更新日:2022/12/27
地震保険は10年契約できる?地震保険の仕組みやメリットをおさらい!
火災保険は1~10年のなかで契約年数を設定できますが、地震保険は10年契約できず、最長で5年契約までとなっています。地震保険は火災保険とセットで加入することが条件ですが、加入の必要性のある保険です。今回の記事では、地震保険の契約年数について詳しく解説します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 地震保険は10年契約できる?
- 地震保険は10年契約が出来ない!最長で5年契約!
- 火災保険に応じて決まる地震保険の契約年数
- 1年契約と長期契約のメリット・デメリット
- 1年契約のメリット・デメリット
- 長期契約のメリット・デメリット
- 地震保険契約者は何年で契約している人が多い?
- 知っておくべき地震保険の基本
- 単体で加入できない地震保険
- 地震保険の補償範囲と補償金額(制限あり)
- 保険料は所在地と構造区分で決まる
- 制限の多い地震保険でも入るメリットはある?
- 地震保険の加入率と保険料相場
- 割引制度が豊富
- 年末調整で控除を受けられる
- まとめ:地震保険は10年契約できないことを覚えておこう!
目次
地震保険は10年契約できる?
皆さんは、地震保険を契約期間10年で契約できると思いますか?
東日本大震災など、大地震の発生を受け地震保険の重要性が見直されていますよね。
これから新規で加入する方もいれば、既存契約を見直そうとする方もいると思います。
しかしながら、地震保険がどのような保険で、契約期間がどれくらいなのか知らない方も多いでしょう。
そこで今回は、「地震保険の10年契約について、その他地震保険のイロハ」について
- 地震保険は10年契約できる?(契約年数は?)
- 火災保険と地震保険の連動性は?
- そもそも地震保険とは?
地震保険は10年契約が出来ない!最長で5年契約!
火災保険と一緒に契約することの多い地震保険。火災保険で10年契約をする場合、地震保険も同様に10年払いできると思っていないでしょうか?
実は、地震保険は最長でも「5年契約」となっており、10年払いとすることはできません。火災保険と同様に10年以上の契約ではないとおかしいと思われる方も多いと思います。
その理由は後ほどご説明しますが、地震保険は「政府主導」の公的な側面を持っていることが影響しています。
こちらでは、地震保険の契約年数をメインに解説していきます。
火災保険に応じて決まる地震保険の契約年数
基本として、地震保険の保険期間は最長で5年となります。しかし、火災保険とセットで地震保険は契約する必要があります。
火災保険の保険期間 | 地震保険の保険期間 |
---|---|
1年 | 1年 |
2年~5年 | 1年(自動更新)もしくは2年~5年 |
2年~10年 | 1年(自動更新) |
6年~36年 | 1年(自動更新)もしくは5年(自動更新) |
1年契約と長期契約のメリット・デメリット
地震保険は10年契約できず、長くても5年契約となってしまう事をご紹介しましたが、1年契約と2~5年の長期契約ではどのような違いがあるのでしょうか?
それぞれのメリット・デメリットを比較してみたいと思います。まずはメリットをご紹介すると以下のようになります。
- 1年契約
保険見直しの機会が増える
1回の支払い負担が軽い - 長期契約
保険料がお得になる
更新の手間が少ない
次にデメリットをご紹介すると以下のようになります。
- 1年契約
長期契約よりも支払う保険料が多い
更新の手間がかかる - 長期契約
保険見直しの機会が少ない
一括支払いする場合は保険料の負担が大きい
それぞれメリット・デメリットがあるようですが、どのようなことなのでしょうか?以下で詳しくご紹介します。
1年契約のメリット・デメリット
1年契約のメリットとしては
- 保険見直しの機会が増える
- 1回の支払い負担が軽い
が挙げられます。
1年ごとの契約のため、毎年更新をする必要があるため、保険の見直しを行う機会が増えるのがメリットです。また、一括で支払った場合でも、1年分の保険料のため、保険料の負担が少なく感じるのもメリットとなります。
デメリットとしては、
- 長期契約よりも支払う保険料が多い
- 更新の手間がかかる
等になります。
地震保険の保険料では、長期係数というものが使用され、長期係数の関係で長期契約した場合の方が保険料が安くなる仕組みになっています。そのため、1年契約では総支払保険料は高くなってしまうというデメリットがあります。更新も1年に1度のため、手間と感じる場合があるのがデメリットです。
長期契約のメリット・デメリット
長期契約のメリットとしては、
- 保険料がお得
- 更新の手間が少ない
等になります。
先ほどもご紹介しましたが、地震保険の保険料は長期係数の関係で長期契約の方が保険料が安くなるため、メリットとなります。また、更新が少ないことも手間がかからないためメリットと言えます。
デメリットとしては、
- 保険の見直し機会が少ない
- 一括払いの際は保険料の負担が大きい
などが挙げられます。
保険を見直すタイミングは、保険の更新時の場合が多くなってしまうため、更新回数の少ない長期契約の場合は見直す機会が減ってしまうのがデメリットと言えます。また、保険料を一括で支払う場合、2~5年分の保険料を一度に支払う必要があるため、負担が大きくなってしまうのもデメリットになります。
地震保険契約者は何年で契約している人が多い?
1年~5年での契約が可能な地震保険ですが、実際地震保険に加入している方は何年契約をしている人が多いのでしょうか?自分が地震保険に加入する際に、契約年数を決める際の参考に割合が知りたい、という方も多いと思います。
2016年の新契約の保険期間のそれぞれの件数は以下のようになっています。
保険期間 | 保険件数 |
---|---|
1年 | 5,618,306件 |
2年 | 1,155,561件 |
3年 | 181,772件 |
4年 | 22,309件 |
5年 | 2,320,664件 |
知っておくべき地震保険の基本
ここまで地震保険が10年以上で契約できない要因等を見てきました。政府主導の保険制度のため、10年以上を想定した保険料設定が難しいというのが現実です。
ところで、皆さんは地震保険についてしっかり理解していますでしょうか?実はよく知らないという方もいらっしゃると思いますので、ここでは地震保険のイロハを簡単に解説していきたいと思います。
知っている方も知らない方も見直しを兼ねて参考にして頂ければと思います。
単体で加入できない地震保険
地震保険の特徴としてまず挙げられるものは、単体で加入できない保険であることです。
地震保険は、地震・噴火・津波による災害によって発生した損失を補償する保険です。地震保険に関する法律によって定められているもので、国と保険会社が共同で運営しています。保険適用範囲は建物と家財となっています。
通常、自身の住まいには火災保険を加入していると思いますが、地震発生による災害は免責事項となっており補償されません。そのカバーのために、あくまでも火災保険の付帯契約として地震保険は加入します。
地震保険の加入はあくまでも任意ですが、火災保険の契約と付帯でしか加入することができませんので、加入を考えているのであれば既存の火災保険と合わせて見直す必要があります。
また、火災保険が補償対象が建物のみの対象で家財が含まれていない場合は、地震保険でも建物のみにしか加入することができません。あくまでも火災保険の補償対象に限られます。
地震保険の補償範囲と補償金額(制限あり)
地震保険の補償範囲ですが、火災保険の補償金額の50%までが限度となります。何故ならば、地震災害の場合は大多数の被害が想定されるためです。
あくまでも地震災害によって被害にあった方の生活補償が目的ですが、全てを補償していては財源が不足してしまいます。そのため、政府は1回の地震による支払保険金額を11兆7,000億円(2019年4月時点)までと設定しています。これ以上を上回る場合は保険金額が減額されます。
実はこの11兆7,000億円という上限金額ですが、関東大震災級の地震が発生しても総額が超えないように設定されており、東日本大震災の際にも超えることなく保険金が支給されています。
補償金額は、建物は最大5,000万円まで、家財は最大1,000万円までが限度となっています。ただし、保険金額上限が必ず出るわけではなく、損害の条件によって保険金額が変わってきます。
損害状況 | 保険金支払率(イメージ) |
---|---|
全損 | 100% |
大半損 | 60% |
小半損 | 30% |
一部損 | 5% |
上記のように、損害の条件によって保険金額が変わります。詳しくはこちらをご覧ください。
保険料は所在地と構造区分で決まる
地震保険の保険料は所在地と建物の構造区分で決まります。
都道府県別の地震保険料は以下の通りです。(2019年1月以降:損害保険料率算出機構の資料を参照)
都道府県 | イ構造 | ロ構造 |
---|---|---|
岩手県、秋田県、山形県、栃木県、群馬県、富山県、石川県、福井県、長野県、滋賀県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、鹿児島県 | 7,100円 | 11,600円 |
北海道、青森県、新潟県、岐阜県、京都府、兵庫県、奈良県 | 7,800円 | 13,500円 |
福島県 | 8,500円 | 17,000円 |
宮城県、山梨県、香川県、大分県、宮崎県、沖縄県 | 10,700円 | 19,700円 |
愛媛県 | 12,000円 | 22,400円 |
大阪府 | 12,600円 | 22,400円 |
愛知県、三重県、和歌山県 | 14,400円 | 24,700円 |
茨城県 | 15,500円 | 32,000円 |
徳島県、高知県 | 15,500円 | 36,500円 |
埼玉県 | 17,800円 | 32,000円 |
千葉県、東京都、神奈川県、静岡県 | 25,000円 | 38,900円 |
ちなみに、イ構造とロ構造の違いですが、イ構造は「耐火」の建物を指し、その内耐火マンションを始めコンクリート造りや鉄骨造の建物が該当します。ロ構造は「非耐火」の建物を指しており、木造の建物など、イ構造に該当しないものを指しています。
制限の多い地震保険でも入るメリットはある?
ここまでは、地震保険の概要を説明してきました。しかし、制限が多く地震保険に入るメリットがあるのかと思われた方もいらっしゃると思います。
そこでここからは、
- 地震保険の加入率は?
- 地震保険には割引が多い?
- 地震保険に加入すると控除を受けられる?
地震保険の加入率と保険料相場
損害保険協会が発表している「地震保険 都道府県別付帯率の推移」によると、2018年度の全都道府県の地震保険加入率は65.2%でした。100%の加入には至っていない状況ですが、加入率は年々増加傾向にあります。
10年前の2008年度には45%だった加入率ですが、10年連続で増加しています。特に東日本大震災が起きた翌年の2011年度は前年に比べ5.6%増加しており、関心度が増していると言えます。中でも、東日本大震災で被災した宮城県は10年前の62.9%から86.8%と増加させており、岩手県では38.8%から70.4%へ、福島県は37.1%から74.1%と2県それぞれ10年で加入率が倍になっています。
保険料については、大地震の発生が続いていることから増加傾向にありますが、南海トラフ巨大地震発生が予想される中、引き続き保険料の増加が見込まれます。
割引制度が豊富
保険料の上昇はあるものの、加入率が増加している地震保険。実は加入メリットの一つに割引制度の豊富さが挙げられます。
具体的には以下の表にまとめています。
割引 | 対象建物 | 割引率 |
---|---|---|
建築年割引 | 昭和56年(1981年)6月1日以降に新築された建物 | 10% |
耐震等級割引 | 住宅の品質確保の促進等に関する法律に規定する評価方法基準で定められた耐震等級を満たした建物(その他対象あり) | 等級3・50%、等級2・30%、等級1・10% (2014年7月以降始期契約) |
免震建築物割引 | 住宅の品質確保の促進等に関する法律に規定する評価方法基準で定められた「免震建築物」の基準に適合する建物 | 50% (2014年7月以降始期契約) |
耐震診断割引 | 地方公共団体等による耐震診断または耐震改修の結果、昭和56年(1981年)6月1日に施行された改正建築基準法における耐震基準を満たす建物 | 10% |
これらの割引は重複して適用することができませんが、昭和56年6月以降に建てられた建物であれば、基本的に10%の割引が行われます。
年末調整で控除を受けられる
地震保険は年末調整で控除を受けることができます。これも加入メリットの1つです。
税金の過不足を年末調整によって修正しますが、地震保険は最大5万円まで控除することができます。
ただし、申請する場合には加入している保険が「地震保険」なのか「旧長期損害保険」なのかを確認する必要があります。これは保険料控除証明書に記載してありますので確認してください。
- 「地震保険」の場合は、50,000円までなら全額。50,000円以上は50,000円一律
- 「旧長期損害保険」の場合は、10,000円までは全額控除。10,000円超20,000円以下は、「支払った保険料×1/2+5,000円」。 20,000円超は、一律で15,000円
- 双方契約の場合は、双方の控除額を控除。ただし、上限50,000円まで。
まとめ:地震保険は10年契約できないことを覚えておこう!
いかがでしたでしょうか?ここまで地震保険の10年契約できるかについて解説していきました。地震保険についての理解を深めてもらえるとありがたいです。
今回の記事のポイントは、
- 地震保険は10年契約できない
- 火災保険が10年以上の契約でも、地震保険は5年毎の自動更新となる
- 地震保険は長期払いの方がお得です
- 地震保険は地域と建物の構造によって保険料が異なる
- 控除や割引など加入のメリットがある