更新日:2020/04/29
火災保険の類焼損害補償特約は本当に必要か?補償内容と必要性を解説
火災保険の類焼損害補償特約は必要?失火見舞い費用保険金との違いって?と火災保険の類焼損害補償特約の付帯を検討している方は思うはず。日本には先火法があり、隣家を類焼させても重大な過失がない限り、類焼損害賠償を追わないのをご存知ですか?今回は、火災保険の類焼損害が必要か詳しく解説します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
火災保険の類焼損害補償特約は本当に必要か
類焼損害補償特約は、あまり聞き慣れない言葉なので、ご存じない方も多いかもしれませんね。
類焼損害補償特約とは、自宅で発生した火災が隣の家に燃え広がった場合に被害を補償するものです。
誰しもリスクを被る可能性がありますが、加入が必要かの判断基準が不透明なので加入率はさほど高くありません。
しかし、この特約を付けるだけで莫大な額の賠償金をカバーできるようになります。
そこで、この記事では「火災保険の類焼損害補償特約の概要と補償内容」について
- 類焼損害補償特約の補償内容
- 類焼損害補償特約の適応条件
- 火災保険の類焼損害補償特約が必要か
類焼損害補償特約とは?
上記でも触れましたが、火災保険の類焼損害補償特約とは、自宅が火元となって発生した火災が他人の家に燃え広がって損害を与えた場合に補償をするものです。
要するに、他者に損害を与えてしまった際の補償になります。
また、保険料は1年間で平均約1,800円なので、他の保険に比べると割安です。
万が一の際に必要な特約として、覚えておく必要があります。
以下では、類焼損害補償特約に関して
類焼損害補償特約の補償内容と適用条件
類焼損害保障特約の補償内容とは、自宅が失火の原因で近隣の住宅や家財も延火してしまった場合に、補償することのできる保険ですが、この保険の適応条件には何が必要かご存知でしょうか。
類焼損害補償特約の適応条件は下記の通りです。
- 延焼先の家が火災保険に加入している場合は、そちらが優先される
- 火災保険では損害をカバーできない場合は、差額を支払う
注意①:類焼損害補償特約の補償対象外のもの
類焼損害補償特約による賠償が必要になる場合をご紹介させていただきましたが、全てのものが補償されるわけではありません。
なかには補償対象外のものがあるので、しっかり押さえておきましょう。
- 火災保険で家財に含まれないもの(現金、自動車、明記物件となるような高額な美術品など)
- 居住用でない物件
- 事業用の品物
- 煙による汚損
- 臭気による付着
注意②重大な過失がある場合
先ほど、失火責任法で重大な過失がある場合を除いては損害賠償請求ができないと言いましたが、重大な過失とは具体的な例を挙げて行きます。
重大な過失の一例
- 揚げ物用の油を長時間放置していた
- 寝たばこ
- 石油ストーブの火をつけたまま給油した
- 電気コンロなどを付けたまま就寝し、毛布などに引火
類焼損害補償特約が適用された事例
それでは、どのような場合に類焼損害補償特約の賠償が必要になり、場合に適用されるのでしょうか。
具体的には、
- 他家(類焼先)の保険金額が十分ではなく、補償が不足した場合
- 他家(類焼先)が火災保険に加入していない場合
参考:類焼損害補償特約と失火見舞費用保険金の違い
失火見舞費用保険金は、建物から発生した火災よって他人の所有物に損害を与えた場合に支払われる見舞金(20~30万円程度)を受け取ることのできる保険のことを言います。
これらの保険の加入が必要か判断するためにも、補償内容について詳しく解説します。
では、それぞれの補償例を比較していきます。
失火見舞費用保険金は、自宅の火災で隣家に迷惑をかけたので、関係維持のためにも見舞金を支払いたい場合に必要になります。
一方で、類焼損害補償特約は、自宅の火災で隣家が燃えてしまったが、隣家が火災保険に入っていない場合に必要になります。
このように、今後の近所付き合いを良好にしたい場合は、失火見舞費用保険金が必要になってくると思います。
火災保険の類焼損害補償特約が必要な人と必要でない人とは?
ここまでは、火災保険の類焼損害補償特約の概要をご紹介させていただきました。
1億円程度の補償が可能であるにも関わらず、加入率が全体の2割程度であることをご理解いただけたことでしょう。
これらを踏まえて、火災保険の類焼損害補償特約には加入すべきなのか気になりますよね。
以下では、
- 隣家との距離
- 隣家の家の古さ
隣人との距離が近い場合は類焼損害補償特約をつける
まず、隣家との距離の問題です。
地方部にいくと、隣家との距離が1㎞先である物件も珍しくはありませんよね。
そのような場合は、自宅が火元になる火災が生じても、隣家に燃え広がることはまずないと考えて良いでしょう。
実際に地方部では、都心部よりも特約の加入率が低い傾向が見られます。
一方で、都心部では一戸建てでも隣家との距離が近いことが一般的です。
また、マンションなどの集合住宅も多く、類焼損害補償特約への加入率も高くなります。
隣家との距離が数メートルであれば、この特約を付けておく必要があります。
自宅が火元になる火災はいつ発生しても不思議ではなく、リスクも高いです。
そのため、火災保険の特約を見直しておきましょう。
隣家が古い場類焼損害補償特約をつける
次に、隣家の家の古さの問題です。
新しく建てられた物件は、新価(再調達価格)で火災保険に加入していることが一般的です。
しかし、比較的古い時期に立てられた物件は時価で火災保険に加入している可能性が高く、類焼させた場合は莫大な保険金を支払うことになります。
万が一、古い家を類焼させた際に、類焼損害補償特約に加入をしていなければ大きな負担を被ることになってしまうのです。
地方部でも都心部でも、築年数が古い物件は一定数あるので、地域差はありません。
隣家が古い場合は、特約を付けておいて損はないでしょう。
類焼損害補償特約をつける必要性が低い人・物とは
これまでは、類焼損害補償特約をつける必要性が高い人を紹介してきました。
しかし、反対にこの特約をつける必要性にかける人やものがあります。
必要性にかける家は以下のようになります。
- 隣家と距離がある
- 隣家が集合住宅または店舗
- 隣家に新築が多い
- 高級住宅外に住んでいる
高級住宅外や、隣家が集合住宅、または店舗の場合は火災保険に加入している可能性が高くなるので、特約をつける必要は乏しいです。
類焼損害補償特約は、住んでる土地や地域、また建物の種類に関わらず保険会社の特約料は変わりません。ですから、不要な特約料を払わない為にも、自分に特約をつける必要性があるのか把握することは重要になります。
補足:マンションに火災保険の類焼損害補償特約は必要か
マンションにお住まいの方は火災保険の類焼損害補償特約は必要かというと、不要です。
なぜかというと、マンションは鉄筋コンクリート造であることがほとんどです。この鉄筋コンクリートというのは火災にとても強いので、隣や階下、階上の部屋が燃えてしまうということがないため、保険の加入が必要かは個人の判断になります。
例えば、マンションの一室でカセットボンベが爆発し部屋が吹き飛んでしまった火災が起きた事例がありますが、大事故の火災にも関わらず隣人は火災にさえ気づかなかったそうです。
このようにマンションは、隣家に延火してしまうというリスクは少ないのです。ですので、マンションに住んでいる方は類焼損害補償特約が必要かを考えて、加入を検討するようにしましょう。
まとめ:類焼損害補償特約の必要性を把握して付帯の検討をしよう
この記事では、「火災保険の類焼損害補償特約の概要と補償内容」をご紹介させていただきましたが、いかがでしたか。
記事の内容は、
- 類焼損害補償特約とは自宅の火災が原因で隣家が燃えてしまった場合に補償することのできる保険
- 賠償が必要かを判断するには、隣家の火災保険の補償が不足している場合や、火災保険に未加入の時には賠償が必要
- 類焼損害補償特約の付帯が必要か考える際には、隣家との距離や築年数を考慮する