更新日:2020/06/11
火災保険に相続税はかかる?相続税評価額の計算法と相続税申告を解説
火災保険に相続税はかかる?相続税評価額の計算って?と相続税申告をひかえる方は思うはず。実は、火災保険の解約返戻金には相続税がかからない場合があるのをご存知ですか?今回は、掛け捨て型と積立式の火災保険の相続税における違いと解約・名義変更などの相続税申告手続きについて解説します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 火災保険の保険金に相続税はかかる?火災保険の相続税と相続手続きを解説
- 火災保険(損害保険)に相続税が課される場合
- 解約返戻金がもらえる?積立式の火災保険
- 掛け捨て型の火災保険
- 参考:火災保険の前払保険料(未経過保険料)は相続財産になる
- 火災保険の解約返戻金に相続税がかからない?非課税枠とは
- その他の損害保険金に税金がかかるケースを紹介
- 参考:火災保険の保険金の利用方法
- 火災保険(損害保険)の相続税申告・手続きを解説
- 火災保険の相続をする際の名義変更・解約とは
- 火災保険の相続時の必要書類
- 遺産分割協議書の書き方
- 火災保険を相続する際の注意点
- 参考:財産を相続する人がいない?相続管理人とは
- 相続人がいない場合に相続財産を管理できる
- 相続財産管理人を選任するケース
- まとめ:火災保険には相続税がかかることも!早めに相続手続きをしよう
目次
火災保険の保険金に相続税はかかる?火災保険の相続税と相続手続きを解説
火災保険に加入中、被保険者が死亡した場合は、その同居家族が火災保険の名義書換手続きを行います。
葬儀や告別式に忙しくても、スムーズに変更手続きを行って、一刻も早く落ち着いた暮らしに戻りたいですよね。
実は、火災保険の保険金には相続税がかかる場合があるのをご存知ですか?
そこで今回は、
- 火災保険の相続税について
- 積立式と掛け捨て型の違い
- 相続税がかからないケース
- 相続する際の手続きや必要書類、遺産分割協議書の書き方について
- 相続する人がいなかった場合の相続管理人について
火災保険(損害保険)に相続税が課される場合
火災保険に加入している被保険者が亡くなってしまった場合、契約中の火災保険の名義変更を行うことが多いと思います。
名義変更を行う必要があることは分かっていても、火災保険に相続税が課される場合がある、ということを知らない方もいるのではないでしょうか?
一体どのような場合に、火災保険に相続税が課されるのか気になりますよね。
火災保険に相続税が課されるかどうかは、
- 積み立て式の火災保険
- 掛け捨て型の火災保険
と、火災保険のタイプによって違いがあります。
それぞれの火災保険のタイプごとに、相続税についてご紹介したいと思います。
解約返戻金がもらえる?積立式の火災保険
積立式の火災保険と言うのは、補償期間が満期となった時に満期返戻金のあるタイプの火災保険になります。このタイプでは、相続税がかかる場合があります。
積立式の火災保険の場合、解約することで「解約返戻金」が受け取れます。この解約返戻金は相続により得られる財産となります。
積立式の火災保険を解約しない場合でも、相続する財産に解約返戻金相当の金額をプラスする必要があります。
このような場合は保険会社に相続して継続することを伝え、解約返戻金の金額が分かる書類を発行してもらいます。
掛け捨て型の火災保険
掛け捨て型の火災保険の場合、積立式と違って満期を迎えても満期返戻金などが支払われることはありません。
しかし、掛け捨て型の火災保険でも、相続税がかかる場合があります。それは、火災保険の保険料を一括で支払っている場合です。
火災保険の保険料を一括支払いしている場合、解約することで解約返戻金が発生する場合があります。
この場合も、解約せずに被保険者名を変更して保険を継続することは可能です。そのような場合は保険会社に解約した場合に返還される金額が分かる書類を発行してもらます。
参考:火災保険の前払保険料(未経過保険料)は相続財産になる
自宅を所有している場合、建物を購入した際に火災保険や地震保険に加入し、契約時に何年か分の保険料を支払っていることでしょう。
これを前払保険料といいますが、保険期間中に相続が発生した場合には、未経過分の保険料が相続財産となります。
例えば、前払保険料として火災保険の加入時に30年分の保険料を支払っていた場合で、10年目に相続が発生した場合、残りの20年分の保険料に関しては相続財産となります。
なお、相続財産が相続税の基礎控除額を超える場合には、相続税がかかります。
相続税の基礎控除額は法定相続人の人数によって定められており、控除額を超えた場合、相続税の申告をする必要があります。
火災保険の解約返戻金に相続税がかからない?非課税枠とは
火災保険に解約返戻金があった場合でも、相続税がかからない場合もあります。非課税枠というものです。いくらまでが非課税となるのでしょうか?
3,000万円+法定相続人の数×600万円
- 被相続人の財産:3,000万円(解約返戻金も含めた被相続人の全財産)
- 法定相続人:2人(妻・子)
3,000万円+2人×600万円=4,200万円
3,000万円ー4,200万円=-1,200万円
- 被相続人の財産:4,000万円(解約返戻金も含めた被相続人の全財産)
- 法定相続人:1人(子)
3,000万円+1人×600万円=3,600万円
4,000万円ー3,600万円=400万円
その他の損害保険金に税金がかかるケースを紹介
火災保険以外の損害保険金にも、税金はかかるのでしょうか?
税金がかかる保険金としては以下のものが挙げられます。
- 傷害保険の死亡保険金
- 自動車保険の死亡保険金
自動車保険の場合は被保険者に過失があった場合に限ります。
税金の種類が条件によって変わります。以下をご覧ください。
- 保険料を支払っていたのが被保険者:相続税
- 保険料を支払っていたのが保険金受取人:所得税
- 保険料を支払っていたのが第三者:贈与税
保険料を払っていた人物が誰であったかによって、税金の種類が変わります。種類は変わりますが、どの場合でも税金がかかるということは忘れないようにしましょう。
また、災害が支払い理由の火災保険や、加害者から支払われた対人・対物保険などの自動車保険には、税金はかかりません。
参考:火災保険の保険金の利用方法
火災保険の保険金の利用方法としては、
- 火災などの事故に遭ったときに新しく家を建てるための資金にする
- 風災や雹災などに遭い、家を修理する際の資金にする
など、火災などの事故に遭ってしまった場合、家を修理する・立て直すための資金にする為の保険になります。
また、火災保険と一緒に地震保険を契約している場合もあります。地震保険も地震で被害を受けた際に生活再建資金にする為の保険です。
このように、火災保険は火災や地震保険は万一のために備える保険となります。相続して解約と考える方もいるかもしれませんが、名義変更してそのまま継続するのも一つの手段です。
解約するのか、名義変更して継続させるのか、相続される皆様としっかりと相談してから決めるようにしましょう。
火災保険(損害保険)の相続税申告・手続きを解説
火災保険の契約者が亡くなってしまった場合、火災保険の契約を解約する、もしくは名義変更を行う必要があります。
さらに、相続税の申告や相続手続きなどを行う必要も出てくるでしょう。
相続税の申告や手続きなどは頻繁に行うものではなく、詳しく知っている方はあまりいませんよね。どのような手続きが必要なのでしょうか。
ここからは
- 火災保険の名義変更と解約について
- 相続時の必要書類
- 火災保険相続時の注意点
について解説していきます。
火災保険の相続をする際の名義変更・解約とは
火災保険の契約者が亡くなった場合、その火災保険を継続するか解約するか、どちらかを選ぶこととなります。
火災保険を継続する場合に必要になるのが、名義変更です。相続人が複数いる場合は遺産分割協議書などの提出が必要になり、全員が了承してくれないと手続きが進まないことがあります。
火災保険を継続する場合でも、解約した場合に支払われる解約返戻金が相続財産とみなされるため、注意が必要です。
また、火災保険を継続しない場合は解約する、ということになります。解約返戻金がある場合はその金額を相続財産にプラスすることとなります。
火災保険の相続時の必要書類
火災保険の名義を被相続人から相続人へ変更する場合には、次のような書類を準備することになります。
- 名義変更書:保険会社から送られてくる書類に必要事項を記載
- 被相続人の戸籍謄本一式:本籍地の市区町村役場で取得
- 相続人の戸籍謄本一式:本籍地の市区町村役場で取得
- 相続人の実印・印鑑登録証明書:お住いの市区町村役場で取得
遺産分割協議書の書き方
相続に際しては、後々問題とならないように、また、手続きを円滑に進めるために遺産分割協議書というものを作成しておく必要があります。
ここでは、遺産分割協議書の書き方について解説していきます。
形式・手続き
火災保険を相続する際の注意点
火災保険を相続する際の注意点としては、
- 火災保険が積立式か掛け捨て型か
- 火災保険の支払いが一括か月払いか
- 相続放棄した場合はどうなるのか
などが挙げられます。
火災保険には積立式と掛け捨て型の2つのタイプがあり、積立式の火災保険であった場合、相続するのが少し大変になります。相続人が多いと相続人同士で火災保険をどうするのかの相談なども必要になるので注意しましょう。
火災保険の保険料が一括払いであった場合は解約返戻金などが相続財産となりますが、月払いであった場合は契約者の死亡後も契約者の口座から引き落とされてしまいます。口座振替ができない状態となってしまうため、強制解約となってしまう事も考えられるので注意が必要です。
財産の相続を放棄した場合、火災保険の名義変更はできません。放棄したのに名義変更を行ってしまうと、法律違反となってしまう可能性が高いため、注意しましょう。火災保険に加入したい場合は新しく契約することになります。
参考:財産を相続する人がいない?相続管理人とは
亡くなった人に財産があったとしても、誰も相続人がいないというケースもあります。
その場合、いきなり国が故人の財産を没収するというわけではありません。
この財産を管理するため、まずは「相続財産管理人」が選任されることになります。
こちらでは、相続財産管理人について解説します。
相続人がいない場合に相続財産を管理できる
相続財産管理人は、亡くなった人に相続人が誰もいなかった場合、その遺産を管理する人のことを言います。
相続財産管理人の役割
故人が天涯孤独の場合の他、財産を相続するはずだった人達が全員相続放棄をした場合も、相続財産管理人が選任されます。
この相続財産管理人が、故人の財産を管理し、最終的には財産を国庫に帰属させる役割を担います。
相続財産管理人の選任手続き
相続財産管理人は、故人の最終の住所地を管轄する家庭裁判所で、選任申立の手続きを行います。
申し立てできる人は、故人と利害関係のある人または検察官となります。
選任の流れは次のようになります。
- 申立人が申立書等を家庭裁判所に提出
- 家庭裁判所で申立を受理し、審理開始
- 相続財産管理人選任の審判
- 審判後、申立人へ審判書が送付される
相続財産管理人を選任するケース
相続財産管理人の選任申立の手続きは次のようなケースで行われます。
財産管理義務を免れるため
まとめ:火災保険には相続税がかかることも!早めに相続手続きをしよう
今回の記事のポイントは
- 火災保険にも相続税がかかることがある
- 相続財産として評価されるのは火災保険の解約返戻金
- 非課税枠内ならば相続税はかからない
- 相続した場合は名義変更か解約の手続きが必要
- 相続手続きには名義変更書、被相続人・相続人の戸籍謄本一式、相続人の印鑑登録証明書などが必要
- 相続する場合は火災保険のタイプと保険料の支払い方法に注意
- 財産を相続する人がいない場合は相続財産管理人を選任する