生命保険の受取人が血縁のない他人でも可能?その仕組みを徹底解説

生命保険の受取人を第三者(他人)とすることが可能な場合があります。しかし、生命保険会社の厳しいチェックをクリアしなければなりません。また生命保険契約を締結できたとしても、第三者(他人)が受取人となる保険金には、法定相続人よりも重い税負担があります。

生命保険の受取人に第三者(他人)を指定できるのか

生命保険の受取人に第三者(他人)を指定することは可能な場合があります。ただし、生命保険会社の厳しいチェックを受け、受取人の指定を認めてもらう必要があります。
  • 生命保険契約は保険契約者の自由?

保険契約者を被保険者とする生命保険に加入したい場合、「自分で責任を持つ!」という気持ちがあるなら、どのような方を受取人とするかは本来保険契約者の自由と言えます。

しかし、生命保険契約を締結したい場合は、一方的に意思表示をするだけでは契約は成立しません。


  • 生命保険会社の意思も重要!

生命保険契約の成立には生命保険会社の同意も必要になります。

生命保険会社は、保険契約者で被保険者でもあるご自身が「受取人を第三者(他人)にしたい!」と、強く要求しても、ご自身と受取人がどのような親しい間柄なのか客観的に把握することができません。

生命保険会社からすれば「なぜ受取人をこの方にするんだろう?」と疑問を持たれ、契約の締結に難色を示すことになります。

生命保険契約は、保険契約者と生命保険会社の合意で成立するため、生命保険会社にも契約を拒否する権利があるのです。


一般的な生命保険の受取人の範囲

戸籍上の配偶者、2親頭内の血族が基本

生命保険各社とも、若干の差異はありますが原則として受取人の範囲は以下のように定めています。
  1. 戸籍上の配偶者
  2. 2親等以内の血族

「戸籍上の配偶者」とは、ご自身が伴侶となる彼または彼女と共に、婚姻届を市区町村役場等に提出し、受理された上で戸籍簿に記載された方を指します。

日本では法律婚主義を採用しており、前述した婚姻届の提出が要件となります。

この過程を経て戸籍簿に記載された情報をもとに、生命保険会社が客観的にご自身と婚姻関係を結んだ方との間柄を把握します。





一方、「2親等以内の血族」とは、保険契約者であるご自身の父母や子(1親等)、祖父母や兄弟姉妹と孫(2親等)を指します。

こちらの2親等以内の血族も戸籍簿に記載されているため、ご自身との間柄が容易にわかります。


2親等以内の図

2親等以内の図


生命保険会社から提出書類として、戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)を求められるのは、戸籍簿に記載されているご家族の情報を客観的に把握したいからなのです。

複数の受取人の指定もOK

生命保険の受取人は、一人だけしか指定できないわけではありません。

通常、指定できる受取人の範囲内で、複数の人を指定することもできます。

複数人を指定する方法としては、例えば子(兄・弟)2人を指定する場合、兄には〇〇%、弟には△△%というように生命保険金の割合で決めます。

実は第三者(他人)でも生命保険の受取人になれる場合がある

「生命保険信託」という制度を知ろう

生命保険の受取人を第三者(他人)にすることは、生命保険会社によっては可能な場合もあります。

ただし、条件が各社ともバラバラで、「このような条件がそろえばどんな生命保険会社でも100%加入できる!」という決め手となる判断基準が存在しません。

つまりは、各社それぞれが決めた基準と裁量が加入の可否を決定します。

そのため、保険契約者は第三者(他人)でも受取人と認めてくれる生命保険会社を個別に探すことになります。

一方、最近では新たな「生命保険信託」という商品が登場しました。


  • 生命保険信託とは?

信託制度とは、ご自身が信頼できる方(信託銀行等)に財産を預け、ご自身が指定する財産を受け取る人のため、財産管理行為や処分行為等をご自身の代わりにしてもらう制度です。

生命保険信託は、生命保険金についてこの制度を利用し、契約者であるご自身が受取人や受け取り方法を指定できる信託商品です。


  • 生命保険信託の特徴

契約者が受取人を指定できるため、契約者の戸籍上配偶者や2親等以内の血族に限らず、第三者(他人)やNPO法人、学校法人のような公益団体を選ぶこともできます。


  • 生命保険信託の仕組み

まず契約者が生命保険会社と生命保険契約を締結し、その後、信託契約を信託会社と締結します。

信託契約の締結後に受取人を第三者(他人)や公益団体等に変更します。

保険事故が発生したら、信託会社が生命保険金を請求し、生命保険会社は信託会社に生命保険金を支払います。

そして信託会社は支払われたお金を管理・運用します。

なお、生命保険会社の中には新たに管理型信託子会社を設立し、費用の削減や手続きの簡略化を進めている会社もあります。


生命保険信託の仕組み

生命保険信託の仕組み

ほとんどの場合は不可である

ただし、生命保険信託に前向きな会社は、いわゆる大手の生命保険会社、大手の信託会社のごく一部であり、信託商品も非常に限られています。

そのため、ご自身の契約したい生命保険会社や信託会社が、現時点で生命保険信託に対応ができているかを確認する必要があります。

つまり、生命保険信託の一番の課題はこの制度の普及がまだまだ進んでいないことが挙げられます。


現在、信託を行っているのは、プルデンシャル生命保険と第一生命保険の2社となっております。

第三者(他人)の受け取りには税金がかかる

税金の種類と課税方式を知っておく

生命保険を幸いにも締結でき、生命保険金が第三者(他人)に支払われることになったとしても、当然その受け取りには税金がかかります。

  • 第三者(他人)へ生命保険が支払われた場合は遺贈とみなされる

保険契約者と被保険者が同一の場合、受取人が相続人以外の方であるときは遺贈により取得したものとみなされます。




  • 第三者(他人)の受取人は非課税枠が使えない

受取人が法定相続人(妻や子等)である場合は、生命保険金の非課税枠を使えます。つまり、「500万円×法定相続人の数」を超えた部分が課税されます。


さらに妻の場合は1億6000万円までは税金がかかりません。

一方、第三者(他人)は法定相続人ではないので非課税枠は使えず、相続税率で算出した相続税額分と相続税額の2割加算分を加えた額を納めなければなりません。

例えば、1000万円の生命保険金がご自身が指定した第三者(他人)に下りるとした場合、まず相続税率は10%なので100万円の相続税に、2割加算分である100万円×0.2=20万円を加えた合計120万円の相続税を支払う必要があるのです。



  • 税の軽減は残された法定相続人への生活保障のため

このように法定相続人と法定相続人以外の方で課税負担が異なるのは、生命保険金を含めた財産は本来残された妻や子等の生活を保障するためのもので、その負担はできるだけ軽減されるべきと考えられているからと言えます。

それにもかかわらず、法定相続人ではない人に生命保険金が渡ることは、妻や子等の法定相続人の生活保障という意味合いが薄れてしまうので、より多く課税されてしまうことになります。

まとめ

ご自身が生命保険金の受取人として希望する第三者(他人)は、ご自身の親族とよりも深い絆で結ばれているのかもしれません。

しかし、生命保険会社がその絆の深さを推し測ることが出来ない以上、第三者(他人)の方を受取人にすることに難色を示すことは当然と言えます。

また、昨今では保険金詐欺や保険金殺人が社会に衝撃を与え、生命保険会社側はこの様な事件を未然に防ぐために、受取人に対し厳しいチェックを講じているものと考えられます。

最近では、第三者(他人)を受取人とできる生命保険信託という新しい仕組みが登場しましたが、まだまだ一般化していると言えるほど広く普及していないのは事実です。

ご自身が納得のいく生命保険や信託商品を見つけるためには、やはり個別に生命保険会社や信託会社を回り窓口で相談しながら決めていくのが、地道ではありますが確実な方法であると言えます。

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