自殺の場合でも生命保険の死亡保険金がおりるケースがある?

自殺をし亡くなった場合、生命保険はおりるのでしょうか。保険法上では自殺の場合保険会社は保険金を支払う必要はないとされていますが、実際は保険会社ごとに対応は異なります。実は、自殺でも保険金がおりるケースがあるのです。今回は自殺と生命保険の関係を説明します。

自殺でも死亡保険の保険金はおりるの?

生命保険は、ご自分が死亡または高度障害状態になった場合に、受取人(家族)に保険金が下りる商品です。ご自分のまさかの事態に備え、家族の生活費や教育資金を保険金で賄うことが期待できます。


生命保険は非常に頼りになる保険商品といえますが、残念ながら自殺という形で保険金が下りることを望む人も後を絶ちません。


では、自殺でも生命保険はおりるのでしょうか。


実は自殺の場合でも生命保険から保険金がおりる場合があるのです。


そこで、この記事では「自殺でも生命保険の保険金がおりるかどうか」について、

  • 自殺で生命保険金が支払われるケース
  • 保険金目的かどうかを判断する保険会社の基準
  • 自殺にかわるいろいろな方法について

以上のことを中心に解説していきます。


この記事を読んでいただければ、生命保険に基本的知識と自殺の無意味さを知ることに役立つかと思います。


保険法上では「保険金は支払われない」

保険法上では通常、自殺による保険金は支払う必要がないと規定されています(保険法第51条第1号)。


しかしながら、保険契約者(被保険者)が自殺した場合でも、生命保険会社から現に保険金が下りるケースはあります。


生命保険(死亡保険)の目的が遺族の生活を守るためですから、一家の主人が自殺するといった場合に保障されないというのは間違っていると考えている保険会社が多いのではないでしょうか。


ただし、自殺をすれば受取人(家族)が、必ず生命保険会社から保険金を受け取れるわけではありません。


各生命保険会社は、自殺者のための対応マニュアル等を整備し、保険金の支払いについて判断基準を定めています。

自殺で保険金が下りるかどうかは、契約した生命保険社次第ということになります。

自殺で生命保険金が支払われる場合は?

自殺で生命保険金が支払われるケースは、最初から保険金目的で加入したわけではない、と判断できる場合があげられます。


こちらでは、自殺で生命保険金が支払われるケースを取り上げます。

保険金が目的ではない自殺の場合

生命保険を保険会社と契約した頃は、全く精神的にも問題なく健康体であった保険契約者(被保険者)が、その後、職場でのパワハラや人間関係に思い悩み自殺したという場合、保険会社は受取人に生命保険金を支払う場合があります。


明らかにこの場合ならば、パワハラや人間関係からの逃避のための行動であり、保険金目的とはいえないからです。

意思能力のない精神状態の自殺の場合

意思能力とは、自分の行為の結果を弁識し、判断できる精神的な能力をもつことを指します。この能力が期待できない状況に陥る状態に、うつ病などがあげられます。

うつ状態で自殺を選んだ場合、「精神的な病による病死」として保険会社は受取人に生命保険金を支払う場合があります。


ただし、この状態が保険契約の後ではなく、既に契約前から継続していた場合、生命保険金が下りることはまずありません。


生命保険契約を締結する前には、申込書の他、必ず「告知書」と呼ばれる書類の提出が求められます。


この告知書には、生命保険会社の所定の疾病にかかったことがあるかどうかについて、大抵どの保険会社でも質問項目として設定しています。


もちろん、この所定の疾病にはうつ病(うつ状態)も該当していることがほとんどです。過去に大きな病気やケガをしていなくとも、うつ病に該当した場合にはまず生命保険の加入は拒否されることになります。


うつ病を発症しただけで即座に生命に危険が及ぶことは無いですが、保険会社は契約当初から、自殺リスクの高い人の加入を認めることはありません。


そのため、保険契約者の中にはうつ病を偽って加入契約する場合があります。その事実が判明した場合には、「告知義務違反」とされ、保険事故(このケースでは本人の自殺)が起きても、生命保険金は下りません。


告知義務違反については「生命保険契約で告知義務違反をするとどうなってしまうのか徹底解説!」のほけんROOMの記事で詳しく説明しているので、気になる方はぜひチェックしてみてください。

自殺の免責期間(1年から3年)が終わっていた場合

免責期間とは、生命保険会社があらかじめ定めた期間内に保険事故が発生した場合、保険金が下りない期間を言います。


現在は自殺者が減っているとはいっても、毎年2万人を超える人々が自殺を選んでいます。


もしも、保険契約をしたらすぐに自殺の場合でも保険金が下りると設定されていたら、保険金目的で自殺を選ぶ人と契約してしまうリスクが高くなります。


そこで保険会社では自殺の免責期間(概ね1年~3年)を設けることで、保険金目的で自殺を選ぶ人との契約リスクを回避しているのです。


ただし、自殺の免責期間終了後に自殺したからといって、一律に受取人へ保険金が支払われるわけではなく、生命保険会社側も自殺等について調査を行います。


前述した告知義務違反に違反した場合や、自殺した本人が保険金目的で自殺したという事実が判明した場合、やはり保険金は下りません。

保険金目的かどうかを判断する保険会社の基準とは?

生命保険会社は前述したように保険法上、自殺に対して保険金を支払う義務がありません。


しかし、受取人側がそれに関して不満を露わにすることもあるでしょう。そのため、保険会社側は保険金目的の自殺を立証する必要があります。

保険金目的の自殺の定義は自殺をした本人が、


  1. 自分自身に生命保険がかけられていることを自覚し、
  2. 保険金を得る目的で、
  3. 自らすすんで命を断つ

ことです。


保険会社はこの定義を軸に、自殺の背景を調査し保険金目的の自殺か否かを判断します。

生活費に対する保険金の金額によって判断

疑わしいケースとしては、毎年、必要な生活費と比較して、生命保険金が不必要なほど大きな金額で設定されていた場合があげられます。


例えば、夫婦2人暮らしで子が無く、年間400万円くらいの生活費で足りているのに、保険金を1億5,000万円もかけている場合が該当します。


一方、保険金の額を1,000万円程度と設定し、一見適当な金額と解される場合であっても、この1,000万円の保険金を10数社と複数契約をしていたという場合も、非常に不自然で保険金目的の自殺が疑われてしまいます。


また、自殺直前に受取人がいきなり変更されている等、何らかの保険契約の変更がある場合にも、保険金目的の自殺が疑われてしまいます。


なぜなら、事前に保険契約を変更する等、周到な計画性が判断されるときには、保険金目的の自殺の準備と考えられるからです。

遺書などを基にするお金に関する問題

遺書の内容もやはり保険金目的かどうかを判断する手掛かりと言えます。人間関係等のトラブルや、うつ状態で自殺を望む場合は、この原因に言及した遺書をのこすはずです。


しかし、しきりにお金についての内容を記載してある場合には、保険金目的での自殺を疑われる要素と言えます。

生命保険金はどのくらいの期間で支払いがされるのか?

生命保険金は例えば保険契約者(被保険者)が病死等、死因が明白な場合なら、受取人の請求書類が到着した日の翌日より5営業日くらいに、生命保険金が支払われます。


ただし、次のような確認が必要である時は、生命保険金の支払までおよそ45日以上を要する場合があります。


  • 死亡保険金の支払理由発生の有無の確認が必要な場合
  • 死亡保険金の支払が免責事由に該当する可能性がある
  • 告知義務違反に該当する可能性がある
  • 約款に定める重大な事由、詐欺または不法取得目的に該当する可能性がある

保険金目的の自殺でなくても、生命保険会社は相当慎重な調査を行うものと考えられます。すぐに保険金が受け取れることはまず無いでしょう。

保険金目的の自殺はダメ。自己破産などの方法も考えましょう。

保険金目的の自殺を含め、いかなる自殺も肯定されるべきものでありません。

自殺する本人は良くても、残された家族や友人・知人の喪失感は、はかり知れないものとなるでしょう。


そこで金銭的にご自分が行き詰ってしまったら、次のような方法を考えましょう。

方法1:生活保護

経済的に困窮する人に対して、国・自治体が、健康で文化的な最低限度の生活を保障する公的扶助制度です。


生活保護の効果

生活保護の申請が認められると、飲食物費、光熱水費、移送費などが支給される生活扶助、けがや病気で医療を必要とするときの医療扶助等が受けられます。


ただし、借金が難しくなる、貯金の制約、マイカーを持つことが困難という制約もあります。


生活保護の手続きの流れ

  1. 事前相談:お住まいの地域を管轄する福祉事務所(生活保護担当)で相談します
  2. 生活保護の申請:必要書類を福祉事務所に提出します。
  3. 福祉事務所による調査:家庭訪問等による生活状況を把握するための実地調査、預貯金や保険、不動産等の資産調査、仕送り等の援助があるかどうか調査、就労の可能性の調査等行われます。
  4. 保護費の支給
  5. 生活保護の受給対象となった人は、収入の状況を毎月申告
  6. 福祉事務所ケースワーカーの訪問調査(年数回)

方法2:自己破産

財産を手放して債務(借金等)を免除してもらうことです。裁判所へ破産を申し立て、それが認められると全ての債務を免除してもらうことが可能です。

自己破産の効果

全ての債務を免除してもらえますが、ご自分の社会的信用を失うことにかわりがなく、お金の借り入れが5年~10年は不可能になります。


また、借金が増えたそもそもの原因が遊興費、ギャンブル等の場合は、破産法において当人の免責は不許可となります。また、財産を隠して返済を免れようとする場合も同様です。


自己破産の流れ

  1. 法律の専門家へ相談:いきなり裁判所へ破産を申し立てる前に、自己破産に詳しい弁護士等の法律専門家に相談しましょう。また、法テラスを利用し、無料法律相談を受けてから行動を起こしても構いません。
  2. 裁判所へ自己破産申立:必要書類を裁判所へ提出します。また、即日裁判官と面接が行われます。
  3. 破産手続開始決定:面接の当日に決定され、免責審尋期日も決定されます。
  4. 免責審尋:再び裁判官との面接を行います。
  5. 免責許可決定:免責審尋を行ってから1週間程度で免責許可の決定通知が送付されます。
  6. 免責確定:免責許可決定から1ヵ月を経過することで、法的に免責が確定します。


自殺の場合の生命保険金についてのまとめ

自殺でも死亡保険の保険金はおりる場合について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。 


今回の記事のポイントは、 


  • 自殺で生命保険金が下りる場合がある
  • 生命保険金が受取人よりの請求された場合、保険会社ではより慎重な調査がなされる
  • 生活の保護の活用や自己破産を行い、保険金目的の自殺は抑えることができる

でした。


確かに、生命保険を契約した際に設定した保険金は魅力的かもしれません。自分が死んでも家族は金銭的に困らないだろうとも思うことでしょう。


しかしながら、保険金目的の自殺は安易で無責任な考え方です。ご家族にとってその死は、金銭的負担以上に、将来までずっと精神的な重荷となって残り続けることでしょう。


ご自分がその重荷を家族に背負わせたくないのなら、どんな状況であっても生き抜くべきです。

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