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【注意!】法人契約の低解約返戻金型逓増定期保険の名義変更は見直しが必要?

法人契約の低解約返戻金型逓増定期保険での名義変更プランを使っての節税は、平成29年に札幌高裁が認めませんでした。低解約返戻金型逓増定期保険とはそもそもどのような法人保険なのでしょうか?また、経理処理や資産を圧縮する方法に関してもご紹介します。

なぜ法人契約の低解約返戻金型逓増定期保険の名義変更は危険なのか?

法人契約の低解約返戻金型逓増定期保険は税負担の軽減のために使われることが多いですが、名義変更に注意が必要だという情報もあり、心配されている方もいると思います。


では、低解約返戻金型逓増定期保険の名義変更には最初から手を出さない方がいいのでしょうか?


低解約返戻金型逓増定期保険そのものは注意が必要な商品ではないので、法人契約の低解約返戻金型逓増定期保険についてしっかりと理解しておくことが大切です。


そこで今回は、法人契約の低解約返戻金型逓増定期保険について

  • 法人契約の低解約返戻金型逓増定期保険と名義変更プランについての概要
  • 名義変更プランの経理処理
  • 低解約返戻金型逓増定期保険を利用した資産圧縮

以上のポイントを解説します。


この記事を読んでいただければ、法人契約の低解約返戻金型逓増定期保険が危険なのかどうかご自身で判断する上で役に立つと思います。


ぜひ最後までご覧ください。


低解約返戻金型逓増定期保険の名義変更プランは黄信号

法人契約の低解約返戻金型逓増定期保険そのものは違法ではなく、加入したからといってただちに脱税行為となるわけでもありません。


ただし、法人契約の低解約返戻金型逓増定期保険を利用して法人税や所得税を低く抑える時は、注意しないと脱税まがいの行為になってしまう可能性もあります。


まずは、法人契約の低解約返戻金型逓増定期保険とはどのような保険なのか、基本的な知識を身に着けることが大切です。

法人契約の低解約返戻金型逓増定期保険とはどんな保険?

低解約返戻金型逓増定期保険の「解約返戻金」とは、解約した際に受けとれるお金のことで、「逓増定期保険」とは保障額が徐々に上昇していく保険のことです。


低解約返戻金型逓増定期保険は掛け捨てなのに解約返戻金がある


低解約返戻金型逓増定期保険の特徴は「掛け捨て」なのに解約返戻金があることです。


「掛け捨て」とは解約や更新、満期になったらお金が戻ってこないタイプの保険のことです。


「掛け捨て」であれば解約返戻金は受け取れないはずですが、なぜ低解約返戻金型逓増定期保険では解約返戻金を受け取れるのでしょうか?


低解約返戻金型逓増定期保険の仕組み


本来であれば、年齢が上がるほど死亡や病気のリスクが高まるので、保険料は上昇していきますが、低解約返戻金型逓増定期保険では保険期間中の保険料が一定に保たれます。


これは保険期間の前半に前払保険料を積み立てておき、後半になると前払保険料を取り崩す仕組みになっているからです。


そのため、前半は前払保険料が少ないので解約返戻金も少なくなりますが、前払保険料が積み上がっていくと、それに伴って解約返戻金も高くなっていきます。


しかし、保険期間が終わりに近づくと、前払保険料も少なくなるので、解約返戻金もゼロ、つまり「掛け捨て」の状態に近づいていきます。


掛け捨てなのに解約返戻金があるのは、このように低解約返戻金型逓増定期保険の解約返戻率が山の字型のカーブを描くからです。

低解約返戻金型逓増定期保険の名義変更プランとは?

低解約返戻金型逓増定期保険の解約返戻率は山の字カーブを描くと説明しました。


山の字カーブを描くということは、保険期間中のどこかでピークを迎えるということです。


低解約返戻金型逓増定期保険の名義変更プランとは、このピークを迎える直前に法人から個人に名義変更を行うというものです。


ピークを迎える直前に法人から保険を買い取り、ピークを迎えたタイミングで解約返戻金を受け取ることで、個人はその差額分の金額を受け取れることになります。


さらに会社側も、支払った保険料よりも安く払い下げることができれば損金算入できる額も多くなるため、税負担の軽減効果も高くなります。

札幌高裁が名義変更プランを認めなかった

低解約返戻金型逓増定期保険を法人から個人に名義変更することで解約返戻金を受け取れますが、その際の解約返戻金は納税申告の際に一時所得として計算されます。


このとき、一時所得の控除対象の中には名義変更前の受取人(この場合は法人)による負担分がありますが、2017年に札幌高裁はこの負担分を控除対象として認めないとの判決を出しました。


そのため、以前のように低解約返戻金型逓増定期保険を利用して税負担の軽減をするのは難しくなっていることを知っておきましょう。

平成30年以降は支払調書が変更になった

札幌高裁の判決を踏まえて、平成30年4月から支払調書の記載方法が変更になりました。


支払調書とは、なんらかの支払いを行なった事業者が税務署に提出する書類のことです。


以前までであれば、会社が支払った保険料を必要経費にすることができましたが、今回の変更によって契約者が払い込んだ保険の金額とその時期について記載しなければならなくなりました。


それにより、会社が支払った保険料を納税申告の際の必要経費にすることができなくなりました。

低解約返戻金型逓増定期保険の名義変更プランの経理処理

低解約返戻金型逓増定期保険の名義変更プランの経理処理は、以下の3つの場合に分けられます。


  • 法人から個人への名義変更
  • 個人から法人への名義変更
  • 法人から法人への名義変更


3つのうちのどの名義変更を行うかは目的によって異なるので、まずはどのような目的で低解約返戻金型逓増定期保険の名義変更プランを選択するのかを明確にしておきましょう。


法人から個人に名義変更する際の経理処理

法人から個人に名義変更するのは、役員や従業員への退職金に充てることを目的としていることが多いです。


退職金以外の場合は給与として扱われます。


経理処理は以下のようになります。


  • 全額損金扱いで、解約返戻金相当額がない法人保険=名義変更時の経理処理は損金算入。  
  • 1/2損金算入や資産計上の保険=保険料積立金が計上されているため、資産計上される分がある。

個人から法人に名義変更する際の経理処理

個人から法人に名義変更する場合として考えられるのは、主に個人事業主が法人成りすることです。


この名義変更の際は、法人から個人が解約返戻金相当額で保険を買い取ります。


その際、受け取った解約返戻金は以下の計算式によって一時所得として計上されます。

(収入金額-必要経費-50万円)×1/2

法人から法人に名義変更する際の経理処理

法人から法人に名義変更する場合とは、例えば被保険者が親会社から子会社に転籍したり、逆に子会社から親会社に転籍したりしたときのことです。


法人から法人に名義変更する場合は、以下のような経理処理となります。


  • 転籍前の法人=資産計上額を取り崩し、解約返戻金との差額を雑収入(雑損失)で計上 
  • 転籍後の法人=解約返戻金相当額の現金を支払い、同額を資産に計上

有償譲渡と無償譲渡の違いについて解説

名義変更には有償譲渡無償譲渡の2つの方法があります。


有償譲渡であれば保険を買い取った金額を必要経費に入れることができますが、無償譲渡はそのような必要経費がありません。


必要経費として課税対象額から控除されることがないため、無償譲渡の場合は有償譲渡よりも課税額が大きくなってしまうので注意が必要です。

法人契約の低解約返戻金型逓増定期保険で資産を圧縮する方法

法人契約の低解約返戻金型逓増定期保険で資産を圧縮する方法について解説します。


法人保険では毎年保険料を積み立てていきますが、ピークに到達した時、解約返戻率が跳ね上がります。


しかし解約返戻率が跳ね上がる直前に解約すると、受け取る金額が少なくなります。


受け取る金額が少なくなることで、次に解説するように相続税を少なくすることにつながります。

資産を圧縮することで、相続時に税金を少なくできる

保険会社に「解約返戻金相当額」として積み立てられた保険料は資産として計上されます。


資産が大きいほど課税額も高くなるので、資産を圧縮することで税負担の軽減効果を高めることができます。


資産を圧縮するには、解約返戻金相当額が低いタイミングで解約する必要があります。


低解約返戻金型逓増定期保険では解約返戻率がピークに到達すると解約返戻率が跳ね上がるので、その直前に解約することで受け取る金額を安くすることができます。


受け取る金額が安くなると課税対象額が小さくなるので、資産を圧縮でき、相続時にかかる相続税も少なくすることができるのです。

4年目で相続できない場合は、5年目で解約すべき

もしも、相続のタイミングが合わずに、解約返戻率が低い時期に相続できない場合は、5年目で解約することがおすすめです。


例を挙げて解説します。


保険料が3000万円だとすると、5年目までは以下のように推移していきます。


年数累計保険料解約返戻額解約返戻率
2年目3000万円90万円3.0%
3年目6000万円480万円8.0%
4年目9000万円1620万円18.0%
5年目1億2000万円7800万円95.0%


この表を見ていただければわかる通り、4年目に相続ができれば資産を圧縮して相続できます。


そして、5年目に1回分の保険料を支払って解約すると、7800万円を回収できるので、課税額も小さく、受け取る金額も最大になるのでもっともおすすめです。


また、4年目に相続できない場合にも、5年目で解約することで95%の解約返戻率で5%のみの損になります。


低解約返戻金型逓増定期保険は5年目での解約が有利な方法だといえます。

まとめ:低解約返戻金型逓増定期保険の名義変更プランに注意

法人契約の低解約返戻金型逓増定期保険について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。


今回の記事のポイントは

  • 低解約返戻金型逓増定期保険はピーク直前に名義変更すると税負担の軽減効果が高い。
  • 以前のように法人による負担分を控除対象にできなくなった。
  • 名義変更プランは目的別に3つあり、経理処理が異なる。
  • 資産圧縮すると相続税が安くなり、5年目に解約するのがおすすめ。

でした。


低解約返戻金型逓増定期保険はピークの直前に解約することで資産圧縮でき、税負担の軽減効果が高くなります。


しかし、低解約返戻金型逓増定期保険の名義変更による税負担の軽減は税務署の調査が厳しくなっているので、よく注意しましょう。


ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。

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