個人型確定拠出年金(iDeCo)の経費を考慮しても加入した方が得

個人型確定拠出年金(iDeCo)の制度には、国民年金基金、運営管理機関、信託銀行という当事者が出てきて、それぞれが手数料の対象となり経費が必要となります。しかし、個人型確定拠出年金(iDeCo)の税制優遇措置を考慮すると経費を上回る利益があります。

個人型確定拠出年金(iDeCo)における国民年金基金の経費

個人型確定拠出年金(iDeCo)については、掛け金が全額課税所得から差し引けるため所得税、住民税の税額が安くなる点に着目されて人気ですが、この個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入して、掛け金を積み立て、自分で指図して運用していくにあたりどれくらいの経費が必要となるのでしょうか。まず、国民年金基金からみていきましょう。

国民年金基金の位置づけについて

まず、この個人型確定拠出年金(iDeCo)制度における国民年金基金の位置づけですが、確定拠出年金法第2条第3項の規定によると個人型確定拠出年金(iDeCo)を実施する主体として位置づけられています。この制度自体は国民年金基金が運営している年金制度ということがいえるのです。

国民年金基金について必要となる経費

では、この国民年金基金に必要な経費はどのようなものでしょうか。


まず、この個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入する際に、加入手数料として2777円ほどの経費が必要です。そして、加入後は毎月の掛け金を管理する責任がある立場であるので、手数料が毎月103円ほどの経費が必要となります。年額でいうと1236円となります。

個人型確定拠出年金(iDeCo)における運営管理機関の経費

個人型確定拠出年金(iDeCo)への加入申し込みをしようとした場合に、国民年金基金に直接に申し込むのではなく、自分が金融機関を決めてそこに申し込み、当該金融機関において商品を選択して運用していきます。


この金融機関の位置づけを運営管理機関といいますが、この運営管理機関は個人型確定拠出年金(iDeCo)制度上はどのようなものなのでしょうか。

運営管理機関の位置づけについて

確定拠出年金法第60条第1項の規定により、国民年金基金連合会は、個人型確定拠出年金(iDeCo)の運営管理業務を確定拠出年金運営管理機関に委託しなければならないとされおり、法で委託が義務づけられています。


したがって、個人型確定拠出年金(iDeCo)制度を運用していく際に絶対に出てくる主体であり運営管理業務の手数料というのが発生することとなるのです。

運営管理機関について必要となる経費

この運営管理機関に必要な経費としては、運営管理手数料ということとなります。


しかし、この手数料については運営管理機関となる各金融機関が自由に設定することができます。したがって、この経費については、申し込む際に各金融機関で確認する必要があります。そして、実際にはこの手数料を0円と設定している金融機関もあるのでその場合は、この経費は0ということになります。

個人型確定拠出年金(iDeCo)における事務委託先金融機関の経費

個人型確定拠出年金(iDeCo)へ加入し、運営管理機関において運用していくのですが、実施主体である国民年金基金が直に掛け金の積立や資産の管理や記録の管理を行うのではなく、その業務を別の信託銀行に委託しているのが実際です。


では、この信託銀行は個人型確定拠出年金(iDeCo)制度上はどのようなものなのでしょうか。

信託銀行の位置づけについて

確定拠出年金法第61条の規定において、国民年金基金は、一定の事務について他の者に委託することができるとされています。これは、本来国民年金基金の仕事だけど効率性等を考えて委託してもよいという規定で、その事務内容として積立金の管理に関する事務や積立金の運用に関する保管事務が規定されています。


よって、個人型確定拠出年金(iDeCo)制度上は、国民年金基金が事務を委託した際に出てくる主体となるのです。

信託銀行について必要となる経費

実際には、国民年金基金はこの事務を信託銀行に委託しています。そして、この信託銀行に関して必要となる経費については、月額で64円となります。これは本来国民年金基金が行う事務であり信託銀行に価格設定の自由は認められていません。したがって絶対必要な経費となり、年額としては768円必要となります。

経費を考慮した際に加入メリットはあるか

以上より、個人型確定拠出年金(iDeCo)の制度を実施していくにあたり、国民年金基金、運営管理機関、信託銀行という当事者がでてきてそれぞれの当事者に手数料という経費が発生することが分かりました。


実際には、これに運用商品の信託報酬が加わるのですが、これらの経費を考えても個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入するメリットがあるのかを考えていきましょう。

必要となる経費の総額について

上記の検討を踏まえて、個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入した際に必要となる経費は、初年度は2777円+1236円+運営管理機関手数料+768円+信託報酬で、トータルでは4781円+運営管理機関手数料+信託報酬となります。そして、次年度以降は、2004円+運営管理機関手数料+信託報酬となります。


運営管理機関手数料0円の金融機関を選んでも、初年度で5000円を超える金額が経費として必要です。



加入する方がお得な理由

では、経費に対して利益である税の控除と比較してみると、個人型確定拠出年金(iDeCo)の最低加入金額が5000円なので、年間に60000円積み立てることとなります。


そして、課税所得ですが、平均的な税率10%のところで考えるならば所得税で6000円、住民税で6000円ほど可処分所得が増加することとなります。経費と比較すると最低金額で加入したとしてもお得となることが分かるでしょう。

まとめ

個人型確定拠出年金(iDeCo)の制度を運営していくにあたり、国民年金基金、運営管理機関、そして信託銀行という当事者が出てきて、それぞれについて手数料という経費が必要となります。さらに運用商品についての信託報酬も経費として必要となります。しかし、個人型確定拠出年金(iDeCo)の税制優遇措置を考慮すると加入した方がその経費を上回る利益があります。

この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

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