労災から支給される死亡保険金「遺族補償給付」はいくらもらえる?

労災により死亡した場合、死亡保険金として遺族に「遺族補償給付」や「葬祭料(葬祭給付)」が支給されます。死亡保険金は遺族の生活を支える大切な給付金なので、労災の遺族補償給付の種類や支給金額、受給できる資格などについてしっかりと理解しておきましょう。

労災死亡事故で遺族に支給される死亡保険金はいくら?

労災事故で配偶者や家族を亡くしたとき、悲しみも深いですが、もしもまだ小さなお子さんがいたりした場合、これからの生活も心配となることでしょう。


そこで、労災事故で死亡した方の遺族には、「死亡保険金」として、労災保険から支給される年金などがあることをご存知でしょうか。


この記事を読んでいる方の多くは、旦那さんなどが亡くなり、かなしみにくれながらも今後の生活費のことを考え、「旦那の死亡保険いくら?」「旦那の交通事故死の保険金はどのくらい?」といったことを知りたいと思っているでしょう。


労災保険から支給される死亡金などがあること、そして労災保険の制度を知っていることで、万が一のときにきちんと対応できるかと思います。


この記事では、

  • 労災保険とは
  • 労災保険から支給される遺族補償給付と葬祭料について
  • 労災保険の給付額
  • 労災保険の受給資格と失権について
以上を中心に解説していきます。


この記事を読んでいただいたら、労災保険で支給される遺族補償について知っておきたい・知りたい方のお役に立てるかと思います。


ぜひ最後までご覧ください。

そもそも労災保険とは

みなさんも、『労災保険』という言葉を一度は耳にしたことがあるかと思います。


労災保険は、“健康保険”、“介護保険”、“年金保険”、“雇用保険”と同じく、社会保険の一つとなります。


そしてこの労災保険とは、労災事故で受け取れる保険のことです。


労災事故とは、仕事中または通勤途中に事故や災害に遭い、ケガをしたり病気になったり、身体に障害が残ってしまったり、最悪の場合死亡してしまうことです。


そのような場合には、遺族補償金として労災保険から死亡保険金などの保障が受けられる制度となっています。


事故や災害に遭った被保険者が社会復帰する際の援助をしたり、被保険者の遺族に死亡保険金として援助を行ったりもします。


労災保険も健康保険同様、医療に関係する保険ではありますが、労災保険と健康保険の違いは以下になります。

  • 労災保険・・・仕事中または通勤途中のケガなどが対象
  • 健康保険・・・仕事中または通勤途中に負ったケガではないケガや出産、仕事に関係しない病気などが対象
以上のように、医療機関にかかる際に受けられる制度が異なりますので、労災保険と健康保険の違いを頭に入れておきましょう。

労災保険からは死亡保険金として「遺族(補償)給付」「葬祭料(葬祭給付)」が支給される

労災保険には、仕事中または通勤途中で被保険者が死亡する事案が発生した場合、その遺族は被保険者の死亡時にもらえるお金として、死亡保険金を受け取ることができます。


この労災保険から支給される『死亡保険金』には、2つの給付金があります。


それは、

  • 遺族(補償)給付
  • 葬祭料(葬祭給付)
以上の2つです。

それでは、死亡保険金であるこの2つの給付金について解説していきます。

遺族補償給付には「遺族補償年金」「遺族特別年金」「遺族特別支給金(一時金)」がある

遺族が相続する『遺族補償給付』にはさまざまな支給金があります。

まず、「遺族補償年金」「遺族特別年金」とは労災事故にて死亡した遺族に支払われる年金のことです。


そして「遺族特別支給金(一時)」とは、「遺族補償年金」「遺族特別年金」の受給者に対して支払われる一時金のことです。


このように、遺族補償給付には遺族の生活をサポートするための給付金がありますが、これらを受給するためには、遺産相続のように、亡くなったあとに行う手続きが必要となります。


手続きの詳細は、被保険者が勤めていた会社や労働局へお問い合わせください。

遺族が葬祭を行った場合に葬祭料(葬祭給付)が支給される

労災保険の死亡保険金のうちの一つである『葬祭料(葬祭給付)』とは、被保険者が仕事中または通勤途中に事故などに遭い死亡し、その遺族が葬祭を行った場合に支給される給付金のことです。


この葬祭料(葬祭給付)の給付内容は、315,000円に給付基礎日額の30日分を加えた額、もしくは給付基礎日額60日分のうち、どちらか高い金額が給付されることになります。


給付基礎日額とは、例えば死亡した被保険者が月に30万円を給料として受け取っていた場合、給付基礎日額は1万円ということになります。


ですので、この被保険者の遺族が受け取れる葬祭料(葬祭給付)とは、315,000円+(1万円×30日分)の方が給付基礎日額60日分より高い金額なので、615,000円ということになります。


そして葬祭料(葬祭給付)を請求する際には、死亡診断書・死体検案書・検視調書など、被保険者の死亡事実と死亡日時を証明できる書類の提出が必要となります。


さらに、この葬祭料(葬祭給付)を受給するには時効があり、被保険者が亡くなった翌日から2年を過ぎると、葬祭料(葬祭給付)受給資格は時効となり、請求することができなくなります。

支給額が足りない場合は「遺族補償年金前払い一時金」を利用できる

もしも一家の大黒柱が仕事中での事故などで死亡した場合、残された家族は当面の間の生活費のことも心配になることでしょう。


そして、死亡保険金として遺族補償年金が支払われるようにはなりますが、その受給開始前にまとまったお金が必要であるという遺族の方は、『遺族補償年金前払い一時金』という制度を利用することができます。


この遺族補償年金前払い一時金では、給付基礎日額の1000日分を上限として、200日分、400日分、600日分、800日分から受給額を選び受給することができます。


遺族補償年金前払い一時金が支給された場合、『遺族補償年金』は前払い一時金の金額が選択した日数に達するまで支給停止されます。


前払い一時金と、遺族補償年金は同時に受け取れません。


注意が必要なのは、遺族補償年金前払い一時金を受給したいときは、遺族補償年金の請求時に、前払い一時金請求も同時に行わなければなりません。


ただし、遺族補償年金支給開始の通知があった日から1年以内であれば、年金受給後でも前払い一時金の請求をすることができます。


遺族補償年金前払い一時金の請求は一度だけしかできませんので、本当に前払いが必要な時に請求するようにしましょう。

労災保険の遺族補償給付はいくらもらえる?

労災保険の死亡保険金を受け取ることになった場合、その補償額はいくらくらいになるのでしょうか?


配偶者や家族を労働災害で亡くし、悲しみとともにこれからの生活についても不安を感じることでしょう。


そこで、ここでは遺族補償給付の補償額について解説していきます。



遺族補償給付は遺族の数に応じて異なり、遺族特別支給金は一律300万円が支給される

遺族補償給付のうち、『遺族補償年金額』は年金の受給権者と受給権者と生計を同じくしている受給資格者を合わせた人数によって算出されます


遺族補償給付の年金額は、以下の表のようになります。

人数
一人
給付基礎日額の153日分
ただし、55歳以上または一定の障害がある妻の場合は175日分
二人
給付基礎日額の201日分
三人給付基礎日額の223日分
四人給付基礎日額の245日分


遺族補償年金を受給できる受給者・受給資格者とは、被保険者が死亡した当時、その収入で生計を維持されていた配偶者・子・父母・祖父母・兄弟姉妹となります。


しかし、配偶者以外の者は、被保険者死亡当時に一定の年齢であるか、一定の障害状態であるかで受給資格が認められます。


そして『遺族特別支給金』の支給額は300万円で、遺族補償年金の受給権者に対して支払われます。

遺族補償年金と厚生年金の遺族厚生年金等を受給する場合は併給調整される

配偶者や家族が業務中の事故で亡くなった場合には、遺族側へ労災保険から『遺族補償年金』が支給され、さらに厚生年金・国民年金から『遺族厚生年金』や『遺族基礎年金』も支給されるようになります。


ただし、遺族厚生年金や遺族基礎年金は満額で受給することができますが、労災保険と厚生年金・国民年金から遺族年金を受給する場合、『遺族補償年金』は減額されます


遺族年金を併給した場合の遺族補償年金の減額率は以下のようになります。

  • 遺族厚生年金・遺族基礎年金ともに受給できる・・・0.80
  • 遺族厚生年金のみ受給できる・・・0.84
このように、遺族年金の併給となる場合には遺族補償年金は減額されてしまいますが、その際、労災保険単独での年金受給額を下回ることになれば、その分は補填されます。

また、遺族年金はいつまでもらえるかと言うと、遺族基礎年金は子どもが18歳に達するまでとなり、遺族厚生年金は終身で受け取ることができますが受け取る際の条件もありますので、受給開始時に確認が必要です。

労災保険の遺族補償年金を受給できる資格は?失権するのはどんなとき?

労災保険から支給される遺族補償年金は、どのような方が受け取ることができるのかご存知でしょうか。


そして、遺族補償年金の受給資格者はその権利を失権することがあるのかについて、ここでは

  • 遺族補償年金受給資格者とは
  • 遺族補償年金の受給権利失権について
以上について解説していきます。

遺族補償年金を受給できる資格

遺族補償年金受給資格者のうち、実際に遺族補償年金の受給が受けられるのは以下の者になります。

  • 妻・60歳以上または障害のある夫
  • 18歳に達してから最初の3月31日までにある子・障害のある子 
  • 60歳以上または障害のある父母
  • 18歳に達してから最初の3月31日までにある孫・障害のある孫 
  • 60歳以上または障害のある祖父母 
  • 18歳に達してから最初の3月31日までにある兄弟姉妹・60歳以上または障害のある兄弟姉妹 
また、55歳以上65歳未満の夫・父母・祖父母・兄弟姉妹は60歳に達するまで死亡保険金である遺族補償年金の支給は受けられません。

遺族補償年金の受給権は死亡したり婚姻したりすると失権する

遺族補償年金の受給資格者が以下の状態になった場合、その受給権は失権することとなります。

  • 死亡した
  • 婚姻した(内縁関係も含む)
  • 直系血族または直系姻族以外の者の養子となった(事実上の養子縁組関係も含む)
  • 養子縁組関係を解消し、死亡した被保険者との親族関係が終了した
  • 子・孫・兄弟姉妹の場合、18歳になりはじめての3月31日に達した
  • 障害があり受給資格者となっていたが障害がなくなった
以上のように、遺族補償年金の受給資格者の状態に変化があった場合には受給権が失われ、死亡保険金は支払われなくなります。

そして他の同順位受給資格者がいない場合には、次の順にの受給資格者が遺族年金を受給することになります。

注意!加害者や会社に損害賠償をすると「労災保険の支給停止」や「賠償金の減額」の可能性がある

労災保険とは、死亡保険金の請求となるので、遺族が希望すれば請求するかしないかは自由です。


また、配偶者や家族が出張中や現場での作業中などの仕事中の事故、または通勤途中に交通事故死した際、その死の原因に加害者がいる場合には、その加害者や会社に対して損害賠償請求をすることができます。


しかし、労災保険の死亡保険金と損害賠償の賠償金は重複して受け取ることはできません。


例えば、まず労災保険から死亡保険金の受給を開始させると、死亡保険金を受給するにつれて「賠償金額」は減少していきます。


そして、先に加害者や会社から賠償金を受け取っている場合、その賠償金に含まれる逸失利益に相当する金額に達するまで、最長7年間の間、労災保険の死亡保険金支給は停止となります。

労災保険から支給される死亡保険金「遺族補償給付」のまとめ

労災保険の死亡保険金である遺族補償給付について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。


今回のこの記事のポイントは、

  • 労災保険から遺族に対してさまざまな補償金が支払われる
  • 遺族補償年金受給者が死亡したり婚姻した場合にはその受給権を失う
  • 労災保険の死亡保険金と賠償金は重複して受け取ることはできない
以上です。

大切な配偶者である旦那や妻、そして家族を労働災害で亡くすことはとてもつらく、悲しいことです。

しかし、このように労災保険などでは遺族に対して遺族年金などが支給されるため、どのような制度かを今一度確認しておくことで、万が一のときにもスムーズに手続きをすることができます。

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この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、保険相談や選び方のポイントを伝える「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

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