というのは、少子化による人口減少や高齢化により、近い将来日本は赤字になるとも考えられています。

もしそうなると、これまで貯めた外資資産はだんだんと少なくなっていくと考えられます。


そのような状況の中、国の借金が増え続けると、国民は円通貨に不安を持つようになって外貨や金などに換えるようになることなどをきっかけに、円下落やインフレを招く恐れがあるのです。


急激に円安が進むことで急激な物価上昇を招き、家計の圧迫や景気後退につながります。


借金が増え続けることが経済危機につながるという恐れは、否定できないと言えそうです。

参考:国の借金の推移

ここでは、これまで国の借金がどのように推移してきたかを見ていきたいと思います。


下記は、財務省による財政に関する資料です。

https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/a02.htm

財務省の発表によると、2019年度末(3月末)時点での国の借金は1114兆5400億円となり、4年連続で過去最大を更新しました。

18年度末と比べると、11兆1856億円の増加となっています。
社会保障費などを赤字国債で賄ったことが要因となっており、超低金利ということで、長期国債の発行が特に増えているということです。

20年度補正予算でも追加で赤字国債を発行することになっており、今後も増加が加速する見込みです。

増刷によって国の借金を返済しない理由


年々増え続け、これからも増加の加速が予想される国の借金。


借金が増え続ける問題をスムーズに解決するためにも、紙幣を増刷して返済に充てればいいのではないか?!

そう考える方も多いかもしれません。


確かに、国にはお金を発行できる通貨発行権があるのだから、不足しているお金を印刷して返済することは「長引く不況とデフレの対策にもなる」という意見もあるように、良い方法だと思われますね。


でも実際は、そう簡単にはいかないようです。

そこでここでは、なぜ増刷をして借金の返済をしないのか?その理由について解説をしていきます。

貨幣発行は経済活動の混乱に繋がる

増刷によって国の借金を返済しない理由は、経済の大混乱を引き起こす恐れがあるからです。


借金と同じだけのお札を発行すると、世の中に大量にお札があふれることになります。

すると、お金とモノとの需要と供給のバランスが崩れ、お金の価値が暴落してしまいます。


そうなると物価がどんどん上昇し、インフレを引き起こすことになるのです。


もしこのようなことが起これば、海外からの日本政府や円通貨に対しての信用が失われ、金利の急上昇や急激な円安につながってしまいます。


そうならないように、お札の発行機関である日本銀行を政府から独立させ、簡単に増刷できないようになっているため、借金返済に充てるための増刷も難しいのです。


インフレは、経済の大混乱を引き起こします。

そのような理由から、大量に増刷をすることは、借金返済のための有効な方策ではないと言えそうです。

国の借金はどう返す?国の借金を国民の税金で返済する解決策

国の借金を国民の税金で返すという方法、実は、この方策は成り立たないことが分かっています。


その理由は、国の借金とマネーストックは比例して増えるという、お金が発行される仕組にあります。


国が発行した国債を銀行が買うことにより、新しいお金が作り出されます。

それが民間に対して支払われ、マネーストックが増えるということになります。


国民の税金により借金を返済したとすると、税金によって支払われた分の借金はなくなりますが、その分マネーストックは少なくなります。


国の借金が全てなくなるころにはマネーストックもなくなってしまうことになるので、このやり方は成立しないのです。



ではどのようにして借金を減らしていくのか?

ポイントになるのは、プライマリーバランスをプラスにすることです。


基礎的財政収支を示すプライマリーバランスが±0ということは、借金に頼らず税金のみで政策経費を賄えている状態です。


これをプラスにし、財政状況を改善することが、健全な方策と言えるのです。

まとめ:プライマリー・バランスをプラスにして徐々に借金を返済する


国の借金の返済方法について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?


今回の記事のポイントは、

  • GDPが拡大し、財政が安定しているのなら、税金が増えること自体は問題ではない。
  • 借金返済のための増刷は、経済の大混乱を引き起こす恐れがある。
  • 国民の税金での借金返済も成立せず、まずは着実にプライマリーバランスをプラスにすることが大切と言える。
でした。

長年かけて増やした借金を手っ取り早く返済する方法はなく、財政の再建に取組み、徐々に、確実に返済していくことが賢明と言えそうです。

デフレと経済の低迷によって増えた借金は、経済の成長率をアップさせることにより、穏やかなインフレを作ることで減らしていくことが、健全な方策となります。

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