地震保険の建築年割引とは何?割引率とその他の割引について解説!

地震保険の建築年割引を利用するすると、保険料はいくら安くなるのでしょう。建築年割引の利用価値を知る人は少ないです。実は、建築年割引は地震保険の割引制度の1つであるのをご存知ですか。今回は、地震保険の建築年割引の割引率や申請時の必要書類などを詳しく解説します。

地震保険の建築年割引とは?


2019年1月に多くの地域で地震保険の保険料が改定され、特に値上がりした地域の方は、少しでも保険料を抑えたいと思うのではないでしょうか。


地震保険の建築年割引で保険料を10%抑えることができるかもしれません。


そこで、この記事では「地震保険の建築年割引」について、

  • 建築年割引の詳細
  • 建築年割引の申請方法
  • 地震保険におけるその他の割引
  • 地震保険の保険料が決まる基準
  • 保険料を安く抑える方法

以上のことを中心に解説していきます。


この記事を読んでいただければ、地震保険に加入する際の割引申請のコツをマスターでき、保険料を抑えられること間違いなしです。


ぜひ最後までお読みください。

建築年割引は地震保険の割引制度の一つ

地震保険に加入する際、建築年割引を利用することで10%もの割引が受けられるのをご存知ですか?


保険料はできる限り安く抑えたいものです。ですから、利用できる割引は積極的に活用したいですよね。


ここでは、 

  • 建築年割引について 
  • 割引率 
  • 適用される条件 

について詳しくご紹介していきたいと思います。


お住まいの地域の地震保険の料金が知りたい方は、三井住友海上のホームページで保険料を試算することが出来るので、気になる方は三井住友海上のホームページでおおよその保険料を出してみて下さい。

建築年割引とは

地震保険の割引制度は以下のようになります。

割引制度条件割引率
建築年割引1981年(昭和56年)6月1日以降に新築された建物10%
免震
建築物割引
「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく免震建築物50%
耐震等級割引・「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく
耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)を有す
または
・ 国土交通省の定める「耐震診断による耐震等級
(構造躯体の倒壊等防止)の評価指針」に基づく耐震等級を有す 
一級:10%
二級:30%
三級:50%
耐震診断割引地方公共団体等による耐震診断や耐震改修の結果、改正建築基準法(昭和56年6月1日施行)における耐震基準に該当している 10%

最大で50%もの割引を受けられるものもありますが、それぞれ免震や耐震の建物であることが条件となります。


建築年割引は建てられた日が1981年6月以降という条件で割引を受けることができるため、比較的利用しやすい割引制度となります。


これらの割引制度は重複して適用されないので注意しましょう。

建築年割引の割引率

建築年割引の割引率は、10%です。


10%の割引が受けられると、年間の保険料はどれくらい安くなるのでしょうか?


例えば、補償額1,000万円に対する地震保険料は、約36,000円/年といわれています。(一般住宅の場合)


そこで、建築年割引(10%)を適用すると、

36,000円×10%=3,600円

つまり、年間保険料が3,600円安くなります。


よくある「35年間の住宅ローン」を組んだとすると、

3,600円×35年=126,000円

通算で、126,000円も安くなります。


1年で考えるとわずかかもしれませんが、長い目で見ると、年間保険料を非常に安く抑えられますよね。


ただし、1981年5月31日よりも前に建築された住宅では、建築年割引が適用されません。


中古住宅などを購入する場合は、建築年月日に気をつけましょう。

建築年割引の適用条件とは


  • 地震保険の契約開始日が、平成13年10月1日以降であること
  • 建物が、1981年(昭和56年)6月1日以降に新築された建物であること

の2つの条件が、建築年割引を受ける条件になります。


また、割引を受けるためには、確認資料(必要書類)の提出が必要です。  


  • 新築
  • 昭和56年6月1日以降に建てられた中古住宅の購入

などが、建築年割引が適用される例として挙げられます。これらの場合、家の耐震性能に関わらず、建築年割引の10%割引を受けることができます。


また、適用外となる例としては、

  • 昭和56年5月31日以前に建てられた中古住宅の購入

などが挙げられます。


これらの住宅は旧耐震基準で建築された建物になるため、割引制度を受けることはできません。

建築年割引の申請時の必要書類と書き方

建築年割引を申請する際の必要書類には、

  • 所在地
  • 建築年月日

が書かれている書類が必要になります。


これは、公的機関が発行したものか、公的機関が受領・処理したことが分かる書類に限られます。


では、申請時の必要書類がどこに行けば入手できるのかでしょうか。


さらに、建築年割引の確認資料を書く際にはポイントがあるのをご存知ですか?


ここでは、

  • 申請時の必要書類
  • 確認資料の書き方のポイント
  • 申請後いつから適用されるのか?

についてそれぞれご紹介します。

建築年割引申請時の必要書類

建築年割引が適用される条件は比較的やさしく、申請に必要な書類もそれほど多くありません。


建築年割引を申し込むときに必要な書類は、以下の2つです。

  • 公的機関などが発行する書類(写)
  • 宅地建物取引業者が交付する重要事項説明書(写)

公的機関とは、国、地方公共団体、地方住宅供給公社、指定確認検査機関等です。


重要事項説明書は住宅を購入した際に必ず交付されている書類になります。


公的機関などが発行する書類には、

  • 建物登記簿謄本
  • 建物登記済権利証
  • 建築確認書
  • 検査済証

などがあります。


これらの資料は、以下の方法で入手することができます。

書類入手先
建物登記簿謄本関係登記所(法務局)
建築確認書関係市区町村等の地方公共団体
建物登記済権利証は登記所で発行されていましたが、現在ではオンライン化してしまったため、新たに発行されることはありません。代わりに「登記識別情報」がオンラインで発行されるようになりました。

建築年割引の確認資料の書き方

地震保険の建築年割引を申し込む際は、確認書類に以下3つの項目が含まれているかどうか確かめてください。

  • 所在地
  • 1981年6月1日以降に建てられた建物であると確認できる建築年月日
  • 公的機関等が発行・受領したことが分かる印

保険会社によって必要な確認資料が異なる場合もあるので、提出の際は、必ず保険会社のHPなどで確認するようにしましょう。

補足:建築年割引は申請後いつから適用?

地震保険の建築年割引が適用されるのは、確認資料(必要書類)を提出した日以降の保険期間です。


過去に支払った保険料にさかのぼって割引を適用することはできません。


例えば、保険期間が1月1日~12月31日で、7月1日に確認資料を提出した場合、7月1日~12月31日の間の保険料のみが割引されます。


たとえ建物が1981年6月1日以降に建てられたものであっても、確認書類を提出していない場合は割引が適用されないので、早めに提出するようにしましょう。

地震保険の建築年割引以外の割引を紹介

ここからは、地震保険における他の割引をご紹介します。

  • 耐震等級割引
  • 免震建築物割引
  • 耐震診断割引

以上の3つの割引についてご説明します。


基本的に、地震保険の各割引は重複して適用できないので、利用時は注意が必要です。


各割引ごとに割引率や確認資料も違うので、正確に資料を提出して割引してもらうためにも、それぞれの割引についてきちんと理解しておきましょう。

耐震等級割引

耐震等級割引は、国土交通省が定める耐震等級によって割引率が変わる割引です。


耐震等級には3段階あり、等級が高ければ高いほど、割引率も10%30%50%と高くなります。


耐震等級割引の確認資料となる書類は、以下の通りです。

  • 住宅性能評価書
  • 共用部分検査・評価シート
  • フラット35Sに関する適合証明書
  • 現金取得者向け新築対象住宅証明書
  • 長期優良住宅建築等計画に係る技術的審査適合証
  • 住宅性能証明書
  • 耐震性能評価書

または、以下1と2の書類セットでも申請可能です。

  1. 認定通知書など、長期優良住宅の認定書類 
  2. 設計内容説明書など、免震建築物であること、または耐震等級が確認できる書類

1のみの場合は、10~30%の耐震等級割引が適用されます。

免震建築物割引

免震建築物割引は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく免震建築物である場合に適用されます。


免震建築物割引の割引率は、50%です。


免震建築物割引の確認資料となる書類は、耐震等級割引の必要書類と同じです(ただし、耐震性能評価書は除きます)。

耐震診断割引

耐震診断割引は、地方公共団体などによる耐震診断や耐震改修の結果、改正建築基準法で定められている耐震基準を満たすときに受けられる割引です。


耐震診断などを受けて、耐震基準を満たしていると証明できたら割引されるということですね。


耐震診断割引の割引率は、10%です。


耐震診断割引の確認資料となる書類は、以下の通りです。

  • 耐震診断の結果により、地方公共団体・建築士などが、国土交通省の定める基準に適合することを証明した書類
  • 耐震診断や耐震改修の結果により、減税措置を受けるための証明書

地震保険の保険料が決まる基準についておさらい!

ここまでは地震保険で使うことの出来る様々な割引制度について説明してきました。


地震保険の保険料は、「損害保険料率算出機構」が決めます。その時に保険料の算出に重要な要素となるのが「建物の構造」「建物の所在地」の2つです。


ここではこの 2つの事項についておさらいしていきたいと思います。


既にご存知の方もいらっしゃるとは思いますが、地震保険を考える上では基本的な重要な部分ですのでしっかりと確認しておきましょう。


建物構造

まず建物の構造についてです。


地震保険では、建物は構造によって「イ構造」「ロ構造」に分けられます。


構造区分説明
イ構造鉄骨・コンクリート構造
ロ構造木造


まず、イ構造とは鉄鋼、コンクリートで作られている建物です。火災保険においてM構造、T構造に区分されている建物がこれに当たります。


そして、ロ構造は木造の建物で火災保険でがH構造に区分されている建物がこちらに当たります。


地震保険の場合、単独ではなく火災保険とセットでの加入になりますので火災保険の区分から自動的に振り分けられることになります。


ただし、木造で火災保険ではH構造に分類される建物であっても建築基準法で耐火性に優れている建物である場合においては、そちらの基準を優先して区分が決定されます。

建物の所在地

地震保険の保険料率は建物の所在地で違います。都道府県ごとに保険料率が決められています。


東日本大震災を受け、地震保険の基準料率の見直しが行われました。その結果、2017年、2019年に改訂が行われました。今後、2021年再度改定が決定しています。


ここでは2019年1月1日から適用されている保険料率を紹介します。


以下は、地震保険金額1,000万円あたり1年の地震保険料が安い地域の一例です。

都道府県イ構造ロ構造
秋田県5,000円10,000円
北海道6,500円12,700円
熊本県5,000円10,000円
富山県5,000円10,000円
沖縄県6,500円12,700円


それに対して、地震保険金額1,000万円あたり1年の地震保険料が高い地域の一例です。

都道府県イ構造ロ構造
東京都16,900円31,300円
千葉県16,900円30,600円
大阪府10,500円18,800円
山梨県9,100円18,800円
愛媛県9,100円18,800円


このように、所在地により保険料には開きがあることが分かります。この保険料率は各都道府県ごとに届け出がされています。


先ほど、2021年に平均5%程度値上げとなることを記載しましたが、全ての都道府県で値上げされるわけではありません。


今後の震災リスク等を踏まえたうえで決定されるため、今後のリスクが低いと予想されされている値域では値下がりしているところもあります。


逆に今後震災のリスクが高いと予想されている地域では値上がり率も高くなっています。


2021年からの保険料について気になる方は以下サイトを参考にしてみて下さい。


参考:2021年1月地震保険料率の改定 損保ジャパン

保険料を安く抑える方法

各都道府県ごとに保険料率が決められている地震保険ですが各種割引制度で保険料が抑えられるということは最初に説明した通りになります。


ここでは、割引制度の他に地震保険料を少しでも安く抑えることのできる方法として以下の2点について説明していきます。


  • 長期契約にする
  • 保険料控除制度の利用


地震に対するリスクには備えたいけれど保険料はなるべく抑えたいという方は是非参考にしてみて下さい。

長期契約にする

地震保険に限らず、保険は年払いなどの一括払いにした場合は安くなります。


この時に使う割引係数のことを「長期係数」と呼びます。地震保険などの損害保険では2年以上の契約のことを長期契約としますが、地震保険の場合は最大で5年契約が可能です。


期間は長いほど割引される割合は大きくなります。


2019年1月から適用されている長期係数は以下の通りです。

保険期間長期係数
2年1.90
3年
2.80
4年3.70
5年4.60


長期係数は、年間保険料にかけることで保険料を算出することは出来ます。


例えば、年間保険料10,000円だった場合の5年間の保険料は以下の通りです。


<1年契約を5年間>

10,000円×5(年)=50,000円

<5年契約>

10,000円×4.60=46,000円


このように、1年契約で5年間保険料を支払った場合と5年契約した場合では単純に比較して最終的に4,000円しての違いがあります。


この長期係数は金利等の影響を受けて改訂されていることから今後も変動する可能性がありますが、少しでも保険料を安く抑えたい方は長期契約にすることがおすすめです。

保険料控除制度を利用する

地震保険が保険料控除制度の対象であることはご存知でしょうか?


生命保険と同様に、地震保険も年末調整や確定申告時に控除の申請をすることによって所得税と住民税が軽減されます。


対象金額は、加入している保険会社から控除証明書が送付されますので確認することが出来ます。この証明書は大体10月下旬ごろから順次届きます。


申請に必要な大切な書類になりますので紛失しないようにきちんと保管しておくようにしましょう。



では、申請によりどの程度の効果があるのか気になる人も多いと思いますので具体的にどれくらい税金が安くなるのか実際に例を出して計算してみます。


例)課税所得400万円、年間保険料30,000円の地震保険料を支払っている場合


まず、地震保険料の所得税と住民税の控除額は次の通りです。


<所得税>

年間支払い保険料控除額
50,000円以下全額
50,000円超50,000円まで


<住民税>

年間支払い保険料控除額
50,000円以下2分の1
50,000円超25,000円



この場合の所得税は、税率20%で控除額が427,000円になりますので


<所得税・控除なし>

 400万円×20%-427,000円=373,000円

<所得税・控除あり>

(400万円-3万円)×20%-427,000円=367,000円


住民税は地域差や若干の例外はありますが概ね課税所得の10%になっていますので控除を使うことで3,000円程度安くなります。


この結果、この事例の場合には所得税と住民税を合わせて9,000円程度安くなりますので年間保険料30,000円と考えるとおよそ3分の1にあたります。


厳密には、地震保険以外にも様々な控除がありますので上記の計算は単純比較となりますが、控除制度を利用することで間接的に支出を抑えることが出来ますので、是非忘れずに申請することをおすすめします。

まとめ:地震保険の建築年割引を利用して保険料を安く抑えよう

地震保険の建築年割引について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。


今回のこの記事のポイントは、

  • 建築年割引の詳細
  • 建築年割引の申請方法
  • 地震保険におけるその他の割引
  • 保険料を安く抑える方法を使ってみよう

です。


地震保険の割引は4つあり、その中でも、建築年割引はもっとも受けやすい割引です。


建築年割引は10%で、申請するためには、所在地、建築年月日、公的機関の受領印の3つが確認できる書類が必要です。


建築年割引は申請後から適用されるので、できるだけ早めに申請しておきましょう。


また、建築年割引のほかにも、耐震等級割引、免震建築物割引、耐震診断割引などがあります。


耐震性能が良いほど受けられる割引も多くなるので、積極的に検討してみてもよいかもしれません。


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