小規模企業共済の掛金について疑問を解決!掛金の上限や掛金変更方法

掛金の全額控除が魅力的な小規模企業共済。小規模企業共済を活用して税効果を得るためにも、掛金について正しく理解しておくことが大切です。本記事では小規模企業共済について、掛金の上限や納付、増額・減額などの方法について詳しく解説します。

小規模企業共済の掛金に関する疑問を全てわかりやすく解説


経営者や役員の方が、退職金や事業再建の資金として活用する小規模企業共済


掛金が全額控除になることから、決算対策としても人気です。


そんな小規模企業共済の掛金を、正しく理解できていますか?


本記事では


  • 掛金の上限
  • 掛金の納付方法
  • 掛金納付のシミュレーション
  • 掛金の増額・減額
  • 掛金の掛止め
  • 所得控除による税メリット
  • 小規模企業共済掛金払込証明書の発送時期・確認できる項目


以上の点を解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。


小規模企業共済の掛金を正しく理解し、上手く活用しましょう。


ほけんROOMではこの他にも、法人保険に関する記事を掲載しているのでぜひ参考にしてください。

掛金の金額の上限はいくらまで設定可能?


小規模企業共済の掛金は、1,000円から7万円まで、500円単位で設定できます。


掛金の増減を行う場合も、上記の金額から500円単位で可能です。


少額で始められることから、つみたてNISAやiDeCoなど、他の金融商品と合わせても無理なく活用できます。


また小規模企業共済には小規模企業共済等掛金控除があり、掛金が課税対象の所得から控除されます。


単体での活用はもちろんのこと、iDeCoとの併用により高い税効果が期待できる点が特徴的です。


なお支払いは契約者個人で行うため、事業上の損金や経費の対象にはできません。

掛金の納付方法


小規模企業共済は個人の預金口座からの振替です。


クレジットカード等は利用できないため注意しましょう。


振替日は毎月18日、休日の場合は翌営業日になります。


支払いは、


  • 月払い
  • 半年払い
  • 年払い


以上から選択可能です。


また前納も可能で、前納した場合は前納減額金が受け取れます。


前納を利用すればその年の控除額が増えます。


しかし長期的に見ると税効果が減る可能性があるため、その年の所得が臨時収入などの影響で大きくなった場合に、前納を利用すると良いかもしれません。


基本的には月払い、半年払い、年払いから利用し、ケースに応じて前納を利用することがおすすめです。

掛金の納付を実際にシミュレーション


小規模企業共済の掛金の納付を、一例を挙げて簡単にシミュレーションしてみましょう。


内容
掛金1万円
支払い頻度月払い
前納あり(3ヶ月分)
支払い方法口座振替
契約月4月



上記の条件の場合、初回の納付は6月になります。

初回の6月は4・5・6月分の掛金と、前納するの7・8・9月分の掛金を、口座振替によって納付します。

その後は毎月18日に1万円ずつの引き落としです。

仮に前納がない場合は、4・5・6月分を支払ったら、以後毎月引き落としとなります。

増額や減額などの掛金の変更も可能

小規模企業共済は、掛金の増額や減額も可能です。


事情により掛金の支払いが苦しくなった場合は減額、余裕があり保障を増やしたい場合は増額など、申請を行うことで柔軟に対応することができます。


本章では小規模企業共済の掛金の増額・減額に関して、


  • いつまでに変更すれば良いのか
  • 変更の手続きの方法は?


以上2点を解説します。

掛金の変更はいつまで?

増額や減額を行う場合は、変更が適用になる月から逆算して手続きを行いましょう。


増額する場合は、申請の翌々月の請求から引き落とされます。


例えば「1万円→2万円に増額する」という申請を2月に行った場合は、


  • 2月と3月にそれぞれ1万円ずつ
  • 4月に4万円(2月と3月の増額分もまとめて)


以上のような請求内容になります。


つまり申請の翌々月には、まとまった金額が引き落とされるため注意しましょう。


一方、減額の場合は申請した月から反映されます。


申請月は従来通りの金額が引き落とされてしまいます。


しかし翌月分以降の掛金で差し引きして、合計が減額後の掛金になるように調整されるためご安心ください。

増額・減額の手続き方法

掛金の増額・減額の手続き方法の解説です。


増額の手続き

増額の手続きは、以下の通りです。

  1. 必要な書類を入手
  2. 書類に記入
  3. 小規模企業共済が委託する団体・金融機関に提出
  4. 完了書類を受け取る

もし現金送付がない場合は、中小機構に直接送付もできます。



なお現金を送付する場合、中小機構へ直接現金書留を送ることはできないためご注意ください。

減額の手続き


減額の手続きは以下の通りです。


  1. 必要な書類を入手
  2. 書類に記入
  3. 中小機構に送付
  4. 完了書類を受け取る

必要書類は増額と同様、「掛金月額変更申込書」です。

書類を紛失した場合は再発行が可能


万が一必要書類を紛失した場合は、

  • 自動発送サービス(電話ガイダンス)
  • コールセンターに連絡

いずれかの方法で、1週間程度での再発行が可能です。 

コールセンターは平日午前9時〜午後6時ですが、自動発送サービスは土日祝を含む午前6時〜午前0時まで受け付けています。 

自動案内で手軽に手続き可能ですので、ぜひご活用ください。

掛金の掛止めも可能!

契約を続けていると、収入がなくなったり災害が起きたりと、掛金の支払いが難しくなる状況があるかもしれません。


小規模企業共済は一定の条件をクリアすることで、掛金を一定期間支払いがストップになる掛止めにできます。


本章では


  • 掛止めができる条件
  • 掛止めにした掛金を再開する方法


以上の2点を解説します。

掛止めができる条件

小規模企業共済の掛金の支払いを掛止めにできる条件は以下の通りです。


  • 所得がない
  • 災害に遭遇した
  • 入院中


上記の条件に当てはまり、掛金の支払いが極めて困難であると認められた場合は、一定期間(半年〜1年程度)掛止めにできます。


万が一上記に該当する場合は、共済契約者番号がわかる書類(共済手帳など)を準備の上、コールセンターに連絡してみましょう。


なお掛止めの連絡は契約者本人に限ります。


掛止めにすると、その期間は共済契約期間から除外されます。


そのため減額すれば支払いが続けられそうな場合は、減額申請がおすすめです。


減額であれば契約期間に影響がないため、保障を継続することができます。


条件に当てはまるからといって即掛止めにするのではなく、契約に支障のでない方法も検討してみましょう。

掛止めした掛金を再開するための手続き

掛止めにした掛金を再開するための手続きは、掛止めの際の手続きと同じです。


  1. 共済契約者番号がわかる書類(共済手帳など)を準備
  2. コールセンターに連絡

以上の手順で再開ができます。

コールセンターの対応時間は平日午前9時〜午後6時です。

土日祝は対応していないため、平日あまり時間が取れない人は注意しましょう。

もし平日に時間が取れない場合は、問い合わせフォームから連絡を入れてください。

ただし回答はコールセンターの営業時間中に、電話での回答となります。

なお自動音声ガイダンスは書類の発行のみの対応です。

掛止めの手続きには対応していないためご注意ください。

掛金は所得税控除の対象!


小規模企業共済の掛金は、確定申告の際に全額を所得控除にできます。


そのため非常に高い税効果が得られる点が特徴的です。


本章では、


  • 掛金所得控除による控除額一覧
  • 損金算入の対象にはならない?


以上に関して解説します。


掛金でどの程度減税できるのか確認していきましょう。

小規模企業共済の所得別減税額一覧

掛金所得控除による、加入後の減税額は以下の通りです。


課税対象の所得掛金1万円掛金3万円掛金5万円掛金7万円
200万円20,700円56,900円93,200円129,400円
400万円36,500円109,500円182,500円241,300円
600万円36,500円109,500円182,500円255,600円
800万円40,100円120,500円200,900円281,200円
1,000万円52,400円157,300円262,200円367,000円


以上の表からわかる通り、所得が高ければ高いほど、税効果が大きくなります。


課税される所得金額はその年の総所得金額から、


  • 基礎控除
  • 扶養控除
  • 社会保険料


などを控除した後の額です。


より詳しく減税額を計算したい人は、加入シュミレーションを活用してください。


なお控除を受ける場合は確定申告での記入と、支払った掛金の証明書の添付、あるいは提示が必要です。


申告書は国税庁のホームページから確認しましょう。


また小規模企業共済は掛金だけでなく受け取りに際しても所得控除が受けられます。


そのため掛金と受け取りの両方で税効果が期待できます。

【注意】個人で支払うから損金算入はできない

小規模企業共済は個人で掛金の支払いを行います。


そのため企業が掛金を損金算入することはできません。


あくまで所得控除による個人への税効果であり、法人税の決算対策としては役に立たないため、利用に際してはご注意ください。


ただし経営者個人の税金対策を行いたい場合は、加入を検討してみても良いかもしれません。


法人税の税金対策には、法人の生命保険が活用できます。


もし法人税の税金対策を考えている場合は、法人の生命保険や金融商品(投資)の活用を検討してみましょう。

小規模企業共済掛金払込証明書と確認方法


小規模企業共済掛金払込証明書は、中小機構から毎年発行される書類です。


支払った掛金の情報が記載されていることから、確定申告や年末調整の際に必要です。


本章では、


  • 証明書の発送時期
  • 確認できる項目


以上の2点を解説します。

小規模企業共済掛金払込証明書の発送時期

小規模企業共済掛金払込証明書は、掛金の納付状況により発送時期が異なります。


令和2年のケースは以下の通りです。


発送時期加入時期現金の有無その他
令和2年11月令和2年9月迄
掛金を1月〜9月迄納付済み
令和2年11月令和2年7月迄9月迄に口座振替済み
令和3年2月令和2年10月〜12月迄
特になし
令和3年2月令和2年10月迄10〜12月迄に口座振替済み


発送の詳細な日程は年度により異なるため、ホームページ等で確認しておきましょう。


発送に際しては、特に申請の必要はありません。


ただし住所が変わっている場合は必ず早めに住所変更を行ってください。


なお再発行の場合は、自動音声ガイドで申請すれば、約1週間程度で発行可能です。

掛金払込証明書で確認できる項目

掛金払込証明書では、以下の項目が記載されています。


  • 契約者氏名
  • 契約者住所
  • 契約年月
  • 共済契約者番号
  • 掛金月額
  • 掛金払込金額


2月発送の証明書は、上記の項目全てが確認可能です。


ただし11月に送られた証明書には、掛金の月額のみ記載されています。


よって確定申告に利用する場合は、


  • 年内に払い込み済みの掛金の合計金額
  • 10月~12月の払い込み状況(払込が確認できる通帳のコピー) 


以上の書類が必要です。


証明書の情報だけでは申請ができないためご注意ください。

まとめ


小規模企業共済の掛金について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?


最後に本記事の内容をまとめます。


  • 掛金は1,000円〜7万円の間で500円単位で設定できる。
  • 掛金は預金口座振替で、月払い・半年払い・年払いから選べる。 
  • 掛金は500円単位で増額・減額ができる。 
  • 入院や災害で支払いが困難になった場合は、掛止めができる。 
  • 掛金は所得控除の対象になる。 
  • 掛金は個人で支払うため、損金算入することはできない。 
  • 掛金払込証明書は11月か2月に発送される。 
  • 掛金払込証明書では掛金月額や掛金払込金額が確認できる。 


小規模企業共済は掛金全額を控除にできることから、非常に高い税効果が得らる点が人気の商品です。 


また掛金が少額のためiDeCoのように、別の金融商品と無理なく併用できます。 


より効果的な運用をするためにも、ぜひライフスタイルや経営状態に合った運用を検討してみてください。


運用方法にお悩みの方はマネーキャリアで解決できます。マネーキャリアでは何度でも無料で相談が可能なため、この機会に利用してみてはいかがでしょうか。


ほけんROOMでは他にも法人保険に関する記事を多数掲載していますので、興味のある方はぜひ参考にしてみてください。

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