更新日:2023/10/10
製造業で加入すべき損害保険と事業を取り巻くリスクを徹底解説!
製造業には、出荷後の製品が起因となるトラブルや従業員の労働災害などのリスクがあります。製造業の経営において、そのようなリスクを避けるために保険に加入することをおすすめします。また、事業のリスクや保険に関する相談は、「マネーキャリア」をご利用ください。
内容をまとめると
- 製造業には、出荷後のトラブルや火災など経営に大きな影響を与えるリスクがある
- 上記のようなリスクに適切に対応するためにPL保険やE&O保険等の加入がおすすめ
- 製造業ではサイバー攻撃を受けやすいため保険に加入するなどの対策が必要
- 法人保険や事業のリスク対策に関する相談は「マネーキャリア」がおすすめ
目次を使って気になるところから読みましょう!
製造業の経営を取り巻くリスクについて
製造業を取り巻くリスクマップ
この記事では、製造業の経営を取り巻くリスクにはどのようなものがあるのかを解説していきます。その後に、製造業において加入すべき法人向けの損害保険の紹介をしていきます。
上記に掲載しているマップは製造業を取り巻くリスクを一覧化した、リスクマップです。リスクが発生する頻度とリスクが経営にどのくらい影響を与えるのかの2つの軸で構成されています。事象を財物リスク、経営リスク、人的リスク、賠償リスクの4つのカテゴリに分類しています。
今回の記事では、以下の3つのリスクについて詳しく解説していきます。
- 出荷後のトラブル(発生頻度・中、リスク・大)
- 従業員の労働災害(発生頻度・中、リスク・中)
- 火災・爆発(発生頻度・低、リスク・大)
①出荷後のトラブル(発生頻度・中、リスク・大)
まず、出荷後のトラブルについて解説していきます。リスクとしては中程度に分類されますが、一度引き渡し後にトラブルが発生すると経営に与えるリスクは影響が大きいといえます。
出荷後、納期までにお客様のもとへ商品が届かない、不良品が発生し回収が必要になった、不良品を顧客が使いケガをしてしまったなどの事故が発生すると製造業者は損害賠償責任を負い、企業の信頼性を大きく損ないかねない事態になりかねません。
しかし一度発生した事故に対して、真摯な対応を取ることで企業のイメージアップを図ることができますし、失った信用を回復することができます。
そのためにも充実した補償が付帯されている保険に加入してリスクを回避させる必要があります。
②従業員の労働災害(発生頻度・中、リスク・中)
次に製造業における従業員の労働災害のリスクについて解説していきます。労働災害は発生頻度、リスクともに中程度で経営に与える影響も低いものではありますが、影響が低いからといって対策をとらずに放置しておくことはできません。
労働災害が発生すると製造業では作業中断、納期遅延、被害にあった従業員や家族への補償問題など、経営に多少ならずとも影響を与えます。
また近年増加傾向にあるメンタルヘルスに起因した労働災害もあり、法人は従業員の生命・身体などの危険を保護するように安全配慮義務を負っています。メンタルヘルスに起因した労災事故が発生すると長期休養などの関係で人手不足に陥り、問題点を解決するのが難しくなることもあります。
労働災害が発生した場合に備えて災害補償規定を定め、従業員や家族が安心して生活を送ることができるような制度を整えておくことが大切です。また、実際に事故が起きてしまった場合には問題点を洗い出し、再発防止に努めなければなりません。
③火災・爆発(発生頻度・低、リスク・大)
最後は、火災・爆発についてのリスクについて解説していきます。発生頻度は低いのですが、経営に与えるリスクは甚大なものとなりかねないものの一つとなります。
火災が発生し建物や設備が全焼してしまうと、製造業の主たる製造ができなくなってしまいます。製造ラインの一部でも火事で燃えてしまうと作業中断を余儀なくされてしまうこともあります。 また、在庫管理が難しくなったり、在庫不足による納期の遅れなども発生し、被害が拡大してしまう可能性もあります。
また、爆発事故が発生した場合、自社のみならず近隣への被害も発生する可能性があります。
火災・爆発事故が発生すると経営に与えるリスクは非常に高くなるとともに、賠償責任、労災事故、従業員への給料の遅延など影響が大きくなってしまいます。
企業の衰退どころか、倒産の危険にも発展しかねない事態を招かないためにも、 火災・爆発事故の発生防止、避難訓練なども行い適切な保険に加入することがとても大切です。
製造業で実際にあった事故・損害事例
ここからは、製造業で実際に起きた事故や損害の事例を紹介します。こちらの記事で紹介する事例は以下の3つです。
- 製造物責任による損害賠償事例
- 従業員の労働災害に関する事例
- 火災に関する事例
事例1:製造物責任による損害賠償事例
一つ目の事例はエアコンの室外機が発火したことによる建物火災の事例です。
この事件は発火の原因が室外機なのかが争点になった事例で、判決ではエアコンの室外機からの発火が原因と認定されました。
さらに争点となったのは、エアコンの室外機に問題があったのかです。
10年20年と使ったエアコンであれば、経年劣化の可能性がありますが、このケースでは使用期間が短く、また通常使用と異なった使い方をしたとは認めらなかったため、エアコンの室外機に問題があったと認定され、メーカー側には製造物責任に基づいた損害賠償を認めました。
エアコンの室外機のみの火災であれば損害賠償額は大きくはありませんでしたが、このケースでは建物火災も発生したために被害額は比較的高額なものとなりました。
事例2:従業員の労働災害に関する事例
二つ目の事例は労災に関係する事故です。
製造業において多い事故は、巻き込まれ、挟まれに関係する事故です。
食品加工工場で作業中に機械に物がつまったために取り出す作業をするときに機械に巻き込まれて怪我をしてしまったというものです。
機械を止めずに、手を撹拌機の中に入れてしまったために手指の断裂、粉砕骨折してしまいました。
この事故での被災者は4か月の休職期間を要し、手指がの曲げ伸ばしができないという後遺症を負うことになってしまいました。
後遺症のために以前と同じ仕事をすることもできなくなり、配置転換も必要となりました。
労災事故の8割はヒューマンエラーが関係すると言われていますが、人手不足による業務多忙や企業側の安全管理が徹底されていなかったという責任が発生してしまいます。労災事故の統計は厚生労働省のホームページにも記載がありますので参考にしてみましょう。
事例3:火災に関する事例
最後にご紹介する事例は建物火災に関係する事例です。
印刷インキ製造所でふき取り作業をするために使用されたウエスから出火した火災事故です。
出火の原因となったものは油を含んだ大量の使用済みのウエスを回収箱に入れてふたをし長時間法したために、しみ込んだ油が酸化し発熱したあげくに出火にいたったものです。
不飽和脂肪酸を含む油を含んだものを積み重ね、さらに蓋をしていたために放熱することができずに出火するという危険性を把握せずに起きてしまった火災事故といえるでしょう。
幸いにもこの火災は従業員が出勤した時間帯に発生したことで、大きな火災には至りませんでしたが、従業員がだれもいない時間帯に自然発火にいたる火災事故では大きな被害を発生させる原因にもなりかねません。
油などの危険物を扱う製造業では管理を徹底することで火災を予防することができるので、従業員の教育を徹底する必要があります。
製造業で加入すべき損害保険とは?
ここからは、製造業を取り巻くリスクを回避・軽減するための損害保険を紹介します。今回こちらの記事で紹介する損害保険は以下の4つになります。
- PL保険(生産物責任保険)
- E&O保険
- 法人向けの火災保険
- 労働災害総合保険
- サイバー保険
①PL保険(生産物責任保険)
まず最初に(PL保険)生産物賠償責任保険についての解説をしていきます。PL保険は商品を製造する、販売したことが原因となり、購入者などの第三者に当たる人がケガをしてしまった、財物を壊してしまった時に法律上、負担しなければならない損害賠償金を保険会社が負担するというものです。
PL保険は、PL法(製造物責任法)に基づいた法的責任だけではなく、民法における不法行為責任や債務不履行責任についてもカバーするので法律上の賠償責任と比較してもカバーする範囲はとても広く製造業を営む企業向けの保険といえます。
さらに特約を追加することによってリコールが発生してしまった時に製品を回収する改修費等特約を付け加えることで、より安心できます。
PL保険について詳しい内容を知りたい方は、以下の記事からご覧ください。
②E&O保険
続いて製造業の方におすすめの保険のE&O保険について解説していきます。E&O保険とは、第三者の身体障害や財物損壊に対するリスクの損失を除いた、経済的損害のみを補償する保険です。
つまり、上記のPL保険で補償されなかった範囲を補償してくれる保険のことです。
PL保険では、自社で製造・販売した製品により消費者等がケガをした場合などに補償が適応されましたが、こちらのE&O保険は、以下のような損害を補償してくれます。
- 第三者の純粋経済損害に起因する賠償責任
- 上記損害の再発・拡大防止費用
③法人向けの火災保険
次に解説するのは企業向けに開発された火災保険です。火事や爆発に備えるのはもちろんですが、台風や水害などの自然災害が発生した時にも補償される企業保険です。
火災保険の保険金額の決め方は再調達価格がお勧めです。自分の会社の建物や設備は火事で全焼した、台風で建物が全壊してしまったといった場合に新しく建物を建て替えたり、設備を整えるのには、いったいどれくらいの金額が必要なのかということを考えなければいけません。
時価(現在の建物の価値)で保険加入していると万が一火災が起きて全焼した場合、必要な保険金が下りない可能性もありますので、一度保険を見直してみることをお勧めします。
建物や設備の規模によっては、保険料が高額になる場合も考えられますので、不必要な特約は削除したり、自己負担額を設定することで保険料を抑えつつ必要な補償を受けることができます。
法人向けの火災保険に関する解説は以下で行っているので、そちらの記事をご覧ください。
④労働災害総合保険
⑤サイバー保険
最後はサイバー保険について解説していきます。サイバー保険とは、サイバー攻撃などのサイバーリスクに起因して発生した損害賠償責任を補償するための法人保険です。
この後解説しますが、製造業へのサイバー攻撃は増加してきています。そのためこちらのさあいばー保険に加入して、対策することをおすすめします。
そんなサイバー保険の補償内容は以下です。
- 法律に基づく損害賠償
- 事故対応にかかる費用
- Webサービス中断にかかる費用
増加している製造業へのサイバー攻撃の対策
製造業では様々なICTを使ったシステムが導入されることにより、生産性向上がはかられています。しかし近年ではハッカーなどがサイバー攻撃を仕掛ける問題が近年増加しています。
サイバー攻撃はインターネットにつながれたサーバーやパソコンに直接悪意のあるウイルスを侵入させることで、機密事項やファイルの破壊、社内システムの停止を引き起こす攻撃のことをいいます。
一度サイバー攻撃を受けると企業にとってはイメージダウンにつながりますし、サーバーをいちから構築しなおさなければならない、在庫管理の把握し直しなどの、膨大な時間と費用がかかり、まさに企業の衰退へと直結しかねない問題に発展します。
さらに個人情報が漏れたなどの問題が発生すると、クレーム対応に追われますのでセキュリテイ対策は欠かすことができません。クレーム対応に追われると業務が滞ってしまます。セキュリテイ対策の強化、ガイドラインを作る、ネットにアクセスする従業員への社内教育を徹底するなどをしてサイバー攻撃に備えることが大切です。
さらに実際に事故が起きてしまった時にはサイバー保険で対応することができます。実際に情報が漏洩し、第三者に損害を与えてしまった時の賠償費用、事故原因の調査費用やデータ復旧費用を保障しますので、いざというときのために備えておく必要があります。
サイバー保険については東京海上などが加入している損保協会のホームページに詳しく記載されています。
まとめ:製造業を取り巻くリスクと損害保険
ここまで製造業を取り巻く潜在的なリスクとそれらのリスクを回避・軽減するための損害保険の紹介をしました。以下が今回の記事のまとめになります。
- 製造業には、出荷後のトラブルや火災など経営に大きな影響を与えるリスクがある
- 上記のようなリスクに適切に対応するために法人向けの損害保険に加入する必要がある
- 法人保険や事業のリスク対策に関する相談は「マネーキャリア」がおすすめ
- 製造業ではサイバー攻撃を受けやすいため保険に加入するなどの対策が必要