更新日:2023/07/15
サービス業で加入すべき損害保険と事業を取り巻くリスクについて解説
サービス業では、放火による火災、サイバー攻撃による個人情報の漏洩など、様々なリスクがあります。サービス業で、このようなリスクに対応するために保険に加入することをおすすめします。また、事業のリスクや保険に関する相談は、「マネーキャリア」をご利用ください。
内容をまとめると
- サービス業には、サイバーリスクや放火などのリスクがある
- 上記のようなリスクを軽減するために法人向けの損害保険に加入する必要がある
- 法人保険や企業のリスク対策に関する相談は「マネーキャリア」がおすすめ
- サービス業では、火災やサイバー攻撃に対するリスクアセスメントが重要
目次を使って気になるところから読みましょう!
サービス業を取り巻くリスクについて
サービス業を取り巻くリスクマップ
今回のこちらの記事では、まずサービス業での経営を取り巻くリスクにはどのようなものがあるのかを解説していきます。その後に、サービス業の経営において加入すべき法人向けの損害保険の紹介をしていきます。
上記に掲載しているマップはリスクマップと言います。事業が抱えるリスクを可視化してマップにしているものです。リスクが発生する頻度とリスクが経営にどのくらい影響を与えるのかの2つの軸で構成されています。事象を社会的経済的リスク、自然災害事故リスク、経営リスクの3つのカテゴリに分類しています。
今回は以下の3つのリスクを重点的に解説していきます。
- サイバーリスク(発生頻度・中、リスク・大)
- 放火(発生頻度・小、リスク・大)
- 従業員の労働災害(発生頻度・中、リスク・小)
①サイバーリスク(発生頻度・中、リスク・大)
ホテルやレジャー施設、アミューズメントパークなどのサービス業はサイバーリスクの発生頻度が中程度、損害へのリスクが非常に大きいといえます。
サービス業におけるデータベースには、顧客の個人情報が多く記録されています。
予約の際に名前や住所、クレジットカードの番号まで入力されるため、これらの情報をハッカーが狙う可能性が高いからです。
盗んだ個人情報は販売することができるので、数多くの個人情報が登録されているデータベースへのサイバー攻撃はハッカーにとって大きな収入源となります。
特に利用者が多く、知名度の高い施設は標的になりやすいため、セキュリティ対策を万全にしておかなければなりません。
セキュリティソフトの導入だけでなく、サイバーセキュリティへの知識を有している人をスタッフに雇うことで甚大な損害を抑えられるでしょう。
②放火(発生頻度・小、リスク・大)
飲食店や販売店、ホテルなどの施設は放火による火災が起きるケースもあり、実際に起きた場合は多大なリスクを負います。
日本で起きている火災にはたばこの不始末やたきびによる引火、ガスコンロからの出火など様々な原因があるものの、最も多いのは放火です。
監視カメラがなく、誰でも施設内に侵入しやすい構造になっていれば放火被害に遭う可能性は十分にあるといえるでしょう。
サービス業は働くスタッフだけでなく、常時来客がいるところも多くあります。
火災が起きればスタッフ・来客ともに巻き込まれてしまうため、多大な損害を被ります。
また、企業への信頼も薄れてしまうので、建物を再建しても、火災前より集客率が減少するかもしれません。
事業の継続にも影響が出るため、放火されにくい環境を作ることが重要です。
死角になりやすい場所には監視カメラを設置し、放火の恐れがある場所は従業員が定期的にパトロールを行うなどの対策を実践してください。
③従業員の労働災害(発生頻度・中、リスク・小)
サービス業における従業員の労働災害は事例が多く、特に50代以上の発生頻度が高くなっています。
作業スペースでの転倒、バックヤードでの作業中の事故、踏み台や脚立からの転落など、労働災害の内容は様々です。
軽傷であればリスクも少なく済みますが、4日以上の休息が必要な災害が起こった場合は、いくつもの影響が出ます。
スタッフの少ないところは人員確保が難しいため、少ない人数で作業をしていかなければなりません。
作業の遅れによって生産性が下がると、企業の信用そのものを下げてしまう恐れがあります。
また、労働災害によって重傷を負った場合は、外部に情報が洩れ、安全面などを不安視される可能性もあるでしょう。
場合によっては行政処分を受けるかもしれませんので、従業員の作業場所は災害が起きないよう工夫・整理整頓をしておくことが重要です。
サービス業で実際に起こった事故・損害事例
飲食店やホテル、レジャー施設などのサービス業では様々な事故・損害が起きています。
自社に事例がなくても、今後発生する恐れも十分にあるため、どのような事例が起こったかを把握しておくといいでしょう。
ここからは、以下の3つの事例をご紹介します。
- サイバーリスクに関する事例
- サービス業での労災に関する事例
- 賠償責任に関する事例
いずれもサービス業であれば起こりうる事例なので、内容の詳細をしっかりと確認しておいてください。
事例1:サイバーリスクに関する事例
サイバーリスクに関する事例は非常に多くあるため、ここで2つの事例をご紹介しましょう。
1つ目の事例はサイバー攻撃により顧客情報が流出されたものです。
プロバスケットボールチームのチケット販売を行う企業がサイバー攻撃され、約15万人の顧客情報が流出しました。
情報の中にはクレジットカード情報も含まれており、一部の方が不正利用の被害にも遭っています。
チケット販売を行っていた会社は業務委託された企業で、脆弱なソフトウェアを導入していることが原因による損害でした。
2つ目の事例は感染したウイルスが社内システムに侵入したものです。
テレワーク中の社員のもとに一件のメールが届き、何も知らずに開いてしまいました。
メールにはウイルスが含まれており、業務用パソコンに侵入していたのですが、その事実に気づかぬまま、出社後に社内ネットワークに接続しています。
接続時にウイルスが社内システムに侵入し、企業情報が漏洩したという事例です。
事例2:サービス業での労災に関する事例
サービス業における労災は作業スペースでの転倒や転落といった事例が多くなっていますが、長年従事していたことが原因による事例もあります。
廃コンクリートを専用機器で砕き、鉄筋などを選定する作業に長年従事していた男性が長引く風邪症状に悩まされていました。
改善が見られないことから病院で診察してもらったところ、鉱物性じんによるじん肺と診断されています。
内臓だけでなく、他の器官の検査も行うと難聴や手や腕の振動障害なども見つかり、いずれも労災として認定されています。
参考:労働新聞社
事例3:賠償責任に関する事例
サービス業における賠償責任事例も非常に多く、スタッフによるミス、備品の不備による事故、提供した食事による損害など様々なものがあります。
ミス・事故・損害の3つのケースを見ていきましょう。
1つ目はスタッフのミスによる事例です。
結婚式場のスタッフが招待客のテーブルにキャンドルを準備していたところ、着火後に倒れてしまいお客様にけがをさせてしまいました。
2つ目は備品の不備による事例です。
DVD・Blu-rayのレンタル店に設置している陳列棚に置いている商品が崩れ落ち、来店していたお客様に落下してけがをさせてしまいました。
3つ目は提供した食事による損害事例です。
飲食店で提供した食事が原因で不特定多数の人が食中毒になり、多額の賠償責任を負っています。
参考:AIG損保
サービス業で加入すべき損害保険
ここからは、サービス業の経営を取り巻くリスクを回避・軽減するための損害保険を紹介します。今回こちらの記事で紹介する損害保険は以下の3つになります。
- サイバー保険
- 法人向け火災保険
- PL保険(生産物責任保険)
①サイバー保険
サイバー保険はサイバー攻撃によって受けた被害を幅広く補償してくれる保険です。
保険で補償されるのは以下の場合です。
- サイバー攻撃による損害賠償
- サイバーセキュリティの事故対応費用
- システムの機能停止による利益損失
- 風評被害による損失
ハッカーからの攻撃を防ぐセキュリティを導入している会社は多いものの、確実に攻撃を防げるとは言い切れません。
万が一情報が漏洩したときのことを考えて、保険に加入しておくと安心です。
保険金額は事例によって異なり、1~10億円となっています。
サイバー攻撃による損害や事故対応費用は高額になるケースも多々あり、経営状況によっては破産する恐れもあります。
保険で損害費用を補填してもらえば、事業を継続しつつ信用回復に努められます。サイバー保険について詳しい内容を知りたい方は以下の記事からご覧ください。
②法人向け火災保険
経営する店舗や事業所、施設などが火災によって焼失してしまった際の損害を補填してくれるのが法人向け火災保険です。
火災保険では事務所などの建物や什器はもちろんのこと、火災の影響で休業してしまった際のリスクも保障してくれます。
休業補償・賠償責任への補償・労災事故に関する補償があるため、様々なリスクに対応したいのであれば包括的に保障してくれるプランを選びましょう。
火災保険は多くの会社から提供されており、それぞれで保険料も異なります。
万が一の際に多くの補償金額を受け取れる点はメリットになるものの、月々の支払いが大きいと企業経営に影響を及ぼすでしょう。
契約する前に月々の保険料を確認し、無理なく支払える金額が設定されている火災保険を選んでください。法人向けの火災保険についても以下で解説しているのでぜひご覧ください。
③PL保険(生産物責任保険)
PL保険は生産物によって発生した損害賠償を対象とした保険で、契約者の事業内容に応じて対象が異なります。
- 製造業者:製造した製品の賠償事故
- 販売業者:販売した製品の賠償事故
- 工事業者:施工結果の賠償事故
これらのケースの他に、対人・対物事故が起きた場合は賠償事故への補償とともに、弁護士費用の補償も行ってくれます。
幅広いケースで補償してくれるものの、故意、または重大な過失による事故などへの補償は対象外となります。
PL保険は万が一の際にしっかりと対応してくれるという印象を与えるため、自社の信用度を上げられます。
取引先も安心してお付き合いができるので、これまでの付き合いだけでなく、新たなクライアントも現れるかもしれません。
最後にPL保険についても詳しい内容を解説している記事を公開しているのでぜひそちらをご覧ください。
サービス業においてのリスクマネジメント
サービス業は放火による火災やサイバー攻撃、従業員の労働災害など様々なリスクを抱えています。
リスクは頻発するものではありませんが、何の対策もしていなければいざというときに多額の賠償責任が発生するため、すぐに対応できません。
大切なのはトラブルを未然に防ぐことです。
放火されにくい施設環境を整えたり、サイバー攻撃を受けにくいセキュリティ環境を整備したりしましょう。
従業員の作業スペースは、労働災害が起きないよう配慮することが大切です。
対策をしていればリスクが起こる可能性は抑えられるものの、ゼロにはできません。
低い可能性で起きたトラブルによって会社が危機に追い込まれることもあるので、火災保険やサイバー保険、PL保険などへの加入を検討してみてください。
まとめ:サービス業を取り巻くリスクと損害保険
ここまでサービス業を取り巻く潜在的なリスクとそれらのリスクを回避・軽減するための損害保険の紹介をしました。以下が今回の記事のまとめになります。
- サービス業には、サイバーリスクや放火などのリスクがある
- 上記のようなリスクを軽減するために法人向けの損害保険に加入する必要がある
- 法人保険や企業のリスク対策に関する相談は「マネーキャリア」がおすすめ
- サービス業では、火災やサイバー攻撃に対するリスクアセスメントが重要