更新日:2023/09/07
警備業で加入すべき損害保険と事例を用いて取り巻くリスクを解説!
警備業の経営には、従業員の労働災害や損害賠償に関するリスクがあります。このように警備業を取り巻くリスクを回避するために保険に加入することをおすすめします。また、事業のリスクや保険の見直しについて専門家に相談したい方は、「マネーキャリア」をご利用ください。
内容をまとめると
- 警備業には従業員のケガの労災や損害賠償リスクが非常に高く個人情報が漏洩する危険性がある
- リスクを減らすためにも損害保険に加入し、いざというときに備える必要がある
- 企業保険や事業リスクの相談は「マネーキャリア」がおすすめ
- 警備業の人手不足に対する対策を考える
目次を使って気になるところから読みましょう!
警備業を取り巻くリスクとは?
警備業を取り巻くリスクマップ
今回のこちらの記事では、まず警備業での経営を取り巻くリスクにはどのようなものがあるのかを解説していきます。その後に、警備業の経営において加入すべき法人向けの損害保険の紹介をしていきます。
上記に掲載しているマップはリスクマップと言います。事業が抱えるリスクを可視化してマップにしているものです。リスクが発生する頻度とリスクが経営にどのくらい影響を与えるのかの2つの軸で構成されています。事象を社会的経済的リスク、経営リスク、自然災害事故リスクの3つのカテゴリに分類しています。
今回のこちらの記事では以下の3つのリスクを重点的に解説していきます。
- 従業員の労働災害(発生頻度・高、リスク・中)
- 個人情報の漏洩(発生頻度・中、リスク・中)
- 業務上の損害賠償(発生頻度・高、リスク・中)
①従業員の労働災害(発生頻度・高、リスク・中)
一つ目に解説をするのは警備業において発生頻度が高い労働災害です。経営に与えるリスクとして考えると低めと考えられています。しかし経営リスクが低いからといって軽視していい問題ではありません。
警備業においては転倒事故や転落事故、無理な動作や反射的に動いた結果の事故などが非常に多く発生しています。人を守る仕事をしている以上、周囲に異変が発生すると瞬時に動く必要があり、ケガとは切っても切れない関係にあります。
労災事故が発生した場合、病院で治療した時の治療費、仕事を休んだ時の休業補償は政府労災から支払われますが、政府労災は満額支給とはなりません。
従業員保護のためには民間保険会社が販売している企業向けの労働災害保険などに加入して補償を充実させることをお勧めします。
②個人情報の漏洩(発生頻度・中、リスク・中)
次に解説するのは個人情報漏洩についてです。発生頻度、経営に与えてしまうリスクは中程度ではありますが、警備業においては様々な個人情報を入手する機会が多い職業といえます。
警備業は人手不足が問題点としてあげられています。人手不足の結果、モラルの低い人が入ってきて個人情報が漏れてしまうと企業のイメージは当然悪くなります。開業したばかりで個人情報漏洩事故が発生してしまうと、顧客が定着することもなくなりる可能性もあります。
特に新規で警備業を開業しようと思った時には一般社団法人全国警備協会が発行している「警備業における個人情報保護に関するガイドライン」などに沿って、自社でもプライバシーポリシーを作る必要もあります。
③業務上の損害賠償(発生頻度・高、リスク・中)
最後に解説するのは業務上の損害賠償です。経営リスクとしては中に分類されますが、発生頻度が高いので賠償事故が重なると、通常業務に支障が出るという問題点もあります。
業務中の賠償事故は警備員のミスによって発生するものが多く、ミスを発生させない警備をするという課題点があります。また、鍵を預かることも多いので鍵を紛失してシリンダーごと交換しなければいけなくなったなどの事故も考えられます。
何度も同じような賠償事故を繰り返すと、信頼を失いますし、なにより、企業のイメージが下がってしまうので、経営リスクが低いからといって見過ごしてはいけません。
事故があった場合、迅速に、真摯な対応をとることで、信頼を失うことも、イメージダウンすることもなくなりますので、補償を充実させた賠償責任保険を検討するといいでしょう。
警備業で実際にあった損害事例
それでは、実際に警備業で起こった事故や損害賠償事例をご紹介します。事例は以下3つです。
- 自動車誘導中の事例
- 衛生管理に関する事例
- 賠償事故に関する事例
警備業においては実際に警備をしている最中に事故が発生することがあります。警備という職業は、人々が生活を営む上で安全を守るという使命を持っています。そのために専門的な知識はもちろん、体力や能力も求められていることから危険が隣り合わせの職業です。
実際に過去に起きた事例を見ながら、未然に防ぐための対策を強化したり教育を充実させる方法を考えていきましょう
事例1:自動車誘導中の事例
では、実際に警備業で起こった労災事故を紹介します。警備業では転倒事故が一番発生頻度が高く、割合別にみていくとおよそ40%となっています。
警備業は人手不足の課題点があることから、年齢層も60代の方も多く、転倒事故を起こすと骨折や靱帯損傷など、治療期間も長くなる傾向があります。 60歳代男性警備員が、道路上にて自動車誘導中に足元への注意を起こったために突起物にぶつかってしまい、転倒し、足の靱帯損傷と手首骨折のケガを負ってしまいました。この事故では休業期間は4か月にもおよびました。
厚生省の東京労働局では警備業における労災事故発生状況を公表しておりますので確認してみることをおすすめします。そのうえで、従業員を守るためにも政府労災に上乗せ給付がある任意保険に加入することをお勧めします。
事例2:衛生管理に関する事例
次に紹介する事故は衛生管理を怠ったために発生した事故になります。
常時50人を超える労働者を使用する警備会社では衛生管理者を選任しなければなりませんが、規模が小さい事業所では衛生管理者の選任が義務付けられていません。そのために起きた事故です。
施設警備を行っていた際に、自動車専用エレベーターに誘導中に転落事故を起こし、警備作業をしていた警備員が頭を強く打って死亡した事故です。
搬器の後ろをよく確認せずに後ずさりしていて隙間から転落しました。
同じような事故を防ぐためには、設備を実際に使う警備員にも安全管理を徹底させなければなりませんし、安全な使い方の説明を衛生管理者が受け、さらに作業員に周知徹底させなければなりません。
衛生管理が徹底していれば防ぐことができる事故といえます。
事例3:賠償事故に関する事例
車にはねられ事故から2か月後に死亡しました。
この事故では車の運転手と、交通誘導をしていた警備員に過失があると裁判で判決がでました。
警備業を取り巻くリスクを回避・軽減するための保険
ここからは、警備業の経営を取り巻くリスクを回避・軽減するための損害保険を紹介します。今回こちらの記事で紹介する損害保険は以下の3つになります。
- 警備業者賠償責任保険
- 労働災害総合保険
- 個人情報漏洩保険
- 法人向けの火災保険
①警備業者賠償責任保険
まずはじめに警備業者賠償責任保険について説明します。警備業者賠償責任保険は、警備業を営む企業向けの法人保険となります。
警備中に警備ミスにより、他人にケガをさせた、物を壊してしまったというものを補償するだけではなく、不注意により現金や美術品が盗まれてしまったといった賠償事故を幅広くカバーしています。
特約をつけることにより現金などの警備対象物を輸送中に壊してしまった、盗まれてしまったなどの事故が発生した際にも補償されることもあります。
警備員は交通誘導だけでなく、様々な場面で安全のために従事する職業でもあることから、補償内容をよく確認し、保険に加入する必要があります。
②労働災害総合保険
次に労働災害保険について説明します。人々の安全を守ることを生業としている警備員は警備員自身のケガの危険性は常にあります。
もちろん、従業員は業務中の事故は政府労災が適用されますが、政府労災の給付金は給料全額保証ではありません。したがって雇用主は従業員の生活を守るために、上乗せ給付のための民間保険会社で加入をお勧めしている労働災害保険に加入するといいでしょう。
また、使用者責任が問われる事故も多発しておりますので、労働災害保険の特約として使用者賠償責任保険も併せて加入し、経営を守っていくことも必要となります。
警備業は労災事故の頻度も高く、その分事業主にも責任は課せられることも多いので補償が充実している企業保険に加入することをお勧めします。
③個人情報漏洩保険
3つ目に紹介する保険は個人情報漏洩保険です。人を守るための警備業を営んでいる場合、危険人物に個人情報を聞き出したりすることがあります。
また、どのような人物を警備しているのかなどを取りまとめている会社内のパソコンにウイルスが侵入し、個人情報が漏洩してしまったなどの事件が発生してしまうと、被害は大きくなってしまいます。
さらに従業員のモラルリスクが低下した結果、警備内容や警備対象人物を他社に漏洩してしまったなどの事案発生の可能性もあります。
一般社団法人全国警備協会では個人情報のガイドライン指針がありますので確認するとともに、万が一個人情報漏洩事故が発生した場合に備え、個人情報漏洩保険に加入することをお勧めします。
被害者へのお見舞金やおわび状の送付費用、訴訟費用や賠償金を補償しますし、特約をつけることで高額になってしまった危機管理コンサルティング費用を補償してくれます。
個人情報保護法が制定されてから、様々な企業からの個人情報漏洩の報道が後を絶ちません。適切な企業保険に加入し自己防衛をすることはとても大切です。
個人情報漏洩保険について「ほけんROOM」では詳しく解説している記事を解説しているの気になる方は以下からご覧ください。
④法人向けの火災保険
最後は法人向けの火災保険について紹介します。警備業を経営している方々にとって、火災や自然災害などのリスクは関係の無いことだと考えている方もいるのではないでしょうか?
しかし警備業であっても事務所を用いて事業をしていると思います。その事務所で火災が発生したり、自然災害の影響で建物に損害が発生するリスクはあると言えます。
そこで法人向けの火災保険が役に立ちます。法人向けの火災保険では以下のような災害により、建物や設備、什器備品などが損傷した場合に保険金が支払われます。
- 火災・落雷・破裂・爆発
- 風災・雹災・雪災
- 水漏れ
- 騒擾や労働争議
- 外部からの衝突
- 盗難
- 水災
- 電気的・機械的事故
- その他偶然な破損事故等
警備業の人材不足について
警備業では人材不足が問題となっています。警備業法により、警備業は1号から4号までの区分に分かれていて、施設警備などを担う施設警備は1号警備です。道路誘導、イベントなどの雑踏警備は2号警備といいます。
この1号と2号の警備は需要が高く事業者数も多いのですが、仕事を求める人が少なく慢性化した人材不足となっています。
警備が不足するとイベントができない、施設の運営ができないなどがありますが、なり手不足の原因は労働環境や労働条件が割に合わないということが考えられます。
早朝や深夜、気温の問題、トイレなどの休憩がとりづらい環境下で働くのは厳しい状況で敬遠されますし、拘束時間が長いわりに給料が安いなどもあります。
こうした状況を改善したくても労働組合がないので、交渉ができず改善ができないなどの問題点があります。
需要のわりになり手がないということで、ロボット警備への置き換わりなどもあり、警備業界も徐々に機械化が進んでいますが、まだまだ人が警備するという体制は需要が残ります。
警備協会などが警備業のための教育事業を行っていますので確認してみるといいでしょう。
まとめ:警備業を取り巻くリスクと損害保険について
ここまで警備業を取り巻く潜在的なリスクとそれらのリスクを回避・軽減するための損害保険の紹介をしました。以下が今回の記事のまとめになります。
- 警備業の経営には従業員の労災や個人情報の漏洩などのリスクがある
- 上記のようなリスクを回避・軽減するために法人向けの保険に加入する必要がある
- 法人保険や事業を取り巻くリスクに関する相談は「マネーキャリア」でしましょう
- 警備業では慢性的な人材不足が深刻な問題の一つとなっている