更新日:2023/07/27
旅行業において加入すべき法人保険と取り巻くリスクを徹底解説!
旅行業においては、バスツアー中のバス事故など、死亡事故に繋がるようなリスクがあります。旅行業においてそのような潜在的なリスクを回避・軽減するために保険に加入しておくことをおすすめします。また、保険に関する相談は、「マネーキャリア」をご利用ください。
内容をまとめると
- 旅行業には、需要減退リスク、業務上の賠償責任に関するリスクがある
- 旅行業で加入すべき損害保険は、旅行業賠償責任保険や個人情報漏洩保険などがある
- 事業のリスクや保険に関する相談は、「マネーキャリア」がおすすめ
- 事業再構築補助金など旅行業者が利用できる補助金や助成金を利用しましょう
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 旅行業者を取り巻く潜在的なリスクについて
- ①需要減退(発生頻度・中、リスク・大)
- ②業務上の賠償責任(発生頻度・高、リスク・小)
- ③個人情報の漏洩(発生頻度・低、リスク・中)
- 旅行業で実際に起きた事故事例
- 事例1:ツアー中のバス事故
- 事例2:アクティビティ中に後遺症が残る損害を負った事例
- 事例3:ツアー中に乗客を置き去りにしてしまった事例
- 旅行業を取り巻くリスクを回避・軽減する法人保険について
- ①旅行業者賠償責任保険
- ②個人情報漏洩保険
- ③D&O保険(役員賠償責任保険)
- 旅行業者が利用できる補助金や助成金について
- 観光関連事業者の連携促進による経営支援事業
- 事業再構築補助金
- まとめ:旅行業を取り巻くリスクと保険について
目次
旅行業者を取り巻く潜在的なリスクについて
企業経営に関するリスクマップ
この記事では、旅行業の経営を取り巻くリスクにはどのようなものがあるのかを解説していきます。その後に、旅行業において加入すべき法人向けの損害保険の紹介をしていきます。
上記に掲載しているマップはリスクマップと言います。事業が抱えるリスクを可視化してマップにしているものです。リスクが発生する頻度とリスクが経営にどのくらい影響を与えるのかの2つの軸で構成されています。事象を社会的経済的リスク、自然災害・事故リスク、経営リスクの3つのカテゴリに分類しています。
今回の記事では、以下の3つのリスクについて詳しく解説していきます。
- 需要減退(発生頻度・中、リスク・大)
- 業務上の賠償責任(発生頻度・大、リスク・低)
- 個人情報の漏洩(発生頻度・低、リスク・中)
①需要減退(発生頻度・中、リスク・大)
最初は、需要減退のリスクについて解説していきます。こちらのリスクの発生頻度は中程度ですが、リスクが経営に与える影響は大きいリスクになります。
2019年から流行した新型コロナウイルスの影響で国内、国外問わず旅行業の需要は大幅に低下しました。このような世界的な感染症だけでなく、経済状況、国内、国際情勢など様々な理由で需要は増減します。
企業が介入できない変数で、事業の経営に影響を与えるリスクには政府の支援制度や保険などでの対応が可能です。この後に保険については紹介していきます。
②業務上の賠償責任(発生頻度・高、リスク・小)
2つ目は、業務上の賠償責任のリスクについてです。こちらのリスクの発生頻度は、比較的高くなっていますが、リスクが経営に与える影響は小さいリスクになっています。
業務上の賠償責任とは、業務の遂行中に第三者や第三者のモノに損害を与えた場合に賠償責任が発生するというリスクです。旅行業ではバスツアー中の事故などによる損害賠償責任などがあります。
経営に与えるリスクは小さいですが、死亡事故になると多額の損害賠償に加え、社会的な信用の損失にも繋がるため、見逃すことの出来ないリスクの一つです。この後に事例で紹介します。
③個人情報の漏洩(発生頻度・低、リスク・中)
最後は、個人情報の漏洩リスクです。こちらのリスクは、発生頻度は比較的低いのですが、リスクが経営に与える影響は中程度のリスクになっています。
旅行業が取り扱っている個人情報は顧客の個人情報だけでなく、取引先の個人情報なども含まれています。そのためサーバのセキュリティ対策を徹底的に強化することは必須になります。
しかし、中小企業などであればサーバ強化にコストを割くことが難しいところもあるかと思います。そのような企業は最低限のセキュリティをした上で、もしもの事が起こったときのための保険に加入しておくことをおすすめします。個人情報の漏洩に適した保険の紹介はこの後に行うのでぜひご覧ください。
旅行業で実際に起きた事故事例
ここからは、旅行業で実際に起きた事故や損害の事例を紹介します。こちらの記事で紹介する事例は以下の3つです。
- ツアー中のバス事故
- アクティビティ中に後遺症が残る損害を負った事例
- ツアー中に乗客を置き去りにしてしまった事例
事例1:ツアー中のバス事故
最初に紹介する事例はツアー中にバスで移動している際に起こった事故に関する事例です。ここでは2つの事例を紹介します。
- パキスタンでのバス事故
- 台湾旅行中に正規ルートとは違う道で起きた事故
事例2:アクティビティ中に後遺症が残る損害を負った事例
続いて、アクティビティ中に後遺症が残る損害を負った事例を紹介します。スポーツ障害の中でも脳の障害などが残りやすいといわれるスキューバダイビングの案件です。
こちらの案件は先ほどの事例1で紹介した今後の争点となる安全性の確保が問われる訴訟になります。こちらの事故は、旅行業を経営している企業が直接手配したダイビングツアーで起こった事故になります。
結論として、原告が主張する内容は否定されました。理由としては、旅行会社は現地のダイビングスクールの従業員を管理できる関係性でないため責任を負う必要が無いためです。
今回のこちらの事例に関わらず「安全確保義務」をベースに、ツアーのアクティビティを担当する事業の適切な選び方、アクティビティ中のリスクアセスメントなどが適切に行われているかどうかで判断されることになります。
事例3:ツアー中に乗客を置き去りにしてしまった事例
最後はツアー中に乗客を置き去りにしてしまったことにより、2009年に裁判になった事例です。
トルコでのツアーに参加していた観光客がある観光地から次の観光地に移動する際に、置き去りにさ、現地に取り残された乗客が精神的ダメージを被ったとして旅行会社に損害賠償を請求しました。
旅行会社の従業員が現地に同行していたのですが、パッケージツアーに参加している乗客の人数確認を怠ったことにより起きた事故として旅行会社は責任を認めました。
責任を認めたことで旅行業を経営している企業には、損害賠償責任があるとして損害費用を支払うことを命じましたが、こちらの事例ではツアー参加者にも置き去りにされる原因がありました。
それは自由時間でないにも関わらず、ツアー客が勝手な行動を取っていたのです。そのためツアー客にも置き去りにされてしまう原因があったとして過失相殺5割の結果となりました。
旅行業を取り巻くリスクを回避・軽減する法人保険について
ここからは、旅行業を取り巻くリスクを回避・軽減するための法人向けの損害保険を紹介します。今回こちらの記事で紹介する損害保険は以下の3つになります。
- 旅行業者賠償責任保険
- 個人情報漏洩保険
- D&O保険(役員賠償責任保険)
①旅行業者賠償責任保険
まずは旅行業者賠償責任保険の解説をしていきます。旅行業者賠償責任保険とは、旅行業務の遂行に起因して発生した不測の事故について負う法律上の損害賠償責任を補償する保険のことです。
先ほど紹介した、ツアー中の置き去りに関する事例なども、業務遂行中の事故のためこちらの法人保険の補償対象となります。こちらの保険には施設・担保特約があります。
こちらの特約に同時に加入することで、以下のような対物・対人の事故にも補償が適応できるようになります。
- 旅行業者の事務所の看板の落下により通行人がケガをした
- 旅行業者が管理する事務所に来た客が転んでケガをした
②個人情報漏洩保険
2つ目は、個人情報漏洩保険についての解説をしていきます。個人情報漏洩保険とは、個人情報が漏洩した際に生じる、損害賠償や損害費用を補償する保険です。
個人情報漏洩保険では委託先で個人情報が漏洩した場合や、役員や従業員などが個人情報を持ち出した際に生じる個人情報の流出などを補償してくれます。
また個人情報の漏洩が発生した際の損害賠償だけでなく、同じような損害が発生しないようなコンサルティング対応の費用などもこちらの保険で補償することができます。
サイバー保険との違いを以下の記事で解説しているので、個人情報漏洩保険について詳しく知りたい方は以下からご覧ください。
③D&O保険(役員賠償責任保険)
最後はD&O保険(役員賠償責任保険)について解説していきます。D&O保険とは、会社役員としての業務の遂行に起因して、保険期間中に損害賠償請求がなされたことによって被る損害を保険期間中の総支払限度額の範囲内で支払いをする保険です。
自社だけでなく子会社を持っている企業については、子会社の役員の補償をすることも可能です。中小企業の経営者や従業員は、経営者や役員のリスクについて48.3%の方が深刻であると回答しています。そのためもしもの事があった時のために保険の加入は必要であると考えられます。
D&O保険について詳しく知りたい方は、以下の記事で解説しているのでそちらをご覧ください。
旅行業者が利用できる補助金や助成金について
ここでは、旅行業経営者が利用することができる補助金や助成金について解説していきます。期日などにより募集を締め切っている場合があるのでご注意ください。いくつかありますがここでは、2つ解説します。
- 観光関連事業者の連携促進による経営支援事業
- 事業再構築補助金
観光関連事業者の連携促進による経営支援事業
東京都では、東京都及び(公財)東京観光財団は、東京都内の旅行業者と観光関連の事業者とが連携し、その地域ならではの旅行商品を作成する場合に必要な費用の一部を補助する制度の「観光関連事業者の連携促進による経営支援事業」を実施しています。
こちらの補助金を受けることができる対象事業者は、都内の旅行事業者となっています。また対象となる事業は、観光関連事業者との連携により、地域の特色等を活かした特別な食事メニュー、体験型アクティビティなどを用意した新たな旅行ツアーまたはオンラインツアーの造成をしている事業になります。
補助金の上限額は、200万円とされており、4者以上の観光関連業者と連携する場合、300万円を限度としています。
事業再構築補助金
事業再構築補助金は、事業再構築補助金の総予算は2020年補正予算にて1兆円1,485億円、2021年補正予算にて6,000億円確保されており、過去に類を見ない非常にチャレンジングな補助金です。
2020年は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、事業モデルの転換や感染防止対策に取り組む中小企業に対して、転換の際にかかる費用の3分の2を補助し、1社当たり100万~1億円を給付するという補助金です。
多くの業界が対象となっているので一度問い合わせて確認することをおすすめします。
まとめ:旅行業を取り巻くリスクと保険について
ここまで旅行業を取り巻く潜在的なリスクとそれらのリスクを回避・軽減するための損害保険の紹介をしました。以下が今回の記事のまとめになります。
- 旅行業には、需要減退リスク、業務上の賠償責任に関するリスクがある
- 旅行業で加入すべき損害保険は、旅行業賠償責任保険や個人情報漏洩保険などがある
- 事業のリスクや保険に関する相談は、「マネーキャリア」がおすすめ
- 事業再構築補助金など旅行業者が利用できる補助金や助成金を利用しましょう