更新日:2020/05/09
地震保険料控除とは?確定申告書の書き方や控除額の計算法を解説
地震保険料控除の申請は通常、確定申告や年末調整で行います。しかし、初めての方などは控除申請のやり方が分からない方も多いかと思います。そこで今回の記事では、地震保険料控除申請の流れと必要書類の書き方、そして地震保険料控除制度について詳しく解説していきます。
目次を使って気になるところから読みましょう!
地震保険料控除を受けるための確定申告ってどうやるの?
地震による被害を保障するために地震保険に加入したものの、確定申告のやり方が分からず調べられていることでしょう。生命保険や個人年金保険とは別に「地震保険料控除」を受けられると理解は知りつつ、手続きに面倒くささや、煩雑さに不安を覚えている方もいらっしゃるかもしれません。
生命保険と同じく、自動的には保険料控除を受けられるわけではないので、忘れずに年末調整や確定申告が必要です。
この記事では、
- 地震保険料控除の確定申告や年末調整の具体的なやり方
- 手続きに必要な「地震保険料控除証明書」の入手方法
- 手続きにおいて気を付けるべきポイントは?
について、詳しく解説します。
一度実施してしまえば、毎年同じように実施するだけなので簡単です。必要なポイントに絞ってお伝えするので、サクッと理解してしまいましょう。
結論:確定申告時に地震保険料控除証明書を提出する!
結論からお伝えすると、地震保険料控除手続きは、
- 確定申告や年末調整申告書の「地震保険料控除記載欄」を記入
- 「地震保険料控除証明書」を1.の申告書と一緒に持参または郵送
の2点です。難しいのでは?と心配されていた方も、手続き自体はシンプルなので安心できるでしょう。
まず、以下申告書の「地震保険料控除」記入欄へ必要事項を記入します。
- 確定申告:「確定申告書」
- 年末調整:「給与所得者の保険料控除申告書」
なお、記載内容は保険証券や各種証明書で確認できます。うっかり間違えてしまうと、税務署から差し戻され再度申請手続きが必要となりますので、慎重に記入しましょう。
次に、申告書と地震保険料控除証明書を一纏めにして管轄の税務署へ持参・郵送します。ここで注意したいのは、申告対象年の証明書を正しく添付することです。
地震保険料控除証明書はどこで手に入る?
「地震保険料控除証明書」は、加入している損害保険会社から各年10月ごろに自宅へ送付される書類です。
証明書の提出時期は、
- 年末調整は11~12月
- 確定申告は2月中旬~3月中旬
なので、証明書が届いてから実際に提出するまでには、少し期間が空きます。提出までは大切に保管しておくことが注意すべきポイントです。ただし、万が一紛失してしまった場合も、再発行が可能です。
また、保険会社に登録されている自宅住所へ送付されますので、転居している場合は忘れずに保険会社へ住所変更の手続きをしておきましょう。
契約初年度と2目以降で違うこと
長期契約をしたときは初年度に全契約期間の保険料を一括払いします。
この場合、初年度分の保険料を記載した「地震保険料控除証明書」が、保険証書と一緒に送られてきます。
送られてきたとき保険証書の方ばかりに気をとられ、「地震保険料控除証明書」も入っていることを忘れてしまいがちですので気をつけましょう。
二年目以降は毎年10月頃に「地震保険料控除証明書」のみが送られてきます。
参考:団体で契約してる場合
会社などに勤務している人は会社を介して地震保険に団体加入している場合もあります。
保険会社は保険料が支払われた証明書を会社に送っていますので、会社が年末調整をしてくれます。
したがって、個人がしなければならないことはありません。
地震保険料控除証明書を無くしてしまった場合は?
「地震保険料控除証明書」は送られてきてから、確定申告をするまで半年近くの期間がありますので、紛失してしまうことも珍しくありません。
そのときは保険会社に連絡すれば再発行をしてくれますので、確定申告の時期が近づいたら「地震保険料控除証明書」があるかどうかを確認しましょう。
「地震保険料控除証明書」再発行は申し込みをすれば約1週間くらいで届き、またそのときの手数料はかかりません。
地震保険料控除証明書の書き方
地震保険料控除を申告する方法は、前述のように年末調整と確定申告があります。
年末調整で申告するときは勤務先が配布する「給与所得者の保険料控除申告書」を書いて勤務先に提出します。
確定申告で申告するときは「所得税及び復興特別所得税の確定申告書」を書いて税務署に提出します。
ここではそれらの書き方を解説します。
年末調整の場合
地震保険料の合計額と旧長期傷害保険料の合計額を「給与所得者の保険料控除申告書」の下記の式に入れて控除額を求めます。
地震保険料の合計額+旧長期傷害保険料の合計額=地震保険料控除額
ただし、それぞれの額には限度額があるので注意してください。
- 地震保険料の合計額:最高50,000円
- 旧長期傷害保険料の合計額:最高15,000円
- 地震保険料控除額:最高50,000円
あとは生命保険料控除額など必要なものを記入して、勤務先に提出します。
確定申告の場合
地震保険料控除は確定申告と年末調整どちらに出すべき?
保険料控除を受ける場合、確定申告と年末調整の2つの方法がありますが、どちらに出すべきでしょう。
自営業やフリーランスの人は、年末調整がないため確定申告をして出します。
給与所得者は、確定申告・年末調整のどちらでも出すことができますが、確定申告をする必要のない人は、年末調整で行う方が簡単です。
また、退職後に再就職していない人は、年末調整ができないために確定申告をする必要があります。
地震保険料控除とは?
現状まだ地震保険への加入率が低く、国として加入率を上げるために、地震保険に加入すれば所得税が安くなる政策を行っており、それが地震保険料控除の制度です。
地震保険料は所得から差し引かれる費用になりますので、所得が減り所得税が安くなるという仕組みです。
地震保険料控除の解説の前に、確定申告のおさらいを簡単にしておきましょう。
確定申告とは1年間の所得を申告して所得税の額を確定することです。
先ず、「収入」と「所得」の関係は
「所得」=「収入」-「必要経費」
となります。
日常においては収入と所得は混同しがちですが、違いを理解しておく必要があり、「必要経費」とは収入を得るために要した費用のことです。
次に「課税対象となる所得」とは
「課税対象となる所得」=「所得」ー「保険料・控除額等」
となります。
「保険料・控除額等」とは所得の中でも所得税の対象とならない費用のことで、社会保険料、医療費、生命保険料、地震保険料、扶養控除、基礎控除などがあります。
「課税対象となる所得」に所得税率をかけると納めるべき所得税額が算出されます。
地震保険料は「保険料・控除額等」になりますので、申告すれば「課税対象となる所得」が少なくなり、所得税額も少なくなります。
地震保険料控除の計算方法とは
旧長期損害保険料の場合は?
旧長期傷害保険とは平成18年12月31日以前の契約で、満期返戻金があり保険期間が10年以上で、平成19年1月1日以降に保険料の変更を伴う契約変更をしていない傷害保険です。
毎年保険会社から送られてくる「地震保険料控除証明書」に地震保険か旧長期傷害保険かの区分が記載されていますので、容易に分かります。
旧長期損害保険の保険料控除額は下表のとおりです。
支払い保険料額 | 控除額 |
---|---|
10,000円以下 | 全額 |
10,000円を超え 20,000円以下 | 保険料額×0.5+5,000円 |
20,000円超え | 15,000円 |
旧長期傷害保険料と地震保険料の両方がある場合、まず旧長期傷害保険料の控除額を前述により算出します。
それに地震保険料をたして、50,000円以下であれば全額が保険料控除額になります。
ただし限度控除額は50,000円となります。
たとえば、地震保険料が40,000円、旧長期傷害保険料が12,000円だった場合を考えてみましょう。
旧長期傷害保険料の半額である6,000円に5,000円をたして控除額は11,000円。
さらに地震保険料40,000円をたすと51,000円となります。
しかし限度額を超えてしまうので最終的な控除額は50,000円となります。
初年度に五年分払ったら五年分の控除をその年にもらえる?
5年の長期契約をし、初年度に5年分の保険料を一括して支払った場合、その年に5年分の保険料控除が受けられるのでしょうか。
長期契約で一括払いした分を1年でまとめて受け取ることはできません。
そうではなくて、1年分ずつ毎年控除が受けられる制度になっており、1年分の額は「地震保険料控除証明書」に記載されて、毎年10月頃に送られてきます。
参考:確定申告や年末調整で地震保険料控除証明書を出し忘れたら
まとめ:年末調整か年末調整で地震保険料控除の申請をしよう!
地震保険料控除の確定申告・年末調整方法を解説しました。税務手続きで専門用語も多いので、苦手意識があったり面倒だったりと、ついつい後回しにしてしまいがちですが、一度やり方を覚えてしまえば、毎年の手続きなので機械的に実施できるでしょう。
この記事のポイントは、
- 地震保険料控除は、確定申告・年末調整時に申告書記入と証明書提出が必要
- 手続きに必要な地震保険料控除証明書は、保険会社から毎年10月ごろに送付される
- 確定申告・年末調整で保険料控除を忘れてしまった場合も、過去5年分は「更正の請求」や「還付申告」で遡って控除を受けられる。
でした。
地震保険料控除の税制優遇を正しく利用するために、確定申告・年末調整の手続きは忘れず、正確に実施できるようにしましょう。
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