事業再構築補助金の申請要件や補助対象、採択結果まで徹底解説!

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ポストコロナ・ウィズコロナ社会に対応するには、新しい事業への挑戦が重要です。事業再構築補助金は、コロナウイルス感染の長期化に悩む、中小企業や中堅企業に向けた補助金です。本記事では事業再構築補助金の申請要件や採択のポイントなどを解説します。





▼この記事を読んで欲しい人
  • 事業再構築に取り組みたい人
  • コロナで売上が減少した人
  • 事業再構築補助金の対象か知りたい人
  • 事業再構築補助金が受給される要件を知りたい人
  • 補助金の申請をするか迷っているため採択率を調べたい人

▼この記事を読んでわかること
  • 事業再構築補助金とは何か
  • 事業再構築補助金の申請前に準備すべきこと
  • 事業再構築補助金のよくある質問
  • 事業再構築補助金の申請要件
  • 事業再構築補助金の採択立
  • 事業再構築補助金の採択事例

内容をまとめると

  • 事業再構築補助金は事業の再編や転換、拡大などの事業再構築に挑戦をしたい中小企業のための支援
  • 新型コロナウイルスの影響で売上が減少した企業が対象
  • 事業再構築の意味は、新分野展開・事業転換・業種転換・業態転換・事業再編
  • 補助対象は中小企業と中堅企業
  • 補助対象経費は事業拡大に関係のある資産への投資費用
  • 申請にはGビズIDの取得と事業計画書の作成が必要
  • 事業計画には認定経営革新等支援機関との連携が必須
  • 事業再構築補助金には3つの申請要件がある!
  • 第1回公募の採択率は4割程度
  • 審査項目は補助対象事業としての適格性・事業化点・再構築点・政策点の4つ
  • 第3回公募の応募締切は令和3年9月21日(火)18:00まで!
  • 補助金の申請は法人のお金のプロへの相談がおすすめ!
  • マネーキャリアなら法人のお金のプロに無料相談が可能
  • 予約から面談までオンラインだから、職場や自宅など好きな場所で相談できる!

中小企業等事業再構築補助金とは


中小企業等事業再構築補助金とは、事業の再編や転換、拡大などの事業再構築に挑戦をしたい中小企業のための支援です。


応募条件を満たす企業が事業計画を提出し、審査委員会によって採択された事業計画に対して補助金が支給されます。


補助金の金額は最大で1億円です。


日本は他の先進国と比べ、新製品や新サービスの提供が圧倒的に少ないです。


また生産性は2000年頃から伸び止まり状態になっています。


そんな中、新型コロナウイルスの感染拡大により、日本の社会経済は大きな打撃を受けています。


このような状況下で日本経済の構造転換を促すべく、2021年4月より申請が始まりました。


2021年8月現在までに2回実施されており、宿泊業の事業転換や飲食業の事業再編など、様々な形で活用されています。


第3回目の応募日程は以下の通りです。


  • 公募開始:令和3年7月30日(金)
  • 申請受付:令和3年8月30日(月)9:00
  • 応募締切:令和3年9月21日(火)18:00


第3回の公募からは、賃金の引き上げに対しても注力しています。


詳しくは公募要領をご覧ください。

事業再構築の5つの意味


事業再構築補助金は、事業再構築に取り組む企業に対して支払われる補助金です。


そもそも、事業再構築とはどのような意味なのでしょうか。


意味を知らないと、審査の対象外となる可能性があるため注意しましょう。


事業再構築は、以下の5つの意味があります。


  • 新分野展開
  • 事業転換
  • 業種転換
  • 業態転換
  • 事業再編


いずれも異なる特性があるため、自社に合った方法を選択することが大切です。


本章ではそれぞれの定義や特徴を中心に解説します。


事業再構築に取り組む前に、ぜひ参考にしてみてください。

①新分野展開

新分野展開とは、メインの業種・事業から変更することなく、新製品やサービスなどに取り組み、新たな市場へと展開を行うことです。


新分野展開は、以下の3点に該当するものを指します。


  • 製造等の新規性要件
  • 市場の新規性要件
  • 売上高10%要件


新分野展開として認められるためには、製品等や市場の新規性と、一定の売上を見込める必要があります。


新規性のある事業は、2020年4月以降にスタートした事業です。


新分野展開で申請する場合は、上記3つの要件を満たした事業計画を行いましょう。


なお新製品やサービス自体は、3〜5年の期間中でメインの業種・事業が変わらなければ、異なる分野のものでも問題ありません。


「メインの分野と同じでなければならない」という勘違いが生じやすいポイントのため、事業計画を行う場合はよく確認しておきましょう。

②事業転換

事業転換とは、メインの業種を変更することなく、メインの事業を変更することです。


事業転換は、以下の3点に該当するものを指します。


  • 製品等の新規性要件
  • 市場の新規性要件
  • 売上高構成比要件


事業転換では新規で行った事業が、3〜5年の期間中に企業の売上高で最も高くなることが重要です。


例えば日本料理店を経営する飲食業者が、焼肉店を新規開業して焼肉店がメインの事業になるといったイメージです。


新規性はあくまでその企業にとっての新規性であり、「日本初」「世界初」といった、世間における新規性ではありません。


業種が変わらないため、これまでの経験を生かしつつ、新たな挑戦が可能です。

③業種転換

業種転換とは、メインの業種を変更して、新製品や新サービスの開発等を行うことです。


業種転換は、以下の3点に該当するものを指します。


  • 製品等の新規性要件
  • 市場の新規性要件
  • 売上高構成比要件


直近の決算で最も売上構成比の高い事業が、その企業のメインの業種です。


業種は総務省の「日本標準産業分類」に基づいて分けられます。


この指標を例にすると、B.漁業からI.卸売業・小売業にメインの業種が変わる場合が、業種転換にあたります。


そのため新分野展開や事業転換と比べると、企業として大きな改革が必要です。 


事業再構築を目的とした本制度には、最適な方法と言えます。

④業態転換

業態転換とは、製品の製造方法等を大きく変更することです。


業態転換は、以下の3点に該当するものを指します。


  • 製造方法等の新規性要件
  • 製品の新規性要件又は商品等の新規性要件又は設備撤去等要件
  • 売上高10%要件


業態転換ではメインの業種や事業は、従来通りで問題ありません。


ただし製造方法や提供方法を、従来の方法から変える必要性があります。


例えば緊急事態宣言による外出自粛の影響で、飲食業においてデリバリーやテイクアウトの需要が拡大しています。


この場合従来はイートインでの提供がメインだったお店が、デリバリーやテイクアウトによる提供をメインにすることが業態転換です。


すでに行っている業態を拡大するだけの場合は、該当しないため注意しましょう。

⑤事業再編

事業再編とは、会社法上の組織再編等を行った上で、これまで解説した4つの事業再構築を行うことです。


事業再編は、以下の2点に該当するものを指します。


  • 組織再編要件
  • その他の事業再構築要件の


最大の特徴は会社組織を再編する点です。


これまで解説した4つの事業再構築に加えて、


  • 合併
  • 会社分割
  • 株式交換
  • 株式移転
  • 事業譲渡


上記のいずれかを行うため、会社として非常に大きな変革が求められます。


合併する企業の選定、譲渡する事業の選定、従業員の処遇など、様々な検討事項があるため、簡単に行えることではありません。


また買収や会社の新設のために、多くの資金が必要になります。


事業再編に取り組む場合は、スケジュールや資金にも注意しましょう。

事業再構築補助金の補助対象者

事業再構築補助金は、どのような人が対象になるのでしょうか。


補助対象になるのは、中小企業と中堅企業です。


中小企業は中小企業基本法と同範囲、中堅企業は資本金10億円未満の企業を指します。


このうち、以下の条件に当てはまる場合に、審査の対象となります。


  1. 売上が減っている
  2. 事業再構築に取り組む
  3. 認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する


最も重要なのが、新型コロナウイルスの感染拡大前と比べて売上が減ったことです。


具体的な時期としては2019年、または2020年1〜3月を指します。


コロナ前の同時期と比較し、減少が認められることが補助の前提です。


コロナ禍で売上減少があり、前章で解説したような事業再構築に取り組み、そのための事業計画を策定することが、補助対象となる条件です。


詳しくは「事業再構築補助金の概要」をご覧ください。


なお策定の際には経済産業大臣が認定する機関への相談が必要です。


身近に適切な機関がない場合は、中小企業庁のホームページで相談先を検索しましょう。

事業再構築補助金の補助内容


事業再構築補助金の補助内容は、該当する枠や企業規模により異なります。


中小企業の場合は以下の通りです。


金額補助率
通常枠100万円〜8千万円2/3(6千万円超は1/2)
卒業枠6千万円超~1億円2/3


卒業枠とは、400社限定の特別枠を指します。


所定の手段を用いて期間中に資本や従業員を増やすことで企業規模を大きくし、中堅・大企業への成長を目指す企業が対象です。


続いて、中堅企業の場合は以下の通りです。


金額補助率
通常枠 100万円〜8千万円1/2(4千万円超は1/3)
グローバルV字回復枠8千万円~1億円1/2


グローバルV字回復枠とは、100社限定の特別枠を指します。


世界的な展開を通して、売上減少からのV字回復を目指す企業が対象です。


主な補助内容は上記の通りですが、この他にも以下の3つの特別枠があります。


  • 大規模賃金引上枠
  • 緊急事態宣言特別枠
  • 最低賃金枠


上記3つの枠で不採択となっても、通常枠で再審査されるためご安心ください。


この中で最も新しいのは最低賃金枠です。


最低賃金引き上げの影響を受け、原資が確保できない企業に向けて、第3回公募から追加されました。


他の枠と比べ採択率が非常に高くなるため、従業員の賃金が最低賃金付近の場合はぜひ活用してみてください。

法人の補助金や助成金などについての疑問は法人のお金のプロに無料相談!


売上減少などに苦しむ企業にとって、補助金や助成金は心強い味方です。


もちろん法人の補助金や助成金は、無条件で利用できるわけではありません。


補助金や助成金を受けるためには、様々な条件が課されます。


そのため自社の規模や事業が、補助金や助成金の対象になっているか、事前に確認しておくことが重要です。


しかし条件は複雑なことや、ややわかりづらいことも多く、時には誤解したまま申請して対象外になってしまうこともあるかもしれません。


そんな誤解をなくすためにも、補助金や助成金に関する疑問は法人のお金のプロに相談しましょう。


法人のお金のプロであれば、勘違いしがちな条件もわかりやすく説明できます。


マネーキャリアなら、法人のお金のプロに無料相談が可能です。


予約から面談までオンラインのため、職場や自宅などお好きな場所で利用できます。


補助金や助成金などの疑問がある人は、ぜひマネーキャリアにご相談ください。

事業再構築補助金の補助対象経費


事業再構築補助金の対象になる経費は、事業拡大に関係のある資産への投資費用です。


主に以下のような費用に対して補助が受けられます。


主な内容
建物費建物の建築・改修・撤去などにかかる費用
購入費や家賃は対象外
機械装置・システム構築費設備や工具、ソフトなどの購入やリースにかかる費用
クラウドサービス利用費レンタルサーバー、WEBコンテンツなどの利用費
通信機器の購入費は対象外
運搬費部材などの運搬費、宅配・郵便料金
技術導入費知的財産導入権にかかる費用
知的財産権等関連経費知的財産権等の取得の手続きなどで利用する弁護士等の費用
外注費、専門家経費本事業のための製品の研究・開発のための加工や設計などを依頼する費用
応募時の事業計画作成にかかる費用は対象外
広告宣伝費・販売促進費広告作成・掲載、展示会への出展などの費用
研修費従業員の教育、講座受講などの費用


なお一過性の支出や売上減少分の補填、従業員への給与などには利用できません。


対象外の費用は申請前に必ず確認してください。


不正が発覚した場合は補助金返還となるだけでなく、最悪の場合は罰則を与えられる可能性があるため、必ず対象の経費に対して補助金を利用しましょう。

事業再構築補助金申請に向けた2つの準備


事業再構築補助金の申請には、どのような準備が必要になるのでしょうか。


申請前に準備をすべきこととしては、


  • GビズIDの取得
  • 事業計画書の作成


以上の2点が挙げられます。


いずれも申請する上で必須であり、どちらが欠けても申請はできません。


本章では上記で挙げた2つの準備について、それぞれ解説します。


審査を受けるためにも、必ずチェックしておきましょう。

①GビズIDの取得

事業再構築補助金は、電子申請システムから申請を行います。


電子申請システムでの申請には、GビズIDが必須です。


取得していない場合は事業再構築補助金の申請ができません。


GビズIDとは、法人・個人事業主向けの共通認証システムです。


取得することで、こちらの一覧の行政サービスにログインができます。


GビズIDは即時発行ではなく、申請後に審査を経て発行されます。


基本的には1週間程度で発行されていますが、新型コロナウイルス感染症対策による需要拡大により、発行に時間がかかる可能性があるため注意が必要です。


GビズIDの発行が遅れて公募期間に間に合わないことがないように、未取得の場合は余裕を持って申請しましょう。

②事業計画書の作成

事業再構築補助金を受けるためには、事業計画書の策定が欠かせません。


いかに説得力のある事業計画書を策定するかによって、採択される可能性が大きく変わります。


事業計画書のページ数は原則15ページ以内、補助金が1,500万円以下の場合は10ページ以内です。


内容は認定支援機関に相談の上で策定します。


申請の際は認定支援機関の確認書の提出が必要なため、自力で策定できたとしても必ず認定支援機関の監修を受けましょう。


事業計画書の内容は、専門外の人が読んでもわかる言葉を使ってください。


事業再構築補助金の審査員は、全員がその事業の知識を持っているとは限りません。


そのため専門知識のない人でも理解できる内容であることが大切です。

事業再構築補助金のよくある質問


事業再構築補助金の申請対象になり、採択される可能性を高くするには、制度について熟知している必要があります。

もちろん専門家に相談することが一番ですが、本章ではよくある質問をまとめました。

基本的なことや勘違いしやすいポイントなどを、申請前に確認しましょう。

①事業再構築指針とは?

事業再構築指針とは、事業再構築補助金の補助対象を明確にする指針です。


  • 事業再構築の定義
  • 中小企業卒業枠
  • 中堅企業グローバルV字回復枠


指針は以上の3点から構成されています。


内容は「事業再構築指針の手引き」から閲覧可能です。


「事業再構築の定義」では、本記事でも解説した事業再構築の5つの意味や、その事例などが記されています。


2つの特別枠の章では、通常枠とは上限金額や申請条件が異なる、定義や考え方などの説明があります。


ただし内容には「等」といった曖昧な表現も多く、勘違いが生じる可能性が高いです。


そのため確実に内容を把握するためには、専門家との連携が欠かせません。

②中小企業の定義とは?

事業再構築補助金は、中小企業と中堅企業が対象です。


それぞれは、どのような企業が該当するのでしょうか。


事業再構築補助金において、中小企業の定義は中小企業基本法に準拠しています。


具体的な定義は以下の通りです。


業種資本金従業員数
製造業その他3億円以下300人以下
卸売業1億円以下100人以下
小売業5千万円以下100人以下
サービス業5千万円以下50人以下


資本金か従業員数のいずれかに該当する場合、中小企業であるとみなされます。


どの業種に該当するかわからない場合は、「日本標準産業分類」を参照してください。


なお中堅企業は資本金10億円未満の企業が対象です。


企業規模により補助率などが変わるため、事前にどちらに該当するか確認しておきましょう。

③事業再構築補助金は過去に実施したことも対象になる?

事業再構築補助金では、過去に実施したことは対象になりません。


事業再構築には「新規性」が重視されます。


新規性とは、自社で過去に行ったことのない製造方法や事業などです。


そのため事業再構築指針に基づいた事業計画を行い、申請を行った事業再構築のみが対象となります。


補助対象経費も交付決定後に支出した経費が対象となるため、過去に遡って対象にはできません。


採択から交付決定までは期間が空くためご注意ください。


ただし「事前着手申請」を行い承認された場合に限り、交付決定前に発生した経費も対象にできます。


設備購入費などは入札や相見積が必須な上に、補助申請後に不採択となるリスクもあるため、申請の際は注意しましょう。

④事業再構築補助金について金融機関と相談すべき?

事業再構築補助金について、金融機関と相談すべきかはケースバイケースです。


事業計画の策定にあたり認定支援機関への相談が必須ですが、認定支援機関には金融機関も含まれています。


基本的には金融機関や弁護士、税理士などの中から、適切な機関を選定してください。


ただし補助金額が3千万円を超える案件に関しては、金融機関を認定支援機関に含めることが必須です。


大規模な事業再構築になる場合は、必ず相談しましょう。


また事業再構築に際し、借入が必要な場合も金融機関への相談が必要です。


事業再構築を行う場合は、手元資金だけでは賄えない可能性があります。


その場合は金融機関に、融資などの相談をしましょう。

⑤事業再構築補助金は売上に応じて補助額の上限がある?

事業再構築補助金に、売上に応じた補助額の上限はありません。


ただし従業員数に応じた補助額の上限はあります。


通常枠の上限は以下の通りです。


従業員数上限
20人以下4千万円
21〜50人6千万円
51人以上8千万円


従前は従業員数に関係なく、上限は6千万円で固定でした。


しかし第3回の公募からは最低賃金の引き上げによる負担を考慮し、従業員数に応じた上限に変更になりました。


これにより20人以下の企業は、上限が4千万円まで引き下げられています。


枠によっても上限は異なるため、申請したい枠の上限をよく確認しておきましょう。


なお、実際に補助金が支払われるのは、補助対象になる支出を確認できたあとです。


事前に受け取れるわけではないため注意してください。


また特別枠で目標が達成できなかった場合は、通常枠との差額の返還が求められる可能性があります。


そのためいくら大きな補助が受けられるからといって、現実的に支出の難しい金額で計画するのは避けた方が良いでしょう。

⑥事業再構築補助金は他の補助金と併用できる?

事業再構築以外にも、


  • ものづくり補助金
  • 小規模持続化補助金
  • 事業承継補助金


など、様々な補助金があります。


企業によっては、このような補助金も利用したいと考えることでしょう。


事業再構築補助金は、他の補助金と併用できます。


ただし、同一事業で複数の国の補助金は受け取れません。


仮に同一事業で申請し両方で採択された場合は、重複しないように修正するか、どちらかを辞退する必要があります。


採択後の大幅な修正は認められないケースがほとんどのため、基本的に同一事業で複数の補助金に申請することは避けましょう。


海外展開をしている企業は特に、海外の補助金を利用していないか確認してください。

⑦事業再構築補助金のための資金調達ができないときはどうする?

事業再構築を行うには、資金調達が必要です。


基本的には手元資金や金融機関からの融資を受けて、資金調達を行います。


しかし資金調達ができない場合はどうすれば良いのでしょうか。


まずは認定支援機関(認定経営革新等支援機関)に相談してください。


認定支援機関とは、中小企業の支援に関する知識や経験が国に認められた支援機関です。


主な機関としては弁護士や税理士、そして金融機関などがあります。


認定支援機関に含まれる金融機関に相談することで、資金調達の強化をしつつ事業計画の策定が可能です。


資金調達計画は、事業計画において重要なポイントのひとつです。


計画が身の丈に合っていない場合は、採択される可能性が低くなるでしょう。


そのため無理なく資金調達ができる範囲で、事業計画を行うことが大切です。

事業再構築補助金の3つの申請要件


事業再構築補助金を申請するには、3つの申請要件の全てに該当する必要があります。


ひとつでも取りこぼしがあれば、対象外になってしまうため注意が必要です。


申請要件は以下の通りです。


  1. 売上が減っている
  2. 事業再構築に取り組む
  3. 認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する


内容の誤りや漏れを防ぐためにも、申請要件をきちんと把握しておきましょう。

①売上が減っている

一つ目の申請要件は、売上が減っていることです。


2019年1〜12月、または2020年1〜3月と比べて、以下の両方に該当する場合に、売上減少と認められます。


時期期間減少率
2020年4月以降連続する6ヶ月のうち任意の3ヶ月10%以上
2020年10月以降 連続する6ヶ月のうち任意の3ヶ月5%以上


どちらか片方の場合は対象外になるため注意が必要です。


「任意の3ヶ月」であるため、連続する必要はありません。


売上高での申請が難しい場合は、付加価値額での申請もできます。


売上等の減少は、新型コロナウイルス感染拡大が原因と認められるものに限ります。


例えば


  • コロナの影響で固定資産を売却した
  • コロナの影響で休業を余儀なくされた
  • コロナの影響で原価が高騰し利益が減った


などのケースでは、申請できる可能性があります。


新型コロナウイルスと無関係な要因による減少は、対象外になるためご注意ください。

②事業再構築に取り組む

二つ目の申請要件は、事業再構築に取り組むことです。


本記事でも紹介している5つの定義である、


  • 新分野展開
  • 事業転換
  • 業種転換
  • 業態転換
  • 事業再編


いずれかに該当している必要があります。


どれにも該当しない事業計画の場合は、審査の対象外です。


本制度はあくまで事業の再編や転換、拡大などの事業再構築に挑戦をしたい中小企業のための支援であるため、思い切った取り組みが必要になります。


しかし新型コロナウイルス感染拡大で売上減少に苦しむ企業にとっては、ウィズコロナの新しい社会を生き抜くための絶好のチャンスです。


専門家の協力も仰ぎつつ、実現可能な範囲で思い切った再構築を行いましょう。

③認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する

三つ目の申請要件は、認定経営革新等支援機関と事業計画を策定することです。


認定経営革新等支援機関は認定支援機関とも呼びます。


認定支援機関とは、中小企業の支援に関する知識や経験が国に認められた支援機関です。


金融機関や弁護士、税理士などが該当します。


基本的には任意の認定支援機関に相談しますが、3千万円を超える案件の場合は金融機関への相談が必須です。


事業計画なら自力で策定できる人もいることでしょう。


しかし自力で策定した事業計画は対象外になるため注意が必要です。


提出の際は認定支援機関の「確認書」が必要になるため、自力で策定した場合はそもそも申請ができません。


事業再構築補助金を利用する場合は、必ず認定支援機関と共に事業計画を策定してください。


策定時は資金調達計画やマーケティング計画などを、専門外の人が読んでもわかる言葉で書くことが大切です。


また採択されて事業再構築を行った後は、5年間に渡って年次報告などが必要になります。


そのため一時的ではなく、継続して取り組める内容にしましょう。

事業再構築補助金申請に向けた事業計画策定のポイント


事業再構築補助金の事業計画に記載する内容は「公募要領」で決められています。


しかし規定の内容をただ羅列するだけでは、採択されることは難しいでしょう。


事業計画に基づき審査が行われるため、採択されるためには合理的かつ説得力のある、ポイントを押さえた事業計画の策定が重要です。


本章では事業計画に含めるべき4つのポイントについて解説します。

①現事業の強みや脅威など

事業再構築にはSWOT分析が欠かせません。


SWOT分析とは以下の略称です。


  • Strength:強み 
  • Weakness:弱み
  • Opportunity:機会 
  • Threat:脅威


これらの分析を通して現事業の持つ要素の洗い出しを行います。


洗い出しの内容は明確である必要はなく、数を挙げることが大切です。


強みや弱みでは自社の持つノウハウや資金力など、他社と比べて優れている・劣っている点を挙げましょう。


機会や脅威は自社に影響を及ぼす可能性のある外部環境です。


  • 最低賃金の引き上げ
  • 緊急事態宣言
  • 法律の改正
  • 技術の進歩


など、社会情勢や競合他社の経営状況などが該当します。


機会は自社にとって有利に働くこと、脅威は不利に働くことを挙げましょう。


以上のようなSWOT分析を通して、事業再構築の方向性を決めます。


この時、強みを生かし機会を捉えることが基本戦略です。


弱みや脅威が多い場合は、克服する方向性で事業再構築を行っても良いでしょう。


事業再構築を行う場合は、自社の強みや脅威などを知り、方向性を明らかにしてください。

②事業再構築の具体的内容

事業再構築の事業計画は、以下の4部構成に分けて15ページ以内で記します。


  1. 補助事業の具体的取組内容
  2. 将来の展望
  3. 本事業で取得する主な資産
  4. 収益計画 

このうち、「1.補助事業の具体的取組内容」では、事業に関して具体的に記載しましょう。

具体的内容とは、

  • 提供する製品・サービス
  • 導入する設備
  • 工事

など、今回の事業で実際に行う内容を指します。

設備や装置の型番、導入のタイミングなども可能な範囲で記しましょう。

この他にも事業再構築の必要性や、前述のSWOT分析の結果なども踏まえ、合理的かつ説得力のある事業再構築案を提示してください。

必要に応じて図や写真などがあると望ましいです。

記載する文章は、長いからといって有利になるわけではありません。

むしろ要点がまとまっていないと、マイナス印象を与える可能性があります。

そのため具体的に、わかりやすく書くことが大切です。

③事業再構築の市場状況やリスクについて

事業計画には事業再構築の市場状況やリスクについてを詳しく記載しましょう。


主なポイントを挙げると以下のような内容です。


  • 市場の状況
  • 自社の優位性
  • 価格設定
  • 課題やリスク、その解決法


まず事業再構築で進出予定の市場について、市場規模や動向、競合他社の状況、将来性などを調べます。


その結果を分析やデータなどを用いて説明してください。


市場の動向を把握する際は、経済産業省の「統計分析ツール」が便利です。


競合他社の状況を調べたら、


  • 価格帯
  • 製品・サービスの質
  • 納期


など、様々な面から自社が他社よりも優れている点を挙げましょう。


この時優位性を証明する根拠を示すことが大切です。


このような分析を行うと、自社や市場の課題・リスクが見えてくるはずです。


解決すべき課題や想定されるリスクを挙げ、回避策を事前に考えましょう。

④実施スケジュール

事業計画には、


  • 実施体制
  • スケジュール
  • 資金調達計画
  • 収益計画(付加価値増加を含む)


以上の内容の記載が求められます。


実施体制では、事業再構築における社内での役割や責任、権限を明確にしてください。


社外からの協力を仰ぐ場合は、合わせて役割として記載すると良いでしょう。


その他の3つは以下の内容を記載します。


内容
スケジュール事業再構築の実施期間中、いつからいつまで・どこで・何をするのか
資金調達計画設備投資等にかかる資金の調達方法(自己資金、融資など)
収益計画(付加価値増加を含む)事業計画期間(3〜5年)における、売上や利益、付加価値の推移予測と財務計画


付加価値の算出は、根拠の記載が必須です。


また収益計画で示した数値は、補助事業の終了後も定期的に達成率の確認が行われるため、実現可能な数値を記載してください。

事業再構築補助金の採択率


本章では第一回公募のデータをもとに、採択件数採択率を見ていきましょう。


採択件数は以下の通りです。


件数
応募件数22,231
申請要件を満たした件数19,239
採択件数8,016


上記はすべての枠を合計した件数です。


申請要件を満たした件数をベースに見ると、4割程度が採択されています。


枠別に見ると通常枠の応募が16,897件と最も多く、V字回復枠の応募が2件と最も少ないです。


続いて、業種別の応募件数・採択件数の割合のトップ5を確認します。


応募件数採択件数
1位製造業(23.2%)製造業(31.7%)
2位宿泊業、飲食サービス業(18.0%)宿泊業、飲食サービス業(21.8%)
3位
卸売業、小売業(14.9%)卸売業、小売業(12.4%)
4位建設業(8.6%)建設業(6.7%)
5位生活関連サービス業、娯楽業(6.7%)生活関連サービス業、娯楽業(6.1%)


製造業、宿泊業・飲食サービス業、卸売・小売業の3業種だけで、全体の6割以上を占めていることがわかります。


また採択件数を見ると、上位2業種の占める割合が、応募時よりも増える結果となりました。


製造業は製造プロセスや需要の変化、宿泊業・飲食サービス業は休業や外出自粛など、いずれも新型コロナウイルスの感染拡大により、非常に大きな影響を受けた業種です。

事業再構築補助金の採択チェックリスト


事業再構築補助金の審査には、4つの審査項目があります。


本章では審査項目を簡単にまとめて紹介するため、申請内容が採択基準に合っているかチェックしてみましょう。


審査項目は以下の通りです。


概要
補助対象事業としての適格性補助対象事業の要件を満たしているか
事業化点事業として成立し、実現可能であるか
再構築点事業再構築の目的や主旨に沿っているか
政策点政治上の方針に沿っているか


この他にも枠によっては加点項目があります。


また、それぞれの審査項目では、どのような点が見られるかを細かく規定されています。


採択されるには審査項目にのっとった、精度の高い事業計画を行うことが大切です。


そのため事業計画の策定の際は、必ず「公募要領」をご確認ください。

事業再構築補助金が採択された事例

これまで事業再構築補助金について詳しく解説してきましたが、実際にはどのような採択事例があるのでしょうか。


本章では中小企業庁「事業再構築補助金の概要」から、実際に採択された事例を2つ紹介します。


どのような事業再構築に取り組もうか悩んでいる人は、ぜひ参考にしてみてください。

事例①

飲食業での採択事例をご紹介します。


居酒屋を経営していた企業が、新型コロナウイルスによる休業や外出自粛の影響を受け、売上が減少することとなりました。


そこで取り組んだ事業再構築が、業態転換です。


業態転換は製造方法や提供方法を、従来の方法から変えることを指します。


この事例では従来の店舗営業を廃止し、オンライン専用の弁当宅配サービスを開始しました。


この業態転換で必要になった補助対象経費は、


  • 建物改修費(店舗の縮小)
  • 機器導入費
  • 広告宣伝費


などの、新サービス提供に関わる経費です。


オンラインサービスのための通信機器などの購入費は、補助対象外になりました。


このように飲食業では従来の店舗販売から、テイクアウトやドライブインなどへの業態転換が目立ちます。

事例②

続いて、製造業での採択事例をご紹介します。


航空部品を製造していた企業は、新型コロナウイルスの影響による渡航需要の低下から、売上が減少しました。


そこで取り組んだ事業再構築が、新分野展開です。


既存事業の圧縮や関連設備の廃棄などを行い、医療機器部品製造事業を新たに立ち上げました。


この新分野展開で必要になった補助対象経費は、


  • 設備撤去費
  • 新設備導入費
  • 研修費


など、新事業への設備の切り替えや従業員教育にかかる経費です。


製造業の事業再構築では、自社のノウハウを生かせるような、新たな部品製造などの新分野展開が目立ちます。

最新!事業再構築補助金第3回公募の概要と注意点


事業再構築補助金は今回の公募で3回目です。


第3回公募は、どのようなスケジュールで行われるのでしょうか。


また過去に申請したことがある人も、第3回公募から変更になった点もあるため注意が必要です。


本章では第3回公募の概要と注意点を紹介します。


申請までのスケジュールに問題はないか、変更点を把握しているかなどを確認しましょう。

事業再構築補助金第3回公募の申請期間

事業再構築補助金の第3回公募の申請期間は以下の通りです。


日程
申請受付開始令和3年8月30日(月) 9:00
応募締切令和3年9月21日(火) 18:00


9月10日(金)23:59までの申請であれば、事務局で添付書類などの確認をします。


不備があれば9月16日(木)までに申請者へ差し戻しの連絡があり、再申請が可能です。


そのため申請はできるだけ余裕を持って行いましょう。


申請はGビズID取得の上、公式ホームページからオンラインで行ってください。

事業再構築補助金第3回公募から新たに変更された点

事業再構築補助金は、公募のたびに変更が加えられます。


第3回公募からの変更点は以下の通りです。


  • 最低賃金枠の創設
  • 通常枠の補助上限額の見直し
  • その他の運用の見直し


第3回公募では、最低賃金引き上げの影響を考慮した内容に変更しています。


最低賃金枠は従業員への給与が最低賃金付近の企業が対象です。


また、従前の通常枠は上限が一律でしたが、第3回からは最低賃金引き上げの影響の大きさから、従業員数ごとの上限設定になりました。


その他の内容としては、


  • 売上高減少の対象になる期間を拡大
  • 付加価値額の減少でも要件を満たす
  • 新規性の基準を「過去に」→「コロナ前に」へ


以上の変更が行われています。


過去に申請したことがある場合でも、変更になった点と今回の申請内容に相違がないか注意しましょう。

事業再構築補助金に関するまとめ


事業再構築補助金について解説しましたがいかがでしたでしょうか?


新型コロナウイルス感染拡大は、社会経済に大きな影響を及ぼしました。


これからのウィズコロナ社会に対応するためにも、事業の見直しは大切です。


そのため事業再構築補助金を活用して、新たな事業に挑戦しましょう。


事業再構築補助金以外にも、様々な補助金や助成金制度があります。


それぞれ審査項目や目的などが異なるため、制度について詳しく知ることが大切です。


法人のお金のプロであれば、採択されるためのポイントや、勘違いしがちなポイントなどを詳しく説明できます。


補助金などの活用の際はぜひ法人のお金のプロに相談してください。


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補助金や助成金を上手く活用して、企業の成長を目指しましょう。

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