学費を経費にする裏ワザを解説!奨学金制度を用いた方法

学費を経費にすることは可能なのでしょうか?子供や社員の学費にかぎらず、経営者の資格取得の為にかかる学費などもあります。学費は金額も大きく、経費計上できるなら税金対策としても有効です。ここでは、学費を経費にする方法や、奨学金制度を使った方法をご紹介します。



▼この記事を読んで欲しい人
  • 学費を経費にできるかどうか知りたい人
  • 会社に奨学金制度を導入したいと考えている人
  • 法人の税金対策の知識を深めたい人

▼この記事を読んでわかること
  • 学費を経費にできる条件
  • 学費を経費にする方法
  • 奨学金制度をつかう方法
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監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

基本的に高校や大学の授業料や奨学金の返済を経費にするのはNG


学費を経費にできるかどうかを考えたとき、基本的に高校や大学の学費や奨学金の返済を経費とすることはできません。


なぜなら、経費とできるものは、「業務上必要なもの」だからです。


ビジネスにおいて、何を経費とできるかということを考えてみましょう。


経費にできるもの、できないものがあり、なんでも経費とするわけにはいきません。


高校や大学では業務上必要のないことも学ぶわけで、その学費については個人的な費用とみなされるのが普通です。


たとえば、医者のような特殊な資格が必要だからといっても、大学医学部の学費は経費とはできません。


もし、会社が社員の大学の学費を負担する場合ならば、給与扱いとなります。経営者であっても同様で、経費としては認められません。


では、学費を経費とするには、どのように扱えばよいのでしょうか?


次からは、学費が気比として認められる条件や、学費をどのように取り扱えば経費として認められるのか、といったことを説明していきます。

資格取得のための専門学校や大学院は経費にできる!

学費のなかでも、業務に必要であるとみなされるものについては経費にできます。


たとえば、業務に必要な資格を取得するための専門学校であったり、業務に必要な専門知識を得るための大学院の学費だったりすると経費として計上することが可能となるのです


ここでは、学費を経費にすることができる条件や、できない条件として

  • 業務のための自己投資なら経費にできる
  • 入社前の過去の学費や奨学金の返済については経費にできない

といった内容で、ご説明していきます。

業務のための自己投資は経費にしてOK

基本的には業務に必要なスキルのためや、資格取得のための自己投資としての学費や授業料なら、経費にできると考えてよいでしょう。


役員や社員に関係なく、また個人事業主やフリーランスであっても同様の考え方す。


なぜなら、経費にできる費用の原則は、「業務に関わるもの」であるからです。


大きな企業では、社員に業務上必要なスキルを学ばせるために学校に通わせ、その学費を福利厚生費として計上しているところもあります。


もちろん、会社の規模に関わらず、中小企業でも同様に認められることです。


具体的には

  • 経理担当者を会計専門学校に通わせる
  • 経営者がビジネスについて勉強するためにMBAに通う

といった費用は全額経費として計上できます。


つまり、業務に関係した特定のことのみを学ぶ専門学校や教育機関の学費や授業料なら、法人の経費とみなされるということです。

過去の学費や奨学金の返済額は経費にできない

業務に必要なスキル取得のための学費であっても、それが入社前の過去の学費や奨学金の返済であった場合は、経費とすることはできません。


たとえば、会社に入社する前にMBAを取得していて業務に役立ったとしても、入社前の学費は経費にすることは不可となります。


また、「基礎控除」「社会保険控除」「医療費控除」などさまざまな控除がありますが、奨学金についてはこのような控除は設定されていません。


奨学金は単なる借金となり、経費とすることはできないのです。


企業に入社する若者の中には、高校や大学の学費を奨学金で賄い、企業に入社した時点で多くの借金を背負っている状態になってしまう人もいます。


学校を卒業し、せっかく会社に入社して働きはじめても奨学金の返済に追われてしまう若者も少なくないのです。

奨学金制度を社内に作ることも検討可能!

過去の学費や奨学金の返済については、役員・従業員に関わらず、基本的には経費として落とすことはできません。


しかし条件次第では、奨学金として学費を役員や従業員・その家族に支給し、会社の経費とすることが可能です。


優秀な人材を採用することを目的として、目当ての学生に奨学金を支給し、卒業後は入社して業務に就いてもらう、という方法をとることがあります。


このとき、学生に支給した奨学金については、条件を満たせば返済不要というルールをつくれば、学生は入社後返済の必要がなくなります。


また、学生へ支給した奨学金についても、採用に使った費用として、経費計上できます。


このような方法で優秀な人材を確保しようとする企業は多く、その為に奨学金制度を導入しています。


特に医療系の企業では奨学金制度を導入し、求人に活用することは多くなっています。


奨学金を支給して、何年か勤務してもらうことで奨学金の返済を免除し、その奨学金は経費として計上するという方法です。


これなら、大学の学費を会社の経費とすることができますね。


また、このような奨学金制度を使えば、役員や従業員の子供に対しても、奨学金としてなら学費を支給することが可能となります。

奨学金支援制度を導入している企業は多い!

近年では、優秀な人材を確保することを目的として、奨学金支援制度を導入し、社員の奨学金を肩代わりする企業も増えています。


ここでは


  • 奨学金支援制度を導入している企業とは
  • 奨学金支援制度には在籍縛りや給料からの天引きといったルールを設ける企業もある


といった内容で、企業の奨学金支援制度についてご紹介します。

実際に奨学金支援制度を導入している企業の例

奨学金支援制度制度は、本来社員の奨学金返済への経済的・心理的な負担を軽減し、安心して業務に勤しんでもらうための制度です。

昨今は、奨学金の受給率も増え、その多くは返済が必要な貸与型となっています。

日本学生支援機構の調査によれば、約半数の大学生または大学院生が奨学金を利用しているということです。

学校を卒業し、就職したのはいいものの、奨学金の返済で破産してしまうといったことが社会問題ともなっています。

このような状況に対応する目的でも、奨学金支援制度を導入する企業は増えているのです。

以下に数例ではありますが、奨学金支援制度を導入している企業を列挙しました。


奨学金支援制度の対象者奨学金制度の特徴と概要
ノバレーゼ奨学金残高のある勤続5年と10年の社員入社後5年目と10年目に最大100万円ずつ支給
大和証券グループ入社3年目頃までの社員・返済資金を無利子で貸し付け
・返済を猶予した後、入社6年目以降に無利子で分割返済
オンディーズ学生時に奨学金を受給しており、現在も返済を続けている社員で、独自の社内試験に合格した社員月々の返済額を給与に上乗せして支給
小泉入社後から5年の間返済金額の一部を給与に上乗せして支給
トヨタグループ
理系女子学生

・トヨタ自動車/グループ企業10社に入社すれば全額肩代わり返済

・他の製造業なら半額肩代わり返済

NEXUS新卒入社後5年間上限180万円


会社により支援制度の内容はさまざまとなっています。

在籍縛りや給料からの天引きをルールとしている企業もある

奨学金返済に苦しむ若手の社員が増えていたり、優秀な人材を確保したいという企業の思いがあったりもして、奨学金支援制度は注目されています。


そのような中で、奨学金支援制度を導入する際には、条件として社員へいくつかのルールを課している企業もあります。


たとえば

  • 決まった年数は勤続しなければならないとする在籍縛りを設けている
  • 「支給」としながらも給与から天引きしている

といった企業もあります。


企業によって考え方はさまざまですが、このようなところにも企業の従業員への対応の特徴があらわれてくるともいえますね。

【参考】書籍代や学会代なら経費にできる

大学や専門学校で学ぶときには、学費以外にも教科書の購入や学会に参加するときにも費用がかかりますよね。


書籍代や、学会への参加費用、セミナーの費用などは、業務に関連するものであれば経費として計上できます。


ビジネス上で書籍は必要不可欠なものです。


たとえば飲食業であっても会計関係の知識は必要で、関連した書籍を購入することはあります。


「自分の業務に必要だ」という理由をつけることができれば、一見業務とは関係の無い書籍も経費で購入できるでしょう。


そのため、子供の学校の教科書なども、業務に必要だったとして経費で購入する人もいます。


また、大学などで学会に参加するときの費用なども、「さまざまな人との交流は、ビジネスの情報交換が可能」として経費計上することもできます。


学費は経費計上できなかったとしても、書籍代や学会参加費用、その他業務上必要であると説明できるものであれば経費とすることができます。

まとめ:経費にできるかどうかはビジネスに直接関係があるかどうかで決まる

学費を経費として計上することができるのか、奨学金制度の活用についてご説明してきましたが、いかがでしたか?

学費であっても、経費にできるかどかということについては、一般的な基準に沿って考える、ということが前提です。


業務上必要であれば経費とすることが可能であり、そうでなければ個人の費用となります。


また、奨学金制度は、学費を経費にすることができる方法でもあります。


さらには、優秀な人材の確保にも役立ち、奨学金を抱える社員のたすけともなる制度ですので、導入をお考えなら検討する余地は十分にあるといえますね。


ぜひ、税効果という点からも、社員の働く意欲増進という点からも、今回の記事を参考になさってください。


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ほけんROOMでは会計や税務にかかる記事を多数掲載していますので、興味のある方はぜひ参考にしてください。

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