更新日:2020/07/15
火災保険で儲ける悪徳業者がいる!その詐欺手口とは?
火災保険で儲ける悪徳業者は、還付金や給付金を不当にもらったり、電話やチラシで不要な屋根工事や修理を勧めたりする手口を利用します。火災保険を利用した詐欺は年々増加し、詐欺トラブルの発生数は甚大です。保険金目当てに自身の住宅を放火し、逮捕されたケースもあります。
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 火災保険で儲ける悪徳業者がいる!その詐欺手口とは?
- 火災保険を悪用する悪徳業者の詐欺ケース
- 詐欺ケース①火災保険が適用されないのに虚偽申告させる
- 詐欺ケース②保険金がおりないの不要な工事を勧められる
- 詐欺ケース③おりると言われたのに火災保険の保険金がおりない
- 火災保険を悪用する悪徳業者の一般的な詐欺手口
- 詐欺手口①電話・訪問・チラシ等による勧誘
- 詐欺手口②契約の違約金や手数料が法外な手口
- 詐欺手口③火災保険の申請代行を利用した手口
- 注意:詐欺罪で逮捕!自身の放火による保険金請求は詐欺に該当
- 参考:火災保険を利用・悪用した詐欺は増えている
- 火災保険の保険金請求の正しいやり方とは
- 火災保険を悪用した詐欺に騙されない!詐欺に合わないコツを紹介
- ①立証が難しい場合は火災保険の保険金請求ができない
- ②修理契約は火災保険の保険金がおりてからする
- ③火災保険の保険金目当ての虚偽申告は厳禁
- ④保険会社に契約内容の確認をする
- まとめ:火災保険を悪用した悪徳業者の詐欺手口に注意しよう
目次
火災保険で儲ける悪徳業者がいる!その詐欺手口とは?
近年、毎年のように、大型の台風によって住宅の屋根や外壁が損壊したり、また大雨によって床上、床下浸水になるなどのニュースを目にしますよね。
これらは住宅のみならず、中の家財まで使えなくなるなど、その被害は甚大なものになることが多いです。
これらの被害を補償する保険として、火災保険があります。
補償の対象を建物と家財の両方に対象にしていれば、さらに安心です。
しかし、この火災保険を利用して被害に遭った方の弱みにつけこむようなやり方で、被災者をだます悪徳業者がいるのです。
そこでこの記事では、
- 悪徳業者の詐欺のパターン
- だます際の手口
- 火災保険の申請の流れ
などをわかりやすく解説していきます。
是非最後までお読みいただければと思います。
火災保険を悪用する悪徳業者の詐欺ケース
火災保険を使った悪徳業者の詐欺の例はいくつかありますが、
- 違法な保険金の請求をさせるパターン
- 保険金がおりない工事を行う、または保険金以上の修理費用を請求するパターン
などに分かれます。
被災者としては、自分の家が損壊している状態であれば、一刻も早く修理してほしいし、プロである業者から言われればそのとおりに対応してしまうのもいたし方ありません。
悪徳業者は「火災保険に加入していれば補償される」と安心させ、被災者の弱みにつけこんで詐欺をはたらきます。
以下で具体的にどのような詐欺のケースがあるか、それぞれご説明していきます。
詐欺ケース①火災保険が適用されないのに虚偽申告させる
最初の例は、違法な保険金の請求をするパターンの事例です。
火災保険の補償の対象は、前述したように、自然災害などによる損害、例えば
- 台風による強風で屋根の瓦が飛び、屋根修理が必要
- 強風により物体が飛来、ガラスに当たって破損したため修理が必要
などです。
あくまでも、自然災害が原因でその結果損害が発生した、という因果関係が成立していなければなりません。
従って、別の理由で破損した場合は、その対象にはなりません。
例えば、築年数がかなり古い住宅で、経年劣化による破損を「台風の強風によって破損したといえば保険金がおりる」などと嘘の申告をさせたりするケースなどがあります。
このようなケースは、業者にだまされる云々ではなく、被災者自身が正しく判断することが大切です。
詐欺ケース②保険金がおりないの不要な工事を勧められる
この例は、本来の保険金以上の修理工事を行うパターンの事例です。
先にも述べたように、自然災害による住宅の被害は、被災者が今日明日の生活にも困るような損害を受けている場合もあります。
そのような場合、被災者の立場としては一刻も早く修理して通常の生活に戻りたいと強く思っているものです。
そういう弱みにつけこんで、本来修繕すべき箇所以外にも、「この機会に関連した箇所も点検して修理しておかなければ、次に同様の災害があった場合、被害が増える。関連箇所の修理も火災保険の対象になるので、実費を負担することはない」などと言って、修理が必要でない箇所の工事まですすめてくる場合があります。
この場合も、業者の言うことをそのまま信じるのではなく、どのような損害が火災保険の補償の対象になるか、ご自身で確認することが大切です。
詐欺ケース③おりると言われたのに火災保険の保険金がおりない
このケースも上の詐欺ケース②と似ていますが、こちらは保険金がおりないのに修理工事を強要する、または工事を行うケースです。
最悪のケースは、修理工事が終わった後で保険金の請求をしたが保険金がおりず、全て自己負担となってしまうことです。
このように顧客をだます業者は、通常の修理費用よりもかなり高額の費用を請求している可能性も高いので、非常に高額な費用を自己負担してしまうことになってしまいます。
また、工事が終わる前に保険金がおりないことに気づき、途中でキャンセルしようとする場合でも、法外なキャンセル料を請求されたりする場合もあります。
これらのケースも、ご自身の火災保険の補償の対象をしっかり確認しておくことが非常に重要です。
被災に遭った状態で、加入している火災保険の補償の内容まで細かく確認するのは本当に大変なことだとは思いますが、そうしておくことで更なる被害を避けることができるともいえるのです。
火災保険を悪用する悪徳業者の一般的な詐欺手口
次に、火災保険を使った悪徳業者のだまし方の手口についてご説明します。
現実的には、台風などの被害で自分の家が損壊してしまうような状況になれば、誰でも混乱して、わらにもすがりたい気持ちになってしまうのも当然だと思われます。
ですが、事前に悪徳業者の詐欺の手口を知っていれば、実際に業者から勧誘があった場合に、そのアプローチに違和感を感じ、事前に被害を防ぐことにもつながるかもしれません。
万が一の時に被害を受けないためにも、どのような手口があるのか以下で見ていきましょう。
詐欺手口①電話・訪問・チラシ等による勧誘
悪徳業者の最初のアプローチとして、対面での訪問の他に、電話やチラシのポスティングなどによるものがあります。
このような場合、悪徳業者の対応として、「自治体から依頼されて対応している」などと語って安心させるケースもあるようです。
被災している側からすると、自治体が派遣した業者だと思えば安心してまかせてしまいがちですよね。
もちろん、実際に自治体からの派遣で対応している場合もあるとは思われますが、このような言葉をうのみにするのではなく、必ず自治体に事前に確認するなど用心する方がよいでしょう。
詐欺手口②契約の違約金や手数料が法外な手口
契約書を交わす際にだます手口もあります。
慣れてない我々にとって、契約書は内容がむずかしいという印象がありますし、字も細かくて全部読む気にならないものです。
そのため、主な内容のところは注意して読んでも、その他の詳細などに関してはあまり目を通さないことが多いのではないでしょうか。
しかし、悪徳業者はそれを利用して、契約者に都合の悪い内容を小さい字でわかりにくい場所に記載したりします。
例えば、「工事を途中キャンセルした場合は、キャンセル料として保険金の○%を請求する」などの内容を、小さな字で目立たないところに記載している場合があります。
契約書を隅々まで読むことは大変ですが、例えば、業者と一緒に読み合わせをするなど、なるべく内容をしっかり把握することが大切です。
良心的な業者であれば、内容の読み合わせくらい面倒がらずに一緒にしてくれると思われます。
また、そもそも論ですが、工事を口約束で依頼するなどは絶対に避けるようにしてください。
詐欺手口③火災保険の申請代行を利用した手口
修理業者の中には、火災保険の申請も代行してくれる業者が存在し、年々その数は増加しています。
そのうたい文句としては、「修理工事を受注させてもらえれば、火災保険の申請を無料で代行します」というものです。
依頼する立場にしてみれば、工事だけでなく面倒な保険金の請求などを代行してくれればその方が便利なので、ついそういう業者に依頼してしまいたくなります。
しかしながら、「火災保険の申請代行」と「修理工事」を抱き合わせで契約することは、独占禁止法に違反することになるのです。
また、そもそも保険金の請求は、基本的に被保険者が行います。
もしくは、加入者からその保険の代理店の担当者に連絡、担当者から申請します。
従って、火災保険の申請代行を修理業者が行うことはできません。
仮に、上で述べた独占禁止法に抵触しないように、契約者が火災保険の申請を修理業者に有料で依頼したとしても、その場合、保険金の請求は被保険者が行うという保険会社との契約に違反していることになるため、保険金がおりない可能性があります。
注意:詐欺罪で逮捕!自身の放火による保険金請求は詐欺に該当
悪徳業者の詐欺のパターンや、だまし方の手口についてご説明してきました。
このような火災保険を利用した住宅の修理工事などの詐欺は年々増加しており、その手口も巧妙化しています。
しかし、火災保険を悪用した詐欺は、業者だけでなく契約者による詐欺もあるのです。
それは、過失による火事と見せかけて、保険金目当てで自宅に自分で放火する偽装放火と呼ばれるものです。
契約者や被保険者が故意に火をつけた場合は、もちろん保険金は受け取れませんし、そもそも詐欺罪に問われてしまいます。
また、故意でなくても契約者や被保険者が、自宅が放火されることを知りながらそれを防止せず、放置した場合も保険金は受け取れません。
いずれにしても、契約者や被保険者が故意に放火することは、どのような事情があっても決して許される行為ではないことを改めて理解しておく必要があります。
参考:火災保険を利用・悪用した詐欺は増えている
上でも述べましたが、火災保険を利用した詐欺は年々増加の一途をたどっています。
独立行政法人 国民生活センターによると、PIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)のデータベースに登録された被害の件数は、2008年の36件から2017年では1,177件と30倍以上に増加しています。
また、被害者の年齢は60歳以上の割合が7割から8割を占めているのが特徴です。
さらに、火災保険の保険金の申請を代行すると言って詐欺を働くケースも増加しています。
これは、詐欺手口③火災保険の申請代行を利用した手口のところでご説明しましたが、保険金の申請と修理工事を抱き合わせで行うことで契約させ、実際には保険金がおりない不要な工事や、追加工事の請求などの詐欺を働くというものです。
火災保険の保険金請求の正しいやり方とは
ここで、火災保険の保険金を請求する正しい流れについてご説明します。
- 契約者:保険会社に連絡
- 保険会社:書類を送付
- 契約者:書類を保険会社に提出
- 保険会社:鑑定人による調査
- 保険会社:保険金の入金
火災保険を悪用した詐欺に騙されない!詐欺に合わないコツを紹介
自分は詐欺にひっかからないと思っておられる方でも、実際に災害に遭って自分の家が損壊してしまい、普通の生活ができないような状態になれば、少しでも早く日常生活ができる状態に戻りたいと思い、詐欺の手口にだまされてしまうリスクがあります。
そういう被災者の弱みにつけこむのが、悪徳業者の手口だからです。
しかし、被災に遭って通常の判断能力が失われてしまいがちな時こそ、冷静に判断することが大切になってきます。
そこで、詐欺に遭わないためにはどうすればよいか、ポイントをいくつかご説明いたします。
①立証が難しい場合は火災保険の保険金請求ができない
災害による住居などの損傷で火災保険の保険金を請求するには、自然災害が原因で、その結果住居が損害を受けた、という因果関係が成立していなければなりません。
この点が最も重要な軸になるため、保険会社からの鑑定人による調査も、そのあたりはきっちり調査します。
例えば、「過去の災害の被害によって損害を受けた」などと保険会社に説明するように指示するような業者もいますが、この場合、過去の台風による被害かどうか証明するのは簡単ではありません。
従って、保険金を受け取れない可能性が高いと考えられます。
このような場合、過去の災害による損壊も保険金を受け取れるとだまして、不要な工事を行い、必要以上の費用を請求しようとしている可能性があるかもしれません。
②修理契約は火災保険の保険金がおりてからする
修理工事の契約は、火災保険で保険金の申請を行い、保険金がおりてからにするのがよいでしょう。
少しでも早く修理して日常の生活に戻りたいという気持ちだとは思いますが、焦って、先に修理工事を行っても、その費用が全て保険金で賄われるとは限らないからです。
もし、保険金よりも実際の費用がオーバーしてしまった場合は、実費で支払わなくてはならなくなります。
悪徳業者の場合、それを見込んだ上で、先に保険金以上の費用の工事をしてしまおうとする可能性があります。
また、可能であれば、複数の業者に見積もりをとり比較する、内容に不明点がある場合はきちんと確認するなどの対応をすると、さらに詐欺を免れることにつながるでしょう。
③火災保険の保険金目当ての虚偽申告は厳禁
悪徳業者の手口として、虚偽申告させるというやり方もあります。
これは、「(別の理由で壊れてしまったにもかかわらず)その時の災害で受けた損壊だと申請すれば、保険金がもらえる」などとそそのかしてくる手口です。
もし業者のいうままに虚偽の申告を行い、それが虚偽だと発覚した場合、保険金がおりないのはもちろん、契約そのものを解除されることにつながります。
最悪の場合、ご自身が詐欺罪で訴えられる可能性もあります。
このようなことをもちかける業者とは、絶対に契約してはいけません。
④保険会社に契約内容の確認をする
これは基本中の基本ともいえますが、契約している保険会社に直接契約内容の確認を行うことです。
まずは、ご自身が加入している火災保険の証書で、契約内容、特にどのような場合にどれくらい補償されるのか確認しましょう。
内容がむずかしくてよくわかならない、ご自身の被害の状況が複雑で正しく判断できない、など、不明な点は遠慮せずに保険会社に確認してください。
近年、火災保険の保険金に関する悪徳業者の詐欺が増加しているので、保険会社の方でもそれなりの知識や対策を準備していると思われます。
いずれにしろ、早まって業者と契約する前に、補償内容の確認、必要であれば保険会社へ相談をしておくのに越したことはありません。
まとめ:火災保険を悪用した悪徳業者の詐欺手口に注意しよう
火災保険を利用した修理業者の詐欺の手口についてご説明してきました。
詐欺をするような悪徳業者は、被災者の弱みにつけこんであの手この手でだましてきます。
被災者の心情としては、一刻も早く修理して日常生活を取り戻したい、と思うのが当然ですが、焦って契約し、保険金が下りる前に工事が始まるような事態は避けましょう。
まずは、先に保険金の申請を行い保険金がおりてから、その後に修理作業の契約を行うのが安全です。
万が一、工事が開始され高額な請求をされた、また、しつこく勧誘されている、などの場合は、消費者センターに相談するようにしましょう。