個人型確定拠出年金(iDeCo)のみなし相続財産としての取り扱い

個人型確定拠出年金(iDeCo)の死亡一時金は、民事上の相続はないが税法上はみなし相続財産として課税対象となります。実際には非課税枠で課税されることは少ないでしょう。個人型確定拠出年金(iDeCo)の死亡一時金は5年請求しないと相続財産となるので要注意です。

個人型確定拠出年金(iDeCo)の相続人等への資産の移動

個人型確定拠出年金(iDeCo)は、毎月掛け金を積み立てていき、自分が決めた運用商品で運用し、60歳以降に一時金又は年金方式で受け取るというものです。


しかし、掛け金を積み立てている最中に死亡した場合は、相続等の問題についてどのように対処することとなるのでしょう。まずは、死亡時の個人型確定拠出年金(iDeCo)の取扱いについてみていきましょう。



死亡時の取り扱いについて

個人型確定拠出年金(iDeCo)においては、死亡した掛け金を積み立ててきた者が、その死亡時までに積み立ててきた資産を相続人となる遺族が受け取るという取扱いとしています。そして、その死亡時に支払われる方法は、個人型確定拠出年金(iDeCo)においては一時金方式で支払われます。これを死亡一時金といいます。

死亡一時金の受取手続き

個人型確定拠出年金(iDeCo)の死亡一時金を受け取るためには、遺族からの運営管理機関への裁定請求が必要になります。この請求が行える者については、国民年金基金連合会の個人年金規約で定まっており、第1順位が配偶者、第2順位が子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹であって死亡した者の死亡当時主としてその収入により生計を維持していたものとなっています。この規約に従って、請求し受領します。

個人型確定拠出年金(iDeCo)の相続に係る法整備

上記のように実務的には、国民年金基金の規約に従って裁定請求をする者が1人に定まり、その者が運営管理機関に請求して個人型確定拠出年金(iDeCo)の死亡一時金としてその者に支払われて終わりですが、裁定請求者に固有の権利があるのか、相続財産の内容として請求するのか等が税制にも関わるのでみていきましょう。

死亡一時金に対する法制の考え方

まず、民法上は、このような個人型確定拠出年金(iDeCo)の死亡一時金の性質は相続とはいいません。死亡時に相続する者の財産へ帰属していたものとは言えないからです。


しかし、この死亡一時金は死亡により発生しほとんど相続財産と変わらないので、税法上は、相続税法第3条第1項の規定により相続財産とみなすこととしているのです。よって、民法上は相続ではないが税法上は相続財産として取り扱うこととなるのです。

相続税に関する取扱い

個人型確定拠出年金(iDeCo)の死亡一時金を考えるにあたり参考となるのが、死亡時にもらう退職金である死亡退職金です。これは、みなし相続財産となります。


個人型確定拠出年金(iDeCo)は退職金の自己形成という側面があるので、この死亡退職金の考えに沿って取り扱います。よって個人型確定拠出年金(iDeCo)の死亡一時金は、みなし相続財産となります。

個人型確定拠出年金(iDeCo)の相続税に関する計算

以上のように、個人型確定拠出年金(iDeCo)の死亡一時金がみなし相続財産となった場合に、相続税の計算をどのように計算していくのでしょうか。みなし相続財産については、相続財産そのものではないこと等により一定額まで非課税枠があります。この点についてみていきましょう。

相続税の非課税枠に関する計算

個人型確定拠出年金(iDeCo)の死亡一時金については、死亡退職金の非課税限度額と同じ計算式を使用します。すなわち、500万円×法定相続人の数=個人型確定拠出年金(iDeCo)の死亡一時金の非課税限度額という計算式となります。


よほど高額な掛け金を積み立ててない限り、法定相続人が2人以上いると非課税となることが多いと思われます。

非課税枠を超えても課税されない場合

相続税の税額の計算については、相続等により取得した財産の価額+みなし相続に係る課税対象財産から葬式費用を除く等して課税価格を算出し、課税価格-基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)=課税遺産総額ということになり、ここに所定の税率を掛けることとなります。みなし課税となっても非課税の可能性があるので注意しましょう。

個人型確定拠出年金(iDeCo)の相続に関わる留意点

個人型確定拠出年金(iDeCo)の死亡一時金については、相続税法の対象となるが、実際はほぼ非課税枠の利用により課税されないこととなります。


しかし、相続放棄した場合に受け取っていいのかという問題や、請求をいつまでできるのかという問題があります。この点について最後に押さえておきましょう。

相続放棄との関係について

民法上は、相続放棄すると死亡時に遡り相続財産を一切相続することができない立場になります。では、相続放棄した人が第一順位の死亡一時金の受取人であった場合はどうなるのかというと、関係ありません。第一順位の人が受け取れます。民事上は、相続ではないからです。ですので、他の相続人から相続放棄したから受け取って持っている権利がないということを言われる理由がないということを押さえておきましょう。

裁定請求を遅らせた場合の問題

個人型確定拠出年金(iDeCo)の死亡一時金は死亡した日から5年を経過すると請求できなくなります。この場合は、他の資産と同じく相続財産として取り扱われることとなるのです。その結果、上記の相続放棄が効果を生じ、もはや受け取ることはできません。ですので、裁定請求する時期をずるずると引き伸ばさないようにしましょう。

まとめ

個人型確定拠出年金(iDeCo)の死亡一時金は、規約により定まる遺族の1人が請求しますが、この死亡一時金の受け取りは、民事上は相続ではないものの相続税の対象となるみなし相続財産となります。ただ、実際にはみなし相続財産の非課税枠の利用により税金が課されることは少ないでしょう。また、相続ではないので相続放棄は影響しません。ただし、この請求は5年以内に行わないと民事上も相続財産として取り扱うこととなるので留意しましょう。

この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、保険相談や選び方のポイントを伝える「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

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