法人保険の名義変更を徹底解説!税金対策での名義変更は注意が必要!

法人保険の低解約返戻金タイプでは、法人から個人に譲渡する名義変更プランで税金対策をする人も多いかもしれませんが、この名義変更プランは注意が必要です。他にも、医療保険の名義変更、法人保険の名義変更プランの経理処理に関してご紹介します。

低解約返戻金タイプと医療保険の名義変更とは?

事業リスクを上手く回避しながら会社の経営を維持させるために、経営者にもしものことがあったときの備えや、節税対策などを検討している経営者の方もいることでしょう。


このような場合、低解約返戻金タイプの法人保険や、医療保険などへの加入が候補として挙がってきます。


これらのタイプでは法人が契約した保険の契約者を個人に名義変更することで、さらに大きな節税効果を得ることができます。


そこで、この記事では「法人保険の名義変更プラン」について、

  • 法人保険の低解約返戻金タイプの名義変更プランのメリット
  • 法人保険の低解約返戻金タイプの名義変更プランのリスク
  • 法人保険の名義変更プランの経理処理 
以上のことを中心に解説していきます。


この記事を読んでいただければ、名義変更プランのリスクについて正しく理解することができ、法人保険への加入の検討時に役立つかと思います。


是非最後までご覧ください。




法人保険の低解約返戻金タイプの名義変更プラン

名義変更プランで活用できる法人保険として、低解約返戻金タイプの逓増定期保険が挙げられます。


解約返戻率がピークを迎える時期が短く、被保険者の年齢が高くても高い解約返戻率になるように設計することができるので、5~15年後を目安とした役員退職金準備に活用されることが多い保険です。


保険に加入した一定期間は極端に低い解約返戻率が、その期間を過ぎると一気に上がることも特徴です。


なお、法人で逓増定期保険に加入した場合、支払った保険料の4分の1から2分の1は損金に計上可能(被保険者の区分により異なる)で、残りの保険料は保険積立金として資産計上することになります。


損金算入できる保険料があるので法人税などの軽減にも繋がる保険ですが、この低解約返戻金タイプの逓増定期保険の名義変更プランの内容についてご説明します。


名義変更プランでは法人から個人に名義が変更される

法人で逓増定期保険に加入した後は、3~4年の期間、法人で保険料を支払います。


名義変更する場合には、そのタイミングの解約返戻金相当額を個人から法人に支払い、買い取る形となります。


解約返戻金の返戻率が低い時期に名義変更を行うので、個人が準備する買い取り資金も非常に少なくてすみます。


保険の名義を法人から個人に変更した後は、解約返戻金率がピークを迎えたときに保険を解約して解約返戻金を受け取る形です。


このとき個人が受け取る解約返戻金は一時所得になるので、「2分の1課税」など所得税法上の優遇措置を受けることができます。


そのため、役員報酬や役員退職金としてお金を受け取るよりも、所得税や住民税の負担を軽減することが可能です。


また、法人が保険を譲り渡すまでに資産計上されていた金額と譲渡価格の差額は、損失となりますので支払った総保険料の大部分を損金計上することができます。




税金対策の低解約返戻金タイプの名義変更プランは危険

低解約返戻金タイプの逓増定期保険などの名義変更プランは、札幌高裁で認めないとの判決が下されるなど、法人から個人に対する名義変更は問題視されている状況について理解しておくことも必要です。


この判決は最高裁での決定ではないのですが、今後、法人保険の名義変更を活用する節税方法はリスクを抱える可能性があるといえるでしょう。


低解約返戻金タイプの法人保険の名義を法人から個人に移すことは、法人にも個人にもメリットがあります。


そのため、法人から個人に対する資金移転と解釈されてしまうと、これまで法人が負担した保険料の損金算入が否認され、名義変更にかかる税金なども調査対象となる可能性が出てきますので十分注意が必要です。

支払調書の提出ルールが変更になった

低解約返戻金タイプの名義変更プランで注意しておきたいこととして、他にも支払調書の提出ルールが変更になった点が挙げられます。

平成30年以降に法人から個人に名義変更を行い、その後、個人が保険を解約して解約返戻金を受け取ったときには、保険会社から税務署に「支払調書」が提出されることになりました。

支払調書に記載される内容は、それまで支払われた保険料総額、そして解約返戻金額などです。

以前までは保険会社から税務署に対する支払調書の提出義務はなかったので、個人が解約返戻金を受け取っても一時所得の申告がなされないこともありました。

また、一時所得の申告を行ったとしても、法人が支払った保険料も個人が支払ったことにするなど、経費の水増しによる一時所得金額の引き下げなどが行われていたようです。

法人税で控除された保険料なのに、名義変更後に個人に対する一時所得でも控除されれば二重控除になってしまいますので、このような問題を解決するため支払調書の提出が義務化されました。

なぜ譲渡が必要なのかという理由が必要

低解約期間に保険契約を譲渡することは、本来、法人にとっては不利な取引であることや、役員が退職するときに現物支給を行う福利厚生としての意味合いが濃くなることで、税務署から目を付けられてしまう可能性があります。


名義変更を行う理由が節税目的では、税務署に対する理屈が通らない可能性が出てくるので、法人から個人に名義変更する理由を明確に伝えることができるようにしておきましょう。

法人契約の医療保険での名義変更では現物給付が可能

解約返戻金のないタイプの終身医療保険に法人契約し、保険の名義を法人から個人に変更することで、個人の退職金の一部を現物給付することが可能になります。


法人向け保険の資産価値は解約したときに支払われる解約返戻金相当額で評価されますが、解約返戻金がなければ、保険を法人から個人に移転しても個人の税負担はありません。


その上、一生涯に渡り医療保障を確保することができることが可能になるのでメリットは大きいといえるでしょう。

法人保険の名義変更プランの経理処理

法人保険の名義変更プランを活用する場合、法人から個人に名義を変更するのか、それとも法人から法人に変更するなどさまざまな方法があります。

どの形で保険を譲渡するかにより経理処理は異なりますので、譲渡する側とその相手が異なる場合の経理処理方法について確認しておきましょう。

法人から個人に譲渡した場合の経理処理

法人から個人に名義変更する場合、保険商品によって経理処理は異なります。


まず、支払った保険料の全額が損金扱いで解約返戻金相当額がない法人保険の場合、名義変更での経理処理はそのまま損金扱いとなります。


保険料の2分の1を損金算入する場合や、一部を資産計上することになる法人保険の場合、保険料積立金として資産計上されている額を取り崩し、解約返戻金との差額を雑損失雑収入として計上します。

法人から法人に譲渡した場合の経理処理

転籍する前の法人が加入していた法人保険を、転籍した後の法人名義に変更するなど、被保険者となっていた個人が子会社などへ転籍したときに行われる名義変更のパターンです。


名義変更するには解約返戻金相当額で保険を譲渡することになりますが、転籍する前の法人では資産計上している額を取り崩して解約返戻金との差額を算出し、その額を雑損失雑収入で計上します。


転籍した後の法人は、解約返戻金相当額の支払いを行ってその額を資産に計上することになります。

無償譲渡では、所得税が増える可能性がある

法人保険を有償で譲渡する場合と無償で譲渡する場合では、名義変更した後の経理処理が異なります。


法人から個人に名義変更を行った後で、保険を解約して受け取った解約返戻金は一時所得になることは先に述べました。


法人から個人が保険を買い取るなど、有償での名義変更なら、支払った解約返戻金相当額を必要経費に含めて一時所得の所得税を計算することができます。


しかし、無償で譲渡している場合、必要経費に計上できる支払いがないので所得税の負担が増えることがあります。

契約者変更時に必要な書類

契約者変更を行うときには、保険会社や保険代理店から所定の必要書類を取り寄せるようにしましょう。


事前に準備しておきたい書類として、保険証券以外に以下の書類が挙げられます。

  • 有償譲渡契約書
  • 取締役会議事録 

有償譲渡契約書は、法人と個人がそれぞれ保管することになるので1部ずつ用意が必要になります。

記載しておく内容は、契約日、保険契約の概略、譲渡される額(解約返戻金額)などです。


取締役議事録は法人の総意で保険の譲渡が行われたことの証明になりますので、保険会社によっては準備が必須になる場合もあります。 

まとめ:法人保険の名義変更では法人から個人への譲渡は注意

法人保険の名義変更プランについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。


今回のこの記事のポイントは、

  • 低解約返戻金タイプの名義変更プランを活用するなら譲渡の理由が必要であること
  • 法人契約の医療保険なら現物給付することができること
  • 法人保険の無償譲渡は所得税が増える可能性があること 
です。


法人保険の低解約返戻金タイプの名義変更プランで節税を考えている方は、どのようなリスクがあるのか事前に把握しておくことが大切です。


上手に保険を活用して、節税効果を得ることができるようにしましょう。


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この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、保険相談や選び方のポイントを伝える「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

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