生命保険の受取人変更は可能?受取人変更の注意点・手続きを徹底解説

結婚や離婚、受取人が認知症もしくは死亡した場合など、生命保険の受取人を見直す必要があります。生命保険の受取人変更は、保険期間内はいつでも変更可能です。遺言書での変更も可能です。ただ、スムーズな受取人変更の手続き・必要書類や保険金にかかる税金には注意が必要です。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

生命保険の受取人変更はいつでも可能なのか?

保険契約者となり生命保険に加入した際に、受取人を指定しますが、その後の事情の変化により受取人を変更したい場合もありますよね。

例えば、生命保険の保険金受取人を両親としていて、その後に結婚や離婚をし受取人を配偶者に変更したい場合、また、保険金の受取人が認知症となった場合や死亡した場合など、受取人変更の必要性が高い場合もあります。


被保険者(保険の対象となっている人)の同意があれば、この様な場合でも、保険契約者は保険会社に通知し受取人変更を行うことができます。


ただし、その場合には変更の手続きを行う事はもとより、受取人に一定の制約があること、保険金が支払われる際に課税される税金が異なってくることもあります。


そこで、この記事では、

  • 生命保険の受取人変更をするために必要な手続き・必要書類
  • 受取人変更に伴い変わる税金の課税方式について
  • 変更先の受取人の制限や条件について
の内容について詳しく解説していきます。

また、契約者が死亡後、遺言書でも受取人変更ができるのかどうかに関しても触れていますので、最後まで読んでトラブルのない契約者変更ができれば幸いです。


生命保険の受取人変更の手続きをするために必要なこと

生命保険の受取人変更には、必須の同意確認と生命保険会社への申請・手続きが必要です。


手続きがスムーズに進まないこともありますので、しっかりチェックしておきましょう。

保険契約者と被保険者の同意が必要

保険契約者は、保険期間中であればいつでも受取人の変更をすることが可能ですが、被保険者の同意が必要です。


保険契約者と被保険者が同じ方であるなら受取人の変更は容易ですが、保険契約者と被保険者が別の方で、お互い離れて暮らしていて連絡が取りづらいような場合には、手続きが思うように進まないことがあります。


特に離婚して受取人変更が必要、という場合には要注意です。


また、契約者が原因で受取人変更がスムーズに手続きできないような場合、同意されあれば、委任状を発行すれば、委任代理人が手続きをすることもできます。

その他必要な手続き・必要書類

受取人を被保険者の同意を得て変更できるとしても、生命保険会社としては、どのような方が受取人となるかを把握していなければ、保険金をスムーズに支払う事が困難となります。


そこで、受取人を変更する際には以下の書類が必要な場合があります。

  1. 名義変更請求書
  2. 保険証券

名義変更請求書は、保険会社へ受取人の変更をしたい旨を連絡すれば書類を郵送してくれます。


請求書に変更内容を記載します。押印する欄がある場合には印鑑を準備します。ただし、契約時に届出をした印鑑で押印しなければいけない場合が多いので注意が必要です。


保険証券は、生命保険契約の成立とその内容を証明する書類のことです。保険証券は契約している生命保険の証券番号で照会するために使用します。


実は保険証券は必ずしも必要ではありませんので、紛失してしまったという場合は問い合わせましょう。


なお、保険会社によっては、保険契約者の本人確認書類(運転免許証等の写し)等、追加の書類の提出が必要になる場合があります。


参考保険会社:日本生命・第一生命・かんぽ生命・住友生命・アフラック・JA共済

契約変更の手続きは保険会社によって違いがあります。 

WEBでできる保険会社が増えていますので、もしWEB登録されている方は暗証番号なども思い出しておきましょう!

生命保険の受取人変更すると課税方式が変わる?

生命保険金(死亡保険金)を受け取る時に課税方式が変わりますので、当然ですが、保険金の受取人変更をした時点で課税されることはありません。


また、医療保険などの給付金に当たるものは、非課税となる場合も多いので、受取人の税金方式を気にしなくて良い場合もあります。

今回は、死亡保険金を想定し、契約者・被保険者・保険金受取人の関係と課税の種類についてまとめています。


課税方式のパターンは、以下のような3つのケースが考えられます。

死亡保障金にかかる税金の種類

契約者:夫、被保険者:夫、保険金受取人:子供

保険契約者と被保険者が夫となり、被保険者(夫)の相続人である子供が生命保険を受け取った場合は、相続税の課税対象となります。


これは、保険金受取人を妻にした場合や、子供と妻の両方を受取人にした場合でも相続税が課税されます。


このケースで生命保険を受け取る場合の計算方法は、生命保険金(死亡保険金)の内、非課税枠をマイナスし、税額速算表に基づき税率をかけます。

非課税分=500万円×法定相続人の数
課税対象=死亡保険金ー非課税分
相続税額=課税対象×税率


なお、保険金受取人が配偶者の場合は相続分の財産が1億6,000万円まで非課税です。


税率や計算方法の詳細に関しては生命保険文化センターに具体例が載っていますので、「死亡保険金に相続税がかかる場合の具体例は?」をチェックしましょう。

契約者:妻、被保険者:夫、保険金受取人:妻

保険契約者と受取人が妻の場合、夫が亡くなり受け取る死亡保険金は一時所得として所得税・翌年の住民税の課税対象となります。


このケースで死亡保険金を受け取る場合は、死亡保険金総額から、既に支払った保険料を差し引いき、さらに50万円(特別控除分)引いたものを一時所得とみなし、これに1/2を掛けた金額が実際の所得税の課税対象とされる金額となります。

一時所得=死亡保険金ー支払い済み保険料ー50万円
課税対象=一時所得×1/2
所得税額=(一時所得の課税対象金額+その他の所得の課税対象金額)×税率


その他の所得には、給与所得や雑所得などがありますので、それぞれで計算したのち、税率をかけて所得税額が決まります。


一方で、翌年の住民税にも影響します。

一時所得の課税対象をその他の所得の課税金額と合わせて、各都道府県・自治体の税率に従い計算します。


契約者:妻、被保険者:夫、保険金受取人:子供

契約者である妻以外の子供が受取人となっている場合は、贈与税の課税対象となります。


このケースで生命保険を受け取る場合は、1年間に死亡保険金を含めた贈与の総額から110万円(基礎控除分)を差し引いた金額が課税されます。

課税対象=死亡保険金ー110万円
贈与税額=課税対象×税率


詳細な贈与税額の計算方法は国税庁の「贈与税の計算と税率(暦年課税)」を参照ください。


変更先の受取人の制限・条件

生命保険の受取人変更をする場合は、誰でも指定できるわけではありません。


生命保険各社とも保険金受取人として指定できる範囲を制限しています。


これは、保険金詐欺や保険金殺人のような犯罪・事件が起きないようにするためです。

受取人は配偶者および2親等以内の血族

受取人は基本的には、配偶者及び2親等以内の血族となります。


2親等以内の血族とは、親・子供(1親等)、祖父母・兄弟姉妹・孫(2親等)を指します。


2親等以内の図

2親等以内の図


ただし、2親等以内の血族の方がいない場合など、やむを得ない理由がある場合には、3親等内の血族(おじ・おば・甥・姪)でも指定できる保険会社もあります。

内縁関係(事実婚)でも受取人にできる場合がある

内縁関係(事実婚)では法律上の婚姻関係は発生していないので、内縁関係の男女は法律上の夫婦とは言えません。


保険金の受取人は血族の方でないと指定するのは難しいため、基本的には内縁関係の男女はお互いを受取人とできません。


ただし、一部の保険会社では、内縁関係にあっても独自の判断基準を満たせば、受取人に指定できる場合があります。


概ね以下のような判断基準があります。

  • 内縁関係の男女とも独身であること
  • 同居の有無と年数
  • 今後、結婚の予定があるか否か

なお、保険会社によっては更に詳細な判断基準が定められています。

死亡保険金の受取人は複数・空欄でも可能

死亡保険の保険金受取人は、受け取りの割合を設定して複数人を指定することも可能です。

「配偶者と子供を受取人としたい」、「子供がたくさんいるので複数指定したい」という時に、受取人の欄の横に氏名と割合(××%)と指定します。


また、受取人の欄を空欄にすることも可能です。この場合、法定相続人が受け取ることになります。

ただ、贈与税の対象となるので、空欄にするのはあまり得策ではありません。

生命保険の受取人変更は遺言書でも死亡後でも有効

遺言とは、被相続人の死後の財産分与等を定めるための最終意思表示を言います。この遺言を記載した書面が遺言書です。


生命保険の受取人変更は遺言書でも可能です。 

ただし、遺言書を作成したからと言って必ず受取人変更が認められるというわけではありません。 


遺言による受取人変更が認められるためには、有効な遺言書として法的効力を持っていることが必要です。

遺言書は法的効力を持っている必要がある

遺言書には主に、被相続人自らが遺言書の作成方式に従い自筆して作成する「自筆証書遺言」と、公証役場で公証人に作成してもらう「公正証書遺言」があります。


被保険者が死亡後、有効な遺言書と認められるためには、自筆証書遺言の場合、家庭裁判所で「検認」という手続きを経なければならず、公正証書遺言の場合は、証人2名以上の立ち会いのもと作成されなければなりません。

支払われる前に変更する必要がある

生命保険会社は受取人変更手続きが終了しない間は、現時点での受取人(旧受取人)に死亡保険金を支払えば、責任を免れることになります。


変更手続きを終了する前に既に支払われてしまった保険金を、変更して受け取るはずだった方(新受取人)が取り戻したい場合は、生命保険会社にではなく、既に支払いを受けた受取人(旧受取人)に、引き渡しを求めなければなりません。


受取人変更は保険期間中ならいつでも問題ありませんが、保険期間後(死亡後)であるとどうしようもならない場合があります。


変更手続きを怠って後日トラブルの原因とならないように、余裕を持って手続きを行いましょう。

まとめ:保険金の受取人変更の注意点を理解できましたか?

今回は保険の受取人変更の注意点についてまとめてきました。


主に重要なポイントとしては、

  • 死亡保険金の受取人変更は、保険契約者と被保険者の同意があれば、保険期間中にいつでも何度でも保険会社に通知でき、手続きができます。
  • 死亡保険金の受取人によって、課税対象の税金が所得税・相続税・贈与税と異なります。
  • 死亡保険金の受取人の範囲には2親等以内の血族に限られますが、内縁関係の同居人でも設定できる条件もあります。
  • 死亡後、被保険者による遺言書でも変更が可能です。

結婚・離婚による受取人変更、さらには受取人が死亡した場合、受取人が認知症になった場合など、理由は様々あるとは思いますが、トラブルのないようにスムーズに変更の手続きができれば良いですね。


生命保険の受取人変更が完了したら、保険証券を新しいものに変えるために再発行するか、受取人変更の通知書を保険会社に申請すると良いかと思います。

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