更新日:2022/09/12
小規模企業共済とiDeCoは併用できる!上手く活用しよう!
小規模企業共済とiDeCoは併用でき、いずれも掛金が所得税から全額控除されます。退職金や事業のための積立を行うのであれば、税効果のある制度をうまく利用しましょう。実際の例をあげていますので税効果がどのくらいになるのかぜひ確認してみてください。
内容をまとめると
- 小規模企業共済とiDeCoは併用可能
- 小規模企業共済の掛金上限は70000円、iDeCoは最大限掛金を掛けれる人で68000円
- 小規模企業共済とiDeCoは掛金全額所得税控除対象
- 運用の際に重きを置く点を加味した上で検討する
目次を使って気になるところから読みましょう!
小規模企業共済とiDeCoについてわかりやすく解説!
小規模企業の役員や個人事業主の方であれば、もしもの時の経営の備えとしても重要ですのでどのような方法が一番良いのか検討しているでしょう。
今回は将来のために活用できる方法の中の小規模企業共済とiDeCoについて
- 小規模企業共済とiDeCoの併用は可能?
- 小規模企業共済とiDeCoの掛金の上限
- 小規模企業共済とiDeCoの税効果は?
- 小規模企業共済とiDeCo、つみたてNISAと国民年金の違い
小規模企業共済とiDeCoは併用できる!それぞれの掛金の上限は?
小規模企業共済とiDeCoは併用が可能です。
いずれも納税額を抑える効果があるため、余裕のある人は両方加入すると納税額の大幅な削減が期待できます。
掛金について小規模企業共済は1000円~70000円の中から選ぶことができます。
5000円~1000円単位で設定できるのがiDeCoです。上限は被保険者の種類によって違うため以下の表をご参考ください。
月額掛金 | |
---|---|
自営業者等 | 68,000 |
公務員・私立学校教職員 | 12,000 |
専業主婦(夫)など | 23,000 |
会社員(企業年金に加入していない) | 23,000 |
会社員(企業型確定拠出年金のみ加入している) | 20,000 |
会社員(企業型確定拠出年金以外の企業年金に加入) | 12,000 |
個人事業主の方であれば最大限に活用すると年間165万6000円まで積み立てが可能です。
小規模企業共済とイデコは両方とも所得税控除の対象!税効果を検証!
小規模企業共済とiDeCoはいずれも掛金全額が控除の対象です。所得税を削減する手助けをしてくれます。
- 個人事業主:165万6000円
- 会社役員や経営者:111万6000円(企業年金なしの場合)
①個人事業主の場合
【小規模共済掛金60,000円・iDeCo掛金68,000円】
合計1,536,000円の所得控除
課税所得金額 | 所得税減税効果 | 住民税減減税効果 |
---|---|---|
12,000,000 | 506,880 | 153,600 |
(復興特別所得税の考慮無し、住民税10%)
合計で660,480円の効果が見込まれる。
②会社役員の場合
【小規模共済掛金60,000円・iDeCo掛金23,000円】
合計996,000円の所得控除
課税所得金額 | 所得税減税効果 | 住民税減税効果 |
---|---|---|
12,000,000 | 328,689 | 99,600 |
(復興特別所得税の考慮無し、住民税10%)
合計で428,280円の効果が見込まれる。
小規模企業共済・iDeCo・つみたてNISA・国民年金基金の違いを表で比較!
小規模企業共済・iDeCoに加え、将来の資金を準備するための制度である積立NISA・国民年金基金についても概評し、違いを紹介していきます。
詳しい説明は各項目にURLを貼っておきますでご参照ください。
特に覚えておきたい違いについては下記の表にまとめています。
小規模企業共済・iDeCo・つみたてNISA・国民年金基金とは?
まずはそれぞれの概要について説明します。
小規模企業共済
個人事業主や小規模会社の役員などが退職金用意などに利用するための積立です。
大きな特徴は、貸付金制度を利用できることです。資金の準備をしながら緊急で資金が必要になった時の備えとして使うこともできます。
ただし、掛金の支払いが6カ月に満たない場合解約をしてしまうと共済金の受け取りができなくなってしまいます。また解約返戻金については20年以内解約のケースでは総支払額を下回ってしまうため、解約の事態にならないようキャッシュフローの計画をしておく必要があります。
一括受取・分割受取どちらにも対応しており併用も可能です。
iDeCo
私的個人年金と呼ばれ、公的年金のプラスとして活用されます。
20歳~60歳の日本在住者であることが加入条件です。
自分で決めた掛金で、投資信託や保険などの金融商品の中から自由に選択して運用します。(iDeCoの取扱い会社によって金融商品の内容は変わる)
運用で得た利益は定期預金含め非課税です。
確定年金として受け取ることができ、受取期間は5~20年から選べます。一括受取もできます。
つみたてNISA
投資信託をNISA(非課税枠)にて積立します。
20歳以上の日本在住者であれば誰でも始めることができます。
20年間分配金や運用益が非課税です。ドルコスト平均法によって購入価格を抑えられるため長期で運用すればするほど効果があります。
受取は一括でも、金額指定でも可能です。
国民年金基金
小規模企業共済・イデコ・つみたてNISA・国民年金基金の違い
【月額掛金】
月額掛金 | |
---|---|
小規模企業共済 | 1000円~70000円 |
iDeCo | 5000円~68000円 |
積立NISA | 100円~33333円 |
国民年金基金 | 上限68000円(金額は年齢などによって変動) |
掛金は小規模企業共済が一番高く設定でき、積立NISAの上限が一番低くなっています。
会社の経営者や個人事業主は退職金やもしもの時に備えての貯蓄が必要ですので、積立NISA一本では資金の準備という意味では難しいでしょう。
小規模企業共済であれば掛金の幅が広くとられていますので経営状況に合わせやすくなっています。
【所得税控除】
所得税控除 | |
---|---|
小規模企業共済 | 小規模企業共済等掛金控除 |
iDeCo | 小規模企業共済等掛金控除 |
積立NISA | なし |
国民年金基金 | 社会保険料控除 |
小規模企業共済、iDeCo、国民年基金は控除名は違えど掛金が全額所得控除になります。
小規模企業共済だと最大で84万、iDeCoと国民年金基金では81万6千円の控除が可能ですので税効果は十分と言えます。
積立NISAには掛金の控除はありませんが、上記でふれたとおり20年間は分配金・利益額は非課税です。
ただし、利益が出ていなかった場合は非課税枠も意味のないものとなってしまいますので注意が必要です。
【中途解約】
中途解約 | |
---|---|
小規模企業共済 | 可 |
iDeCo | 不可 |
積立NISA | 可 |
国民年金基金 | 不可 |
iDeCoと国民年金基金は一度加入すると原則解約ができません。
長期間の積立にはなりますが、流動性は著しく低いので加入の際は十分に理解した上で契約しましょう。
小規模企業共済は解約はできますが、期間によっては損失がでてしまうので気をつけましょう。
一方積立NISAは流動性が高めです。解約金の受け取りまで一種間ほどかかる場合もありますが、期間の指定はありません。
【受給額の変動】
受給額の変動 | |
---|---|
小規模企業共済 | なし |
iDeCo | あり |
積立NISA | あり |
国民年金基金 | なし |
小規模共済と国民年金基金は受取額が確定しています。
確実性が高いため安心ではありますが、物価上昇の場面ではお金の価値を下がってしまうかもしれないのでその点は頭に入れておきましょう。
iDeCoと積立NISAは変動資産を自分で運用しますので、結果次第では掛金を下回る可能性もでてきます。
ただし運用次第では、掛金を大きく上回る利益を得ることも可能です。
どれを優先して利用するべき?
- 掛金の控除制度を最大限活用したい
- 退職時の他にも廃業の備えとしても活用したい
- 貸付金制度をセーフティネットとして備えておきたい
- 老後まで必要としない余剰金で運営できる
- 長期間の運用を前提としている
- 自分で運用して利回りを少しでも確保したい
- 資産の流動性は残しておきたい
- 少額から可能のため他の方法と組み合わせて活用したい
- リターンの大きさを求める
- 金額は確定しておいた方が良い
- 年金を終身に渡って受け取りたい
- 安心できる国の制度を活用したい
まとめ
小規模企業共済とiDeCoについて他の制度と比較しながら説明してきましたがいかがでしたでしょうか。
今回のポイントは
- 小規模企業共済とiDeCoは併用可能
- 小規模企業共済の掛金上限は70000円、iDeCoは最大限掛金を掛けれる人で68000円
- 小規模企業共済とiDeCoは掛金全額所得税控除対象
- 小規模企業共済とiDeCo、積立NISAと国民年金基金はそれぞれにメリットあり。運用の際に重きを置く点を加味した上で検討
▼この記事を読むべき人
▼小規模企業共済をイデコより優先して利用するべき人