会社員・サラリーマンがiDeCoについて絶対知るべきデメリットと注意点

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老後のために企業型確定拠出年金とは別にiDeCoに加入して資産運用を行いたいと考えている会社員・サラリーマンの方は多いでしょう。そこで今回は、iDeCoへの加入を考えている会社員が知るべきiDeCoのメリット・デメリットや、手続き方法等について解説します。



▼この記事を読んで欲しい人

  • 会社員・サラリーマンで老後資金準備のためにiDeCoへの加入を考えている方
  • 企業型確定拠出年金とiDeCoを併用したいと考えている方

内容をまとめると

  • iDeCoは企業型確定拠出年金・確定給付企業年金の加入有無により拠出上限額が異なり、会社規約にない場合やマッチング拠出利用時は加入自体ができない
  • 会社員・サラリーマンがiDeCoに加入すると大きな節税効果を得られるが、転職により拠出上限額が減り節税効果も薄れるケースがある
  • 加入時は無理のない拠出額に設定し、信託報酬や管理手数料等の手数料の安い金融機関を選ぶ
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会社員・サラリーマンのiDeCoの掛金上限額


老後のためにiDeCoで資産形成を始めようと考えているものの、実は月々積み立てられる金額に上限があることを知らない方も多いでしょう。


そこでまずはiDeCoの掛金上限額について、

  1. 企業勤めの方(企業年金なし)
  2. 企業勤めの方(確定給付企業年金あり)
  3. 企業勤めの方(確定拠出年金あり)
それぞれのケースについて解説していきます。

①企業年金がない企業へ勤める人

会社員として企業年金がない企業へ勤めている方のiDeCo掛金上限額は、

  • 月額:23,000円
  • 年額:276,000円
以上の通りです。

この場合の「企業年金」とは、
  • 企業型確定拠出年金
  • 確定給付企業年金
  • 厚生年金基金
  • 石炭鉱業年金基金
以上の制度を指しており、このいずれにも加入していない方が対象です。

企業年金へ加入していなくても会社員であるため「第2号被保険者」に含まれますが、その中で拠出できる金額がもっとも多いのがこの①グループに当たります。

②確定給付企業年金がある企業に勤める人

会社員として「確定給付企業年金(DB)」がある企業に勤めている方のiDeCo掛金上限額は、

  • 月額:12,000円
  • 年額:144,000円
以上の通りです。

確定給付企業年金とは、企業の福利厚生として加入者の「受給額が確定している」企業型年金制度のことです。DBでは運用結果次第で予定受給額に満たない場合でも企業が補填してくれます。

確定給付企業年金には、
  • 規約型確定給付企業年金
  • 基金型確定給付企業年金
以上2つの種類がありますが、iDeCoの掛金上限額はどちらも同じです。

このグループは、第2号被保険者の中ではもっとも掛金上限額が少なくなります。

③企業型確定拠出年金がある企業に勤める人

会社員で「企業型確定拠出年金(DC)」がある企業に勤めている方のiDeCo掛金上限額は、

  • 月額:20,000円
  • 年額:240,000円
以上の通りです。

企業型確定拠出年金は現在900万人以上が加入している年金制度です。「確定給付企業年金」との違いは、掛金は企業が拠出するものの運用はそれぞれの会社員が行うため、将来受け取れる受給額は確定されないという点です。

ただし企業型確定拠出年金がある企業によってはiDeCoへの加入を規約で認めていないこともあるため、事前に確認しておく必要があります。

ちなみに、企業型確定拠出年金と確定給付企業年金どちらも加入している場合は、②の確定給付企業年金に加入している人の上限額と同じになります。

会社員・サラリーマンがiDeCoに加入するための条件


会社員・サラリーマンがiDeCoへの加入を考える際にポイントとなるのが、

  1. 企業型確定拠出年金(DC)へ加入していない
  2. 企業がiDeCoへの加入を規約で認めている
以上2つの点です。

まず、①に当てはまる会社員であれば誰でもiDeCoへ加入できます。この場合は月額23,000円まで拠出できます。

また、本来企業型確定拠出年金に加入している会社員は別途iDeCoに加入することはできませんでしたが、法改正によって①に該当する人でも企業型確定拠出年金とiDeCoの併用が可能になりました。

企業型確定拠出年金では毎月最高で55,000円が拠出されるため、それにプラスするかたちで月額20,000円(企業型確定拠出年金以外は12,000円)まで拠出することで老後に向けた資産形成ができます。

ただし会社に確定給付企業年金が導入されている場合、iDeCoに加入できるのは会社規約で認められている場合に限られているという現状があります。

会社員・サラリーマンがiDeCoに加入できない2つのケース


iDeCoへの加入を考えている会社員でも、

  1. 企業型確定拠出年金でマッチング拠出を行っている
  2. 会社規約でiDeCoへの加入が認められていない

以上に該当する場合は現状iDeCoに加入できません。


企業型確定拠出年金において会社員自身が掛金をプラスできる「マッチング拠出」を利用している場合はiDeCoと併用することはできません。


たとえば会社による企業型確定拠出年金の掛金が「3万円」である場合、会社員自身は最高「2.5万円」までマッチング拠出により上乗せが可能ですが、さらにそこにiDeCoの分を上乗せするようなことはできません


そのため、会社による企業型確定拠出年金の掛金が少ない場合などにiDeCoを併用するのが理想です。企業型確定給付企業年金と比較してiDeCoは選べる商品の幅が広く、より柔軟な運用ができるからです。


くわえて現状ではiDeCoの加入について会社規約で定められていない場合の加入は難しいですが、今後行われる法改正によって規約の有無にかかわらず加入できるようになります。この点はのちほど詳しく解説します。

会社員がiDeCoに加入するメリット:3つの節税効果


会社員がiDeCoに加入すると得られる主なメリットが「節税」効果です。


iDeCoで得られる節税効果とは、

  • 掛金が所得控除になる
  • 運用益が非課税である
  • 受け取った年金が一定条件で非課税である
以上の3点です。

まずiDeCoで毎月拠出する掛金は確定申告することで所得控除を受けられるため所得税と住民税が減額されます。

次にiDeCo運用によって得られた「運用益」も節税対象です。iDeCoを利用せずに投資信託で資産運用を初めた場合の運用益には「20.315%」もの重課税がなされてしまいます。

しかしiDeCoによる運用益はすべて非課税となるため、大幅に節税が可能です。

年金を受け取るときも、受取金額が一定額以内であれば非課税となります。iDeCoで積み立てたお金は次のように、
  1. 年金(全額をまとめて1回で受け取る):公的年金等控除
  2. 一時金:公的年金と同様に数年にわたって分割で受け取る:退職所得控除
  3. 年金と一時金:一部を1回で受け取り、残りを分割で受け取る:1と2の両方
以上3つの受け取り方法のうちどれを選ぶかによって、それぞれ異なる税制優遇を受けられます。

ここで実際にiDeCoによってどれだけの金額を節税できるか、「ろうきん」のシミュレーションツールを使用してシミュレーションした結果を見てみましょう。

加入者の条件を次のとおりに設定して、
  • 年齢:30歳
  • 年収:300万円
  • 掛金(月額):20,000円
  • 運用利回り:1.0%
  • 企業型DC:加入
  • 年金受取年齢:60歳
以上の条件でiDeCoに加入した場合の節税額をシミュレーションしてみると、
  • 節税額(年額):36,200円
  • 節税額(累計):1,083,200円
  • 非課税運用益:238,198円
これだけの金額が節税できるという結果になりました。

毎月2万円程度の投資で累計100万円以上の節税効果が受けられる可能性があることを知ると、今からでもiDeCoを始めてみたいと思った方は多いのではないでしょうか。

会社員がiDeCoに加入するデメリット:上限額が減る可能性がある


メリットばかりが目立つiDeCoですが、投資としての側面を持つ故のデメリットもあります。


主なデメリットとして挙げられるのが、転職によって掛金の上限が減る可能性があるという点です。すでに解説したようにiDeCoの加入可否や掛金上限額は、

  • 会社が企業型確定拠出年金(DC)へ加入しているか?
  • 会社が確定給付企業年金(DB)へ加入しているか?
  • 会社が規約でiDeCoへの加入を認めているか?
これらの要素によって変わります。

そのため転職によって、
  • 企業型確定拠出年金がある会社に転職:掛金上限が減る
  • 規約でiDeCoへの加入を認めていない会社に転職:企業型DCへの移換が必要
このような事態が生じ得ます。

くわえて企業型確定拠出年金がある会社に転職する場合は、
  1. 加入者登録事業所変更届を転職先に提出してiDeCoでの積み立てを継続する
  2. iDeCoから企業型確定拠出年金への転換を行う
  3. 資格喪失届を提出することで「運用指図者」になる
以上いずれかの手続きが必要です。

iDeCoは転職先への持ち運びが可能であるため積み立ての継続は可能ですが、iDeCoが継続できない場合は②または③の処理が必要となります。

iDeCoに加入してもあまりメリットが大きく得られない会社員の方の特徴


老後資金を用意するためにiDeCoを活用することには大いにメリットがありますが、人によってはそこまで大きなメリットを得られないこともあります。


そこで次からは、iDeCoでメリットが得られない人の特徴として、

  • 年収が低い
  • すでに多額の控除を得ている
  • 加入から年金受取までの期間が短い
それぞれのケースについて解説していきます。

①収入が多くない

現状年収が少なく家計をやりくりするのに精一杯だという方は、そもそもiDeCoに加入するべきではありません。


理由は単純明快であり、ギリギリの状態でiDeCoに加入しても無理のある掛金拠出によって生活が苦しくなり資格喪失となる可能性が高いからです。さらにiDeCoは原則途中解約ができないため、積み立てた分を下ろして生活費に充てるようなこともできません。


また、年収が低いと節税メリットが小さくなるというデメリットもあります。iDeCoでは掛金が所得控除となるため支払っている税金が多いほど控除額が増えますが、収入が低いと控除額も下がり本来受けられるメリットを十分に享受できません。

②控除額が既に多い

これは①の年収とも関係している点ですが、年収が一定額以下であるとすでに多額の所得控除が適用されているケースが多いため、節税のメリット自体が消えてしまいます。


現在の年収ごとの給与所得控除額は、次のとおりです。

給与等の収入金額給与所得控除額
〜1,625,000円 550,000円
1,625,001〜1,800,000円収入金額×40%-100,000円 
1,800,001〜3,600,000円収入金額×30%+80,000円 
3,600,001〜6,600,000円収入金額×20%+440,000円 
6,600,001〜8,500,000円収入金額×10%+1,100,000円 
8,500,001円〜 1,950,000円 

収入が一番上に当てはまる人などはすでに支払う税金が少ないため、iDeCoの「掛金全額が所得控除になる」というメリットを享受できません。


また住宅ローン控除を受けている人もiDeCoの節税メリットが小さくなります。


住宅ローンは「借入残高の1%」が控除となるため、たとえば5,000万円の住宅ローン残高がある場合、それだけで50万円の所得控除を受けられます。この場合も同様に全額所得控除のメリットがなくなってしまいます。

③加入期間が短い

iDeCoへの加入開始から年金受取までの期間が短いほど、節税額および運用益が少なくなります。


一例として、

  • 年収:300万円
  • 掛金(月額):20,000円
  • 運用利回り:1.0%
  • 企業型DC:加入
  • 年金受取年齢:60歳
以上の条件における20歳・30歳・40歳・50歳加入それぞれの節税額と運用益を「ろうきん」のシミュレーションツールを用いて比較してみると、次のとおりになります。

加入年齢合計節税額運用益
20歳1,443,200円2,186,408円
30歳1,083,200円1,186,568円
40歳723,200円508,738円
50歳362,000円122,418円
20歳から加入したときと比べて50歳から加入したケースでは、合計節税額は100万円以上、運用益はなんと約200万ほど少なくなっています。

50歳という年齢からiDeCoに加入するメリットがないとは言えませんが、iDeCoで老後資金を用意したいなら可能な限り若い年齢で加入したほうが良いことが分かります。

会社員・サラリーマンのiDeCoの始め方・手続き方法


ここまで解説した内容を踏まえて、改めてiDeCoに加入する決心が強まったという方もおられるでしょう。


そこで次は、実際に会社員やサラリーマンがiDeCoに加入する方法について、

  1. 加入条件の確認
  2. 運用商品の選択
  3. 節税効果のシミュレーション
  4. 金融機関(証券会社)の選択
  5. 加入手続きと掛金の納付
以上の手順をそれぞれ解説していきます。

STEP①加入条件を確認する

最初にiDeCoへの加入条件を確認しましょう。


会社員の場合は企業型確定拠出年金への加入有無と、会社規約でiDeCoへの加入が認められているか確認する必要があります。


実際に自分がiDeCoへの加入条件を満たしているかどうか、iDeCoの公式サイトにある「カンタン加入診断」を行ってみましょう。


加入診断では、

  • 年齢は60歳未満か?
  • 現在の就労状況はどうなっているか?
  • 企業型確定拠出年金に加入しているか?
  • マッチング拠出の仕組みがあるか?
  • 企業型確定拠出年金の規約でiDeCoへの加入が認められているか?
  • 確定給付企業年金に加入しているか?
以上の質問に回答することで、自分が加入資格を満たしているかどうかすぐに確認できます。

STEP②運用商品を選択する

加入診断を行ったら、次は運用商品を選びましょう。


iDeCoで選択できる金融商品は、

  • 元本確保型:満期時に受け取れる金額が約束(確保)されている商品
  • 元本変動型(投資信託):元本の価値が常に変動し続ける商品
以上2タイプに分類されます。

どちらを選ぶか決めるとき、
  • 可能な限りリスクを避けて安全な運用を行いたい
  • リスクを避けながらもバランスの取れた運用を行いたい
  • ある程度のリスクを許容して効率的に資産を増やす
このうち自分がどれに当てはまるかを考えます。そのうえでリスクとリターンのバランスを考えて運用商品を決める必要があります。

できる限り安全に運用したいのであれば変動幅の小さい国内債券や海外債権などリスクも小さい商品を中心に運用しますが、逆に高リスクであっても資産を増やすことを重視したいなら変動幅の大きい海外REITや新興国株式などを組み入れることになります。

中間を取りたいのであれば「バランス型」の投資信託を選択することもできます。バランス型は1つの投資信託で複数の資産に分散投資できるというメリットがあります。

STEP③掛金を決めて節税効果をシミュレーション

運用商品を決めたら、次は月々の掛金を決めます。


実際にiDeCoを初めた方がどれくらいの金額を掛金に設定しているのか、次の表をご覧ください。

職業(グループ)平均拠出額
自営業(第1号)27,529円
企業年金なし(第2号)16,316円
企業年金あり(第2号)10,971円
共済組合員(第2号)10,953円
専業主婦(第3号)15,725円

会社員が当てはまる「第2号被保険者」の月間平均拠出額は「14,196円」です。会社員は企業年金の有無によって掛金の上限額が変わるため一概には判断できませんが、必ずしも上限額まで掛けている人が多いわけではないことが分かります。


そこで拠出額を決める際は、大前提としてiDeCoは60歳まで原則引き出せないことを念頭に置くべきです。そのうえで60歳まで確実に出資を継続できる、無理のない金額に設定します。


特に20代から初める方は積立期間が長いため安定性よりもリスクを取ることがありますが、20代は30代、40代と比較して収入額が少ないことが多いため、家計に無理が生まれないように掛金を慎重に決める必要があります。  

STEP④金融機関を選ぶ

ステップ③と同時に、iDeCoの口座を作る金融機関を選択します。金融機関を決める際に重要なポイントとなるのは「自分が運用したい商品があるか?」という点です。


iDeCoは金融機関によって取り扱っている商品(投資信託)の種類が異なります。ステップ②の段階ですでに運用商品を決めているなら、たとえ候補が多数あったとしても選択肢を絞ることは難しくありません。


また金融機関を決める際には他の要素として、

  • 手数料の安さ
  • 運用管理費用の安さ
  • サポート体制の充実さ
このような点も重視するべきです。

金融機関は運用途中で変更できるものの、

  • 金融機関変更に伴って手数料が発生する場合が多い
  • 運用商品の買い直しが必要
  • 変更後1年間は再変更ができない
以上のデメリットがあるため、安心して長期運用が可能な実績と信頼性・評価の高い金融機関を選ぶようにしましょう。

STEP⑤加入手続きを行って掛金を納付

iDeCo口座を作る金融機関を決めたら、実際に金融機関にiDeCo加入の手続きを行います。


窓口に行かなくてもネットで申込みができる「楽天証券」の例を挙げると、申込手順は次のとおりです。

  1. 資料請求を行う
  2. 申込書類に必要事項を記入して返送する(会社員は「事業主の証明書」を同封)
  3. 1〜2ヶ月後、手続きが完了したら掛金を納付し運用を開始する
申込みから手続完了までに1カ月以上かかるのは、「国民年金基金連合会」の審査が必要だからです。

会社員の場合は「事業者登録申請書兼第2号加入者に係る事業主の証明書」が必要です。この書類は会社の経理担当者等の記入・押印を受けたうえで金融機関に提出する必要があります。

掛金の納付は申込時に選択した方法で手続き完了後に納付します。会社員であれば口座振替か給与天引きのどちらかを選択することになります。

iDeCoの法改正で会社員・サラリーマンが知っておくべきこと


iDeCoは2022年以降の法改正によってルールが若干変更されます。


会社員にとって知っておくべき改正内容について、

  1. 加入可能年齢が拡大される
  2. 企業型DCとの同時加入条件が緩和される
以上それぞれの内容について解説していきます。

改正ポイント①加入可能年齢の拡大

2022年5月からiDeCoの加入可能年齢が「65歳未満」へ拡大されます。現在は上限が60歳であるため、5年ほど緩和されることになります。


会社員の場合は無条件で加入可能年齢が引き上げられますが、会社員以外の「第1号」および「第3号」に該当する方は国民年金に加入していることが加入条件です。


また、それより早く2022年4月からは年金の受給開始年齢も「60〜75歳」の間で自由に選択できるように改正されます。

改正ポイント②企業型DCとの同時加入

2022年10月からは、企業型確定拠出年金に加入している場合のiDeCo加入条件が緩和されます。


すでに適用されている過去の改正によって企業型確定拠出年金に加入している場合でもiDeCoに加入できるようになっていますが、くわえて2022年10月からは会社規約にかかわらず会社員なら原則誰でも加入が可能となります。


企業型確定拠出年金加入者はiDeCoの掛金と合わせた拠出額の上限が次のように定められます。

掛金の種類企業型DC加入者
上限額
企業型DC・確定給付企業年金
加入者上限額
企業型DC55,000円27,500円
iDeCo20,000円12,000円
企業型DC+iDeCo55,000円27,500円

ただし企業型確定拠出年金の方でマッチング拠出を行っている場合は加入できない点は変わりません。

会社員・サラリーマンがiDeCoについて知っておくべき注意点


いざ会社員がiDeCoをはじめようとすると、予想外の制約にぶつかることがあります。


そこで次は、会社員がiDeCoをはじめるときに知っておくべき注意点について、

  1. 企業型確定拠出年金・確定給付企業年金等の加入状況による掛金上限について
  2. 手数料について
  3. 原則不可能である途中解約について
  4. 掛金の引き落とし方法の選択について
以上4つの点を解説していきます。

注意点①企業型確定拠出年金や確定給付型や厚生年金の加入状況で月額に上限がある

iDeCoは冒頭の『会社員・サラリーマンのiDeCoの掛金上限額』で解説したように、企業型確定拠出年金および確定給付企業年金・厚生年金へ加入有無で掛金の月額上限が変わります。


加入状況ごとの上限についてまとめると次の表のとおりです。

加入の有無掛金上限(月額)掛金上限(年額)
企業型確定拠出年金なし23,000円276,000円
企業型確定拠出年金あり12,000円144,000円
確定給付企業年金あり20,000円240,000円

この金額を超えて出資することはできないため計画を立てるときは注意しましょう。

注意点②手数料はなるべくかけない

iDeCoの口座選びに伴って、可能な限り手数料が安い金融機関を選択することで余計なランニングコストにより運用益が目減りするのを避けられます。


iDeCoは完全に自分だけで行う投資行為とは異なり、口座を有する金融機関が運用を行うため、

  • 口座管理手数料
  • 信託報酬
  • 加入・移換時手数料
  • 還付手数料

このような運用上の手数料が発生することは避けられませんが、運用コストがゼロに近い金融機関を選ぶことは可能です。


特に信託報酬は掛金を支払い続ける期間中はずっと発生します。とりわけ長期間運用を考えると大きな損失につながる場合があるため、信託報酬が低い金融機関を選ぶべきです。


信託報酬は金融機関によって「0〜3%」という大きな開きがありますが、各金融機関の信託報酬を比較してくれるウェブサイト等を活用することで、基本的に「信託報酬が安い金融機関を選ぶ」ことは難しくありません。


またインデックス型ファンドよりもアクティブ型ファンドの方が信託報酬が高くなる傾向にあるため、低コストを重視するならインデックス型ファンドを選択するべきです。

注意点③原則途中解約は不可能

iDeCoはあくまで「年金」制度であるため原則途中解約は不可であり、銀行預金のように途中で資金を引き出すようなことはできません


しかし「どうしても掛金が支払えなくなった」とか「突然まとまったお金が必要になった」などの状況は起こり得ます。


実は、途中解約はできないものの一定条件を満たせば「脱退一時金」を受け取ることが可能です。脱退一時金を受け取るためには、

  1. 国民年金第一号被保険者で保険料の全額・一部免除、執行猶予を受けている
  2. 確定拠出年金の障害給付金受給者でない
  3. 通算での拠出期間が5年以下、個人別管理資産が25万円以下
  4. 企業型確定拠出年金・確定給付企業年金の資格喪失日から2年以内
  5. 企業型確定拠出年金の資格喪失時に脱退一時金を受給していない
これらの要件をすべて満たす必要があります。

またそれ以外にも、
  • 加入者が死亡(死亡一時金)
  • 加入者が一定等級以上の高度障害状態(障害給付金)
以上のケースに当てはまる場合は期間満了を待たずしてiDeCoは解約となります。

注意点④ 掛け金が給与天引きか個人口座引き落としか確認

iDeCoの掛金は、

  • 銀行口座から引き落とし
  • 会社の給与から天引き(第2号該当者のみ)
このどちらかを選択できます。

iDeCoを給与天引きにするメリットとしては、
  • 年末調整のために掛金総額を把握しておく必要がない
  • 支払いを忘れる心配がなくなる
以上の点が挙げられます。

給与天引きにすると支払いと各種手続きが楽になりますが、その反面掛け金の変更を行う際は会社に申し出る必要があります。

注意点⑤各種手続きが思っているより面倒

iDeCoは加入時や資産移換、転職時やその他加入者情報の変更に伴って予想以上に多くの手続きを求められます。


実際にどのようなケースで手続きが必要になるのかというと、

  • 運用者情報の変更:国民年金基金連合会に各種書類を届け出
  • 転職による種別の変更:事業主の証明書と変更届などを提出
  • 掛金額の変更:掛金金額登録変更届を提出
  • 資格喪失:加入者資格喪失届、個人型年金の加入者資格喪失に係る証明書を提出
  • 資産の移換:移換申出書の提出
一例として以上のようなケースで、金融機関等への書類提出を伴うオフラインでの手続きが必要となります。

手続きを行うべき場面で行わないと掛金の引き落としが停止されることもあるため、実際にどのようなケースでどのような手続きが必要なのかを事前に確認しておきましょう。

iDeCoに関して会社員・サラリーマンの方からよくある質問


iDeCoによる資産運用を上手に行いたいなら、些細な疑問も解決したいと思うのは当然のことです。


そこで最後に、

  • iDeCoの掛金は年末調整や確定申告が必要?
  • iDeCoの加入を勤務先に知らせないことは可能?
  • iDeCoの加入時に必要な「事業主の証明書」を勤務先が書いてくれない場合は?
以上の会社員がiDeCoに加入するとき抱きやすい疑問について解説していきます。

よくある質問①年末調整や確定申告は必要?手続き方法は?

iDeCoに加入している会社員は、年末調整によってiDeCoの掛金で支払った分を必ず申告する必要があります。もし申告しなければ所得控除による所得税および住民税の減税を受けることができません。


ただし年末調整手続きが必要なのは「掛金を給与天引きしていない場合」のみです。掛金支払いを給与天引きに設定している場合は申告する必要がありません


実際に年末調整でどのような手続きが必要なのかというと、

  1. 事前に国民年金基金連合会から「小規模企業共済等掛金払込証明書」を受け取る
  2. 「給与所得者の保険料控除申告書」の「個人型又は企業型年金加入者掛金」欄に掛金合計額を記入する
  3. 1「小規模企業共済等掛金払込証明書」と2「給与所得者の保険料控除申告書」を会社に提出する
以上の手続きです。


手順1の「小規模企業共済等掛金払込証明書」には予定額含め加入者が支払った掛金の詳細が記載されているため、受け取った段階で年末調整時にすぐ参照・提出できるように保管しておきます。


手順2の「給与所得者の保険料控除申告書」とは年末調整書類のことです。会社から同書類を受け取り、「小規模企業共済等掛金払込証明書」に記載されている年間の合計拠出金額を記入し、会社の経理担当者等に提出します。

よくある質問②勤務先に知られたくない場合はどうすれば良い?

現状では会社員がiDeCoに加入するためには必ず「事業主証明書」が必要でありこの段階を飛ばして申し込むことはできないため、勤務先に知られずにiDeCoに加入することはできません。


そのためどうしても現在勤務している会社に知られずにiDeCoに加入したい場合は転職するか、会社を退職し第1号被保険者または第3号被保険者としてiDeCoに加入するしか方法はありませんが、現実的ではありません。


ただし2022年10月から適用になる法改正により、会社の労使合意および規約変更がなくても本人が希望すればiDeCoへの加入が可能となるため、iDeCoに加入するハードル自体は大幅に下がります。


また国民年金基金連合会の「事業主様へのお知らせ(2022 年以降の iDeCo 制度改正について)」によると、2024年以降には加入時の事業主の証明書提出も不要になる見込みです。

よくある質問③勤務先がiDeCo加入のための証明書を書いてくれないことはないの?

これは「よくある質問②」と関連する内容ですが、加入者がiDeCoへの加入を希望している場合でも勤務先が証明書の作成等で非協力的になる「iDeCoハラスメント」が多発しています。


証明書を書いてくれないケースとしては、

  • 企業型確定拠出年金に加入していない会社で勤務しており担当者の理解がない
  • 企業型確定拠出年金に加入している会社での申込時に嫌味などを言われる

あくまで一例ですがこのような事例が挙げられます。


社員がiDeCoに加入する場合、会社(担当者)側も事業所証明書の作成や現況届の提出などいくつもの手続きが必要になります。


とりわけ企業型確定拠出年金に非加入の会社に勤務している場合はiDeCo自体への理解が乏しいことも珍しくないため、「仕事より投資行為を優先するな」とか「繁忙期に無駄な仕事を増やすな」などの圧力を受けて加入できない、というような事態が多発していました。


そこで一個人ができるiDeCoハラスメントの対策として、

  • 担当者にiDeCoの用途と加入する目的を明確に伝える
  • 事業主の協力は「確定拠出年金法」で定められていることを伝える
  • 会社側でどのような手続きが必要なのかを加入者自身もある程度理解しておく
以上の点を実践できるでしょう。

また繰り返しになりますが、2022年10月からはマッチング拠出を行っている場合を除き、iDeCoの加入に会社規約の変更等が必要なくなり原則会社員なら誰でも加入できるようになるため、法改正を待ってから加入手続きを行うことも賢い選択です。

まとめ:iDeCoについて考え始めたらまずはマネーキャリアで無料相談!


今回は会社員のiDeCo加入に関してさまざまな点を取り上げてきましたが、いかがでしたでしょうか。


老後資金を積み立てるために有用なiDeCoのメリットを理解できても、「果たして自分の収入で加入して大丈夫なのか」とか、「会社が手続きしてくれるかどうか心配」と悩んでいる方も多いでしょう。


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