結婚式のご祝儀・葬式の香典や開催費は経費にできる!税務上の基礎知識

会社関係の結婚式のご祝儀や葬式の香典を経費にしたいと考えている方は多いでしょう。実は正しい勘定科目を用いて計上すれば経費として損金算入させることが可能です。今回は結婚式や葬式に伴う費用をどこまで経費にできるのか、具体例も挙げながら説明していきます。




▼この記事を読んで欲しい人
  • ご祝儀や香典を経費にするか知りたい経理担当の方
  • 税務に関する知識を深めたい方
▼この記事を読んでわかること
  • 結婚式のご祝儀・香典の仕訳方法
  • 結婚式に関わる費用をどこまで経費にできるのか
  • ご祝儀や香典を経費にするために必要なこと
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内容をまとめると

  • 結婚式のご祝儀や香典は「接待交際費」や「福利厚生費」で経費にできる
  • 結婚式場までの交通費や宿泊代も経費にできる
  • 経費にするためには金額が大きすぎない必要がある
  • 出産祝いや入学祝い、開店祝いなども経費にできる
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監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

結婚式のご祝儀・香典の費用を経費にして損金算入できる場合と仕訳方法


結婚式のご祝儀や香典は、経費にして損金算入することができますが、具体的にどの費用が経費にできるのか、そして仕訳の方法も理解しておく必要があります。


そこで次からは、

  • クライアント先の結婚式
  • 従業員や役員、その家族の結婚式
この2つのケースについて取り上げていきます。

①クライアント先の結婚式のご祝儀・香典の費用

もっとも経費になりやすいケースが、ご祝儀や香典を贈る相手がクライアント・取引先である場合です。


出費が経費として損金算入するためには、それがどのような費用でも「事業(仕事)に関連しているか」という点が重要になりますが、結婚式の場合も同様です。


クライアント先へのご祝儀や香典は、「接待交際費」という勘定科目で全額経費にすることができます。


なぜ経費にできるのか、それは取引先との関係性が重要な業務である場合、結婚した相手へご祝儀を贈ることで関係性を強められる場合があるからであり、「仕事の一環」ととらえることもできるからです。


本来の意味合いである「お祝い」よりもどうしてもビジネス色が強くなってしまいますが、ご祝儀に関してはビジネスだと割り切った方が良いでしょう。


逆にいえば、相手が知り合いの社長であったりする場合でも、仕事に関係のない相手であればただ単にプライベートでご祝儀を送ったことになり、それを経費にするのは難しくなります。

②従業員や役員、その家族の結婚式のご祝儀・香典の費用

自社の従業員や役員が結婚式を行う場合、その従業員や役員へのご祝儀も、経費にすることができます。


この場合は社内の人間に対する費用なので「福利厚生費」として勘定することで経費計上します。


ただしこの場合はいくつかのパターンが考えられ、

  • 会社が「祝い金」を会社規定に基づいて支給する
  • 上司や役員が結婚式出席時に自費でご祝儀を渡す
後者の場合、それは「給与」として扱われるため、受け取る側には所得税が発生します。

ですから基本的には、会社が全社員を対象に「祝い金」を出す規定がある方が、「福利厚生費」として扱われるので経費にしやすくなります。

これは葬式の場合も同様であり、自社の従業員や役員が亡くなった場合は「社葬」というかたちで葬式を行いますが、その社葬に伴う費用も経費にできます

ちなみに、会社がご祝儀や香典を負担する場合でも、それが一人の上司や役員など、だれか特定の人に対しての出費であれば「福利厚生費」にはなりません。

交通費や宿泊代も経費にできる!

実は、結婚式または葬式に参加する際の交通費や宿泊代も、経費にすることができます。


といっても、本来仕事内容には直接関係ないはずのご祝儀や香典も経費にできるのですから、交通費や宿泊代が経費になるのも不思議なことではありません。


道中のタクシーの交通費や宿泊代も同様に「接待交際費」として勘定します。


ただし注意したい点として、自動車があるのにもかかわらず意味もなくタクシーを使っていたり、高級ホテルに宿泊した場合などは損金算入が否認される可能性があります。


経費計上の可否に関しては「社会通念上認められる範囲」という曖昧な基準があるため判断が難しい部分でもありますが、どう見ても常識からはずれている出費を経費にしようとするのは控えるべきです。

結婚式のご祝儀・香典の費用を経費にする際に知っておくべき注意点


たとえば、身内ではない人へのご祝儀は「3~5万円が妥当」と言われるように、厳密に規則化されているわけではないものの、暗黙のルールのようなものがあります。


ご祝儀や香典を「経費にできるか」という基準も同様に細かく規則化されているわけではありませんが、基準は明確であるため間違えやすく、注意が必要です。


そこでこれから挙げる

  1. 慶弔費支給規定を定めておくこと
  2. 大きすぎない金額にすること
  3. 出費の証拠を保存しておくこと
以上の注意点に関してチェックしていきましょう。

①福利厚生の場合は慶弔費支給規定などを事前に定めておく

すでに取り上げたように、ご祝儀や香典を「福利厚生費」として経費にするためには、会社が特定の個人ではなく社員全員を対象としている必要があるため、あらかじめ「慶弔費支給規定」などを定めておく必要があります。


すでにほとんどの会社では同様の規定があり、全社員を対象として従業員が結婚した場合には祝い金が出たり、従業員が亡くなった場合は弔慰金として、一時金が支給されることになっています。


会社で定める「慶弔費支給規定には」祝い金や弔慰金だけでなく、

  • 出産祝い金
  • 災害見舞金
  • 傷病見舞金
こういった一時金も含まれています。

この規定を定めることは、単に経費として損金算入できるだけでなく、従業員のモチベーションにつながったり、入社希望者が会社を判断する際のイメージも向上します。

もちろん「慶弔費支給規定」を定めたら必ずその規定に従って支給されなければならず、規定があるのに支払われない場合は給与未払いとなり処分対象となります。

②金額が大きすぎると税務調査で否認される

2つ目の注意点として、ご祝儀や香典の金額が大きすぎると、税務調査で否認され損金算入ができなくなります。


「交通費や宿泊代」の部分でも扱いましたが、常識的に大きすぎるとみなされる金額、いわゆる「社会通念上認められる範囲」を超えてはいけません。


いわゆる「高額すぎない」ボーダーラインを守るのは難しいですが、相場として

  • 結婚式(ご祝儀):30,000~50,000円
  • 葬式(香典):5,000~10,000円
このあたりが常識的な範囲として経費にできる金額といえるでしょう。

基本的に包むご祝儀は相手の間柄により変わるため、本来は「それぞれが決めて良い」はずなのですが、良くも悪くもルール化されている部分があるため、相手が親族でない場合はこれらの範囲でおさめるもの、とシンプルに考えた方が良いでしょう。

親しい間柄でもないのに10万~20万以上など高額のご祝儀を用意すると、否認される可能性が高くなります。

③支払った証拠やメモを残しておく

最後に挙げる注意点は、ご祝儀や香典で出費したことへの証明となるものを残しておく、という点です。


これは、備品などを購入するときに、それが経費であることがわかるようにレシートを残しておくのと同じことです。


しかし、ご祝儀などはレシートはおろか領収書を受け取るのも難しいため、最低限「支払った相手と金額」をメモしておく必要があるでしょう。


結婚式の案内状やパンフレットなども保存しておきましょう。

結婚式の開催費用や親の葬式費用は経費で損金算入できる?


ここまで想定していたケースはあくまで同僚や取引先へのご祝儀や香典費用についてですが、仕事に関係ない友人や親などの結婚式、葬式費用を損金算入することは可能なのでしょうか。


次からは、

  • 結婚式の開催費用や親の葬式費用
  • 結婚披露宴の費用
これらのケースについて取り上げます。

結婚式の開催費用や親の葬式費用を経費にする方法

ご祝儀や香典の費用が経費になるのはあくまで「相手が仕事に関係する人」の場合です。


個人的に結婚式を挙げたり、身内の結婚式に参加するような場合は、基本的にその費用を経費にすることはできません。


もしそれが可能なら、社長自身の私生活のありとあらゆる費用を、理由を付けて経費にすることができてしまうからです。


プライベートでの結婚や親の葬式費用を経費にできる可能性としては、結婚式や披露宴の会場費をあくまで「会場費」として領収書を出してもらったり、親の葬儀は「社葬」というかたちで執り行う、というような方法がないわけではありません。


ただし、そもそも結婚式や葬儀の費用は100万円を超えるなど高額になることも多いためその時点で否認される可能性も高くなりますし、税務調査が入れば詳細がすぐに結婚式や葬式費用であることが明らかになりより多くの不利益を被る可能性もあるため、おすすめしません。

結婚披露宴の費用が否認された実例

過去の事例として、会社の代表取締役の結婚式および披露宴を経費にしようとしたところ、税務署から否認された、というケースが実際にあります。


税務署から処分を受けた会社は、

  • 社葬が経費になるなら結婚披露宴も損金算入できないのはおかしい
  • 披露宴の出席者も取引先や同業者が大勢参加したので経費になるのは妥当である
このような主張を行っていました。

一見筋が通っているようにも見えますが、最大の誤解は、結婚披露宴は葬儀と全く意味合いが異なる行事であり、あくまで私的に行うものであり「社会通念上必要なもの」ではない、という点です。

従業員の死亡に対して行う「社葬」には、故人のそれまでの労をねぎらうという意味合いもあるため必要なものですが、あくまで私的に行うかどうかを判断できる結婚披露宴は、たとえ関係者が大勢参加していても経費にはなりません

今後同様のケースが発生した場合も、やはり結婚式費用自体の損金算入は難しい、といえるでしょう。

【参考】そのほかの祝い金も工夫すれば経費にできる


ご祝儀や香典以外の費用で、経費にできるものはあるのでしょうか。


経費にできる費用の例として、

  • 出産祝い:福利厚生費
  • 入学・卒業祝い:福利厚生費
  • 開店祝い・開業祝い:接待交際費
  • 新築祝い:接待交際費
  • 還暦祝い:福利厚生費または接待交際費

このような費用が挙げられます。


これも「慶弔費支給規定」と同様、あらかじめ会社規定で従業員一律に支給することを決めておくなら、社会通念上必要なものとして損金算入できます。


経費にするためにポイントとなるのはやはり「高額にしない」という点であり、業務上どれだけ重要な相手であっても、多くて10万円あたりが限度となるでしょう。

結婚式のご祝儀・葬式の香典や開催費の経費化に関するまとめ


今回は結婚式のご祝儀・葬式を経費にすることについて取り上げてきましたが、いかがでしたでしょうか。


結婚式のご祝儀や葬式の香典を経費にするこためには、正しい勘定科目で計上し損金算入させましょう。


同時に「経費にできるのはどこまでのラインなのか」をきちんと理解し、公私混同しないように注意しましょう。


経費にできるラインについてお悩みの方はマネーキャリアにご相談ください。マネーキャリアでは法人の方も無料で何度でも相談可能なため、この機会に利用してみてはいかがでしょうか。


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