iDeCoで定期預金はあり?メリットとデメリットをプロがわかりやすく解説!

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iDeCoを活用するなら、自分の生活にあった運用商品を選びたいですよね。せっかく積み立てをするなら失敗したくない方も多いでしょう。今回は、iDeCoの定期預金がどんな方にぴったりか紹介し、プロの目線からから定期預金と税制優遇の関係や利点、欠点を解説します。

iDeCoで定期預金はもったいない!

iDeCoで定期預金をするのはほんとうにもったいないのでしょうか。


「iDeCo」での定期預金とは「運用商品」に含まれています。「運用商品」には元本割れの心配はないですが、運用益の低い「定期預金」「保険商品、元本割れの心配はありますが、運用益の高い「投資信託」があります。


 一般的な定期預金や投資信託では、基本的に運用益が課税対象になりますが、iDeCoではその運用益が非課税対象になり、掛け金も全額所得控除になります。


「定期預金」は元本割れの心配がないことから、低リスクで行うことができます。しかし、投資信託のように高い運用益や大きなリターンもないため、iDeCoによる税制優遇の効果が低くなることも考えられます。


定期預金」は掛け金の所得控除を受けることはできますが、運用益の非課税の恩恵を受けることができないため、最大のメリットである税制優遇を活かすことができません。


税制優遇を活かすことが難しい定期預金を行うのは、もったいないといえます。

iDeCoのメリットとデメリット【基礎知識】


iDeCoを活用する上で最も大きいメリットは、「税制優遇」です。


運用益や掛け金が非課税になることや、最終的に受け取る際にも税制優遇を受けることができるため、個人で節税を行うことのできる年金制度になっています。


しかし、iDeCoの活用にはデメリットも存在しています。


iDeCoで積み立てた掛け金や運用益は原則60歳を超えるまで引き出すことができず、途中で解約することができません。


また、各種手数料が自己負担なため、定期預金のように運用益の低いものだけを運用している場合は、手数料が運用益を上回る可能性もあります。

iDeCoのメリット:税制優遇

iDeCoにおける税制優遇は、

  • 掛け金の全額所得控除
  • 運用益の非課税
  • 受取の際の控除

以上の3点になります。


掛け金の全額所得控除


1つ目の掛け金の所得控除ですが、積み立てる掛け金の金額分、税金が免除されます。


そのため、課税対象になる所得が減少し、その年の分の所得税とその次の年の住民税が減額されます。


つまり、iDeCoで積み立てを行っている金額分、所得税・住民税などの課税を受ける所得を少なくすることが可能です。


運用益の非課税


2つ目の運用益の非課税ですが、掛け金の運用によって出た利益から税金がとられることがありません。


一般的な定期預金や投資信託であれば、掛け金の運用によって出た運用益に源泉分離課税として税金が課せられますが、iDeCoでは運用益に税金がかかることはありません。


受取の際の控除


3つ目の受け取りの際の控除ですが、iDeCoの積み立てや運用によって得た資金を60歳以降に受け取る際に、控除を受けることができます。


年金として取得する場合は「公的年金等控除」、一時金の場合は「退職所得控除」を受けることができるため、受取の際にも税制優遇の恩恵を受けることができるのです。

iDeCoのデメリット①:途中で解約できない

iDeCoのデメリット1つ目は、途中で解約することができないことです。


iDeCoは開始すると、原則途中で解約することができず、60歳を超えるまでお金を引き出すことができません。


そもそもiDeCoとは、老後の生活の資金を作るための個人年金制度であり、例えば40代や50代で自分の求めていた金額まで積立金や運用益が貯まったとしても、途中で引き出したり解約したりすることはできないのです。


例外として解約できる場合もありますが、死亡や高度障がい、特定条件を満たした脱退一時金など、条件がとても厳しいため現実的ではありません。


今まで払っていた掛け金を払えない、減額したいという場合には、途中解約ではなく掛け金の減額や支払い停止を利用して対応することができます。


しかし、支払い停止の場合はiDeCoのメリットである所得控除を受けることができなくなるため、デメリットがメリットを上回ってしまいます。


iDeCoを始める際には、自分が毎月支払える金額を設定することをおすすめします。

iDeCoのデメリット②:手数料

iDeCoのデメリット2つ目は、手数料が自己負担であることです。


iDeCoの手数料は、以下の4つです。

  • 加入・移換時手数料
  • 加入者手数料
  • 還付手数料
  • 運営管理機関の手数料

iDeCo公式サイトによると、加入する際に必要な「加入・移換時手数料」、掛け金を納付するたびに必要な「加入者手数料」、国民年金の未納に関わる「還付手数料」、その他銀行などのiDeCoの運営に必要となるサービスを提供する「運営管理機関の手数料」など、多くの手数料がかかることがわかります。


これらの手数料はすべて自己負担になっており、iDeCoを運用する銀行口座によってはさらなる手数料がかかることも考えられます。


定期預金のように運用益の低い商品を毎年運用することで、運用益よりも手数料の方が上回ってしまう場合も考えられます。


そのため、iDeCoをはじめる際には、手数料がどのくらいかかるのかを事前に確認し、その上で利益を出すために積み立てる金額を決定する必要があります。

iDeCoで定期預金を選択するメリット


iDeCoで定期預金を選ぶメリットは、もちろんあります。

  • 元本保証があるから資金計画が立てやすい
  • 実質利回りが大きい
この2点です。

定期預金の特徴は、リターンは少ないですがリスクが低いため投資信託に比べて安全性が高いことです。

定期預金は、元本保証があることで投資信託のように元本割れのリスクがなく、継続して安定した資金計画を立てることができます。

また、銀行のように0.01%以下の低金利とは違い、税制優遇の所得控除によって実質的な利回りが大きいこともメリットの1つです。

メリット①元本保証があるから資金計画が立てやすい

1つ目のメリットは、元本保証です。


投資信託は運用益が高く、大きなリターンが期待できる反面、運用に失敗し元本割れするリスクを抱えています。


その点、定期預金は元本保証によって継続的な資金計画を立てやすく、安定した積み立てを行うことができます


20代や30代前半など年齢が低くこれからの収入に期待できるような方や、投資経験が多いようなリスクをとれる方であれば、投資信託をすることも選択肢として入ります。


しかし、30代後半や40代、50代であれば、老後のために安定した資産形成を行いたい、家族がいるから失敗してやり直す余裕がない、という方もいるかと思います。


そんな時には、定期預金の元本保証が有効です。定期預金は元本保証によって、積み立てた額以下になることがないため、もし運用益がない場合でも積み立てた分の金額を受け取ることができるのです。


実際、リスクを取りたくない人や、投資よりも貯金を優先しているような方は、元本保証があることから定期預金をおすすめします。

メリット②実質利回りが大きい

2つ目のメリットは、実質利回りが大きいことです。


ここで重要なのは、実質利回りという言葉です。これは、定期預金による利回り自体が高いわけではありません。重要なのは所得控除による節税です。


例えば、毎月10,000円積み立てるとして、1年で120,000円積み立てることになります。この120,000円は、iDeCoの税制優遇である所得控除によって、その年の所得から減額できるのです。


所得税が10%の方であれば、約12,000円かえってくることになります。住民税は一律10%となっているため、翌年さらに約12,000円かえってくる計算になります。


つまりこの場合、毎月10,000円iDeCoの定期預金で積み立てをすれば、1年でおよそ24,000円お得になるということです。


普通の定期預金では所得控除が無いため、定期預金の利回りによる利益だけでなく所得控除による節税の金額分を含めて、実質的な利回りが大きいということがわかります。

iDeCoで定期預金を選択するデメリット

iDeCoで定期預金を選択するデメリットは、以下の3つです。

  • インフレリスクに対応できない
  • 手数料が利回りを上回る
  • 運用益非課税の効果が活かせない

定期預金は元本保証によって元本割れのリスクはありませんが、インフレーションによる物価の上昇によりお金の価値自体が下がる可能性が考えられます。


また、各種手数料が自己負担であることから利回りよりも手数料が上回る場合や、投資信託と違って運用益の非課税が生かせないというデメリットがあります。

デメリット①インフレリスクに対応できない

1つ目のデメリットは、インフレリスクに対応できないことです。


iDeCoの定期預金は元本保証によって積み立てた掛け金分は必ず受け取ることができます。しかし、20代でiDeCoの定期預金を始めた場合、積み立てた掛け金を受け取ることができるまでに40年ほどかかります。


今のお金の価値が、40年後もそのままである保証はなく、インフレーションによる物価上昇によって40年後お金の価値が下がっている可能性があります


例えば、今リンゴの値段が100円で10,000円あれば100個買うことができますが、40年後リンゴの値段が200円になっていれば10,000円で50個しか買うことができません。


定期預金で積み立てた掛け金や利回り分のお金を40年後受け取ることができたとしても、それ以上にインフレが進んでいれば実質的にはマイナスになってしまうのです。


途中で解約できないこともあり、iDeCoの定期預金ではインフレリスクに対応することはできません。

デメリット②手数料が利回りを上回る

2つ目のデメリットは、手数料が利回りを上回ることです。


iDeCoのデメリットでも解説しましたが、iDeCoには多くの手数料がかかり、すべて自己負担となっています。


定期預金は利回りが低く、投資信託と違って運用益のリターンが大きいわけではないため、手数料が利回りを上回るという可能性があります。


iDeCoの定期預金で重要なのは、所得控除による実質利回りの大きさです。そのため、定期預金自体の利回りにはそこまで期待できず、手数料よりも低いことが考えられるのです。


これは積み立て金額が低ければ低いほど顕著になり、掛け金に対する手数料の割合が高くなります。自分ができる範囲の積み立て金額であることも重要ですが、ある程度の金額を積み立てなければ、所得控除による実質利回りも手数料によって少なくなってしまうのです。


手数料にあまりにも金額を取られると、積み立てた資金による運用では足りないどころか、所得控除の分の得の意味さえなくなってしまいます。

デメリット③運用益非課税の効果が活かせない

3つ目のデメリットは、運用益非課税の効果が活かせないことです。


実は、iDeCoの定期預金で効果のある税制優遇は実質、掛け金の所得控除のみです。


運用益は、投資信託のように積み立てた掛け金を運用した際に発生する利益であり、運用益の期待できない定期預金ではiDeCoによる税制優遇のメリットが薄くなってしまいます。


一般的に運用益には、源泉分離課税として運用益の20.315%の税金がかかりますが、iDeCoではこの税金が免除されます。つまり、20.315%の税金分を次の運用の分に上乗せして回すことができるため、さらなる利益に期待できるのです。


運用益が満額次の年に利用できることは、年を経るにつれてその恩恵が大きくなることが予想されます。


運用益の非課税は、運用益が大きければ大きいほど効果が有効であるため、運用益の低い定期預金では運用益非課税の効果が活かせないのです。

まとめ:投資を一切しないならiDeCoで定期預金はあり!


iDeCoで定期預金を選ぶ利点・欠点について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?


今回の記事のポイントは、

  • iDeCoの最大のメリットは、税制優遇制度にある
  • デメリットは、途中で解約できないことと各種手数料が自己負担である
  • 定期預金は元本保証と実質利回りが高い反面、インフレリスクへの対応や手数料による利益減少、運用益非課税の効果が活かせない

でした。


iDeCoの最大の利点である税制優遇の効果の薄い定期預金は、しっかりと資金を運用し投資を行いたいという方にはおすすめできません。


反対に、安定した資金計画を立てたい、投資結果に一喜一憂したくないという方は、投資を一切せず、iDeCoで定期預金を行うことをおすすめします。


しかし中には、どうやって計画を立てたらいいのかわからない方や、プロの相談しなければ不安だという方もいると思います。


iDeCoを利用した資金計画に迷ったら、マネーキャリア相談の無料相談を利用してみるのも手です。

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