更新日:2023/07/15
映画業界で加入すべき保険と撮影時などを取り巻くリスクを徹底解説!
映画業には、コロナの影響などにより需要が減退するなどのリスクがあることは実際に体験してご存じかと思います。そのような映画業を取り巻くリスクに対応するために保険に加入することをおすすめします。また、保険に関する相談は、「マネーキャリア」をご利用ください。
内容をまとめると
- 映画業界では、需要減退のリスクや労働災害に関するリスクがある
- 映画業界で上記のようなリスクを回避・軽減するために損害保険に加入することがおすすめ
- 事業のリスク対策や保険に関する相談は「マネーキャリア」がおすすめ
- 新型コロナウイルスは映画業界の減益などのマイナスな影響を与えた
- 今後同じような事態が起こらないとも限らないため保険や政府の補助について知っておく必要がある
目次を使って気になるところから読みましょう!
映画業界を取り巻くリスクについて
事業経営に関するリスクマップ
今回のこちらの記事では、まず映画業界での経営を取り巻くリスクにはどのようなものがあるのかを解説していきます。その後に、映画業界の経営において加入すべき法人向けの損害保険の紹介をしていきます。
上記に掲載しているマップはリスクマップと言います。事業が抱えるリスクを可視化してマップにしているものです。リスクが発生する頻度とリスクが経営にどのくらい影響を与えるのかの2つの軸で構成されています。事象を社会的経済的リスク、自然災害事故リスク、経営リスクの3つのカテゴリに分類しています。
今回は以下の3つのリスクを重点的に解説していきます。
- 需要減退(発生頻度・中、リスク・大)
- 労働災害(発生頻度・高、リスク・低)
- 人材確保・育成(発生頻度・高、リスク・中)
①需要減退(発生頻度・中、リスク・大)
最初に解説するリスクは、需要減退リスクです。こちらのリスクは発生頻度が中程度ですが、事業に与える影響が大きいリスクとなります。
2019年から流行した新型コロナウイルスの影響で消費者の映画の需要は大幅に低下しました。これまで増加傾向にあった業界規模は2020年に急激に低下し、2021年からは回復傾向にあります。しかし今後このようなパンデミックが二度と起こらないとは言い切れません。
企業が介入できない変数で、事業の経営に影響を与えるリスクには政府の支援制度や保険などでの対応が可能です。この後に保険については紹介していきます。
②労働災害(発生頻度・高、リスク・低)
続いては、労働災害に関するリスクです。こちらのリスクの発生頻度は、比較的高くなっていますが、事業に与える影響はそこまで大きくないリスクであると考えられています。
アクション映画を撮影する場合、スタントマンやアクション俳優が危険なシーンの撮影でケガや最悪の場合死亡する可能性などが考えらます。
また映画製作には多くの人材が関わり、制作期間が長期にわたる場合があります。長時間の撮影や編集作業によって、労働者の疲労やストレスが蓄積されることがあります。これによって、身体的な病気やメンタルヘルスの問題が引き起こされることがあるため、これらも労働災害に該当します。
③人材確保・育成(発生頻度・高、リスク・中)
最後は、人材確保・育成に関するリスクを解説します。リスクの発生頻度は、比較的高く、リスクが経営に与える影響は中程度であると思われます。
映画業界は、長時間労働や低賃金によって、人材不足が生じることがあります。特に、若手や未経験者にとっては、低い報酬や過酷な労働条件に耐えられず、業界から離れる人も少なくありません。
そのため人材が育成されず事業の拡大に繋がらないケースもあります。また映画業界では、技術や知識を継続的に習得し、発展させる必要がありますが、労働者に適切な育成プログラムが用意されていないことがあります。その結果、労働者のスキルが向上せず、競争力が低下することが考えられます。
映画撮影などでの事故・損害事例
それではここからは、映画業界で撮影時などに起こった事故や損害事例を紹介します。紹介する事例は以下の3つです。
- 映画撮影中に実弾を発砲してしまい死亡事故になった事例
- 演出の火がセットに燃え移った事例
- 一般の通行人に損害を与えた事例
事例1:映画撮影中に実弾を発砲してしまい死亡事故になった事例
最初に紹介する事例は、映画撮影中に実弾を発砲してしまい死亡事故になった事例です。ハリウッド映画の映画撮影時に起こった事故です。
ある俳優が、小道具の銃を発射したところ、実弾が装てんされており、その弾が撮影監督と監督に直撃してしまいました。監督は一命を取り留めたが撮影監督は手当の甲斐もなく死亡しました。
後日この事件について捜査が進められたのですが、撮影に使用されていた銃が本物であったこと、本来は空砲になるはずだったのですが、銃に実弾が入っていたことが分かりました。
このように実弾を誤って発砲してケガや死亡事故に繋がった事例はいくつかあります。
事例2:演出の火がセットに燃え移った事例
次に紹介する事例は、演出の火がセットに燃え移った事例を紹介します。この映画のクライマックスは、燃え上がる城から、俳優が演技で正気を失って出てくるシーンでした。
城はセットですがかなり大掛かりなもので、このセットを実際に燃やして行う撮影のため撮り直しはきかない、一発勝負のシーンでした。 俳優は火をつける前から城のセット中に入っており、演技にリアリティを持たせるためにセットが燃えた後、なるべくぎりぎりまで我慢してから出るように言われていました。
ところが、セットに火が回り始め、セットが焼け落ちそうになっていたのですが俳優が出てきませんでした。さすがに見ている監督も不安になってきました。
俳優に何か事故があったのではないかと考え、撮影スタッフがセットに飛び込み、確認しようとした際に、俳優がセットから出てきました。
結果的に俳優はなにごともなく、迫力のあるシーンが撮れたのですが、一つ間違っていれば世間に大きなマイナスイメージを与えることになったかもしれません。
事例3:一般の通行人に損害を与えた事例
最後に紹介する事例は、撮影中に一般の通行人に損害を与えた事例を紹介します。カナダで一般の通行人が撮影現場の近くを通行中、車両の追跡シーンで使用されていたカメラクレーンが崩壊し、通行人が死亡するという事故が発生しました。
この事故により、通行人の家族が製作会社と制作チームを相手取って訴訟を起こし、損害賠償金の支払いが行われました。
このような事故は、映画製作現場において常に危険が潜んでいることを示しています。撮影現場周辺では、通行人の安全に十分な配慮が必要であり、安全管理に細心の注意が払われる必要があります。
映画業を取り巻くリスクを回避するための保険について
ここからは、映画業界の経営を取り巻くリスクを回避・軽減するための損害保険を紹介します。今回こちらの記事で紹介する損害保険は以下の3つになります。
- 映画作製保険
- 施設賠償責任保険
- 業務過誤賠償責任保険
①映画作製保険
まず一つ目は、映画作製保険についてです。映画作製保険とは、撮影内容からリスクを想定し、各種損害保険を組み合わせて補償する保険の事です。
こちらの保険では、スタッフ・キャスト・エキストラが撮影中の事故で怪我をした時や、借用ロケセットを損壊してしまったなどの損害を補償します。
スタッフ・キャスト・エキストラが撮影中の事故で怪我をした時については、傷害保険で補償し、撮影に使用する機材を損壊させてしまった場合は、賠償責任保険や動産総合保険で補償をすることとなります。
欧米では映像製作専用のパッケージ保険がありますが、日本には現在そのような保険はないためこちらの保険に加入することをおすすめします。
②施設賠償責任保険
続いて2つ目は、施設賠償責任保険です。施設賠償責任保険とは、施設の管理や仕事の遂行に起因する
対人・対物事故による賠償責任を補償するための損害保険です。
こちらの保険は、施設が原因で第三者を含む事故を、起こした場合だけでなく、自転車で商品配達中に通行人と衝突し、ケガを負わせたなどの施設の用法に伴う仕事の遂行についてもこちらの保険で補償することができます。
そのため映画撮影中も仕事の遂行中に該当するため、損害賠償責任が生じた場合こちらの保険で補償することが可能です。
施設賠償責任保険について詳しく知りたい方は、別の記事で公開しているのでそちらをご覧ください。
③業務過誤賠償責任保険
最後は、業務過誤賠償責任保険を紹介します。こちらの保険はあまり馴染みのない保険かと思います。業務過誤賠償責任保険とは、コンテンツ事業者の提供するサービスが原因で、取引先など第三者に損害を与えてしまい、保険期間中に損害賠償請求された場合に対応する保険です。
映画に使用しているBGMが、他者の製作した作品で使われているBGMの一部を真似たとして、映画製作会社および映画音楽製作会社が連帯して損害賠償請求されたなどのリスクをこちらの保険で補償することができます。
コンテンツ事業者向け業務過誤賠償責任保険は、「会社」だけでなく「役員個人」「従業員個人」に対して損害賠償請求を提起されても補償の対象となることも特徴です。
コロナ禍が映画業界に与えた影響
最後は、コロナ禍が映画業界に与えた影響を解説していきます。新型コロナウイルスの流行により、映画業界は大きな打撃を受けました。
映画館の営業自粛や公開延期、製作の中止や遅延など、多岐にわたる影響が出ました。
まず、映画館の営業自粛によって、全世界的な映画収益が激減しました。また、映画の公開延期や中止によって、映画館は新作のない状態が続き、さらに経済的な打撃を受けました。
また、映画館自体が感染の温床となり得ることから、感染防止のための厳しい制限が課されることになりました。
製作側でも、撮影が中断されることが多くなりました。
撮影現場では密集した状態が続くため、感染防止対策が困難であることから、多くの製作が中止に追い込まれました。これにより、映画の公開スケジュールが大幅に変更されることとなり、製作側にも経済的な損失が出ました。
一方で、この状況を逆手に取って、配信サービスやVOD(ビデオ・オン・デマンド)での映画の配信が増えました。映画館で公開されなかった作品が、オンラインで配信されるようになり、一部の映画ファンから好評を得ることとなりました。
今後同じような感染症やパンデミックが起こらないとも言い切れません。そのため保険や政府が提供している補償を利用するようにしましょう。
まとめ:映画業を取り巻くリスクとそれらを回避するための保険
ここまで映画業界を取り巻く潜在的なリスクとそれらのリスクを回避・軽減するための損害保険の紹介をしました。以下が今回の記事のまとめになります。
- 映画業界では、需要減退のリスクや労働災害に関するリスクがある
- 映画業界で上記のようなリスクを回避・軽減するために損害保険に加入することがおすすめ
- 事業のリスク対策や保険に関する相談は「マネーキャリア」がおすすめ
- 新型コロナウイルスは映画業界の減益などのマイナスな影響を与えた
- 今後同じような事態が起こらないとも限らないため保険や政府の補助について知っておく必要がある