法人契約の自動車保険は個人契約とどう違うの?メリットはあるの?

自動車保険が法人契約と個人契約とでどのように違うのかがわからない人も多いのではないでしょうか。実は法人であっても状況によっては個人契約で加入する方がメリットが大きい場合もあります。今回の記事では法人契約の自動車保険の特徴を詳しく解説します。

自動車保険は法人と個人で何が違うの?メリットは?

会社における自動車保険は、不慮の交通事故における損害から従業員や会社を守る為に大切なものです。


しかし、法人契約と個人契約の違いを知らずに、自動車保険を契約している方も多いのではないでしょうか?


実は法人契約と個人契約とでは、契約者の状況に応じてメリット・デメリットが大きく変わります。


そこで、この記事では具体的には知らない人が多い、

  • 自動車保険の法人契約と個人契約の違い
  • 法人契約の自動車保険のメリット
  • 法人契約の自動車保険のデメリット
以上のポイントを中心に解説していきます。


この記事を読んで頂ければ、法人契約のメリット・デメリットが分かる為、会社における適切な契約を見極める際に、役に立つと思います。


是非、最後までご覧ください。



自動車保険の法人契約と個人契約の違い

法人契約と個人契約という言葉だけは見聞きすることはあるという方も多いと思いますが、実際にはどのような違いがあるのでしょうか?


結論から申しますと、「企業は法人契約が良い」「一般家庭は個人契約が良い」という訳ではありません。


置かれている状況に応じて、どちらがベストな選択であるかは大きく変わります。


まずは法人契約と個人契約との違いについて説明していきます。

法人契約の場合、被保険者を誰にするかという問題がある

基本的に法人契約は「契約者」「被保険者」「所有者」が全て法人名の契約を指します。


しかし、被保険者がその法人の代表である場合は、被保険者を個人名にすることが可能です。


結論から申しますと、

  • 被保険者の家族・家庭などメインに補償の重点を置きたい場合は、被保険者は個人
  • 事業、業務をメインに保障の重点を置きたい場合は、被保険者は法人
がおすすめです。


被保険者が個人の場合、法人の保険で家族を守れるというメリットがあります。


また契約者が法人の為、保険料は損金に計上され、税負担軽減の対象にもなります。


被保険者が法人の場合、特約は自由に付加することは出来なくなりますが、契約車両に積んである荷物が事故により破損した場合、保障を受けることが出来る「積載事業用動産特約」など、法人に特化した補償を付けることも可能です。


また、被保険者を一度決めると、個人から法人、または法人から個人への変更は、変更条件を満たさなければいけない場合や、変更出来ない場合があります。


実際の車両の用途に応じて、被保険者を選択しましょう。

法人契約と個人契約の補償の範囲の違い

さらに、もう一つの法人契約と個人契約の大きな違いは「補償対象」です。


  • 法人契約の補償範囲は、車を利用する社員全員
  • 個人契約の補償範囲は、被保険者と同居する家族
という大きな違いがあります。


守るべき対象が法人契約と個人契約では大きく変わる為、慎重に検討する必要があります。


この補償範囲は、個人契約においては「本人・配偶者限定」などに設定することができ、その場合はさらに保険料が割安になります。

法人契約の自動車保険のメリット

さて、ここまでは法人契約と個人契約の大きな違いについて説明してきました。


では、個人契約と法人契約の違いを見てきた中で、法人契約の自動車保険に加入するメリットは何なのでしょうか。


ここからは、法人契約のメリットとなる

  • フリート契約の場合は保険料が割安に
  • 節税になることも
  • 等級を引き継ぐことが出来る
  • 社員が変更しても契約を更新する必要がない
について説明していきます。

フリート契約の場合は保険料が割安に

法人契約の自動車保険の保険料は、一般的には個人契約に比べると割高です。


理由として、社員全体が補償対象となる為、単純に補償範囲が個人契約より広いことが挙げられます。


しかし、契約台数が10台以上となると、フリート契約が適用されます。


フリート契約とは、

  • 自動車1台単位の契約から、全ての車両を法人単位で一括して契約すること
  • 1社の損害保険会社での契約の場合、証券1枚で管理出来る。

という契約です。


この場合、保険料が個人契約と比べても割安になることがあります。


個人契約における20等級の割引率が60%に対して、フリート契約の場合は、最大70%〜80%の割引率が適用されることがあります。


また、新しく会社に車を増やした場合でも、フリート契約の場合は高い割引率が適用されます。


個人契約の場合は、6等級から始めないといけない為に、その部分ではメリットが大きくなります。

節税になることも

法人契約で支払う自動車保険の保険料は、「損金」として税務処理ができます。


大規模な会社になればなるほど、比例して自動車保険の保険料が高くなるため、その分損金が大きくなり節税効果が期待出来ます。


この点を踏まえると、割引率を抜きにして個人契約よりも見た目の保険料は高いとしても、実際は大きなメリットがあると言えます。

等級を引き継ぐことができる

個人事業主として個人契約の自動車保険を契約している場合、ある一定の条件を満たすことで、等級も引き継いで法人契約に切り替えることができます。


その条件とは、

  • 等級引き継ぎが出来る車両は、法人化前から所有している車のみ
  • 等級を引き継いで名義を変更出来るタイミングは、「法人化した時」のみ
  • 法人を設立した段階で自動車保険に加入していること
  • これまで「個人事業主」として事業をしていたこと
  • 個人から法人になっても同じ業種であること
上記5点を全て満たしている場合は、法人契約に切り替えることが可能です。


「個人から法人になっても同じ業種」という部分にフォーカスすると、保険会社から見たときに「事業が変われば保険支払い機会のリスクが変動する」という部分があるので条件が設定されていると考えられます。


しかし、後述するデメリットなども加味すると、個人契約から法人契約に切り替えることがベストな選択ではない可能性もあるため、様々な要因を踏まえて、切り替えを検討する必要があります。

社員が変更しても契約を更新する必要がない

法人契約の被保険者が法人であれば、その法人で車に乗る社員全員が補償されます。


そのため、人員の入れ替えがあった場合でも手続きの変更はありません。


被保険者が個人名であると、手続きの変更が煩雑になる為、1台の車に複数の社員が乗るような状態の場合は被保険者を法人にするのをお勧めします。


しかし、被保険者は契約後に変更することができないので、しっかりと車両の用途を踏まえて被保険者を決める必要があります。

法人契約の自動車保険のデメリット

さて、ここまでは法人契約の自動車保険のメリットについて説明してきました。


しかし、メリットの反面、デメリットも存在します。


法人契約の自動車保険の大きなデメリットとして、

  • 法人契約の自動車保険は保険料が高い
  • 1台の事故によって全ての保険契約車両の等級が下がる
が挙げられます。

それぞれについて、一つづつ確認していきましょう。

法人契約の自動車保険は保険料が高い

法人の自動車保険は、割引率などを全て考えないことを前提にすると、個人契約よりも保険料は割高になります。


法人の自動車保険の場合は、

  • 保障される範囲が「その会社の社員」など、個人契約よりも広いこと
  • 個人契約よりも、より充実した補償を受けられる
などの要因で保険料が高くなります。


会社のキャッシュフローを圧迫するようであれば個人契約の自動車保険を選択しましょう。

1台の事故によってすべての保険契約車両の等級が下がる

個人契約の自動車保険の場合は、1回の事故によって3等級下がるというのが基本的な決まりです。


しかし、法人契約の場合は割引率に「損害率」というものが適用されます。


これは「事故回数に関係なく1回の事故の損害額が大きければ割引率は下がる」という計算方法です。


例えば割引する前の会社の年間保険料が500万円だった場合、

  • 70%割引で年間150万円(無事故の場合)
  • 40%割引で年間300万円(事故で割引率が下がった場合)
となり、無事故の場合と150万円もの差額が発生してしまいます。


50台が事故なく運転していたとしても、1台が大きな事故を起こしてしまっただけで、保険料は大幅に上がってしまうことを考えると、フリート契約は全てにおいてメリットとは言えません。

まとめ:目的や状況に合わせて自動車保険を選ぼう

さて、今回は自動車保険の法人契約と個人契約の違いから、法人契約のメリット・デメリットを取り上げてきましたが、いかがでしたでしょうか。


今回の記事でポイントとなる点は、

  • 法人契約の場合は、保険料を損金として計上出来る為、法人税の負担軽減になる
  • 法人契約の自動車保険は法人の社員を守ることに、また個人契約の自動車保険は個人とその家族を守る為の補償に特化している
  • 法人契約の「フリート契約」は、個人契約の最大割引率を超える割引率になることもあるが、1回の事故の損害が大きくなるだけで保険料は割高になる。

の3点です。


個人契約も法人契約も、良し悪しではなく用途に合わせたメリットがあります。


この記事をきっかけに、自身の自動車保険を見直したり、今後加入する上での正しい選択が出来るようにしましょう。


ほけんROOMでは、この記事以外にも役に立つ記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。

この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、保険相談や選び方のポイントを伝える「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

ランキング