不動産業界から見た空き家問題の現状と対策、相続も考えてみる

転勤になり自宅が空き家になる、親を呼びよせたため実家が空き家になる、相続により空き家になった、老人ホーム等の施設に入所したなどの家庭内の原因から、日本特有の原因である少子化、人口減少、住宅市場構造などが重なり、日本中に空き家が増え問題になっています。空き家がある、または相続が発生したら空き家になりそうな家がある方へ、政府や行政の対応、空き家ビジネスの現状を伝え様々な対策を伝えたいと思います。

この記事の執筆者
外崎 知恵
「町の不動産屋」で働いています。大きな金額を扱う商売の為、一歩間違ったプランを立てると家計に大ダメージを与えることになります。幅広いお金の知識が必要だと思いFPを取得しました。相続贈与税金もつきまとう商売ですのでそちらの方も得意分野としています。中立的な立場から皆さんのお役に立つ情報をお届けします。

不動産業界から見た空き家問題の現状と対策、相続も考えてみる

空き家を放置するとどうなるか

空き家を放置するリスクとして考えられることは、倒壊、放火、犯罪の誘発、ゴミの不法投棄、景観の悪化、害虫やネズミなどの衛星の悪化、シロアリの巣ができる、悪臭の発生、植栽等の隣地越境などがあります。


適切な管理をせず空き家空き地を放置すると近隣に迷惑をかけるだけではなく、何らかの事故が発生した場合は管理責任を問われ損害賠償請求されることも考えられます。

空き家のデータからわかること

空き家が増えることのリスクから、国でも特別措置法を制定しています。


空き家対策の推進に関する特別措置法(平成26年11月27日公布)。

空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報(国土交通省)グラフ2

グラフ1

【国土交通省「空き家の現状について」引用】

半数以上が相続で取得し、1/4以上が自己管理出来ないような距離に所有しています。


空き家にしておく理由は、費用負担の問題や心情的なものと様々です。


みなさんのイメージしている空き家は田舎の実家という感じでしょうか。


国土交通省のデータでは「駅から1km以内で簡易な手入れにより活用可能な空き家が約48万戸」あるそうです。


決して田舎だけではなく日本中の問題といえます。

空き家所有による負担は何か

考えられるものは次の通りです。

  • 近隣等からの苦情と対応
  • 固定資産税
  • 火災保険
  • 水道、電気の基本料金
  • マンションの場合は修繕管理費
  • 空き家までの移動費
  • 管理外注の場合は管理費
  • 雪国なら除雪費
  • 雑草植栽等の処理費
  • 修繕費
  • 損壊度によっては建物解体費
  • 特定空き家に指定されないかの不安

特定空き家に指定されると

特定空き家の定義


  • そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
  • そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
  • 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
  • その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態


のことをいい、市町村長は、特定空き家等の所有者等に対し、必要な措置をとるよう助言又は指導及び命令することができ、その措置を命ぜられた者がその措置を履行しないときには行政代執行法を行う事が出来ます。


行政代執行の費用は所有者に請求され、支払わないと通常の税金の回収と同じく所有者の財産の差押えがされます。

空き家問題の行政の対策

行政による対策を紹介します。


国交省、株式会社LIFULL、アットホーム株式会社では「全国版空き家空き地バンク」を平成30年4月より本格運用を開始しました。


独自に空き家空き地バンクを実施している自治体もあり、各種補助金や金融機関との優遇金利ローンの協定を結んでいます。


空き家相談員に相談してみましょう。


空き家相談員で検索すると登録者の情報がわかります。


空き家相談員とは各自治体へ登録しているある一定の研修を受講した宅地建物取引士等であり、自治体への取り次ぎをしたり具体的なアドバイスを行っています。


相談内容は多岐に渡り、管理方法、賃貸等の有効活用、売却や贈与、建物解体撤去、権利関係(相続、共有、借地借家など)、空き家法との関係、誰に依頼すればいいのか等の相談に応じてくれます。

すでに空き家を所有して悩んでいる方へ

  1. 手放す予定もなく、貸し出す予定もない方は空き家管理業者への依頼を考えてみましょう。見回り~清掃、セキュリティまで段階的に料金設定をした管理をしています。空き家所有者のサポートを展開する事業所も続々と出てきました。

  2. 手放したくはない、でも使う予定もないならば賃貸として不動産収入を考えてみましょう。不労所得と言われるものの、業者との打ち合わせや費用負担など全く何もしないという訳にはいきません。賃貸需要はあるのか、家賃相場はいくらなのか、修繕費等の経費はいくらかかるのか等の相談をしてみましょう。

  3. 売却なら査定を依頼しましょう。不動産査定は無料で行っています。一括査定のサイトを利用したり、地元の不動産業者に査定を依頼します。ちなみに自治体の空き家空き地バンクで補助金を申請する予定なら、提携不動産業者に依頼しましょう。補助金を申請したい旨を伝え、自治体の手順に従い提携不動産業者が売却を行います。

  4. こちらは少々ハードルが高いのですが民泊事業を検討してみるのはどうでしょうか。国土交通省と厚生労働省から施行される内容をベースとして、各自治体ごとに独自の規制がありますので、各自治体にお問合せください。


私は③の売却を積極的に勧めています。


「思い入れがあるから」「親に悪いから」など気持ちはよくわかりますが、売ることの出来る空き家ならば売却した方がいいです。


管理するには費用もかかりますし、わずらわしいことも多々起こります。


新所有者にこれから大事に使ってもらえるという考え方をしてはどうでしょうか。

これから先、相続により空き家になる場合

相続で空き家の所有者になる場合には生前対策が必要ですが、まず第一に絶対にしてはならないことが共有財産にすることです。


共有財産にすると、共有者全員の合意が必要になり、1人でも合意が得られないと売れない!貸せない!壊せない!状態となります。


そのようにモメている状態の不動産は荒れた空き家になりやすいのですが管理責任は共有者全員にあります(賃貸は管理行為であり、共有持ち分の過半数であれば可とする見解もある)。


そこで不動産を相続する相続人を遺言書で指定することをお勧めします。 


遺言書を作成するにあたり今年の7/1以降の相続で気をつけることがあります。 


法改正により「遺留分減殺請求」は「遺留分侵害額請求」として名前も制度も改められます。


参考:「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律について(相続法の改正)」

遺留分と法改正

遺留分とは、一定の範囲の法定相続人に認められる、最低限の遺産取得分のことです。


現行制度の遺留分減殺請求権の行使によって遺産の土地建物に共有状態が生じていました。


改正では「遺留分権利者及びその承継人は、受遺者又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる」とし遺留分に関する権利の行使によって遺留分侵害額に相当する金銭債権が生ずることにます。


つまり、遺留分侵害額請求された側は遺留分侵害額相当として金銭による支払いをすることになったのです。


そこで、以下の遺留分の生前対策を行うことをお勧めします。

  • 生前に遺留分の放棄をさせる。
  • 遺言を作成するにあたり、遺留分相当額を他の相続人に残すように気を付ける。
  • 遺産が不動産のみの場合は保険を活用しましょう。遺産不動産取得者を受取人に指定し、代償分割の資金として用意する。

まとめ

空き家を所有しているがどうすればいいかわからない。


これから空き家になるかもしれない不安があるという方に参考になったでしょうか?


なんとかしなければならないことはわかっているけど面倒でやっていないならば、一度向き合ってみてはどうでしょうか?


国として空き家問題に取り組んでいるので不動産売却による税金の特例も様々あります。


対象遺産不動産にはどんなことが出来るのか、相談窓口はどんどん増えていますので気軽に相談してみましょう。

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