地震保険の重複契約で保険金は多くなる?割引制度の重複適用は可能?

地震保険の重複契約でもらえる保険金は多くなる?地震保険の割引制度は重複適用できるの?と地震保険の補償内容を増やしたい方は思うはず。実は、地震保険の重複加入をしてももらえる保険金は変わりません。今回は、地震保険の重複加入や割引制度の重複適用について解説します。

地震保険の重複契約でもらえる保険金は多くなる?


火災や地震によって家が焼失や倒壊してしまったらと、不安を感じて地震保険へ加入している人もいると思います。


万が一の際に備え複数の火災保険や地震保険に加入しておくと、生命保険のように補償金額も増えるのではないかと考える人はいるかもしれません。


しかし地震保険は医療保険などの生命保険とは仕組みが違い、重複加入しても受け取れる補償金額は変わりません。


今回は地震保険の重複契約にメリットがあるのかどうかについて、

  • 地震保険に重複加入した場合の補償額
  • 地震保険の割引制度も重複はできない

以上の2点を中心に解説します。


最後まで読んでいただけると、地震保険へ重複して契約加入するかどうかを検討する良い参考資料となるはずです。


ぜひご覧ください。


地震保険に重複加入してももらえる補償金は変わらない

地震保険を複数契約して、より多くの補償金額を受け取り、まさかの時の再建費用へ充てたいと考えている方は多いのではないでしょうか。


しかし、地震保険は認定された損害の程度によって補償金額が決定される商品です。少なくとも損害金額を上回る補償金額は受け取れないことになっています


つまり、地震保険を複数の保険会社で備えていても、受け取れる補償金額は変わりません。そのため重複加入すると、不必要な保険料を払い込むことになってしまいます。


まず地震保険に重複加入した際の補償金について、

  • 地震保険の目的と損害保険の性質
  • 重複契約は保険料が無駄になってしまう可能性もある
  • 補償を充実させたいなら少額短期保険

以上の3つに分けて解説します。

地震保険等の重複契約で保険料が無駄になることがある

万一に備えて複数の火災保険・地震保険へ加入すると、その分保険料も高くなります。支払っている保険料の一部が無駄になる可能性も高いです。

こちらでは、地震保険の重複契約が無駄になるケースと、逆に火災保険で2つ以上の加入が有効となるケースをご紹介します。

重複契約が無駄になるケース

2つの火災保険へ加入しいずれも地震保険を付帯している場合、ほとんどの場合保険料が無駄になります。事例をあげて解説します。

(例)地震により新築建物へ損害発生
  • 損害の程度:建物・家財の損害が「大半損」と認定
  • 加入保険会社:A保険会社・B保険会社(それぞれ地震保険金額1,500万円)
このケースの場合、当然ながら地震保険金合計3,000万円が受け取れるわけではありません。

地震後の調査で大半損と認定されているので、地震保険金額の60%で算出します。

地震保険金額1,500万円(1社のみ)×60%=900万円

計算すると下りる保険金は一応900万円となります。

しかし、実際に受け取る保険金は、経過年数や使用による損耗を差し引いた金額「時価額」の限度内となります。

新築建物の場合は、算出した保険金とほぼ同額が受け取れるはずです。しかし、それなりに年数を経た建物だと、算出した金額をかなり下回る保険金しか受け取れない場合もあります。

知らない間に補償が重複していることもある

損害保険は火災保険、自動車保険など種類も豊富な一方、これらに付帯できる特約(特に損害賠償保険等)は他の保険の補償内容と被る可能性があります。

そのため、各損害保険の補償内容の確認をする必要があります。付帯できる補償の内容が同一、または類似していることもあるので注意しましょう。

2つの加入が有効な場合

火災保険等の場合は“実損害”で保険金額が決定されます。つまり、受け取れる保険金額が実損害額を上回ることはありません。

しかし、損害保険の重複契約が全て無駄なわけではありません。

たとえば、
  • 増改築した部分について、改めて他社の火災保険へ加入
  • 今の火災保険で不足している部分を補うため、他社の火災保険へ加入
以上のようなケースならば、支払った保険料も無駄になることはありません。

地震保険はそもそも損害補填が目的

まず地震保険(損害保険・火災保険)は、災害などによって受けた損失を補うための保険である、ということを頭に入れておきましょう。


あくまでも「損害の補填」なので被害額以上の補償は、たとえ複数加入していたとしても受けられません。


そもそも地震保険の目的は、被災者の生活安定に寄与することです。


そのため、地震保険料は当面の生活再建費にあてるためのものになります。


もし別の目的を許してしまうと、保険を悪用する人が出てくるかもしれません。


保険金をもらうためにわざと病気になる、自ら命を絶ってしまう人は少ないですが、家や家財などの「モノ」の場合なら簡単に壊す人が出てくるかもしれません。

参考:少額短期保険の加入で地震保険の補償を充実させよう

地震保険の補償を充実させたいのであれば、少額短期保険への加入をおすすめします。


少額短期保険とは?

契約金額が少額であり、契約期間が短期の保険商品のことをいいます。

生命保険などは保険期間1年、損害保険の分野は2年以内のみ引き受けている保険です。

業界内では「少短」と呼ばれていますが、既存の生命保険や損害保険よりも小規模であることから「ミニ保険」と呼ばれることもあります。

既存の保険会社では取り扱わない商品を持っている業者もあり、メディアでは「ニッチ保険」などと言われ、取り上げられているそうです。

少額保険の制度

損保などの第2分野は保険期間が2年までとなっています。
 
そして契約できる保険金額も保険の種類ごとに制限があります。

保険の種類制限金額
死亡保険300万円以下
医療保険(傷害疾病保険)80万円以下
疾病等を原因とする重度障害保険300万円以下
傷害を原因とする特定重度障害保険600万円以下
傷害死亡保険傷害死亡保険は300万円以下
 (調整規定付き傷害死亡保険600万円以下)
損害保険1000万円以下
低発生率保険1000万円以下
上記の表が保険の種類に対しての制限金額になります。

地震保険の割引制度も重複適用ができない

地震保険には4つの割引制度があります。

割引制度割引内容割引率
免震建築物割引対象物件が「住宅の品質確保の促進等に関する法律」
に基づく「免震建築物」である場合
50%
耐震診断割引地方公共団体等による耐震診断または耐震改修の結果建築基準法
(昭和56年6月1日施行)における耐震基準を満たす場合 
10%
建築年割引対象建物が昭和56年6月1日以降に新築された建物である場合10%
耐震等級割引対象建物が「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に規定する
日本住宅性能表示基準に定められた耐震等級 (構造躯体の倒壊防止)または国土交通省の定める「耐震診断による耐震等級 (構造躯体の倒壊等防止) の評価指針」に定められた耐震等級を
有している場合
1級:10%
2級:30%
3級:50%

ただし、2つ以上あるからといって重複して適用することはできません。


割引が適用される項目が2つ以上ある場合は、1番割引率の高い割引項目が適用されます。


たとえば、免震建築物割引(50%)と築年数割引(10%)が適応される場合、割引率の高い免震建築物割引の方が適用されるということです。

補足:火災保険と火災共済の重複加入は可能?

火災共済ならば火災保険との重複も可能になります。


契約できる金額以上の補償金・共済金は払われないので、目的ごとに分けて補強する形での加入がおすすめです。


火災保険と火災共済の違いは以下のようになります。

項目火災保険火災共済
加入対象制限なし原則として地域や職場等で構成される組合員やその家族のみ
運営団体民間企業非営利団体
補償範囲多様な特約が用意されており火災から
落雷や盗難、風災、水災等、幅広いパターンから自由に補償を選ぶことが可能
保障内容が
パッケージ化されている
地震保険への補償火災保険で設定した保険金額の最大50%組合によっては
地震共済を扱っていない

ここからは火災共済も火災保険と重複契約することが可能なことについて、

  • 火災共済に加入するメリット
  • 重複契約してももらえる補償額は変わらない

以上の2つを解説します。


火災保険とは仕組みも違います。自身に合う利点を理解し活用していきましょう。

火災共済に加入するメリット

火災共済のメリットは商品設計のシンプルさではないでしょうか。


必要な補償を選ぶことが出来るメリットのある火災保険ですが、あまり知識がない状態で選んでしまうと必要な補償がされないことや、要らない特約を無駄に付帯してしまっている場合もあります。


火災共済は火災保険と異なり、パッケージ化されていることが多いので補償を漏らすことなく加入できるのです。

火災保険と火災共済を重複契約してももらえる保険金は増えない

共済と保険を重複契約したとしても、対象物の補償額は増えるわけではありません。


具体的に例えると・・


 家屋に対して火災保険で1000万円・共済で500万円かけていた場合、1000万円が上限となり2社で合わせて1000万円の補償金となります。


2社分連絡を取って手続きしなくてはいけないため、手間が増えるのにもかかわらず、受け取る保険金は変わりません。


何かの理由で火災保険と火災共済両方に契約したい場合、家屋は火災保険・家財は火災共済で、というように対象を分けての契約がおすすめです。

重複による契約見直しの際には一括見積もりサービスがオススメ!

もしも火災保険、もしくは地震保険への重複契約をしてしまっていた方は、今すぐにでもどちらか一方の保険を解約した方が良いでしょう。


また重複契約されていない方も、これを機会に改めて保険を見直してみることもいいかもしれません。


その際には是非保険料一括見積もりサービスをご利用ください。


地震保険には、保険会社間の保険料の差はあまりありませんが、火災保険の保険料は保険会社間でも異なります。


その際には、いちいち各保険会社毎に保険料の見積もりを取らないといけません。


これはとても手間になって正直面倒くさいですよね。


しかし、保険料一括見積もりサービスを利用すると、一回で多くの保険会社の保険料を出すことが出来るので、非常に便利な機能です。

まとめ:地震保険の重複契約は保険料の無駄使い

地震保険の重複契約にメリットがあるのかどうかについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。


今回のポイントは、

  • 地震保険に重複加入しても受け取れる補償金が多くなるわけではない
  • 地震保険は認定された損害の程度によって、補償金額が決定される商品
  • ただし、増改築した部分について、改めて他社の火災保険へ加入するケース等は2つ契約しても有効
  • 少額短期保険の加入で地震保険の補償を充実させることもできる
  • 火災保険と火災共済を重複契約しても、原則もらえる保険金は増えない

以上の5点でした。


重複加入しても補償額が増えなければ保険料を過払いしているだけです。それだと非常にもったいないですよね。


そのようなことがないようにきちんと仕組みを理解し、上手に保険商品を選ぶ必要があります。


ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。

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