更新日:2023/08/22
獣医に必要な法人保険とは?損害賠償請求をされた場合の適切な対応
獣医には、治療ミスによるペットの死亡事例などがあり、損害賠償費用が大きくなるリスクがある事業と言えます。そのため獣医の方々は獣医賠償責任保険はもちろん、施設を守るために法人向けの火災保険が必要と言えます。また個人事業主であっても法人保険には加入できます。
内容をまとめると
- 動物病院の経営には、獣医の医療過誤や火災などのリスクがある
- 実際に医療過誤によって慰謝料を60万円支払うことになった事例もある
- 上記のようなリスク対策として獣医賠償責任保険や法人向けの火災保険でリスク対策をするべき
- 法人向けに提供している保険は個人事業主であっても加入することができる
- 保険や事業のリスク対策に関する相談は「マネーキャリア」がおすすめ
目次を使って気になるところから読みましょう!
獣医を取り巻くリスクとは?
動物病院の経営を取り巻くリスク
動物病院を経営する際には様々なリスクがあります。こちらの記事では獣医の経営を取り巻くリスクと、そのリスクの対策としての保険を紹介します。
獣医が直接サービスを提供する対象は、犬や猫などの動物のため予想していないことが起こる可能性が比較的高いと言えます。そこでまずは獣医が所属する動物病院の経営でどのようなリスクがあるのかを見ていきましょう。
上記の図をご覧ください。これはリスクマップと言います。リスクの発生頻度とリスクが事業にどれくらい影響を与えるのかという2つの軸で構成され、それぞれのリスクが示されています。
沢山リスクがありますがこちらの記事では以下の3つのリスクについて詳しく解説していきます。
- 医療過誤に関するリスク
- 建物等の老朽化
- 火災や爆発に関するリスク
①医療過誤に関するリスク
まずは医療過誤に関するリスクです。動物病院において獣医の医療過誤により、飼い主が動物病院に対して損害賠償請求をすることがあります。
人間の医療過誤とは違い、動物の医療過誤が起こった場合請求されるのは治療費と飼い主に対する慰謝料です。その理由は法律上動物が「モノ」として扱われるためです。
だからと言ってこのリスクを見逃すことはできません。なぜならこのリスクの発生頻度は中程度で経営に与える影響がかなり大きいリスクと言えるからです。
もしもの事があった時のために獣医の方々は、賠償責任を補償する保険に加入しておくことをおすすめします。
②建物等の老朽化
続いては建物等の老朽化に関するリスクです。こちらのリスクの発生頻度は比較的低くなっていますが、経営に与える影響は大きいリスクとなっています。
こちらのリスクでは例えば以下のような事故に繋がる可能性があります。
- 待合室の座席が老朽化し、飼い主の衣服を汚してしまった
- 動物の入院室が老朽化しており預かっていた動物が脱走
- 待合室にかけていた絵が落下し飼い主を傷つけてしまった など
③火災や爆発に関するリスク
最後は火災や爆発に関するリスクです。こちらのリスクの発生頻度は低いですが、一度起こると事業を再開することが難しくなるほど、経営に大きな影響を与えるリスクと言えます。
こちらのリスクは獣医側がミスで火災を起こすよりも、放火によって火事になったり爆発し、建物が全焼する可能性があります。
こうなった場合建物や設備の修繕費、休業期間中の補償、預かっていた動物に損害を与えてしまった場合の損害費用など、事業を再開するまでに多額の費用が必要となります。個人事業主として獣医をする場合、このような対処は全て自身で行うこととなり、費用なども個人で準備することになるでしょう。
そのためこのような事態が起こることを想定して予め対策しておくことをおすすめします。
動物病院にて実際にあった損害事例
ここからは獣医の方に実際に起こった事故や損害事例を紹介していきます。
具体的な事例を見ることでご自身が経営する事業においてどのようなリスクがあり、対策が漏れている部分がないか発見できる可能性もあるのでぜひ最後までご覧ください。
今回紹介する事例は以下になります。
- 医療過誤によりペットが死亡した事例
- 手術後の説明義務違反
事例1:医療過誤によりペットが死亡した事例
まず最初に紹介する事例は、獣医の治療ミスによりペットが死亡した事例です。こちらの事例は平成20年9月26日に判決が出た事例となっています。
ある家庭で飼育していた日本スピッツが平成14年12月28日に受診した動物病院で、高血圧が診断され、インスリンの投与を勧められました。その後かかりつけの動物病院に入院することになりました。
こちらの動物病院では入院中に、食事での療養はされていたそうですが、インスリンの投与をすることはありませんでした。その結果、平成15年1月3日に入院していた日本スピッツが死亡してしまいました。
日本スピッツの飼い主は、かかりつけの動物病院の獣医に対して適切な治療が行われていないことを理由に、損害賠償請求をしました。
裁判所の判決は、動物病院の獣医が、飼い主2人に対してそれぞれ30万円の慰謝料の支払いを命じました。
判決の理由は以下です。
- インスリンの投与を含めた適切な治療を行わなかったことによる不法行為
- 飼い主の精神的ダメージが大きいためそれぞれに慰謝料30万円は妥当とした
事例2:手術後の説明義務違反
続いては手術後の説明義務違反に関する事例を紹介します。こちらの事例は平成21年2月25日に名古屋地方裁判所で判決が出た事例です。
ある家庭で飼育していたウェルシュコーギーが、摘出手術を受けることになり、獣医と診療契約を締結し、手術が行われました。その後手術後の輸血が不十分だったため、本件患犬が死亡しました。
こちらの動物病院では、手術中、手術後の輸血に使用する血液の確保をすることが難しいことや、他の動物病院で治療を受けることが必要になることなどを飼い主に分かりやすく説明できていませんでした。
このことにより裁判所は獣医の説明義務違反があることと本件患犬が死亡したことの関係が深いとして、原告に対して損害賠償金を支払うことを命じました。
獣医に必要な法人保険
ここからは獣医に起こると考えられるリスクの対策として加入すべき法人保険を紹介します。
早速今回紹介する保険は以下になります。
- 獣医賠償責任保険
- 法人向けの火災保険
①獣医賠償責任保険
まず最初に紹介する保険は獣医賠償責任保険です。獣医賠償責任保険とは、獣医の業務に関する事故や、動物病院が保有・所有している建物や設備等が起因となり第三者に損害を与えた場合の費用を補償する損害保険です。
具体的な獣医賠償責任保険の補償内容は以下です。
- 損害賠償金
- 治療費や緊急措置にかかる費用
- 訴訟費用
- 弁護士費用
- トリミング・ペットサロン業を行う動物病院向けの損害補償
- サイバー保険特約
②法人向けの火災保険
続いては法人向けの火災保険について解説していきます。一般の方向けに提供されている火災保険では事業活動で起こった火災についての費用などを補償することはできません。
そのため事業で使用する建物や設備の補償をしたい方は、法人向けの火災保険に加入する必要があります。
法人向けの火災保険の補償内容は以下になります。
- 火災
- 落雷
- 風災
- 水濡れ
- 盗難など
法人保険の加入方法について
ここまで獣医の経営を取り巻くリスクとその対策ができる法人保険の紹介をしてきました。法人保険の加入方法は、法人保険を取り扱っている保険代理店や保険会社に問い合わせることで保険に加入することができます。
こちらの記事の読者の方々の中で、獣医を既にしている方やこれから始める方が、個人事業主として事業をしている方も多くいると思います。個人事業主であっても法人保険の加入は可能です。
しかし保険会社に問い合わせて、保険に加入する前に自分が経営する動物病院において具体的にどのようなリスクがあるのかを知りたい方もいると思います。
そんな方々には法人保険やリスク対策に詳しい専門家に相談できる「マネーキャリア」をおすすめします。
「マネーキャリア」では毎月約30社の法人の経営者の方や開業予定の方々などが法人保険の加入や事業のリスク対策についてお問い合わせをいただいています。また相談した方の98.6%が満足していただいているので安心してご相談いただけます。
気になる方は以下から相談をお申し込みください。
まとめ:獣医に必要な法人保険について
ここまで、獣医の経営を取り巻くリスクと、それらのリスクに適切に対応するための法人保険の紹介をしてきましたがいかがだったでしょう。
以下が今回の記事の簡単なまとめです。
- 動物病院の経営には、獣医の医療過誤や火災などのリスクがある
- 実際に医療過誤によって慰謝料を60万円支払うことになった事例もある
- 上記のようなリスク対策として獣医賠償責任保険や法人向けの火災保険でリスク対策をするべき
- 法人向けに提供している保険は個人事業主であっても加入することができる
- 保険や事業のリスク対策に関する相談は「マネーキャリア」がおすすめ