更新日:2021/01/04
火災保険の保険期間は10年がお得?長期一括払いで保険料を安くしよう
火災保険の保険期間は最長10年なので、10年超えで契約することはできません。契約する年数が多いほど割引率が高くなるので、長期的見ると保険料が大幅に安くなります。火災保険とは違い、地震保険の保険期間は最長5年なので注意が必要です。今回は、火災保険の契約期間の相場も解説します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
火災保険の保険期間は10年契約(長期契約)がお得?
万が一の火事などに備えて、火災保険に加入している方は多いかと思います。
火災保険は火事だけでなく水災や盗難にも対応しているため、住まいを総合的に保障できる必要不可欠な保険です。だからこそ少しでも安く、安心できる保証が望まれているのではないでしょうか。
ところが火災保険は、保険料に関して真逆の方向に進んでいるのが現状です。
火災保険は保険期間を長くすればするほど、安くなります。そのため長期契約は最も簡単に、かつ確実に保険料を節約する方法となっています。
ところが2015年10月より、契約可能な最長期間が36年から10年にまで短縮されてしまいました。更に2020年2月には、10年契約廃止が報道されています。早ければ2020年中に廃止される予定とのことで、10年契約ができるのは、あと僅かかもしれません。
以上を踏まえ、今回は火災保険の10年契約について、以下のポイントを中心に解説していきます。
- 火災保険を10年契約にすると、保険料はどれくらい安くなるのか
- 火災保険を10年契約にするメリットとデメリット
- 火災保険の契約期間はどのくらいが多いのか
- 10年契約の火災保険を途中解約するとどうなるのか
契約可能な期間の短縮だけでなく、火災保険は保険料そのものの値上がりも続いていて、ただでさえ負担が増しています。この記事で10年契約の特徴をしっかり理解し、今のうちに保険料の節約に活用してみてください。
火災保険の10年契約(長期契約)で保険料が安くなる
冒頭で紹介した通り、火災保険は契約期間が長いほど割引率が高くなります。したがって10年契約は現状において、期間による保険料の割引率が最大となる契約となっています。
しかし割引率が最大になるといっても、具体的な数字を見ないことには判断できません。一体どの程度お得になるのでしょうか?
まずは気になる10年契約の割引率について、具体的な数字を見ていきましょう。
10年契約(長期契約)の割引率
今回はセコム損保の火災保険「セコム安心マイホーム保険」の見積り結果から、1年契約の保険料を基準にした、5年と10年の割引率を求めてみました。
保険期間 | 保険料 (1年あたりの保険料) | 割引率(※) |
---|---|---|
1年 | 2万2,610円 | 0% |
5年 | 10万4,580円 (2万916円) | 約7.5% |
10年 | 14万2,660円 (1万4,266円) | 約37% |
※)この割引率は、2020年04月29日の見積り結果から算出した値です。
参考:セコム損保「オンラインお見積り・ご契約手続き | セコム安心マイホーム保険」
5年契約の場合、1年契約に比べて約7.5%の割引となります。
ところが10年契約になると、ご覧のように割引率は5倍近くにまで急増し、40%近い数値になっています。
こういった契約期間による保険料の割引率は、保険会社ごとに異なります。上記はかなり割引率が高い例ですので、必ずしもここまで大きな違いになるとは限らない点に注意してください。
しかしひとつの目安として、10年契約ではおおむね2割弱~3割程度の割引が期待できると考えて問題ないでしょう。
10年契約(長期契約)で保険料はいくら安くなる?
割合だけでは実感しにくいと思いますので、次は実際の金額に置き換えてみましょう。
先程の見積り結果を使って計算してみると、10年分の保険料は以下のようになります。
保険期間 | 保険料(10年分) | 1年契約との差額 |
---|---|---|
1年 | 22万6,100円 (2万2,610円×10回) | 0円 |
5年 | 20万9,160円 (10万4,580円×2回) | 1万6,940円 |
10年 | 14万2,660円 | 8万3,440円 |
10年間の積み重ねとはいえ、8万円の差はかなり大きいのではないでしょうか。
家族旅行に充てるのもよし、将来のために貯金や投資に回すのもよし。
この浮いたお金、あなただったらどうしますか?
なおここからは余談になりますが、長期契約に似た言葉に長期年払いというものがあります。
こちらは保険料の払い込み方法の一種で、長期契約の保険料を1年ごとに支払うものです。一種の分割払いですので、その分だけ1年契約との差額は少なくなります。利用する際は注意してください。
火災保険の10年契約のメリット・デメリット
火災保険は10年契約にすることで、保険料が2~3割安くなります。それ以外に、何かメリットはないのでしょうか?
またメリットをうまく活用するためには、デメリットについても正しく理解しておく必要があります。
ここからは、10年契約に関するメリットとデメリットについて確認していきましょう。
火災保険の10年契約のメリット
10年契約のメリットは以下の通りです。
- 10年間は更新手続きが不要になる
- 保険料改定の影響を受けにくい
火災保険の10年契約のデメリット
次に、10年契約のデメリットを確認してみましょう。
- 契約期間中は保障内容の変更ができない
- 一括払いの負担が大きい
火災保険の保険期間の相場・目安
10年契約には十分なメリットがありますが、それでも10年分の保険料を一括で支払うというのは、見過ごせないデメリットです。
こういう場合、「他の人はどうしているのだろう?」と気になってくるかもしれません。
そこでここでは参考として、火災保険で多く選ばれている期間を探ってみようと思います。
以下は2017年度に契約された、火災保険の期間に関するデータです。
保険期間 | 新契約件数 | 選択率 |
---|---|---|
1年未満 | 28,008 | 0.220% |
1年 | 3,639,442 | 28.583% |
2年 | 2,559,839 | 20.104% |
3年 | 427,277 | 3.356% |
4年 | 12,945 | 0.102% |
5年 | 5,086,086 | 39.945% |
6年 | 16,153 | 0.127% |
7年 | 1,735 | 0.014% |
8年 | 744 | 0.006% |
9年 | 514 | 0.004% |
10年 | 893,833 | 7.020% |
その他 | 66,134 | 0.519% |
参考:損害保険料率算出機構「火災地震保険の概況2018年度(2017年度統計)」
ご覧のように、最も選ばれている保険期間は5年で、次いで1年、2年と続き、10年は4番人気となっています。
10年よりも5年や2年が多い理由としては、支払金額と割引率のバランスを取った、地震保険の契約年数に合わせた、などが考えられます。
1年契約を選択するケースも非常に多いようです。しかし保険料の値上げが続いている状況を考えると、(節約という観点で見る限りは)あまりおすすめできる判断とはいえません。
注意:10年契約中に全焼した場合は保険契約が終了する
火災保険は、火事などの損害に応じて保険金を受け取ることができます。しかし家が全焼してしまった場合には、契約した保険金額の全額を受け取ることになります。
注意してほしいのが、全焼すると保険契約が終了してしまう、という点です。
その際、付帯されている地震保険の契約も同時に終了します。これは火災保険(地震保険)の対象(家)が全焼によって消失してしまい、保障するものがなくなってしまうためです。
したがって新たな住まいが用意できた際には、火災保険(と地震保険)を契約し直す必要があります。
うっかりと契約を忘れたままにしてしまうと大変です。万が一のためにも、ぜひ頭の片隅に入れておいてください。
参考:地震保険の保険期間の最長は5年
火災保険のセットとして契約できる地震保険ですが、契約期間の最長は火災保険とは違い、5年までとなっていることを押さえておきましょう!
そのため火災保険を10年契約にしていたとしても、地震保険をセットにしている場合には別途、(地震保険の)契約年数ごとに地震保険を更新する必要が出てきます。
ただし火災保険を長期一括払いにしているなど一定の条件を満たしている場合、地震保険に関しては基本的に自動継続されます。とりたてて問題がない場合は、気にする必要はないでしょう。
火災保険の保険期間 | 地震保険の契約方法 |
---|---|
5年以下 | 保険期間1年の自動継続 or 火災保険と同一期間の長期契約 |
5年超 | 保険期間1年の自動継続 or 保険期間5年の自動継続 |
その他 | 保険期間1年の自動継続 |
参考:日本損害保険協会「損害保険Q&A - すまいの保険 - 問66 地震保険」
近年の地震被害の増加に伴い、地震保険も値上げが続いています。火災保険と同様、地震保険も契約期間が長ければ長いほど割引率が高くなりますので、契約期間による割引をうまく活用し、少しでも負担を減らしましょう。家計を助ける一つの知恵です!
火災保険の10年契約(長期契約)を途中解約した場合
さすがに10年もの長期契約となると、何らかの事情で途中解約をしなければならなくなる可能性があります。そういった場合、解約をすることでどのようなデメリットが生まれてしまうのでしょう?
結論としては、残りの契約期間分の保険料よりも、若干少ない程度の金額が払い戻される点になります。
火災保険を途中解約した場合、その時点で残っていた契約期間に応じ、解約返戻金(かいやくへんれいきん)が支払われます。具体的な金額は、以下の計算式によって求められます。
解約返戻金 = 一括払い保険料 × 返戻率
返戻率は、各保険会社が独自に設定する数値となっています。そのため具体的な金額は、計算してみないとわかりません。しかしおおむね「残りの期間分の保険料より若干少ない程度の金額」と考えて差し支えないでしょう。まとめ:火災保険の保険期間は10年契約がお得!保険料を節約しよう
最後に、これまで紹介した火災保険の10年契約についてのポイントをまとめます。
- 保険料がおよそ20~30%割引される
- 保険料の値上げに影響されにくい(契約期間中は保険料が変わらない)
- 保険料を一括で支払う場合の負担が大きい
- 契約期間中は保障内容を変更しにくい
- 全焼した場合は保険契約が終了してしまう(地震保険も)
- セットにする地震保険の最長契約期間は5年
- 途中解約のデメリットは少ない(ゼロではない)
- 近々、10年契約は廃止される予定(早ければ2020年度中)