ドル建て終身保険完全ガイド、この保険に入るべきかがわかります

ドル建て終身保険は、文字通り保険料や保険金がドル建ての終身保険です。通常の円建て終身保険と比べて、何が違うのか、そのメリットやデメリットは何か、どういう人に向いているのか等、ドル建て終身保険について、まるごと解説します。

外貨で運用、ドル建て生命保険の仕組みやメリット・デメリットを解説

ドル建て終身保険は、ドルで運用される終身保険だということは、その名から容易に判断できるでしょう。


しかし、理解が浅いままドル建て終身保険に加入して失敗したという人もいます。


日本円の代わりに通貨がドルになるだけで、一般の終身保険とは想像以上の違いがあるからです。


ドル建て終身保険の仕組みからメリット・デメリットまで、わかりやすく説明しますので、最後までお読みいただき、正しい加入判断にぜひ活かしてください。

ドル建て終身保険の特徴と仕組み

ドル建て終身保険は、どのような仕組みや特徴があるのでしょうか。

保険料・運用・保険金の支払いがすべてドルで行われる

アメリカで、終身保険に加入することをイメージしていただければわかりやすいと思います。

アメリカですから、円は通用しません。保険料はドルで支払う必要があります。


また、死亡した場合に支払われる死亡保険金ももちろんドルです。


保険会社はドルで預かった保険料を運用しますが、わざわざ円に換えて運用するはずはなく、預かったドルをそのまま運用します。


アメリカに行って終身保険に加入すればこうなりますが、日本において、これと同じ条件で終身保険に加入するのが、ドル建て終身保険ということになります。

保険料や保険金は日本円でも支払い・受け取りが可能なことも

しかし、いきなり保険料をドルで払ってくださいと言われても、既にドルを持っている人なら別ですが、持っていない人は、日本円をドルに換える必要があります。

それを、毎月保険料を支払うたびに行っていたら、面倒で大変です。


また、死亡保険金が支払われる場合、ドルで支払われても、外貨の扱いに慣れていない人は戸惑ってしまいます。


このような不便を回避するため、実際には保険の手続き上、保険料を払う際は日本円で支払い、それを保険会社側でドルに換えたり、死亡保険金の支払い時も、ドルで支払われる代わりに、あらかじめ保険会社側でドルを日本円に換えた上で、日本円で保険金が支払われるという取扱が可能な保険会社もあります


これなら、ドル建て終身保険への加入のハードルも、かなり下がりますね。

ドル建て終身保険のメリット

ドル建て終身保険への心理的なハードルが少し下がったところで、ドル建て終身保険にはどのようなメリットがあるのか、ご紹介したいと思います。

予定金利が円建て終身保険よりも高い

ドル建て終身保険の一番大きなメリットは、円建て終身保険よりも予定利率が高いことです。


予定利率の目安として金融庁が公表している利率を標準利率といい、日本の保険会社各社は、この標準利率を参考にして、自社の予定利率(契約者に保険会社が約束する運用利回り)を決めます。


2018年の標準利率は0.25%なのに対し、ドル建て終身保険の予定利率は高いもので3%もあります。

予定利率が高いと何が良いのか


予定利率は、保険会社が契約者に対して、契約期間中の運用について、あらかじめ約束する利回りです。

予定利率が高い場合、保険会社としては運用益がたくさん出ることを前提に保険料を算定するため、割引が大きく、結果として保険料が安くなります


また、保険料が安くなることにより、解約返戻金に対する保険料の割合が低くなり、解約返戻率は高くなります


予定利率が高いことによるメリットを整理すると、保険料が安くなること、解約返戻率が高くなり貯蓄性が高まることの2点が挙げられます。

資産を複数の外貨に分散することができる

日本人であれば、保有している資産の多くは円建ての資産のはずです。

言うまでもなく、国内の経済は日本円で回っているので、意識的に円建ての資産を外貨に変えない限り、外貨が資産に占める割合が高くなることはありません。


ほとんど円建ての資産の場合、円安になると円の価値が下がってしまいます。


海外のものを輸入したり、海外旅行や海外移住で外貨で支払う場面が多いケースを考えてみましょう。


海外で2万ドルの自動車を買うのに、1ドル100円であれば200万円で済むところが、円安になって110円になるだけで220万円になってしまいます。


ドル建て資産を持つ意味


そのような場合、すでにドルを持っていたらどうでしょうか?


日本円をドルに換えて2万ドルを払うのではなく、すでに持っているドルの中から2万ドル払えば、このような問題はなくなります。


例えば、円建て資産とドル建て資産を同額持っていれば、円高になろうとドル高になろうと、為替のリスクはなくなるということになります。


ドル建て終身保険もドル建て資産のひとつですから、資産を日本円とドルに分散することで、為替リスクを減らす効果があります。

円建てと同じく、生命保険料控除の対象となる

ドル建て終身保険も、円建て同様生命保険料控除の対象となります

ただし、円建てと少し違うのが、ドル建ての場合、保険料を日本円に換算する必要があるということです。


生命保険料の控除証明書は、各保険会社から年末が近づくと送られてきますが、実はその控除証明書が発行された時点では、まだ支払っていない月の為替レートは確定していません。


未払い分は「見込み額」


もう少し細かく説明すると、控除証明書記載の保険料は、その年の1月~12月までの保険料総額です。


控除証明書が発行されるのは、各社だいたい10月以降であるため、9月までの保険料は既に支払われていて円ベースでの金額も確定していますが、それ以降はまだ支払いが行われていないため、保険料の円ベース金額は確定していません。


このため保険会社では、10月~12月の保険料は、9月の換算レートを使って「見込み額」として、控除証明書に記載しています。


見込み額と実際の金額に差があった場合はどうなるのかということですが、基本的に一般生命保険料控除は4万円が上限ですから、保険料が月払の場合は月額約3,333円が上限ということになります。


ドル建て終身保険の実際の加入例で、月額3,333円(約30米ドル)より金額が小さい契約はほとんどないため、現実的に見込み額と実際の金額の差は問題にならないようです。

ドル建て終身保険のデメリット

ここまでドル建て終身保険のメリットをお伝えしてきましたが、メリットだけではなくデメリットもあります。

ドル建て終身保険への加入を検討する場合は、このデメリットもしっかり理解した上で判断しましょう。

円建てでも同じだが、早期解約すると損をする

ドル建て終身保険に限りませんが、早期解約をすると、払込保険料よりも解約返戻金が下回り、損をします。

例えば、メットライフ生命のドル建て終身保険「ドルスマート」を例にとって、ご説明します。


【加入例】

保険契約者:30歳男性、保険料払込期間:15年払込満了、保険金額:100,000USドル、月払保険料:238.40USドル、積立利率3%


経過年数払込保険料総額積立利率3%の場合の解約返戻金
積立利率4%の場合の解約返戻金
3年8,5835,6275,733
5年14,30410,99311,299
10年28,60825,72327,397
15年42,91241,58045,406

経過年数が3年では、払込保険料総額が8,583ドルであるのに対し、積立利率が3%の場合、解約返戻金は5,627ドルで、解約返戻率を計算すると65.56%となります。


積立利率が4%でも、解約返戻金は5,733ドルしかありません。


10年経過しても、払込保険料総額が28,608ドルであるのに対して、積立利率3%の場合の解約返戻金は25,723ドルと、解約返戻率は100%に届きません。


15年経過してやっと、積立利率4%の場合、解約返戻率が100%を超えます。


このように、契約後けっこうな年数が経過しないと、解約した場合損をします


円高時にドルから円に換金すると損をする

たとえば、解約返戻金として5万ドル受け取れるとして、1ドル100円であれば、日本円では500万円受け取ることができます。

しかし円高になって1ドル90円の時に5万ドル受け取る場合は、日本円では450万円となり、50万円損することになります。


解約返戻金であれば、できるだけ円安に振れるタイミングで受け取れるよう、受け取る時期を考慮することも可能な場合はありますが、死亡保険金の場合はいつ保険金支払いが発生するか予測がつかないため、タイミングを図るのは困難です。

両替の際に為替手数料が毎回かかる

金融機関によってパーセンテージは異なりますが、ドルと日本円を交換する際には、必ず為替手数料がかかります。

例えば、為替保険料を払う時には、日本円をドルに換える必要があり、それには1ドルにつき0.5円~1円といった為替手数料がかかります。


両替のたびに為替手数料がかかりますから、保険料の支払が多ければ多いほど、手数料もかかることになります。


保険料の支払には、月払、半年払い、年払いといった払い方がありますが、月払にすると1年に12回支払いが発生し、そのたびに為替手数料をとられます。


手数料を低く抑えるためには、月払を年払いにするなど、支払回数を少なくすることが大事です。


また、円高のときに日本円をドルに換えておき、それをドル口座にキープしておいて、ドル建て終身保険の保険料は、そのドル口座からドルで支払うようにすれば、為替手数料を節約することができます。

外貨投資の知識がないと商品についてよくわからない

外貨や為替についての知識がないと、なかなかドル建て終身保険について理解できないと言うのも、ドル建て終身保険のデメリットです。

円建てであれば、その保険が得なのか損なのか判断しやすいですが、ドル建て終身保険の場合は、通常の終身保険に関する知識に加えて、為替差損益を考慮する必要があります


また、将来的に円高基調なのか円安基調なのかという判断も、ドル建て終身保険を活用するには不可欠の知識ですが、そのような知識や相場観などを身に着けるのは、それほど簡単なことではなく、結果的にドル建て終身保険はハードルが高いものになりがちです。

ドル建て終身保険に向いている人


メリット・デメリットのご紹介をしてきましたが、どのような人がドル建て終身保険に向いているといえるでしょうか?

外貨投資知識がある人

外貨の投資について知識があるという人であれば、ドル建て終身保険の仕組みの理解も容易ですし、為替のトレンドの読みや分散投資を通じて、ドル建て終身保険を上手に活用しメリットを最大限引き出すことが可能なので、おすすめだと言えます。

余剰資金での運用を考えていたり、分散投資をしたい人

ドル建て終身保険は、円建ての保険と比べて、リスクは大きいですが、リターンも大きいです。

ハイリスクハイリターンとまでは言えませんが、リスクは考慮しておく必要があります。

このため、虎の子の資金をドル建て終身保険につぎ込むと、期待とは反対の結果が出た時に対処ができなくなる可能性がありますが、余剰資金であれば、かりに期待した成果が上がらない場合でも、人生設計が狂うほどのダメージは受けません


また、現在円建ての資産がほとんどで、分散投資をしたい方にもおすすめです。


ドル建て終身保険に向いていない人

それでは、ドル建て終身保険に向いていない人とは、どのような人でしょうか。

安定志向の人

資産運用でリスクを冒したくないという人は、あまりドル建て終身保険には向いていません

ドルベースでは、予定利率が契約時には決まっていて、解約返戻金や保険金額も確定しているためリスクはありませんが、それでも円高に振れた場合の為替のリスクは付きまといます。


為替の変動にいちいち振り回されるのは嫌だという人には、ドル建て終身保険は向いていません。

決まった保険料を支払い、決まった保険金を受け取りたい人

「あらかじめ決まった金額の保険料を毎月払って、万が一のことがあった場合には、あらかじめ決まった金額の保険金を受け取りたい」

「いったん加入した生命保険について、あれこれ余計なことを考えたくない」


という人にも、ドル建て終身保険は向いていません。


ドル建て終身保険は、為替レートの変動によって、円ベースで支払う保険料は毎回違いますし、受け取る保険金も、為替によって円ベースの受取金額は変わってきます

まとめ

ドル建て終身保険は、一般的な終身保険の保険料、保険金、解約返戻金がすべてドルベースになった終身保険です。

ドル建てで一番大きなメリットは、何といっても予定利率が円建ての3倍と高いことにあります。


予定利率が高いため、円建て終身保険と比べて、保険料が安いですし、解約した場合の解約返戻率も高くなります。


また、ドル建ての資産を持つことになるため、結果として分散投資になるのも、ドル建て終身保険に加入するメリットと言えます。


いっぽう、デメリットもあります。


最大のデメリットは、保険金や解約返戻金を受け取る際に円高だった場合、受取金額が目減りすることです。


ドル建て終身保険は、こういったメリット・デメリットをよく理解出来て、上手に活用できる人にとっては、大変優位性のある保険です。


外貨建て保険をご検討中の方は、こちらのサイトもチェックしてみてください。

この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

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