中小企業倒産防止共済の掛金に関する疑問をわかりやすく解説!

「中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)」で税金対策をしたいなら、その仕組みを知っておくことは大切です。いくらまで積立が可能なのか、また支払い方法や金額変更の条件など、同共済に加入するうえで必ず解消しておきたい疑問について取り上げます。

中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)の掛金に関する疑問を全て解決!


この記事をご覧のあなたは中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)について調べておられることでしょう。


法人や個人事業主が売上にかかる税金を減らすために利用できる「中小企業倒産防止共済」は掛金を損金算入することで課税金額を減額できる、ということは広く知られています。


しかし、掛金の支払い方法や金額の変更ルールなどについてはよく把握していない、という方も多いのではないでしょうか。


そこで今回は、

  • 中小企業倒産防止共済の掛金設定可能範囲はいくらまで?
  • 中小企業倒産防止共済の掛金を納付する方法とは?
  • 中小企業倒産防止共済は掛金を増額・減額が可能?
  • 中小企業倒産防止共済で掛金を前納するとどうなる?
  • 中小企業倒産防止共済の掛金はどのように会計処理する?
以上の点を取り上げていきます。

この記事をご覧いただければ、中小企業倒産防止共済の活用方法やその仕組みについて理解することができるでしょう。

ぜひ最後までご覧ください。

掛金の設定可能範囲 | 積立の上限はいくら?


税務メリットが大きいことで知られる中小企業倒産防止共済ですが、毎月の掛金は「5,000円~200,000円」の範囲で柔軟な設定が可能となっています。


掛金は総額800万円の上限まで積立が可能であり、掛金は「全額」を損金算入できるので、税務面でのメリットが非常に大きいです。


また法人でなく個人事業主でも「必要経費」として上限まで掛金を計上して課税金額を減額できますが、事業所得として計上できない費用は経費扱いできない、という点には注意が必要です。

掛金の納付方法


中小企業倒産防止共済の掛金納付方法は「口座振替」のみとなっており、銀行振込やクレジットカード決済などには対応していません。


掛金の振替日は毎月27日と決まっていますが、当日が休業日の場合は翌営業日となるため、場合によっては納付日が月をまたぐ可能性もあります。


たとえば2月が決算月であり同月のうちに損金算入をしなければならない場合は、後ほど詳しく取り上げる「前納」手続きが必要になります。


この点に関しては、中小機構が随時案内を出しているのでチェックしておきましょう。

振替口座の変更方法

中小企業倒産防止共済は掛金支払いに用いる口座は途中で変更することが可能ですが、

  1. 「掛金預金口座振替申出書」に必要事項を記入
  2. 「掛金預金口座振替解約申出書」に必要事項を記入
  3. 金融機関へ書類の提出
  4. 書類受理後に変更後の口座から引き落とし
このような手順が必要です。

口座変更に必要な書類「掛金預金口座振替申出書」は基本的に金融機関から受け取ることになりますが、記入例は中小機構の公式ページから閲覧できます。

金融機関を変更せず、同一支店内で口座のみ変更する場合は1の「掛金預金口座振替申出書」だけで良いですが、別の支店やまったく別の金融機関への変更を希望する場合は、別途2の「掛金預金口座振替解約申出書」が必要です。

また、公式ページ上の「専用フォーム」からは、それぞれの必要書類を申請することができます。

書類の受理日が5日までである場合は同月引き落とし分から口座変更が可能ですが、受理日が6日以降となった場合は次月からの変更となります。

掛金の増額・減額の変更は可能!


どれだけ経営が順調に思える企業であっても突如として経営難に陥るなどの理由で、中小企業倒産防止共済の掛金支払いが難しくなる可能性があります。


そのようなケースでも掛金の減額をしたり、逆にあとから掛金を増やすようなことも可能ですが、いくつかの条件と、必要な手続きがあります。

掛金の減額をするための条件3つ

中小企業倒産防止共済の掛金を減額したい場合は、

  • 事業規模が縮小された
  • 事業経営が著しく悪化したり、契約者の病気やケガ、急な支出等の理由で支払いができない
  • (借入金の貸付残高+掛金総額の10倍相当額)が8000万円以上である
以上3つの条件をクリアする必要があります。


要するに減額するためには「支払えない」正当な理由が必要ということであり、いつでも自由に掛金を変更できる、というわけではありません。

掛金変更の手続き方法 |月額変更申込書が必要

中小企業倒産防止共済の掛金を減額または増額させる場合は、

  • 「掛金月額変更申込書」に必要事項を記入する
  • 登録取扱機関か金融機関の窓口に書類を提出
  • 書類受理後に変更後の掛金で引き落とし
このようなプロセスとなります。

口座を変更する場合と同様に「掛金月額変更申込書」という書類が必要ですが、この書類に関しては公式ページからPDFをダウンロードし、印刷したものに記入例を確認しながら直接記入できます。

書類が受理されれば、同月からすぐに掛金変更が可能です。

ただし、掛金減額に関しては
  • 5日までに減額手続きが受領された場合、同月の引き落としから減額される
  • 6日以降に減額手続きが受領された場合、同月は減額されず、次月からの減額となる
このようなルールもあります。

要するにすぐ掛金を減額させたいのであれば、月の始めである5日までに変更手続きが受領されていなければなりません。

たとえば4日までに書類が用意できたとしても、4日・5日が休日である場合は書類が受理されず次月からの減額となってしまうため、可能な限り早急に減額手続きを行う必要があります。

逆に掛金を増額させたい場合もほぼ同様の条件となっていますが、
  • 5日までに増額手続きが受領された場合、同月の引き落としから増額される
  • 6日以降に増額手続きが受理された場合、次月に前月の差額分と合わせて引き落としされる
このようにルールに違いがある点も把握しておきましょう。

掛金の前納もできる!


中小企業倒産防止共済は、今まで紹介したように毎月掛金を支払う方法が一般的ですが、掛金を一括で「前納」するという方法もあります。


前納を利用すると分割で支払うよりもメリットが大きくなるのですが、具体的に何が変わるのでしょうか。

前納減額金でいくら割引される?

中小企業倒産防止共済では掛金を「前納」することで、一定の割合(前納減額率)に基づいて割引を受けられます。


その割合は、

  • 平成29年11月以前に納付した分:1,000分の5
  • 平成29年11月以降に納付した分:1000分の0.9
現在このように割引率が改定されており、過去は「0.005%」だったのに対し、現在前納する分は掛金に対して「0.0009%」が割引率となっています。

掛金前納の手続き | 掛金前納申出書が必要

中小企業倒産防止共済の掛金前納手続きは、

  • 「掛金前納申出書」へ必要事項を記入
  • 登録取扱機関か金融機関の窓口へ書類を提出
  • 書類受理後に指定口座から前納金を引き落とし
このような手順となります。

必要書類である「掛金前納申込書」は公式ページよりPDFをダウンロード・印刷して様式を確認しながら記入できます。

書類の記入事項としては、
  • 共済契約者の個人情報(所在地や事業所の名称、代表者の氏名など)
  • 前納する金額の詳細(掛金月額や納付額、前納希望年月など)
このような引き落としに必要な情報を、記入例を確認しながら漏れなく記入します。

ちなみに前納に関しても掛金の減額・増額同様にルールがあり、
  • 5日までに書類が受理された場合、同月に前納金が引き落とし
  • 6日以降に書類が受理された場合、前納はできない
このように提出の遅れや書類の不備などで書類受理日が6日以降になってしまうと、前納扱いにならず損金算入できない可能性がある点には注意が必要です。

中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)の掛金の会計処理


中小企業倒産防止共済における掛金は、

  • 法人:費用(損金
  • 個人事業主:経費
このように計上できます。

損金算入する場合は「費用」として計上するか「資産」として計上するかを選択できますが、
  • 費用計上する場合:「保険料」など
  • 資産計上する場合:「保険積立金」など
計上方法によってこのように仕訳の科目が変わります。

前納した分は1年以内のものを損金算入できますが、1年を過ぎている場合は年度末に損金算入することになります。

まとめ


今回は「中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)」の掛金について取り上げてきましたが、いかがでしたでしょうか。


この記事のポイントは、

  • 中小企業倒産防止共済の掛金設定可能額は「5,000~200,000円」まで
  • 中小企業倒産防止共済の掛金納付方法は「口座振替」のみ
  • 中小企業倒産防止共済は掛金の増額・減額が可能だがいくつか条件あり
  • 中小企業倒産防止共済は掛金を前納すると一定の割合で割引を受けられる
  • 中小企業倒産防止共済の掛金は損金なら「保険料」、必要経費なら「保険積立金」などの科目で会計処理する

以上の点です。


税金対策にとても有効な中小企業倒産防止共済における掛金のしくみをしっかり理解しておくことは、正しく活用することにもつながります。


これから中小企業倒産防止共済への加入を考えている方にとっても重要なポイントなので、ぜひ覚えておきましょう。


中小企業倒産防止共済について詳しく知りたい方はマネーキャリアに相談してみてはいかがでしょうか。マネーキャリアでは無料で何度でも相談可能です!


ほけんROOMではこの記事以外にも役に立つ法人保険の記事を多数掲載していますので、ぜひそちらもご覧ください。

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