終身保険のデメリットとは何?9つのデメリットを詳しく解説!

終身保険は、加入すれば一生涯にわたり保障が継続する保険です。しかし、メリットがある反面、デメリットも存在し、保険料が高額な点、保険の見直しが難しい点などが指摘されています。終身保険に加入する場合には、これらのデメリットを把握しておくことが大切です。

終身保険の9つのデメリットとそれに対する対策を全て解説!

終身保険は、加入すれば一生涯にわたり保障が継続する保険です。保障期間が限定されているわけではないので、ご自分が解約したり、亡くなったりしない限り手厚い保障が約束されています。

一方で、終身保険にはデメリットもあり、保険料が高い、保険の見直しが難しい、早期に解約すると損をする可能性が高い等、加入の際に注意しなければならない点があります。


そこで今回は、終身保険のデメリットとその対策について説明します。




デメリット1:掛け捨て保険と比べて、保険料が割高

終身保険は一生涯保障が続くので、生命保険会社とって被保険者が亡くなれば死亡保険金を必ず支払う義務が発生します。

そのため、保険料は高額になります。生命保険会社が扱う保険商品にもよりますが、死亡保険金を500万円で契約した場合、定期保険は毎月の支払保険料が1,000円~3,000円程度ですが、終身保険では毎月の支払保険料が10,000円を超えてしま場合があり、支払う保険料にかなりの差が出ます。


確実に保険金が下りるという意味では被保険者や遺族にとって安心ですが、加入を希望する場合は高額な保険料に見合った保障内容かをしっかりと確認し、損か得かを判断する必要があります。


終身保険と定期保険の違いについての詳細は以下の記事をご参照ください。

生命保険の貯蓄型(終身保険)と掛け捨て型(定期保険)の違いは何?

対策:解約返戻金がある分、保険料が割高であるという仕組みを理解しよう

終身保険の保険料の高さについてですが、終身保険は貯蓄型の生命保険とも言われています。つまり、死亡保険金を受け取るだけでなく貯蓄目的で加入が想定されている保険です。

一方、定期保険は、保障期間が終われば1円もお金が戻ってこない掛け捨て型がほとんどの生命保険です。


もっとも、貯蓄型も、掛け捨て型も保障部分に保険料がかかっているのは同じですが、終身保険の場合、保険料は死亡保障と貯蓄分を合わせて支払うことになります。そして、この貯蓄分を生命保険会社が運用していくわけです。


終身保険では、保障期間の途中で解約しても、約返戻金としてお金が戻りますが、この戻ったお金は貯蓄分ということになります。


終身保険の場合は、保障分+貯蓄分を保険料として支払っていくため、保険料が割高になってしまうのです。

デメリット2:終身払いの場合、長生きリスクがある

終身保険の保険料を払い込む方法に、「終身払い」というものがあります。これは、被保険者が亡くなるまで保険料を支払い続ける方法を言います。


亡くなるまで支払が継続するため、毎月の保険料は安いですが、長生きすればするほど保険料を支払う必要があります。


そのため、加入契約者が年金収入しかない場合に貯蓄が減少し、保険料が安くとも予想外の負担になってしまうおそれがあります。

対策:月々の保険料の負担は増えるが、短期払い(有期払い)にする

長生きリスクを回避する方法としては、契約の際に10年払いや60歳満了という払込期間が定められている支払いかたを選びましょう。


毎月の保険料は高くなりますが、払込期間が満了すればその後、保険料を支払うことなく保障が一生涯継続することになります。

デメリット3:早期解約すると元本割れするリスクがある

終身保険は、解約した際に解約返戻金が受け取れますが、解約の時期にかかわらず、これまで支払った保険料の全額が戻るとは限りません。


特に終身保険は早期に解約してしまうと大きく損をするデメリットがあります。まだ保険へ加入して間もない時期に解約するなら最小限の損失で抑えられますが、数年経ってから解約をしたい場合、それなりに多額の保険料を支払っている状態となっています。


貯蓄目的で契約し、その後に解約して高額な返戻金を期待するには、返戻金が既に支払った保険料を上回るまで解約を待つべきでしょう。


解約返戻率については、契約の際に生命保険会社から取得した「保険のしおり」等でその一覧を確認することができます。解約返戻率の一覧表を参考に解約するタイミングを判断しましょう。

対策:払い済み保険、契約者貸付制度、自動振替貸付制度などを利用しよう

早期解約による元本割れのリスクを最小限にするためには次の方法も有効です。


○払い済み保険

現在の保険に積み立てられているお金で一括払いをして変更する保険を言います。終身保険の場合は、一生涯保障の金額はダウンしてしまいますが、保険料の払込を終えたことになります。


また、解約返戻金に関しては増え続けることになります。貯蓄目的でかつ、保険料の支払いを抑えたい方に適した方法といえます。


○契約者貸付制度

こちらは、契約している終身保険の解約返戻金の一定範囲内で、貸し付けを受けて保険料の支払いが滞ることを防ぐことができる制度です。


この制度は、支払いが滞ってしまい早期解約しなければならないリスクを軽減することを目的とします。


ただし、貸付である以上、生命保険会社所定の利息が付き、その分も返済する必要があります。


○自動振替貸付制度

解約返戻金の範囲内で、支払保険料を自動的に生命保険会社が立て替え、保険契約を有効に継続させる制度です。こちらも支払が滞り早期解約するリスクを軽減する制度です。


生命保険会社によって立て替えられた保険料には、所定の利息がつきます。加入契約者は立て替えられた保険料と利息分を返済する必要があります。

デメリット4:特定の期間だけ死亡保障を手厚くしたいニーズに応えられない

終身保険は一生涯保障が続きますが、保障内容自体もやはり一生涯変わることはありません。そのため、特定の期間だけ死亡保障を手厚くしたいという場合、十分にそのニーズへ対応できないことがあります。


例えば、ご家族の大黒柱である働き盛りのサラリーマンが加入契約者(被保険者)である場合、収入は多いものの、子供の教育費の支出も多い時期には、加入契約者(被保険者)に万が一の事態が起きた場合に多額のお金が必要です。


それに備え、働き盛りの時期には大きな死亡保障を確保したいものです。しかし、数千万円単位の死亡保険金で加入契約しようとしても、毎月支払う保険料がかなり高額になってしまいます。

対策:定期保険特約付き終身保険を検討しよう

特定の期間だけ死亡保障を手厚くしたい場合には、定期保険特約付き終身保険への加入を検討しましょう。


この保険は、終身保険部分は一生涯保障ですが、特定の期間だけ保障を手厚くしたい場合には、特約部分の定期保険で、より高額な死亡保障を確保するように設定することになります。


この保険の加入の仕方としては、一般的に主契約で数百万円の終身保険を設定し、特約で数千万円の定期保険を設定して、特定期間の保障を充実させます。


定期保険特約付き終身保険の詳細については以下の記事をご参照ください。

【定期保険特約付終身保険】の解約返戻金の仕組みをわかりやすく解説

デメリット5:インフレリスクがある

現在、生命保険会社が取り扱っている終身保険の多くは、死亡保険金・解約返戻金があらかじめ固定されている「積立利率固定型」となっています。


積立利率固定型は固定金利に近いタイプであり、将来的にもらえる金額が明確でわかりやすいことが特徴です。ただし、このタイプにはインフレに対応できないというデメリットがあります。


インフレになると物価が上がりますが、その分、物を買う際にはより多くのお金が必要となります。つまり、物価が上がることでお金の価値は下がってしまいます。


これを積立利率固定型の終身保険にあてはめると、将来もらうお金の価値が低下し実質的に損をしてしまうことになります。これが「インフレリスク」と呼ばれるものです。

対策:インフレリスクが怖い方は、積立利率変動型終身保険を検討しよう

インフレリスクが心配な場合は、「積立利率変動型終身保険」に加入を検討しましょう。積立利率変動型終身保険とは、市場の動向により死亡保険金・解約返戻金が変動する保険です。


インフレが起きた場合には、生命保険会社は積立利率を見直し、死亡保険金・解約返戻金が増えるように調整するので、実質的に損してしまうリスクが軽減されます。

デメリット6:終身保険に限らないが、保険会社が破綻するリスクがある

生命保険会社も民間企業である以上、経営が破たんするリスクは0ではありません。終身保険は一生涯継続するので、加入を継続している間に、契約している生命保険会社が破綻してしまう可能性も無いとは言い切れません。

対策:加入前に保険会社のソルベンシーマージン率が200%を超えているか確認しよう

ソルベンシー・マージン比率とは、生命保険会社の経営状態を判断する指標の1つです。まずは、契約している生命保険会社のソルベンシー・マージン比率が200%以上であるかを確認しましょう。


ただし、200%以上であれば絶対に経営破綻しないというわけではありません。この比率が200%を超えていながら、過去に経営破綻した生命保険会社も残念ながら存在します。


生命保険会社が大丈夫であるかどうかは、ソルベンシー・マージン比率の他に、専門の調査会社が生命保険各社の財務力を分かりやすく指標した「格付け」を参考にしたり、当該保険会社に関するネット等での口コミ、評判等も加味したりして、多様な視点から判断する必要があります。

デメリット7:現在はマイナス金利なので、昔と比べて予定利率が低く貯蓄性が低い

現在の日本は、マイナス金利により終身保険の返戻率も大きく上昇するという状況は見込めません。

死亡保険金の確保を目的に加入する場合、通常の終身保険は手厚い保障が期待できますが、解約して高い利益を得たい方にとっては不満が残る状況といえます。

対策:低解約返戻金型終身保険や、高金利な外貨を用いるドル建て終身保険を検討しよう

終身保険に返戻率の高さを望む場合には、次のようなタイプの終身保険を選ぶことを検討しましょう。

○低解約返戻金型終身保険


この保険は、保険料を全額払い込むと大幅に解約返戻率が上がることが特徴です。そのため、タイミングを見計らい解約をすることで多額の解約返戻金が受け取れます。


ただし、この保険では保険料を払い込んでいる期間中の解約返戻率が非常に低く、早期解約の場合に大きく損をしてしまいます。


○ドル建て終身保険


こちらは、高金利な外貨による運用で高い返戻率が期待される終身保険を言います。予定利率が円建てより高めに設定され、保険料も割安なのが特徴です。


ただし、この保険は為替変動の影響を受け、受け取り金額が大きく変わってきてしまうことに注意が必要です。


為替が変動するのは、国内・海外の経済が単に好況であるか不況であるかだけではなく、重大な環境破壊、大規模自然災害、戦争、テロによっても大きく変動します。


ドル建て終身保険を契約する場合には、国内・海外の好不況のみならず、前述した深刻な事態もリスクの一つとして認識する必要があります。

デメリット8:終身保険の解約返戻金には税金がかかり、贈与税となると特に税負担が大きい

解約返戻金で大きな利益を得たとしても、受け取った金額によっては、課税対象になる場合があります。


解約返戻金が贈与税になってしまうと税負担が大きくなってしまいます。こちらでは課税対象となる税金の種類を説明します。

対策:自分の契約ではどのくらい税金がかかるかを事前に確認しておこう

解約返戻金を一時金で受け取るときに課税される税金は次の通りです。

〇所得税(一時所得)

こちらは、加入契約者と受取人が同一人物のときに課税される可能性があります。解約返戻金の総額が特別控除額である50万円を超えたときに課税対象となります。


[計算式]


{解約返戻金(総額)-払込保険料(総額)-特別控除額(50万円)}×1/2=課税対象の金額


〇贈与税

加入契約者と受取人が異なるときに課税される場合があります。解約返戻金の分だけではなく、他に贈与された分を含めた年間の贈与総額が、基礎控除額(110万円)を超えたときに課税対象となります。

デメリット9:定期保険と比べて、保険の見直しがしずらい

終身保険の支払保険料が割高で重い負担となり、とても継続して保険料を払えないというケースがあることでしょう。


そこで、支払保険料がかなり安い定期保険へ新たに加入することも、保険を見直しする方法としては有効です。


ただし、終身保険は解約返戻金があっても、前述したように解約すれば必ず支払った保険料全額が戻るとは限りません。


解約の時期によってはわずかな返戻金しか受け取れず、大きく損をしてしまうおそれがあります。そのため、終身保険では解約のタイミングに戸惑ってしまい、契約見直しが難しいというデメリットがあります。

対策:保険の見直しはプロFPに相談しよう

どうしても見直しをしたい場合には、加入後にできるだけ早く見直しをして、保険料をそんなに支払っていない段階で解約を行う、または、ご自分が解約しても支障が無い解約返戻率になるまで待つことも一つの方法です。


なお、ご自分で決断するばかりではなく、保険の見直しはプロFPに相談しながら行うことも有効です。新たに生命保険に加入する場合、ご自分にとってどんな保険内容が必要なのか、現在加入している保険を解約するベストなタイミング等を、アドバイスしてもらうことが期待できます。

まとめ:終身保険の9つのデメリット

ここまで終身保険の9つものデメリットとその対策について解説してきました。

終身保険は一生涯の保障が継続する反面、加入する際に多くの注意しなければならない点がありました。

終身保険はメリットもあればデメリットもあるのですが、その特徴をしっかりと把握し、対策することでデメリットを軽減し、メリットを活用していくことが可能になります。

生命保険は必要なの?と疑問をお持ちの方はぜひこちらをお読みください。

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