更新日:2023/07/20
家族旅行を経費にする4つの方法と注意点を解説【節税の基礎知識】
会社の経営者や個人事業主のみなさんは、家族旅行やプライベートな旅行を経費にして節税したいと考えたことがあるかもしれません。家族旅行は、条件次第では経費とすることが可能です。今回は、家族旅行の費用を経費にする条件やポイント、注意点などをご紹介します。
- 家族旅行を経費にすることができるのか知りたい人
- 家族旅行を経費にするときのポイントや注意点を知りたい人
- 節税をの知識を身につけたい方
- 家族旅行を経費にできる条件
- 家族旅行を経費にする方法
- 家族旅行を経費にするときの注意点
内容をまとめると
- 家族旅行を経費にするには、社員旅行として福利厚生費にするための諸条件をクリアすることや、旅行を業務へ関連づける必要などがあり、カンタンではない
- 家族旅行を経費にする方法
①社員旅行にして福利厚生費として計上する
②取材や研修として業務に関連づける
③接待旅行にして配偶者を同伴する - 通常の家族旅行との明確な違いを立証できなければ、経費として認められない
- 家族旅行を経費にしたいなら
①業務と関連した旅行である証拠を残す
②経費部分とそうでない部分を按分して計上する - 家族旅行を経費にしたとき経費認定されなければ、源泉徴収税額・消費税の追加納付を求められる可能性があるので注意!
- 家族旅行を経費にしたいとき、子供の旅費は経費として認められにくい
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目次を使って気になるところから読みましょう!
基本的には家族旅行を経費化するのは難しい
家族旅行の費用を会社の経費とすることは、基本的にはとても難しいことです。
家族同伴の「社員旅行」とするにしても、家族分の旅費については「給与」扱いとなります。
つまり、所得税や住民税の課税対象となり、この場合節税効果は得られません。
ちなみに、家族旅行であっても公式に経費として認められる条件があります。
- 役員に身体障害がある場合に、その家族が補佐人として同伴する場合
- 国際会議などで、配偶者の同伴が必要な場合
- 通訳や専門家が必要で、親族が適任者であった場合
<参考> 国税庁 法令解釈通達 第2款 海外渡航費(同伴者の旅費)9-7-8
このように、税務上で公けに経費として認められるケースがあるとはいっても、非常に条件は限られています。
やはり家族旅行を経費にするのは無理なのではないかと考える人もいるでしょう。
しかし、家族旅行を経費とすることは、条件次第では可能なのです。
たとえば、その家族旅行が業務上、必要であったと証明できる場合などです。
つぎからは、家族旅行を経費にする方法を、いくつかみていきます。
家族旅行を経費にする方法①福利厚生費
家族旅行を経費にする方法のひとつとしては、社員旅行にして福利厚生費を経費計上する方法です。
社員だけではなく、社員の家族も参加を認める社員旅行(慰安旅行)とすることで、家族も含めることができ、経営者の配偶者や子供も参加が可能となります。
社員旅行として福利厚生費を経費計上するには、何点かポイントがあります。
- 社員全員に社員旅行への参加の権利があること
- 全社員の50%が参加すること
- 旅行の期間が4泊5日以内であること(国内旅行)
- 滞在日数が4泊5日以内であること(海外旅行)
- 参加できない者に、旅行代として現金を渡していないこと
以上の条件を満たすことが必要となります。
さらに気を付けたいことを、いくつかお伝えします。
もし社員の中で社員旅行に参加できない者がいた場合でも、社員全体の50%の参加が必要です。
また、福利厚生費というのは基本的には従業員のための費用ですので、役員だけの社員旅行や研修旅行では福利厚生費として経費にはできません。ご注意ください。
家族旅行を経費にする方法②取材旅行
家族旅行を経費で落としたい場合、その旅行を「取材旅行」や「調査旅行」にするという方法もあります。
旅行の目的が業務に結びついていれば、経費として計上することが可能です。
しかし、家族を伴った旅行となると、取材や調査などの業務に関わる部分になぜ家族が一緒に参加しているのか、という理由が必要です。
家族旅行を取材旅行や調査旅行として経費計上するためには
- 家族が取材や調査などの業務に同伴する明確な理由
があるか、もしくは
- 「業務に関わる部分は何割」と按分して経費計上する
といったことが必要です。
家族旅行を経費にする方法③ビジネス上の研修旅行
家族旅行を経費にしたいとき、同業者などを含めたビジネスの関係者との研修旅行であれば、経費として計上することが可能です。
家族で経営している小さな会社や同族会社などであれば、配偶者や親族を役員にすることで節税効果を得ている、ということもあるでしょう。
このように家族が役員である場合には、同業者など仕事の関係者が催行する研修旅行などに参加することで、配偶者などの家族分を含めて、研修旅行の費用全額を経費として計上することができます。
ただし、この方法は家族が会社の役員や従業員である場合のみ活用できる方法となります。
家族旅行を経費にする方法④接待旅行
家族旅行を経費にしたい場合、接待旅行としての旅行であれば、経費として計上できるケースがあります。
たとえば、得意先を接待するために、接待旅行を企画する場合などです。
その際に、相手側の配偶者も招待していたなら、接待する主催者側も配偶者同伴でもてなすことが普通です。
逆に、配偶者を同伴していないことの方が不自然となる場合があります。
この場合は、配偶者の分も含めて、業務上の経費として旅行費用を計上することが可能となります。
家族旅行が経費に認められなかった事例
ここで、家族旅行が経費として認められなかった事例をご紹介します。
この事例での旅行参加者は以下のとおりです。
- 夫(個人事業主)
- 妻(青色事業専従者)
- 子供二人
夫(個人事業主)は妻(青色事業専従者)を従業員として、デザイン業を営んでいました。
子供の夏休みに家族4人で出かけた旅行について、従業員である妻の慰労を目的とした慰安旅行であるとして経費計上しようとしましたが、認められませんでした。
夫(個人事業主)の主張としては、つぎのとおりです。
- 旅行中の夫婦の費用だけを経費計上(子供の費用は経費計上していない)
- 旅行中に入った美術館の入場料などについては仕事(デザイン)に関わる必要経費(美術的な知識の取得などに効果がある)
- 授業員である妻の勤労意欲を高めるための慰安旅行である
しかし、裁判所では
- 毎年同様の家族旅行を実施していたこと
- 毎年の家族旅行と今回の旅行の違いが明確ではないこと
などといった理由から、いつもどおりの単なる家族旅行であると判断されました。
家族旅行の費用を経費として計上するには、普段の家族旅行との違いを明確にして、証明する必要があります。
「従業員である家族の慰安・レクリエーションのためである」といった目的を提示しても、通常の家族旅行との違いをはっきりと説明できないのであれば、経費計上することは難しいでしょう。
家族旅行やプライベートの旅行を経費にするための4つの注意点
家族旅行やプライベート性の高い旅行の費用を経費計上するのはなかなか難しいようです。
ですから、そのような旅行費用を経費計上するには、いくつか覚えておきたい注意点があります。
ここでは、
- ビジネスと関連した旅行であることの証明として記録を残すこと
- 経費部分とそうでない部分とに按分して費用を経費計上すること
- 経費として認められなかった場合には源泉徴収額や消費税の追加納付を要求されること
- 子供の旅行費用については経費計上しにくいこと
といった注意点をお伝えします。
①ビジネスと関連した旅行である記録を残す
家族旅行やプライベートな旅行の費用を経費として落とすなら、その旅行が仕事と関連したものである証拠を残す必要があります。
調査や取材を目的とした旅行だったなら、その記録や結果として残っている書類などをとっておきます。
いくら旅行の目的が仕事に関連したものであっても、証拠がなければ認められにくくなります。
証拠になるものであれば、カンタンなものでもかまいません。
たとえば、
- 旅行の日程表
- 議事録
- 写真
- メモ
などでも、大丈夫です。
証拠となりそうなものであれば残しておきましょう。
②按分計算で経費に計上する
家族旅行やプライベートな旅行を経費に計上したいなら、かかった全額を経費として計上するのではなく、業務に関連する部分だけを按分して経費計上する方法もあります。
あらかじめ仕事とは関係のない費用について、さきに経費ではないと認めておきます。
そうすることで、そのほかの支出については、業務上の経費であると認めてもらいやすくなります。
なお、この場合でも、経費計上する部分については、しっかりと証拠を提出できるようにしておきましょう。
③否認されると源泉徴収税額・消費税の追加納付をされる
家族旅行やプライベートな旅行についてかかった費用を経費として計上していて、その経費が認められなかった場合、どうなるのでしょうか?
その場合は、旅行費用が給与として扱われることとなり
- 源泉徴収額の追加納付
- 消費税の追加納付
が発生する可能性があります。
家族旅行の費用が大きかった場合、追加納することになれば会社として痛手のある出費となってしまう可能性も十分にありえますので、気をつけましょう。
また、福利厚生費として経費計上できず、交際費として経費計上しようとした場合には、計上可能な金額の上限設定もあります。
社員旅行として福利厚生費にならない旅行については以下のようなものがあります。
- 役員のみが参加する旅行
- プライベートな旅行と認定される旅行
- 取引先を接待、慰安するための旅行
- 旅行の代わりに現金支給を選ぶことができる旅行
それぞれ場合に応じて、給与や交際費として処理する必要がありますので、注意が必要です。
④子供の旅行費用は経費にするのが難しい
家族旅行を経費とする場合、子供の旅行費用を経費にすることは、かなり難しくなります。
配偶者や家族の場合は、本人たちが業務に関わっていれば、役員や従業員として業務上の目的で旅行に参加することが可能です。
しかし、子供については、業務上同伴が必要であることは少なく、また証明することも難しいのではないでしょうか?
家族旅行を経費で落とす場合は、子供の分は省いて経費計上するのが安全で、自然だといえます。
まとめ:家族旅行は経費にできる
この記事では、家族旅行やプライベートな旅行を経費計上するときのポイントや注意点をお伝えしました。
基本的には家族旅行を経費計上することは、カンタンなことではありません。
しかし、家族経営している会社の経営者や個人事業主のみなさんにとっては、家族旅行やプライベートな旅行を経費として計上できれば、大きな節税効果も得られます。
家族旅行やプライベートな旅行の際、業務に関わる明確な目的があったり、関連付けることのできる証拠があったりするなら、その旅行費用を経費計上する方法を検討してみてはいかがでしょうか?