生命保険の受取人は離婚前に変更して相続税対策をしておこう!

離婚時における生命保険の契約変更手続きについて、さらに離婚前に必ずやっておきたい変更内容についても言及しています。離婚時に生命保険の契約者・被保険者・受取人の設定を間違うと、受取人にとって後々大きなトラブルの元となってしまうので注意しましょう。

離婚したら生命保険の受取人の情報を変更しよう

現在、「結婚した人のうち、三人に一人が離婚する」と言われているほど、離婚は身近なものになっています。離婚の際には様々な話し合いと財産分与などが行われますが、意外と忘れがちなのが「生命保険について」です。

婚姻時は当たり前に生命保険の受取人を配偶者にしていたことと思いますが、離婚の際には必ず生命保険の受取人を変更しておかなければいけません。

どの項目をどのように変更していけばいいのか、詳しく解説していきます。


名義変更・改姓

まずは離婚に伴う名義変更・改姓の方法についてみていきましょう。

  • 改姓に伴う名義・氏名変更

改姓に伴う氏名変更が必要になるのは…


・契約者、被保険者、死亡保険金受取人


この部分です。

離婚届を提出し、氏名が変わり名義変更が必要になった場合には、まず加入している生命保険会社に申し出てください。

変更時には、本人確認書類、生命保険会社独自の名義変更申出書、印鑑が必要です。

本人確認書類は、「名前の変更手続きが完了している」免許証又は保険証、パスポートなどを用意しておきましょう。

住所・電話番号の変更

次に、住所や電話番号、連絡先番号などの変更も必要となります。

免許証などの本人確認書類は氏名変更の際に住所も併せて変更しているはずですので、特段その他の書類は必要ありません。

わざわざ窓口まで行かなくとも、電話やインターネットで住所・電話番号の変更を受け付けている保険会社も多いですから、担当している外交員などに聞いてみましょう。

口座やクレジットカードなどの保険料払込方法の変更

保険料の支払いについても変更がある場合には、あわせて手続きを済ませましょう。保険料の支払いに関する変更項目はいくつかありますので、順を追ってご説明します。

  • 引き落とし口座の変更

今までは配偶者の口座からの引き落としであった場合、保険料を引き落とす口座の変更が必要になります。

元配偶者の口座からから自分の配偶者の口座に変更する場合には、保険会社だけではなく金融機関での手続きも必要です。

新しく引き落とししてほしい口座のある金融機関に出向き、「預金口座振替依頼書」に記入し銀行印を押印、書類に金融機関からの押印をもらいそれを保険会社に提出する必要があります。



  • クレジットカードの変更

今までもクレジットカードで保険料を支払いしている場合、これから先クレジットカードで支払いたしたいという場合には、登録しているクレジットカード内容も変更しましょう。

「クレジットカードの変更」をしたい旨を加入している生命保険会社に連絡し、必要書類を郵送してもらいます。

変更に必要な書類が届いたら、不備なく書き込んで返送することで変更手続きは完了となります。



  • 払込回数の変更

今まで年払いだったが月払いにしたい、という時には簡単に保険料の払込回数を変更することができます。

保険会社の窓口、または電話連絡と書類の郵送で手続きしてください。変更の際には本人確認書類と印鑑を用意しておきましょう。

生命保険の契約者や受取人の変更は離婚前に行ったほうが良い

このように離婚時には氏名・住所変更など様々な手続きが生命保険でも必要になりますが、一つ注意点があります。

それは「契約者や受取人の変更は離婚前にやるのがベスト」ということです。

なぜ「離婚前の変更」が重要なポイントとなるのか、事例を元に解説します。





  • Aさん、離婚後に契約者と受取人を変更

離婚後に、Aさんが被保険者の生命保険の契約者・受取人が元配偶者となっていたことに気づき保険会社へ。

保険会社では「被保険者がAさんなので変更はできますが、現在の契約者の同意が必要となります。」と言われてしまいました。

「離婚のときに話ができる状態じゃなくなったから、連絡取りにくいなぁ」との思いから、Aさんは受取人だけをとりあえず子供に変更しておきました。


しかしここには大きな落とし穴があります。保険契約において「契約者」とは、「保険料を負担する人」という意味合いが含まれており、契約者と被保険者、受取人がそれぞれ異なることで、被保険者Aさんの死亡時には保険金を受け取る子供に大きな「贈与税」が発生してしまうのです。


・契約者の元配偶者は生存→保険金が契約者から子供への贈与となる

・契約者と被保険者が同一なら→場合によって相続税が発生するがほとんどその心配はない



  • Bさん、離婚前に契約者と受取人を変更

一方のBさん、離婚協議中から手早く各種手続きを進めていました。自分と配偶者に関わるすべての手続きを終えておかないと、離婚後に揉める原因になってしまうからです。

特に「保険関係は同じ苗字の時じゃないと失敗するよ!」という友人の言葉があり、まずそれを実行したのです。


同じ姓でまだ夫婦ということであれば、契約者の変更も「自分が配偶者の代理人である」と認められるためスムーズに行われます。

本人確認書類の提出は求められるでしょうが、それ以上は一般的な手続きと同じです。


自分が死亡受取人になっていた配偶者の契約は配偶者本人に、学資保険の受取人は子供に、自分の保険の受取人は子供に…と手間なく簡単に変更ができました。


※契約の変更について、夫婦間で話し合いが完了していれば大丈夫ですが、すべてを勝手にやると離婚協議で大問題に発展してしまいますからくれぐれも「勝手な変更」はやめましょう。



  • Cさん、離婚前に契約者と受取人を変更、被保険者が配偶者

最後にCさんは、契約者を自分に、受取人を子供に、被保険者を配偶者にと離婚前に変更しました。

「これで抜かりないはず」と意気揚々と離婚したわけですが、これでは結局Aさんと同じ、最悪の場合子供に大きな贈与税の負担が発生してしまいます。


A~Cさんそれぞれパターンは違えど、一番得するのはBさんという結果になりました。

離婚後の疲弊した心身の中で各種手続きをするのはとても大変ですから、簡単に手続きが完了する「離婚前」に各種変更をしておくことをお勧めします。

離婚したら受取人を子供に変更したほうが良い3つの理由

離婚した後、親権が自分になければ子供を受取人にできないと思い込んでいる方も多いようです。

しかし、親権がなくとも、離婚していても自分たちの子供であることに変わりはありません。

そして、一緒に暮らしていない子供たちにも、自分の財産を受け取る権利はしっかりあるのです。毎月コツコツためておくのでもいいのですが、生命保険の受取人を子供にすることである程度の財産を残せる可能性があります。


ここからは、離婚したら生命保険の受取人を子供に変更したほうが良い3つの理由について解説していきます。

理由1:税金対策になる

「生命保険の契約者や受取人の変更は離婚前に行ったほうが良い」の項でもすこし触れましたが、生命保険は「契約者」「被保険者」「受取人」それぞれが誰であるかによって、保険金にかかる税区分が変わります。

  • 契約者と被保険者が同一、受取人は子供→相続税の対象
  • 契約者と受取人が同一、被保険者が元配偶者または子供→所得税の対象
  • それぞれが別名義人→受取人が贈与税の対象


この中で一番税金が少なくなるのが「相続税」ですので、税金対策としては「契約者と被保険者を同一にし受取人を子供に」するのがベスト、ということですね。

理由2:相続税対策になる

生命保険の受取人を分散することで相続税対策にもなります。

死亡保険の相続税は「相続できる対象の人数×500万円」の範囲が非課税となりますから、そのまま現金で財産を残しておくよりも相続税的にはお得です。


例えば現金1,000万円を相続したとき、税率は10%、100万円を現金で納税しなくてはいけません。

しかし1,000万円を保険にし、保険金が2,000万円になったとしても相続の対象となる人間が4人いればこの2,000万円は非課税となります。


残されたものに財産を残し、税の負担はかけないということで大きな節税が見込めます。

理由3:離婚後、受取人を後妻にされる可能性が減るかも

最後の理由として、「保険金の受取人を後妻に変更される心配が減る」ということが挙げられます。

契約者は元配偶者なわけですから、後妻に変更するもしないも自由ですし、それを止める権利はもちろん前妻にはありません。

だからこそ、「離婚前に受取人を子供に変えておく」ことで、その危機感を薄めることができます。


「自分とは他人でも、子供には血を分けた親である」ということを自覚してもらうためにも、離婚時には生命保険の受取人は子供に変えておくべきと言えるでしょう。

契約者が自由に受取人を変更できる状態は危険



ここまで離婚時の生命保険契約について述べてきましたが、最後に1点だけ、ここには十分注意してほしいということを説明します。

生命保険における契約者は、生命保険の保険料を支払っている人であることからその受取人を自由に変更することができます。これは誰にも止められません。


しかし恐ろしいのが、その被保険者が亡くなった時に「受取人である」という通知が届き、莫大な贈与税や相続税が発生してしまうことです。


こうならないために、離婚時にはしっかり「なぜ受取人を変更したのか」「この生命保険の契約内容はどうなっているのか」ということをお互いによく理解し、将来的なトラブルを避ける必要があります。

離婚時には現金や不動産といったわかりやすい財産分与だけではなく、生命保険についても細かい誓約を決めておくといいかもしれません。


そこまでは大げさというのであれば、独自の文書に残し、お互いにそれを所持し生命保険に同じ認識を持つということが大切です。

まとめ:生命保険を相続税対策の観点から再チェック!

離婚を決めるときには様々な話し合いがなされ、時にはお互いを罵倒し、疲れ切って何も決められなかったりするものです。そんな時には迷わず第三者を挟んで話し合いを進めて下さい。

生命保険に関しても、二人だけで決められないのであれば離婚調停の場や、法律家を挟んだ話し合いで解決していきましょう。

この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、保険相談や選び方のポイントを伝える「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

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