ギフト券・商品券の経費処理の方法をパターン別にくわしく解説! 

さまざまなビジネスシーンで活躍するギフト券。身近な存在ではありますが、経費処理には間違えやすいポイントがあります。今回は、パターン別にギフト券・商品券の経費処理の方法を具体例で解説します。あわせて注意点もご紹介するので、経費処理の参考にしてください。




▼この記事を読んでわかること

  • パターン別のギフト券・商品券の経費処理の方法
  • ギフト券・商品券の経費処理で注意すべきポイント

内容をまとめると

  • 贈答目的で商品券やギフト券を購入したときは「接待交際費
  • 自社で使用する消耗品を購入する目的で商品券・ギフト券を購入したときは「他社商品券」消耗品を購入したときは「消耗品費」
  • キャンペーン等で商品券・ギフト券を顧客に送る場合は「広告宣伝費」または「交際費
  • 公私兼用の物を商品券・ギフト券で購入したときは按分計上する
  • 経費計上の主な注意点は「明細を記しておく」・「業務とプライベートをしっかり切り分ける」・「余った商品券は在庫として処理する
  • 法人のお金やリスクに関するお悩みは、マネーキャリアでプロに無料相談

ギフト券・商品券が経費になるかは場合によって変わる

全国百貨店共通商品券や図書カード、amazonギフト券など、たくさんの種類があるギフト券や商品券。


クライアントへの贈答用にしたり、会社の備品購入に利用したり、さまざまなビジネスシーンで活躍してくれますよね。


ギフト券や商品券は現金に近い感覚で使用することができますが、会計上の取り扱いには違いがあります。


ギフト券や商品券が経費になるかどうかは、ケースごとに異なります。


また、経費処理の方法にも違いがあります。


ここでは、利用すべき勘定科目や注意点など、ギフト券・商品券の経費処理の方法についてパターン別に解説していきます。

①商品券・ギフト券を贈答用に購入した場合は交際費

お世話になっているクライアントに対して、商品券やギフト券を贈ることもありますよね。


贈答目的で商品券やギフト券を購入した場合は、「接待交際費」の勘定科目を利用して経費処理することができます。


具体的な例を使って、仕訳をご紹介します。


たとえば、クライアントへの贈答目的で3万円のギフト券を購入したケースの仕訳は、次のようになります。

借方金額貸方金額
接待交際費30,000現金30,000

贈答用の商品券・ギフト券の場合、消費税はかからず「非課税となります。


この点は間違えやすいポイントであるため、注意が必要です。


なお、商品券・ギフト券を「贈答したとき」の経費処理は、必要ありません

②自分の会社で使用する場合は消耗品費

自分の会社の備品を購入するためなど、自社用に商品券・ギフト券を購入するケースもあるかと思います。


自分の会社で使用する目的で商品券・ギフト券を購入した場合、「他社商品券」の勘定科目を利用して経費処理します。


たとえば、自社用に3万円分の商品券を現金購入したときの仕訳は、次のとおりです。

借方金額貸方金額
他社商品券30,000現金30,000

消費税は非課税なので、経費処理の必要はありません。


次に、自社用として購入した商品券で3万円の消耗品を購入したときの仕訳は、次のとおりです。

借方金額貸方金額
消耗品費27,273商品券30,000
仮払消費税2,727

商品券の使用は「課税となります。


税抜経理の場合は、上記のように仮払消費税を計上する必要があります。


商品券の「購入時」とは消費税の区分が異なるため、注意が必要です。

③キャンペーン等で顧客に送る場合は広告宣伝費か交際費

ビジネス上のキャンペーン企画などで、顧客に対して商品券・ギフト券を配るケースもあるでしょう。


具体的には、「商品に関するアンケートにお答えいただいた方に、1,000円分のギフト券をプレゼント」といったケースです。


このような場合、経費として計上することが可能です。


商品やサービスの売り上げに影響を与えることから、事業に必要な費用とみなされるためです。


前述の例のように、不特定多数の一般消費者を対象にしてい場合、「広告宣伝費」の勘定科目を利用することができます。


広告宣伝費は、不特定多数を対象に広告や宣伝する際にかかる経費のことをいいます。


ただし、1件あたりの金額が大きい場合は「交際費」とみなされる可能性があるため、注意が必要です。

④公私兼用の物を商品券・ギフト券で購入した場合は按分計上する

仕事とプライベートの両方で使用するものを、商品券やギフト券を使って購入することもあるのではないでしょうか。


その場合、仕事プライベートの利用比率の割合で按分して計上します。


自宅が事務所を兼ねている場合の家賃などと同様の考え方で、仕事で使う分のみを経費とすることができます。


具体例で説明しましょう。


たとえば、仕事で4割・プライベートでは6割利用する1万円のプリンターを商品券やギフト券で購入する場合、経費計上が可能なのは「仕事で利用する4割分」です。


したがって、経費として計上できるのは、仕事で利用する4割分にあたる4千円ということになります。

補足:忘年会などの景品・報酬としてのギフト券は経費にならない

ギフト券を会社の忘年会や新年会の景品とする場合は、注意が必要です。


会社で忘年会や新年会を開催する際にかかる費用は、「福利厚生費」として全額を経費にすることが可能です。


ただし、現金は福利厚生費の対象にはなりません


この考え方は、実質的にお金として取り扱うことのできるもの、つまりギフト券にもあてはまります


もし、忘年会や新年会の景品としてギフト券を渡した場合、それは給料と同様とみなされます。


給与は、所得税や住民税の課税対象です。


そのため、前述のケースでは、ギフト券も給与という経費の形にはなるものの、源泉徴収の対象になる、ということを覚えておく必要があるでしょう。


なお、源泉徴収の計算方法は国税庁HPで確認することができます。

商品券を経費処理するときの3つの注意点

ここまで、ギフト券・商品券におけるパターン別の経費の考え方について解説してきました。


利用目的によって処理の方法が異なるため、それぞれのケースごとに検討が必要になることがおわかりいただけたと思います。


ここではさらに、商品券を経費処理するときに気を付けるべき3つ注意点について解説します。


ポイントは次のとおりです。
  1. 明細を記しておく
  2. 業務とプライベートをしっかり切り分ける
  3. 余った商品券は在庫として処理する必要がある
項目別に詳しく説明していきます。

①脱税を疑われないように明細を記しておく

税務調査の場面において、経費計上した商品券について「利用方法は明確かどうか」という点を確認されることは、少なくありません。


そのようなケースで脱税を疑われることのないよう、商品券の購入・配布と事業との関連性を明確にしておく必要があります。


そのため、商品券の使用状況がわかる明細(配布先リスト)書類を作成し、しっかりと記録を残しておきましょう。


記録にあたっては、次のポイントをおさえておくべきです。

  • いつ
  • 誰に
  • いくら
  • どのような目的で(なぜ)

日頃あまり取引機会のない企業に商品券を配布した場合は、自社との関係性などもあわせて記録しておくとよいでしょう。


また、上記のほかに、商品券を受け取った人から「受領書」をもらい、保管しておくことをおすすめします。


このような明細は、都度、作成するようにしましょう。


「受入」・「払出」・「残高」を合わせて記録しておけば、在庫管理にも役立てることができます。

②業務とプライベートをしっかり切り分ける

商品券を経費処理する際は、業務プライベートをしっかりと切り分けることが非常に重要です。


事業に関係のない人に商品券を渡した場合や、商品券でプライベートで着るための洋服を買った場合は、もちろん経費にすることはできません。


また、先に説明したとおり、公私兼用の物品を商品券で購入した、というようなケースにおいては、仕事とプライベートの利用比率で按分計上する必要があります。


あまりにも法外な金額の商品券を贈答している場合は、プライベート目的の使用ではないか、疑われやすくなるでしょう。


税務調査では、商品券の「利用方法が明確かどうか」のほか、「プライベートな利用が含まれていないか」という点についてもチェックされます。


税務調査により、プライベートな贈り物が混ざっているという指摘を受けたという実例は存在します。


経費にすることができるのは、あくまでも「売り上げに紐づくもののみ」であることを、しっかりと意識しておく必要があるでしょう。

③余った商品券は在庫として処理しなければならない

贈答用として商品券を購入したものの、すべてを使いきることができず、未使用の商品券が余ってしまった、というケースもあるかと思います。


余ってしまった商品券については、決算時に在庫として処理する必要があります。


また、使用していないため、経費から除外しなければなりません。


税金対策のために商品券を一括購入して損金算入する、という会計処理は認められていないため、注意が必要です。


贈答用の商品券の購入したときは「接待交際費」として経費計上することをご紹介しましたが、余った商品券を期末に在庫として計上するときは「貯蔵品の勘定科目を利用します。


処理方法の具体例は、次のとおりです。

借方金額貸方金額
貯蔵品5,000接待交際費5,000

このように、贈答用の商品券が余ってしまった場合は、忘れずに在庫として処理するようにしましょう。

まとめ:商品券・ギフト券は場合に応じて経費にできる!

たくさんの種類があり、使い勝手もよい商品券やギフト券。

状況に応じて経費計上することができますが、消費税区分がケースごとに異なったり、購入時・使用時で処理方法が変わったり、意外と取り扱いが難しいものでもあります。

また、商品券やギフト券は脱税に用いられることもあるため、税務署は厳しくチェックします。

そのため、ケースに応じて、都度、適切な経費処理をおこなうことが大切です。

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