【株式運用】法人にかかる税は?個人よりも法人運用するほうがお得?

株式を運用するのは個人と法人ではどちらが有利なのでしょうか。また、個人が法人化して株式を運用する際にはどんなメリットやデメリットがあげられるでしょうか。本記事では、法人化して株式を運用する際の株式の扱いや注意点についても解説しています。

個人よりも法人化したほうがお得?法人の株式運用について解説!

株式運用といえば個人でおこなっているイメージですがあえて法人化して株式運用をおこなっているかたもいるのはご存知でしょうか?


同じ仕事をするにしても法人化した場合と個人事業主でした場合にそれぞれメリット、デメリットがあるように、実は株式運用も実は個人か法人かでそれぞれにメリット、デメリットがあるのです。


もちろん人によって運用方法や規模が違いますので一概にどちらがいいかは判断できませんが、自分にあった株式運用を選択できるのはとても大きいメリットだといえます。


例えば運用にかかる費用や税金の話だけでいっても、法人でも個人でもそれぞれにメリット、デメリットがあるのですが、法人化するだけで節税の糸口を見つけられるとすれば検討の余地は多いにあるのではないでしょうか?


そこで今回の記事では

  • 法人化して株式運用をするメリット、デメリット
  • 株式の会計上、税務上の扱い
  • 法人が株式運用をしていくうえでの注意点

以上を中心に解説していきます。


こちらの記事を読めば株式運用を個人でしていくべきか法人化したほうがいいのかの判断することができるようになります。


ぜひ最後までご覧ください。


法人化して株式運用する際のメリットとデメリットは?

株式運用だけの話でいえばあまりメリットがないように感じているかたも多くいらっしゃると思います。


ですが、税金の面や費用計上の面などメリットも数多くあります。


もちろんデメリットもありますのでここでは株式運用を法人化しておこなう場合のメリットとデメリットを解説します。

法人化して株式運用する際のメリット

株式運用を法人化しておこなう際の主なメリットは節税と損失繰越になりますが、実は他にもメリットが多数ありますので1つずつ解説していきます。


経費を費用計上できるため節税対策となる。

法人での株式運用で一番のメリットといえば経費を費用計上できることになります。


例えば株式運用のセミナー費用や本の購入代なども費用計上が可能ですし、パソコンの購入費用や電話代、交際費なども費用計上することが可能になります。


費用計上することによって株式運用で得た利益と相殺させ、節税へとつなげるわけです。


損失の繰越が最大7年間可能

法人化して株式運用をすれば最大で7年間の損失繰越が可能になります。


例えば今期200万円の損失が計上されても、7年の間に200万円の利益が計上できれば、その利益にかかる税金を0にできるのです。


個人でも損失の繰越は可能ですが、最大3年までと短いため繰越年数が長い法人にメリットがあるといえます。


損益を全てまとめることができる

個人の場合、給与所得株式投資、FXなどの先物取引はそれぞれ損益を合算することができませんが法人ですと全ての損益を合算することができるメリットがあります。


例えば個人の場合、株式投資でいくら赤字を出していてもFXで利益を得ている場合にはその利益分の税金がかかってしまいます。


しかし、法人の場合は損益を合算できますので税金を減らすことができるのです。


個人と法人両方で株取引ができる。

法人で株式運用をしている場合、それと並行して個人でも株式運用が可能です。


この場合どのようなメリットがあるかといいますと、株主優待を個人と法人両方で受け取ることができたり、IPO(新規公開株式)の抽選も2口で参加できるなどがあげられます。


株主優待の例でいえば、100株で1000円相当のクオカードがもらえる場合には個人と法人両方で100株を保有していれば二重にクオカードをもらうことができるのです。


またIPOは値上がりしやすい人気株で、投資家としては是非ともおさえたいので個人と法人両方で抽選に参加できるのは大きなメリットだといえます。

法人化して株式運用する際のデメリット

株式運用を法人化しておこなうさいのメリットを解説しましたが、デメリットも何点があります。

主に税金にかかわってくるデメリットなので運営規模や内容と照らし合わせて法人化を検討しましょう。

利益が出たときの税負担が大きい

個人の場合、利益に課税される税率はおおよそ20%ほどですが、法人の場合実行税率として約30%の税率が課税されるため個人にくらべ税負担が大きくなります。


法人税は今も段階的に下げられてはいますがそれでもこの差分はかなり大きいといえるでしょう。


ただし法人化した場合、経費の費用計上、損益合算、損失繰越が7年と、利益が出ていないときのメリットは法人に軍配があがります。


会社の設立や維持に費用がかかる

会社を設立するには定款認証設立登記など合わせて約25万円ほどの費用がかかってきますし、法務局などに出向かなければならず申請に1週間ほど時間をとられてしまいます。


また会社は年に1回、決算公告をする義務があり6万円ほどの費用が毎年発生します。


決算は処理が煩雑になる作業でもし税理士などに頼むとすれば年間数十万の費用が必要になります。


その点、例えば個人事業主で開業するとしたら税務署へ開業届を出すだけでので費用も手間もかかりません。


決算公告も必要ないので維持費もかかりません。

株式運用の際にかかる税金や会計上の扱いを解説!

個人で株式運用をするさい、譲渡益課税配当課税の2種類の税金が課税されますが法人の場合は他の事業や経費なども含めた損益の合算に法人税が課税される仕組みになっています。


株式運用における損益は主に売却時の売却益や売却損から計算されますが、通常の商品売買とは異なる考え方となります。


それを理解するためにもまずは会計上、税務上の株式の扱いを理解することが重要になります。


会計上、税務上と分けて表現させてもらいましたが、株式は会計上は4つに分類され、税務上は2つに分類されるなど扱いが変わってくるためあえて分けて表現させてもらいました。


会計上の利益計算は利益や損益を重視するのに対し、税務上の所得計算は適切に課税されているかどうかを重視しているため株式のように扱いが難しいものは会計上、税務上で全く違う処理になります。

株式の会計上の扱い

会計上の株式の扱いは主に4つに分けることができます。これらは有価証券の保有目的によって分類され、それぞれ売買目的有価証券満期保有目的有価証券小会社及び関連会社株式その他有価証券と呼ばれます。


売買目的有価証券

売価目的有価証券とは時価の変動によって利益を得ることを目的とした有価証券です。決算の段階で所有している分は時価にて評価となります。


満期保有目的有価証券

満期保有目的有価証券とは満期まで所有することを目的とした有価証券であり、利息や償還額の受け取りが報酬にあたります。売買目的有価証券とは違い時価の変動が投資の目的ではないので時価評価されず、帳簿価格のままでの評価となります。

  

子会社及び関連会社株式

子会社及び関連会社株式とは子会社や関連会社への影響力を目的とした株式になります。 

あくまで影響力の行使が目的ですので時価の評価はおこなわず帳簿価格のままの評価となります。


その他有価証券

上の3つに当てはまらない場合はその他有価証券となります。例えばすぐには売却しないが市場の動向を見ながら売却する有価証券などがあげられます。決算時に時価評価をしますが早急な売却にはつながりませんので評価差額は純資産として計上します。

株式の税務上の処理

株式は税務上、売買目的有価証券売買目的外有価証券の2つに分けることができるのですが、売買目的かどうか、つまり時価で評価するかどうかが大きな違いといえます。


売買目的有価証券

税務上における売買目的有価証券とは、売買を目的とする有価証券でありその名の通り短期的な価格の変動により利益を得ることを目的としています。


この売買目的有価証券は更に専担者売買有価証券とそれ以外に細分化されます。


株式の専門部署によって運用される専担者売買有価証券は有価証券の売買を業としていることを定款に記載していることなどが必要な有価証券でであり、時価評価を必ずしなければなりません


売買目的有価証券はほとんどの場合で専担者売買有価証券に該当しますが専門部署でなくとも短期的な売買による利益を目的とするならばこれに該当します。


そのさい帳簿には短期売買目的であることを記載し、売買目的有価証券勘定で処理しなければなりません。


こちらも時価評価が必要となります。


売買目的外有価証券

税務上の売買目的有価証券以外の有価証券は売買目的外有価証券に分類され、満期保有目的等有価証券とその他の有価証券に分けることができます。


ここでいう満期保有目的有価証券とは、満期まで長期に渡って保有することを目的とした有価証券で時価評価はせず帳簿価格のままの評価になります。


また売買目的有価証券や満期保有目的等有価証券以外の有価証券はその他の有価証券に分類されます。


業務提携を目的とした有価証券や長期的な運用で利益を得るような有価証券はその他の有価証券になるといえるでしょう。

法人が株式を運用する際の注意点とは

法人が株式運用をする際、株式購入時の取得原価と株式売却時の譲渡原価をいくらで算出するかを注意しなければなりません。


取得原価とは株式を購入したさいの原価を指し、譲渡原価は株式を売却したさいの原価になるわけですが、取得原価と譲渡原価は純粋に株式を購入した費用がそのまま原価になるわけではなく、原価に含めなければいけない経費や計算法で原価を算出しなければなりません。


取得原価と譲渡原価の算出方法はそれぞれ異なりますので注意点や計算方法を含め解説していきます。

株式購入時の注意点

株式購入時には株式の購入費以外にもさまざまな経費がかかりますが、株の取得原価に含めなければならない経費と含めなくてもいい経費があります。


取得原価に含めなくてはいけない経費は委託手数料や購入手数料など、購入にかかわる諸手数料がそれにあたります。


それ以外の購入にかかった費用は含めなくてもいいことになっています。


例えば株式の購入費が20万円で購入手数料が1万円だった場合、株式の取得原価は

20万円+1万円 = 21万円

となります。


また購入以外にも贈与などで株式を得る場合がありますがその際は取得時点での時価や近似の株式から取得原価を算出します。

株式売却時の注意点

株式を売却するさいには損益を算出するために譲渡原価を算出しなければなりません。


取得原価は手数料を元に算出しましたが譲渡原価は総平均法移動平均法によって算出されます。


総平均法とは株式を購入した時期の取引価額を全て合算し、その時扱った総株数で割った値をさします。


移動平均法とは株式を購入したごとに計算する方法で直前の帳簿価額と今回の取得価額を合計し、総数でわった値をさします。

まとめ:法人化して株式を運用するメリットや注意点について

ここまで法人化して株式運用をするさいのメリット、デメリットや注意点を解説してきましたがいかがでしたでしょうか?

今回のポイントは
  • 法人での株式運用は節税、損益合算、7年の損失繰越がメリット
  • デメリットは設立や維持費用がかかる点と利益が出たときの税負担が大きい
  • 株式運用での会計上と税務上での株式と扱いが違う
  • 株式購入時の取得原価と株式売却時の譲渡原価は計算方法が違う
でした。


法人での株式運用は設立の手間や初期費用、維持費用がかかる点、利益を上げていくと法人税の負担が大きくなるなど一見メリットが少ないように感じます。


ですが、実際は損益を全て合算できたり経費を費用計上できたりとメリットも多いのです。


これはどちらが得とは言い難い話で、経営規模や運用方法で検討していく必要があるといえます。


逆をいえば検討するからこそ自分の株式運用にあった方法を選べるといえるでしょう。


株式をよりよい形で運用していくためにも法人化も検討してみてはいかがでしょうか。


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