更新日:2023/07/20
差し入れや手土産の菓子代・お茶代は経費にできる!勘定科目は?
差し入れや手土産の菓子代やお茶代は業務に関連するのであれば経費として落とすことができます。ただし理由によって勘定科目を分けなければならず、間違えやすいので注意してください。この記事では差し入れや手土産を経費に計上する際のポイントをまとめて紹介します。
- 差し入れや手土産は経費に計上できるのか知りたい人
- 法人の節税についての知識を深めたい人
- 企業の経理担当や役員などの役職の人
- 差し入れや手土産は経費として計上できるかどうか
- 差し入れや手土産を仕訳する際の勘定科目
- 差し入れや手土産を経費にできない場合
- 差し入れや手土産を経費に計上する際の注意点
内容をまとめると
- 差し入れや手土産は業務に関係があれば購入費を経費に計上できる
- お菓子等を仕訳する際使用する勘定科目は「接待交際費」「会議費」「販売促進費・広告費」「福利厚生費」
- 仕事中でも個人のためや自分の友人や家族のために購入したものは経費にならない
- 注意点①来客用に買ったものと社内用に買ったものの管理は別々にしておく
- 注意点②購入した際は、なんのために使ったかなど詳細に購入履歴を残す
- 注意点③資金が1億円以下の会社は、交際費の飲食代の50%か年間800万以下どちらかを採用し損益参入できる
- 注意点④従業員への食事代は残業時に支給した分のみ福利厚生費となる。
- 【参考】食品関連のビジネスを営んでいるのであれば、食品の購入費は業務と関連するため飲食代はすべて経費にできる
- 節税などについて悩んだらプロに相談を!おすすめは「マネーキャリア」
目次を使って気になるところから読みましょう!
差し入れ・手土産などのビジネス上の外部の人に使うお金は経費にできる
差し入れや手土産の持参は業務上不可欠な大事なコミュニケーション要素です。
ただ、購入したお菓子やお茶はどの経費として計上しても良いものか迷うこともあると思います。
購入したものがどのような理由によるものかによって勘定科目も違ってきますので
- 接待交際費
- 会議費
- 販売促進費・広告費
- 福利厚生費
に該当する例をあげながら解説していきます。
資金用途がよく似ているため間違えやすい項目ではありますが、だからこそきちんと理解し正確に仕訳をしておくことは税務調査などで非常に印象に良い印象を与えることにつながります。
①接待交際費
- お中元・お歳暮
- 取引先への記念品
- クライアントへの手土産や食事代
- 取引先が開催したイベントで提供するお弁当等
- 来客用のお菓子・お茶
などが該当します。
覚えておきたいポイントとしては原則経費として扱うが損金算入はできないということです。
原則なので例外はありますが、そちらについては下記の「接待交際費でも損金算入できる特例がある」の項目で詳しくお伝えします。
バブル期の日本では接待が盛んにおこなわれており、その金額は膨大なものでした。接待という名のもと無駄な出費もかさみその交際費を損金に計上すると法人税の課税対象が過度に圧縮されてしまいました。
そのため無駄な出費を抑え会社の資本を充実させるためにも損金不算入の項目になったのです。
相手先との関係を保つためには重要な費用ですが、過度な計上は法人税を多く払うことになってしまいますので気を付けましょう。
接待交際費については国税庁の交際費等の範囲と損金不算入額の計算に詳しく記載されています。
②会議費
例としては
- 会議で出すお菓子・お弁当・お茶
- 会議の合間に食べるための手土産
- 仕事関係の人との食事5000円以内
などがあげられます。
上記2項目は分かりやすいですが、3つ目の仕事関係の人との食事であれば交際費として扱われるのではないかと思うかもしれません。
しかし食事代が5000円以内であれば会議費として損金算入ができるのです。
できるだけ5000円以内に抑えた方が会社としては節税になりますので意識すべき点ですね。
重要なポイントは業務上必要な相手との会議かということです。業務上必要な打ち合わせであれば社内でも社外でも構いません。
また明確な定義はありませんが
- 場所
- 時間
- 単価
- アルコール
の4つは会議費として計上できるかの基準となっています。
つまりいくら取引先の会議と銘打ったとしても、深夜にキャバクラで何万円も使いながらアルコールをたくさん飲んだとすれば会議費ではなく交際費または私用費として扱われるということです。
会議という名目にふさわしい場所や時間で行うことが大切です。
③販売促進費・広告費
販売促進費・広告費は売上を上げるために使用した費用を計上する勘定科目ですが、こちらも使い方によってはお菓子やお茶を計上できます。
例としては
- 不特定多数の人にイベント等でお菓子を配る
- 自社の商品を買った人にお茶をプレゼントをするため
のような費用です。
ひな祭りの日にイベントを行った際、来場者にひなあられを配るのは自社の宣伝効果があるためお菓子の購入費は費用として計上できます。
ポイントは配る相手が不特定多数の一般消費者であるということです。
ちなみに国税庁が定義する一般消費者に該当しないケースを一部紹介すると
- 医薬品の製造業者や販売業者が医師や病院を対象とする場合
- 化粧品の製造業者や販売業者が美容業者や理容業者を対象とする場合
と記載されています。
つまりBtoB(企業が別の企業に商取引を行うこと)の関係に近くなる場合は一般消費者として認められません。
相手を取引先の方や、株主など限定した場合には接待交際費になるためこちらも混同しないようにしましょう。
④福利厚生費
福利厚生費は企業が従業員に提供する給与以外でのサービスを指します。
例としては
- 旅行先で社員のお土産
- 現場への差し入れ
- おやつ・栄養ドリンク
- 社内イベントのケーキ
- 残業時の夜食
- 従業員全員が平等に使用できる
- 過度な金額ではない
差し入れや手土産を経費にできない場合の具体例
差し入れや手土産を経費にできない例もあります。
- 仕事中に自分だけが食べる
- 家族や友人のためのお菓子
差し入れや手土産を経費にする際の注意点
では実際に差し入れや手土産を経費にする際の注意点について触れていきます。
ポイントは
- 来客用と社内用で明確に分けておく
- 購入履歴を残す
- 接待交際費でも損金算入できる場合がある
- 昼食や夕食の提供は現物支給扱いになる
の4点です。
グレーゾーンが多い項目ですので、基本的な注意点はきちんと理解しておきましょう。基本が頭に入っておけば仕訳が難しい状況でも適切に判断が行えるでしょう。
①来客用と社内用で明確に分ける
取引先に購入したものや来客用に準備したお菓子等は交際接待費として、従業員のために購入した品は福利厚生費としてそれぞれ勘定科目が違うため混同しないように気をつけましょう。
交際接待費は損金不算入に対して、福利厚生費は損金算入可のため仕訳によって法人税の課税対象も変わってきます。
そのため来客用を社内用として購入していないかなどはチェックされますので来客用と社内用は購入品を保管する場所をきちんと分けておくなど管理を徹底しましょう。
自分が食べる用のお菓子があるのであれば、そちらももちろん混同しないような場所で管理してください。
②購入履歴を残す
接待交際費や福利厚生費は用途や広く、基準もあいまいなところがあるため税務調査で検査が入りやすい箇所です。
そのため購入履歴はきちんと残すようにしてください。何のための購入だったのか、取引先の名前はなんだったのかなど詳細をレシートに適宜書いておくとすぐに理由が説明できるため安心です。
ちなみに来客用のお茶やジュースを買う際には自動販売機は避けましょう。
近くにあって手軽なため使いたくなるところですが、レシートや領収書が出ませんので絶対に不可能というわけではありませんが、否認されやすくなってしまいます。
買う時はコンビニエンスストアやスーパーを利用しましょう。
また購入した際は来客用と社内用は領収書もきちんとわけておき、さらに徹底するのであれば自分用の領収書をのけておくことで公私混同せずしっかり管理していることが伝わります。
③接待交際費でも損金算入できる特例がある
- 年間800万円以内
- 飲食に要する費用の50%
④昼食や夕食の提供は現物支給扱いになる
残業以外での食事提供は現物支給扱いとなる点にも注意してください。
福利厚生費として、残業をしている従業員に対して慰労のためお弁当などを差し入れするのは問題はありません。
しかし、それ以外での昼食や夕食は給与ではなく現物を支給したという扱いになるため、経費として計上していると所得税を追徴しなければなりません。食べた従業員にとっても給与が別途支給されたという扱いになり、支払納税額が増えてしまいますので注意しましょう。
ちなみに、福利厚生の規則に「残業が何時間に及ぶ場合従業員に慰労の一環として食事を提供する場合がある」などと定めておくと税務調査が入った際理由が説明できるので安心です。
ただし、いくら規程で定めていたとしてもあまりにも高額なものは認められせん。1000円~2,000円程度が相場でしょうか。
時間や曜日の関係で少し高めのお店しかなく、予想以上にお金がかかってしまった場合はその理由をしっかりと記載しておきましょう。
【経費化の裏技】来客用のお菓子や飲み物をたくさんストックしておく
取引先やお役様用のお菓子や飲み物をたくさんストックしておくことはちょっとした経費の裏技として使えます。
突然の来客はよくあることですので、お菓子や飲み物を一括で購入しておきます。きちんと理由があるので不自然ではないですよね。
お菓子の用途1つ1つを調べるのは困難です。そのため少量であれば私的な分を入れても分かりません。
原則として個人的な購入については経費として計上できませんが、このような方法でプライベートなものも費用として計上できるのです。
もちろんあからさまに多くを自分の家に持って帰ったり、個人用として別で管理などはしてはいけません。
ただせっかく経営をしているのですから、こうした裏技もちょっと知っておいて良いのではないでしょうか。
【参考】食品関連のビジネスならなんでも経費にできる
食品販売をしている会社や飲食店、洋菓子店など食品関係のビジネスであれば、食品関係の購入費はなんでも経費にできます。
食品を提供するためには、今流行のものや地元の有名な食材などさまざまなものを食して商品開発に活かすことが大切です。
そのため飲食を販売したり提供する会社やお店は「業務に関係する費用」として購入費を経費に計上できるのです。
例えばうどん屋の経営者がケーキを購入したとしましょう。
一見事業に関係ないようにみえますが今後デザートを提供するために参考にしたかったと言えば経費になる立派な理由です。
このようにうまく業務と関係を結び付けられればなんでも経費にできると言っても過言ではありません。
ちなみに飲食に直接的に関係がなくても、飲食関係の紹介サイトなどを運営していれば、飲食物の購入は経費で落とすことができます。
サイトで食べ物を紹介するには、実際に食べてみたり比較してみて情報をお届けする方がアクセス数も上がるでしょう。利益を増加させるために必要なこととなるため経費として扱うことができるのです。