地震保険でお得なのは年払い?一括払い?支払い方法のポイントを解説

地震保険料の支払いは、年払いと一括払いのどちらを選べば良いのでしょうか。地震保険に加入するにあたって非常に気になるところだと思います。そこで今回は地震保険の支払いは年払いと一括払いのどちらが良いか、地震保険の年払いの相場、地震保険の年末調整について解説します。

地震保険の支払いは年払いと一括払いのどちらが良い?

地震保険の支払い方法を調べていて、年払いについて知りたいと思っているでしょう。


保険料を年払いにする場合、いったいどのくらいになるのかも気になりますね。


また、毎年保険料控除を受けるためには年払いの方がよいと思ったりしていませんか。


実は、地震保険の支払い方法は、個々の事情によって決まりますので、年払いが良い場合もあれば、一括払いが良い場合もあります。


そのことをこの記事では

  • 年払いと一括払いを選択するときのポイント
  • 地震保険料を年払いにするとだいたいいくら?
  • 地震保険の年末調整について

にそって解説します。


地震保険の年払いと一括払いにはそれぞれにメリット、デメリットがありますので、この記事を読んで最適な支払い方法にするための参考にして下さい。


ぜひ最後までご覧下さい。

年払いと一括払いを選択するときのポイント

地震保険料は年払いにするか、一括払いにするかで保険料総額に違いがあるだけでなく、保険の見直しや更新手続きの頻度、火災保険などとの関連もあります。


概略を言えば年払いにすれば、1回の支払い保険料額が少なくてすむが支払い総額は高くなる、毎年保険の見直しができるが更新手続きが面倒であるなどがあります。


また、地震保険は火災保険とセットで加入しなければなりませんので、火災保険の支払い方法や契約期間と合わせることも合理的です。


したがって、年払いにするか一括払いにするかは一概にどちらが有利であるとは言えず、個々の状況によって異なります。


以下、具体的に年払いと一括払いのメリットとデメリットをみてみましょう。

年払いのメリット・デメリット

地震保険料の年払いとは保険の1年契約をして、その1年分の保険料をまとめて支払うことを言います。

1年の保険契約をして毎月払いをする方法もありますが、メリットとデメリットについていえば基本的に年払いと同じです。

以下に年払いのメリットとデメリットを示します。


年払いのメリット

  • 1回あたりに支払う保険料が安い
  • 毎年契約内容の見直しが可能である
  • 保険に加入していることや契約内容を常に記憶にとどめやすい


年払いのデメリット

  • 毎年の契約更新手続きが煩わしく、忘れる可能性がある
  • 毎年の保険料支払いが煩わしく、忘れる可能性がある
  • 支払い保険料総額が高くなる

一括払いのメリット・デメリット

地震保険の保険料の一括払いとは、2年以上の長期契約をしてその契約期間の保険料を一括して支払うことを言います。

長期契約は、2年から5年までの期間から自由に選択することができますが、保険料がもっとも割安になるのは5年です。

なお、火災保険の長期契約は2年から最長10年であり、保険料も10年がもっとも割安となります。

以下に一括払いのメリットとデメリットを示します。

一括払いのメリット

  • 保険料総額が安くなる
  • 保険料の支払いや契約更新を忘れて保険が切れるリスクが少ない
  • 毎年の契約更新、保険料支払いの手間が省ける


一括払いのデメリット

  • 一括で支払う保険料が高い
  • 保険に加入したままで、保険内容を忘れてしまう可能性もある
  • 途中解約も可能であるが、契約期間中は保険の見直しができない

年払いと一括払いのどちらにするか決めるときのポイント

保険料を年払いにするか一括払いにするかは、個々の状況により違ってきますので、そのポイントを以下に示します。


まず、長期契約をして一括払いにすると保険料総額が安くなり、具体的には5年契約一括払いと1年契約年払いの5回とでは前者の保険料が8%安くなります。


たとえば、東京都の木造建物に保険金3、000万円の契約をした場合、5年契約の一括払いと1年契約の5回払いとを比較すると、それぞれ536,820円と583,500円となります。


この例ですと5年間で46,680円のお得となりますので、5年間の保険料を一括で支払う余裕があり、保険料の割安を重視するのであれば一括払いをお勧めします。


次に、家の建て替えを考えている、引っ越しをするかもしれないなどという場合は、保険の見直しの可能性がありますので長期契約をしない方がよいでしょう。


途中解約しても解約返戻金が返ってきますが、未経過分の保険料がそのまま返ってくるわけではなく、減額され損をします。


さらに、地震保険だけでなく火災保険の見直しをする可能性がある場合も、それに合わせて地震保険の内容が変わる可能性がありますので、長期契約は避けた方が良いでしょう。

地震保険の保険料が決まる際の基準

地震保険の保険料は以下のようにして決まります。

保険料=保険金額×保険料率

保険料率とは保険金額1,000円に対する、契約者の負担分となる1年間の保険料の割合です。


例えば保険金額を1,000万円としたときに、保険料が25,000円になったとします。


この場合の保険料率は2.5になります。  


地震保険の保険料率は会社によって差はありませんが、補償の対象となる建物の構造や所在する都道府県によって異なります。  


また地震保険には割引制度や長期係数があり、その数値によって保険料率が変わってきます。


そこでここからは

  • 保険料率
  • 割引率
  • 長期係数
について詳しく説明していきます。

地震保険の保険料率

地震保険の補償対象となる建物構造は、以下のように分けられます。

  • イ構造:主に鉄筋・コンクリート造の建物
  • ロ構造:主に木造の建物

イ構造とロ構造では、燃えやすさなどが違うため、リスクに応じて保険料が異なります。


次に財務省の地震保険制度のページを参考に、いくつかの都道府県の保険料率を見てみましょう。


<首都圏>

都道府県イ構造ロ構造
埼玉県1.783.20
東京都2.503.89
神奈川県2.503.89


<地方>

都道府県イ構造ロ構造
岩手県0.711.16
大阪府1.262.24
高知県1.553.65


場所による大きな地震の発生率や、発生したときの損害の大きさをもとに算出されているため、都道府県によって保険料率が異なります。


そのため地震の発生や被害のリスクが高い東京都や神奈川県は、保険料率が高くなっています。

地震保険の割引率

地震保険には4つの割引制度があり、割引率は建物の耐震性能によって違います。


免震建築物割引

  • 対象:免震建築物の基準を満たした建物
  • 割引率:50%


耐震等級割引

  • 対象:耐震等級1~3に当てはまる建物
  • 割引率:10%(等級1)、30%(等級2)、50%(等級3)


耐震診断割引

  • 対象:耐震診断または耐震改修により、建築基準法の耐震基準を満たしている建物
  • 割引率:10%


建築年割引

  • 対象:1981年(昭和56年)6月1日以降に新しく建てられた建物
  • 割引率:10%

なお、対象には建物に収容される家財も含まれています。


また割引制度を受けるためには、それぞれ対象となることを証明する書類が必要になるので、詳しい情報は保険会社に確認しましょう。


割引率は最大で50%になりますが、これらの割引制度は併用できないので注意しましょう

地震保険の長期係数

長期契約をした場合、契約年数が長くなるほど保険料が安くなります。


保険期間に応じた割引の値を長期係数といいます。


長期係数は契約年数(2~5年)に応じて、以下のように決められています。

保険期間長期係数
2年1.90
3年2.80
4年3.70
5年4.60


例えば1年間の保険料を10,000円とした場合、保険期間5年分を一括で支払うと46,000円になります。


保険料率や割引制度と比べると、保険料を安くしたいときに一番考えやすいのは長期係数といえます

地震保険を年払いにするとだいたいいくら?

地震保険料を年払いにするとだいたいいくらになるかを保険料額と建物評価額との比で見てみましょう。


まず、地震保険料は建物所在の都道府県と建物構造によってかなりの違いがあり、もっとも大きいところで約5.5倍もの開きがあることに注意しましょう。


いちばん安いのが、岩手県、石川県、島根県などの鉄骨・コンクリート造建物の場合で、逆にいちばん高いのが東京都、千葉県、神奈川県そして静岡県の木造建物の場合です。


年払い保険料は保険金額1,000万円の場合、前述のいちばん安いところで7,100円、いちばん高い所で38,900円です。


いずれも保険料の割引制度を利用していないときの保険料額です。


次に建物の評価額つまり再取得価額または時価を求めると、地震保険の保険金が1,000万円の場合、一般にその2倍の2,000万円となります。


年払いの保険料がだいたいいくらになるかを簡易的に計算するために、建物の評価額との比で表すと、約0.04%~0.2%になります。 

地震保険の年末調整について

近年の地震災害の多さから、地震保険への加入率は上昇傾向にあるとはいえ、まだ3割程度と低い値にとどまっています。


国としては地震保険への加入率を上げるために、地震保険料控除の制度を設けています。


地震保険料控除は年末調整もしくは確定申告をすることで、支払った地震保険料の全額またはその一部が所得から控除され、所得税や住民税が安くなる制度です。


この地震保険料控除は保険料を年払いしたときと一括払いしたときでは違いがあるのでしょうか。

毎年控除されるから年払いの方がお得?

地震保険料を年払いしたときは、毎年年末に「地震保険料控除証明書」を勤務先に提出して年末調整をします。

年払いした地震保険料が50,000円以下の場合は、所得税の計算においては保険料の全額が、住民税の計算においては保険料の半額が所得から控除されます。

年払いした地震保険料が50,000円を超えた場合は、所得税の計算においては50,000円が、住民税の計算においては25,000円が所得から控除されます。

したがって地震保険料を支払っている場合は、必ず年末調整を申告しましょう。

一括払いのときの控除額

長期契約をして初年度に保険料を一括払いしたときの保険料控除はどうなるのでしょうか。


税額計算上は、一括払いした保険料額を契約年数で割った額を毎年の支払い保険料額とし、保険会社から毎年秋にその額を記した「地震保険料控除証明書」が送られてきます。


勤務先にはそれを添えて年末調整の申告をしますので、年払いと同様に一括払いの場合も毎年、地震保険料控除の申告はしなければなりません。


年末調整に関しては、年払いも一括払いも同じですが、保険料が割安になるという意味では一括払いの方がお得です。

まとめ:貯蓄が十分なら一括払いが断然お得!

地震保険の年払いと一括払いについて解説しました。いかがでしたか。


この記事のポイントは

  • 年払いか一括払いかは一長一短であるため、個々の事情に応じて選択すること
  • 保険料総額を安くするためには一括払いが良い
  • 年払い保険料額は建物の評価額の約0.04%から0.2%である
  • どちらの支払い方法を選択しても年末調整は毎年必要である

でした。


地震保険の保険料を年払いにするか一括払いにするかは、1回あたりの保険料を安くするか保険料総額の割安を重視するか、契約内容の見直しの予定があるかどうかが大事です。


さらに、火災保険の保険料の支払い方法と合わせることも合理的です。


これらを考慮して、損をしない保険料の支払い方法を考えましょう。


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