火災保険で相続財産と評価されるパターンは?相続手続き方法も紹介!

火災保険に加入中、被保険者が亡くなった場合に相続財産と判断され、相続税がかかることがあります。ここでは火災保険で相続財産と評価される状況をパターン別に紹介します。また、相続税の計算方法や相続の手続きの流れ、あまり聞きなれない相続財産管理人についても解説します。

火災保険って相続財産になるの?相続税に注意!

火災保険に加入中、被保険者が死亡した場合は、その同居家族が火災保険の名義書換手続きを行います。


葬儀や告別式に忙しくても、スムーズに変更手続きを行って、一刻も早く落ち着いた暮らしに戻りたいですよね。


しかし、火災保険の相続手続きによっては、法定相続人に相続税が発生してしまうことはご存知でしょうか。


そこで今回は、「火災保険が相続財産になるケースと相続税」について

  • 火災保険が相続財産と評価されるパターン
  • 火災保険の相続手続きはどうする?
  • 相続財産管理人とは何か?
以上のことを中心に解説していきます。                                      
 

この記事を読んでいただければ、火災保険が相続財産になる場合の対応と手続きを知ることに役立つと思います。                       

ぜひ、最後までご覧ください。 

火災保険が相続財産と評価されるパターンを解説

火災保険に加入した場合、原則として1年契約または数年契約を締結し、保険料を一括払いしていることでしょう。


仮に保険期間が継続しているとき中途解約すると、加入者は保険料を余分に払っている形となります。


この保険料を余分に払った分のお金は、保険会社から後日、「解約返戻金」として戻ってくることになります。


加入者だった人はお金が戻ってくるので一安心といったところでしょう。


しかし、この解約返戻金が相続財産とみなされてしまうケースもあるのです。


こちらでは、火災保険が相続財産となり得るパターンについて解説します。

解約返戻金が発生する場合

火災保険の解約返戻金が相続財産になるケースと、納める必要のある相続税の計算は次の通りです。


火災保険が相続財産となる場合


加入者が火災保険を中途解約し、本人の指定口座へ解約返戻金が振り込まれる前に、本人が亡くなってしまうこともあります。


このようなケースでは、金融機関は被相続人となった本人の口座を凍結することになります。


なぜなら、勝手に相続人達が被相続人の財産を引き出せないようにするための措置だからです。


本人(被相続人)の口座を凍結されてしまうと、保険会社は相続人となった人の口座へ解約返戻金を振り込むことになります。


この振込まれたお金が相続財産とみなされます。


そのお金を得た相続人は、相続税を支払わなければならないことがあるのです。


必ず相続税がかかるわけではない


火災保険の解約返戻金が相続財産になるとはいっても、必ずしも相続税が課せられるわけではありません。

相続財産には非課税枠というものがあり、その計算式は次の通りです。

3,000万円+法定相続人の数×600万円


なお、法定相続人とは民法で定められた相続人のことで、故人の配偶者、子(または孫)、親(または祖父母)、兄弟姉妹(または甥姪)が該当します。

こちらでは、事例を上げて計算してみましょう。

〇事例その1
  • 被相続人の財産:3,000万円(解約返戻金も含めた被相続人の全財産)
  • 法定相続人:2人(妻・子)
法定相続人は2人なので、

3,000万円+2人×600万円=4,200万円


4,200万円が非課税枠となり、被相続人の財産が3,000万円なので、

3,000万円ー4,200万円=-1,200万円


被相続人の財産が非課税枠を上回らず、事例の相続財産に関しては非課税となります。

一方で、相続税がかかってしまう事例を紹介します。

〇事例その2
  • 被相続人の財産:4,000万円(解約返戻金も含めた被相続人の全財産)
  • 法定相続人:1人(子)
法定相続人は1人なので、

3,000万円+1人×600万円=3,600万円


3,600万円が非課税枠となり、被相続人の財産が4,000万円なので、

4,000万円ー3,600万円=400万円


被相続人の財産が非課税枠を上回り、事例の相続財産に関しては400万円分が課税対象となります。

前払保険料の未経過分がある場合

火災保険の加入者が解約せず契約を継続したまま亡くなったとしても、火災保険が相続財産となります。


火災保険へ加入した際に支払った前払保険料の未経過分が、相続財産に該当することとなります。


そのため、保険料全額分が相続税の対象となるわけではありません。


事例を上げて解説します。


(事例)

  • 火災保険:30年契約
  • 保険料の支払方法:全額前払
保険の継続中に加入者が亡くなると、次のように相続財産とみなされます。

(相続財産とみなされるまでの流れ)
  1. 火災保険契約締結
  2. 契約締結の15年後に加入者死亡
  3. 残り15年分の保険料→相続財産とみなされる

火災保険の相続手続きは?

火災保険の名義を被相続人から相続人へ変更する場合には、次のような書類を準備することになります。

  • 異動申請書:保険会社の所定の用紙に必要事項を記載します。
  • 被相続人の死亡が確認できる書類(除籍謄本等):被相続人の本籍地の市区町村役場で取得します。郵送してもらうことも可能です。
  • 相続人となった人の戸籍謄本:相続人の本籍地の市区町村役場で取得します。こちらも郵送してもらうことが可能です。
  • 相続人の実印・印鑑登録証明書:お住いの市区町村役場で取得します。なお、いまだ実印登録をしていない場合は、お住いの市区町村役場で登録します。
なお、保険会社によっては追加の書類を要求する場合もあります。

保険会社のカスタマーセンターで、前もって必要書類について確認しておきましょう。

補足:相続財産管理人とは?

亡くなった人に財産があったとしても、誰も相続人がいないというケースもあります。


その場合、いきなり国が故人の財産を没収するというわけではありません。


この財産を管理するため、まずは「相続財産管理人」が選任されることになります。


こちらでは、相続財産管理人について解説します。


相続人がいない場合に相続財産を管理できる

相続財産管理人は、亡くなった人に相続人が誰もいなかった場合、その遺産を管理する人のことを言います。


相続財産管理人の役割


故人が天涯孤独の場合の他、財産を相続するはずだった人達が全員相続放棄をした場合も、相続財産管理人が選任されます。


この相続財産管理人が、故人の財産を管理し、最終的には財産を国庫に帰属させる役割を担います。


相続財産管理人の選任手続き


相続財産管理人は、故人の最終の住所地を管轄する家庭裁判所で、選任申立の手続きを行います。


申し立てできる人は、故人と利害関係のある人または検察官となります。


選任の流れは次のようになります。

  1. 申立人が申立書等を家庭裁判所に提出
  2. 家庭裁判所で申立を受理し、審理開始
  3. 相続財産管理人選任の審判
  4. 審判後、申立人へ審判書が送付される

相続財産管理人を選任するケース

相続財産管理人の選任申立の手続きは次のようなケースで行われます。


財産管理義務を免れるため


このケースで相続財産管理人の選任申立を行うのは、本来なら相続人になるはずだった人です。

財産を相続するはずだった人達が全員相続放棄をしても、全ての義務から免れるというわけではありません。

つまり、遺産の管理義務は依然として、財産を相続するはずだった人達にあります。

この人達は、今後も適切に遺産を管理していかなければなりません(民法第940条)。

この責任を免れるためには、自分たちに代わって、管理してくれる人を選任する必要があります。

債権者による申立


こちらは、故人に金銭等を貸し付けていた債権者(金融機関等)が、債権を回収する場合です。

いかに債権者といっても、金銭等を故人へ貸していたからと言って、勝手に遺産を持ち去り処分することはできません。

そこで、相続財産管理人を選任し、財産の管理・金銭等の支払いをしてもらう必要があるのです。

特別縁故者がいる場合


この特別縁故者とは、例えば被相続人と生計を一にしていた内縁関係の人等が該当します。

故人の利害関係人であったからと言って、やはり勝手に遺産を持ち出すことはできません。

内縁関係の人等は、最終的に家庭裁判所から、遺産分与の対象となる特別縁故者に該当するかを決めてもらいます。

そのため、故人の財産を管理し、特別縁故者と認められたら、財産分与の手続きを行ってくれる相続財産管理人の選任が必要となります。

相続財産管理人のできること

相続財産管理人は単に管理するだけではなく、次のような権限も有しています。

  • 相続人・相続財産の調査:本当に相続人がいないか、相続財産が他にないか調査します。
  • 相続財産管理・換価:財産を適切に管理することはもちろん、預貯金を解約する等、財産を処分する権限もあります。
  • 必要な支払いを行う:財産をお金にして債権者や受遺者(個人の遺言により指定された人)、特別縁故者へ必要な額を支払います。
  • 国庫帰属:遺産を受け取る人がいなかった場合、国庫に帰属させます。

まとめ:火災保険における相続財産の受け取りについて

火災保険が相続財産になるケースと相続税について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。             


今回の記事のポイントは

  • 火災保険の場合、解約返戻金や前払保険料の未経過分が相続財産とみなされてしまう
  • 相続財産とみなされても、非課税枠を超えなければ相続税は課税されない
  • 相続財産管理人は、故人に相続人がいないとき選任され、その財産を管理する
でした。

相続が開始されたら、被相続人の加入した火災保険等をしっかりと確認し、正確な相続財産の把握に努めましょう。

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