更新日:2020/06/10
先火責任法とは?重大な過失がない場合は損害賠償責任を負わない?
日本は先火責任法により重大な過失がある場合を除いて、火災に隣家に損害を与えても損害賠償責任は負わないことになっています。自分に損害賠償責任があると判断された場合に備えて個人賠償責任特約や借家人賠償責任特約を付帯するのがおすすめです。自宅の被害は自分の火災保険で守りましょう。
目次を使って気になるところから読みましょう!
先火責任法とは?重大な過失がない場合は損害賠償請求できない?
「失火責任法」って聞いてみて皆さんはどんなことを想像しますか?
自分の責任で火災が発生し我が家に損害が発生した場合は、当然自分の家の損害賠償は自分の保険で補償します。もし、近隣の家の火災で自分の家に損害が発生した場合は日本の法律では失火責任法によって近隣の火災を起こした方に重大な過失がない場合は損害賠償請求ができません。
いざという時のために火災保険加入の際には、失火責任法を知り重大な過失とはいったい何かを分かった上で判断する必要があります。
失火責任法について紹介しますので、是非最後までご覧ください。
先火責任法とは
失火責任法とはいったいどんな法律なのでしょうか?
失火責任法がおかしいと思う方もいるかもしれませんが、重大な過失がないケースで隣近所の方が火災を発生させた時、損害賠償責任を負わないことを定めた法律です。
また、失火責任法の例外として
- ガス爆発による火災
この場合は、個人賠償責任保険で備えておくことが大切になります。
賃貸物件の場合、失火責任法によって他人が火事を起こしたもらい火では賠償責任を負いませんが、大家さんに対して損害賠償は必要となります。賃貸の契約時に加入する火災保険の中に借家人賠償責任保険が含まれているのでこれにより大家さんの損害賠償を補償します。
どんな時に使える保険なのかをきちんと理解する必要があります。借家人賠償責任保険と個人賠償責任保険については後でより詳しく説明します。
先火責任法は重大な過失は適用外
失火責任法によって損害賠償責任を負わないことを法律によって認めています。
失火責任法の重大な過失とは、誰が判断してもそれをほうっておくと危ないと思われることで火災が起きた場合です。
失火責任法の重大な過失の適用外になる例として
- 天ぷら油を入れて加熱したまま、長時間その場を離れたケース
- ストーブをつけたまま近くで布団をかぶって横になり眠ってしまったケース
- ストーブの近くに軽油をおいたままにしたケース
- 寝タバコで火災が発生したケース
- 家の近くでゴミや段ボールなどを燃やしその残りカスが飛び火災になったケース
損害賠償責任を補償する保険・特約
失火責任法は過失の場合は認められるため、重過失の場合は損害賠償責任が問われます。 そのような時に入っておくと良い保険・特約を紹介します。
- 個人賠償責任保険とは失火責任法の重過失時に対応する保険
- 借家人賠償責任特約とは賃貸物件の火災時に大家さんに対して補償する保険
- 施設賠償責任保険とは業務用の店舗・事務所・工場を運営する時、利用している他の人に対して補償する保険
- 類焼損害補償特約とは近隣の方に失火責任法による賠償責任がなくても損害を補償する保険
大家さんに損害賠償する際の借家人賠償責任特約(保険)
借家人賠償責任特約とは大家さんに対する損害賠償の特約です。
賃貸物件に入居する際、法律上は火災保険に入らなくても構いませんが、賃貸借契約上、火災保険の加入が義務付けられており、火災保険に入らないと部屋を借りれません。火災保険の中身については自分で補償内容を決めれます。
賃貸物件の火災保険に最も重要な補償が借家人賠償特約があります。これは保険の補償では自分でつける特約になります。賃貸物件の火災保険の保険料の大部分がこの保険料で占めることになります。
万が一入居者が火災を起こした場合、契約期間満了時に建物の「原状回復義務」を負うことになるからです。また、下の階の水漏れを起こしてしまった場合にも対応できます。
万が一の時に多額の修繕費用を賄うためにも借家人賠償特約は必要です。
隣人への損害のための個人賠償責任特約(保険)
個人賠償責任特約とは賃貸物件の火災保険に3つある重要な補償の一つです。
個人賠償責任特約は、家に関することに限らず、広く日常生活の中で、隣人に対して何か損害を与えてしまったケースに対しても備えることができます。様々な隣人損害トラブルに備える損害賠償金等を補償してくれます
個人賠償責任特約の保険料は大変安く、ある保険会社では月々200円も掛かりません。また、最近ニュースになっていますが自転車で走行中に人にぶつかり大怪我させた場合に数千万円~億単位の高額な損害賠償責任を負う事例があります。これらにも対応してます。
個人賠償責任特約は、自動車保険と火災保険の特約でしか用意されていません。安い保険料で大きな金額まで補償できるので特約を付けることを強くお勧めします。
火災保険加入時は個人賠償責任特約の内容をしっかり確認することが大事です。
施設賠償責任保険
施設賠償責任保険とは、業務用の店舗・事務所・工場が、何かの原因で不備が発生しその不備によって他の人に怪我させた損害、他人の物を破損してしまった損害が起きた時に補償します。
また、施設や建物を利用した方の様々なトラブルの際に補償できる保険です。保険料は比較的安いですが、保険範囲は内容によって異なるためどの程度補償されるか内容には目を通しおく必要があります。
施設賠償責任保険は事業用の施設や建物を長期的に運営する場合、万が一の不具合やトラブルに対応するための保険です。万全なメンテナンスや管理をしていても予期せぬことが起こるやもしれません。
施設賠償責任保険について正しく理解する、そのことが事業用の施設や建物を安全に運営することにつながります。
類焼損害補償特約
類焼損害補償特約とは、自分宅による火災の失火で近隣の住宅や家財に火災が広がった場合に、失火責任法による損害賠償補償がなくても、近隣の住宅や家財の不足分を補償できます。
このケースは、失火責任法の適用で被害近隣宅への損害賠償は発生しません。そのため、それぞれの方が加入している火災保険で損害を補償することになります。
しかし、加入している火災保険で充分な復旧ができない場合、火元としてその不足分を補償する目的でつくられた制度が類焼損害補償特約です。この特約は、失火責任法による賠償責任がなくても損害を補償します。
限度額は1億円、補償の対象はご近所の居住用として使われる建物とその収容家財です。
ただし、業務用の店舗・事務所・工場などは対象外となります。
火災保険に加入するならまずは保険料の一括見積もりをしよう
失火責任法により例え自分に過失がなく近隣の火災を起こした方にも過失ががない場合に起きたもらい火などの火災では、被害の損害賠償を補修する保険は自分の火災保険のみです。
まずは、ご自身の加入されている火災保険内容を確認しましょう。火災保険の金額はもちろんですが、補償内容・範囲・条件を確認し後で後悔しないように判断をお願いします。
隣家からの被害が補償されません。自身の家族・家財を守るものは火災保険です。保険会社任せで知らないことによって補償されないケースがでることはご自身の責任です。
まとめ:もらい火で泣き寝入りしないために火災保険で補償しよう
失火責任法とは、個人賠償責任特約とは等について詳しく勉強してきましたが、いかがだったでしょうか?
今回の記事のポイントは
- 失火責任法とは重大な過失がない限り他人が起こした火災で被害にあっても損害賠償はできない
- 個人賠償責任保険とは重大な過失もしくはガス爆発による火災など適用外で対応する保険
- 借家人賠償責任特約とは大家さんに対して補償する保険
- 施設賠償責任保険とは業務用の店舗・事務所・工場を運営する場合の保険
- 類焼損害補償特約とは万が一火元になった場合、近隣の建物・家財の不足分の補償の一部として利用する保険
でした。
火元またはもらい火などによる損害が発生した場合のためにも火災保険の今の内容確認、必要があれば見直ししなければいけません。自分の家は自分の火災保険で守る必要があります。今一度火災保険内容確認しましょう。