生命保険契約の受取人が認知症になったとき、どのように請求するの

社会の高齢化とともに出生率の低下が進み、医療介護における深刻さは年々増しています。生命保険に加入しても受取人が認知症だったらどうすれば良いのでしょうか。生命保険金を請求するとき受取人が認知症になった場合の請求方法について見ていきます。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

生命保険の受取人が認知症になってしまった場合

認知症患者は増加傾向にあり、将来的には300万人を超すと言われています。


以前は脳血管疾患の後遺症が多かったのですが、アルツハイマー型認知症も増加しています。

認知症の症状としては記憶障害を初め言葉を忘れたり、場所の把握が難しくなるととも暴言や徘徊などがあります。


今回は受取人が認知症となってしまった、認知症である、というケースについて考えていきたいと思います。


生命保険金の受取人に指定された人に認知症の症状が現れると正常な判断ができず、自分の意思を表示できないため、医療や介護にかかる費用が増えるにもかかわらず生命保険金の請求ができず大変です。


しかし、保険金の受取人でなくても生命保険金の請求ができる可能性のある制度があります。 


そこでこの記事では、まず、保険金の受け取りに関する原則をまとめたのちに

  • 成年後見制度について
  • 生命保険の受取人が認知症になったときの対策
  • 受取人が認知症になったとき、保険金の請求方法

以上のことを中心に説明します。


この記事を読めば、生命保険の受取人が認知症だった時の対策方法について正しい知識を得られるかと思います。ぜひ最後までご覧ください。

生命保険金の受取人についての原則

遺産相続でも用いられる生命保険金ですが、受取人については原則があります。


保険金は受取人の固有の財産である。」です。


死亡保険などの保険金は遺産分割の対象にもなりませんし、他者からの干渉を受けることなく、受取人が確実に保険金をもらえるということです。


ですので、基本はたとえ、受取人に何かしらの問題があることを理由に、他者が請求代理をすることはできないのです。

成年後見制度を活用する

生命保険金の受取人が認知症になったときまず対策として考えられるのは、成年後見制度でしょう。


成年後見制度は、精神上の障害により物事の道理を理解する能力が欠けた状況にある人がいるとき、家族などが家庭裁判所に請求すると成年後見人を選任してくれると言う制度です。  


予め成年後見人を選んで生命保険を契約することもできます。

成年後見制度の利益相反とは

成年後見人は被後見人(認知症患者)の財産を管理したり契約の締結取り消しなどを代理して行いますが、身勝手に土地建物を売却したり担保に供したりはできません。


これを利益相反行為といいます。

つまり後見人と被後見人の利益がぶつかるという意味です。


生命保険金の受取人が認知症になった場合の成年後見人による請求は、被保険者の利益にかなう限り可能です。 

成年後見制度の後見監督人とは

成年後見制度では後見人の他に後見監督人を付けることができます。

後見人の事務を監督する立場の人で必ず付すわけではありません。


例えば、後見人が被後見人(認知症患者)の介護費を捻出するために土地を担保にお金を借りようとするとき、後見監督人が被後見人を代理します。


これにより後見人と後見監督人の話し合いで適切な事務ができるのです。


後見監督人がいなければ、後見人は家庭裁判所に被後見人を代理する特別代理人の選任を請求しなければなりません。 

成年後見制度以外の生命保険の受取人が認知症になった時の対策

生命保険の保険金受取人が認知症になった場合の対策として、成年後見制度の他にも色々な対策があります。


ここではそれらの対策について説明していきます。

あらかじめ受取人変更しておく

生命保険金の受取人が認知症になった場合の対策として、成年後見制度を利用する他、生命保険金の受取人を変更しておく方法もあります。

認知症はある日突然すべての認知能力を失うわけではなく徐々に進行する場合がほとんどです。

したがって、認知症と診断された生命保険金の受取人が正常な判断を下せるうちに受取人を変更しておくと良いでしょう。


本人確認書類など各保険会社指定の書類を提出することで変更できます。 

指定代理請求特約を利用する

認知症が進行する前に生命保険金の受取人の変更を行えば良いのですが、家族が遠方に暮らしているなど症状の進行に気付けない場合もあります。

また生命保険に加入している事実を知らず、認知能力を失った後で加入の事実を知った場合などでは、認知症になった受取人に代わり家族が生命保険金を請求できません。


そんなときに備えて指定代理請求特約を付しておくと便利です。


指定代理請求特約とは、被保険者が受取人になり受取人自ら認知症などで請求できないとき家族などが代わりに請求できる制度です。


生命保険契約後でも指定できるので、利用すると良いでしょう。 


参考:ちなみにですが、契約者が認知症となったために保険解約をしたくてもできないという事例については、指定代理請求制度では対処できず、成年後見制度を利用することとなります。

生命保険信託を利用する

生命保険契約の被保険者が夫で受取人を妻としたとき、夫が先に亡くなれば妻が生命保険金を受け取ることができます。

ただし、妻が認知症であれば生命保険会社に請求できず生活に支障が生じます。


こんな場合に備えて生命保険信託があります。


生命保険信託は夫が先に亡くなった場合の生命保険金の使い途を決め信託するのです。

信託会社は契約に沿って残された妻の生活費等を管理します。


信託しておけば認知症になった妻の生活の心配をしなくて済みます。 

受取人が認知症になったときの保険金の請求方法

ここまでは、生命保険の受取人が認知症になってしまった場合の対策について説明してきました。


ここからは受取人が認知症になった時の、保険金の請求方法について解説していきます。

法定相続人代表が保険金請求ができる

受取人が認知症であった場合、法定相続人の代表が保険金を請求できる場合があります。

法定相続人とは、民法によって遺産を相続する人と定められている人のことです。

法定相続人には、最初に配偶者が優先されます。配偶者が生存していれば、どんな場合でも法定相続人になれます。次に子供がきます。子供は生まれた順関係なく平等に配分されます。その次に親です。そして次に兄弟姉妹です。

例えば、生命保険契約の被保険者が夫で認知症の妻が受取人のとき、子供が認知症の母親に代わって死亡保険金の請求できる場合があります。


生命保険会社によって多少差異はありますが、夫の法定相続人が妻と子であれば戸籍謄本等を提出して子が請求できます。


この場合あくまで生命保険金は受取人である妻に支給されます。 

まとめ:生命保険の保険金受取人が認知症になった場合

生命保険の受取人の問題は後々面倒になることがあります。

被保険者と受取人が同一のために死亡後、遺産分割で問題が生じたり、死亡保険金の受取人に兄弟の一人が指定されている場合もそうでしょう。


また受取人が認知症になった場合も対策が必要です。

こうした対策は時間に余裕があるとき考えておきたいものです。


とりわけ認知症についてはまだ特殊な事例として不問に付す人も多いことでしょう。

しかし決して対岸の火事ではなく誰でも起こり得るのです。


成年後見制度や指定代理人請求の方法など受取人が認知症になった場合に備えて選べる方法がいくつかあります。


高齢化社会においては見過ごせない問題ですので、もう一度生命保険契約の被保険者や受取人について考えてはいかがでしょうか。 


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